ナデシコ ブリッジ ラピス視点
プシュ!!
「も〜聞いて下さいよ!!」
せっかく静かだったブリッジに艦長が叫びながら入ってくる。
職務放棄で出ていってアキトに迷惑を掛けた上に職場で騒がれたんじゃたまらない。
そう思っていても口にはしない。
私ももう、そこまで子供ではない。
「やっぱりあそこでああやって引き付けて・・・」
「まったく、私の料理からも逃げるなんて・・・」
何やらブツブツ言いながらブリッジに入ってくるメグミとエリナ。
エリナは確か休憩中だったと思うけど、メグミも職務放棄だ。
さっきまではミナトとシュンさん、カズシのおじさん、ついでにジュンもいなかったから、
2時間位はブリッジに私一人しかいなかった事になる、ルリ達は整備だし。
一応8歳児と言う私一人にこのナデシコの全てを任せていたわけだ、ここの大人達は。
まあ、ちゃんとした休憩時間で、それを知らなかったミナトとシュンさん達は別だけど。
私達(この場合妖精とアキト)がいるから大丈夫だけど、
私達がいなかったらどうなる事か・・・
「聞いて下さいよシュンさん!!」
シュンさんに絡むユリカ。
それを苦笑しながら聞くシュンさん。
「はい、はい。
で、アキト君がどうしたんだい?」
「アキトたら、私達がせっかく料理を作ってあげたのに、
メティちゃんを抱いて瞬間移動で逃げたんですよ〜〜!!」
((((そりゃあ逃げるわ。))))
ラピス達精霊の心の声がハモル。
「そりゃあ酷いねぇ。」
軽く笑うシュンさん。
シュンさんは実際に被害を受ける事はないからなぁ・・・
私とメティ、カイトはアキトとルリの記憶で知ってるし。
「あ、そうだ、ラピスちゃん、アキトを呼び戻してよ。
アキトったらコミュニケを外してるの。」
当然の処置だと思う。
まあ、緊急連絡も私達の方からできるし。
とりあえず、返答は勿論
「お断りします。」
私は振り向く事も無く答える。
「え〜どうして〜〜!!」
多分拗ねた様な顔をしているだろう艦長。
まったく、私より子供なのではないかと良く思う。
「私達に利が無いどころか、アキトに害しか与えないし、
それに、栄養の摂取が必要なのはメティとルリ。
それもアキトが管理してるからそんな必要は無いです。」
「じゃあ、艦長命令です〜アキトを呼びなさ〜〜い!!」
艦長がそう言うとほぼ同時に
プシュ!!
ブリッジの扉が開き、
「それは職権乱用と言うんですよ、艦長。」
ルリとカイト、アキラが入ってくる。
「じゃあ、作戦会議を開くから呼んで下さい〜。」
腕を組んで半眼で見え透いた嘘を付くユリカ。
「そんな見え透いた嘘を・・・
何の作戦会議を開くんですか?
作戦会議なら最低シュンさん達も同席しなければいけませんよ?」
呆れているルリ。
「ん〜・・・アキトと二人で作戦会議・・・ってダメ?」
ちょっと悩んでそんな事をのたまう艦長。
「・・・それって同盟の条約違反じゃないですか?」
その通り。
現在ユリカはメグミとエリナに睨まれている。
「ん〜ダメ〜?」
何やら、と言っても考えている事はバレバレか・・・
悩むユリカ。
あ、でもこう言うことの作戦には策士だから気をつけないと。
「ルリ君、機体の整備は終ったのかい?」
今度はシュンさん達と話しているルリ達。
「ええ、プログラムとかの、私達にできる作業は終りました。
エステも機体の方は終っていますよ。」
「後はブローディアのフェザーとファミリアの修理、
それと相転移エンジンが残ってるけどな。」
ルリとカイトはシュンさんとカズシおじさんに向かい合って話している。
「まあ機体の修理が完了しているなら何とかなるだろう。
今のところ敵が来る様子も無いし。」
「そうですね。
まあ、このまま何も無ければ良いんですが。
フィリア、このあたりに敵はいる?」
ルリの呼びかけに答え、フィリアがルリの前に現れる。
『現在ナデシコのレーダーの有効範囲には敵の姿はありません。』
「そう、それなら良いけど。」
フィリアのその返答でもまだ安心はしていないルリ。
「ああ、そう言えばルリ君、傷の方はいいのかい?
重症を負ったと聞いているが?」
「ええ、走る事は禁じられていますが、問題ありません。」
「そうか、ならいいが、気を付けてな。」
「はい、ありがとうございます。」
話しも終り、それぞれ自分の席に着くルリ達。
最近はこの席に座る事も少なくなったと思う。
「ところで兄さんは何をしてるんですか?」
アキラがルリに話しかける。
「ああ、アキトさんなら、エデンでちょっとした秘密兵器の製作についていますよ。」
因みにこの秘密兵器、まあ、兵器と呼ぶのかは解らないが・・・
私達、T-LINKに繋がっている者とAIズしかその実態を知らない。
「そうですか。」
納得したのか、それ以上追求しないアキラ。
そして久々に妖精全員揃ってのオペレートの仕事に戻る。
いや、結構無駄かも。
こんなにいると・・・
暫し、仕事をしていると、
「・・・ルリちゃん、アキトとメティちゃんを呼び戻して。」
さっきまで唸っていたユリカが、
何故か真剣な声でそう言った。
「艦長、声が真剣になったところで・・・」
ルリがそれに対して対応しようとした、その時、
リンクで舞歌から通信が入る。
(大変よ!!今そっちにヤマサキを乗せた試験戦艦が向かっているわ!!)
な・・・
((((な、なんですって((だと))!!))))
(確かな情報か?!)
感情を高ぶらせながら問うアキト。
(ええ、しかもその戦艦にユキナちゃんも乗っているみたいなの。)
((((な・・・))))
最悪・・・とまではいかなくてもかなりマズイ状況だ。
そして、最悪の事態になりかねない事態だ。
「ねぇ、ルリちゃん?」
途中で言葉を止めた事に怪訝そうなユリカ。
「・・・別件ですがアキトさんは呼び戻します。
と、言うより戻ってきますよ。」
ルリもちょっと感情が高ぶっている。
無理もないか・・・
ルリとアキトは今すぐ飛び出して、
近くにいるかもしれないヤマサキを探しに行きたいのだろう。
「そう、それなら・・・」
ユリカがまた何かを言おうとした、その時だった。
ピッ!!
私達オペレーターの前にオモイカネからの警告ウィンドウが開く。
その内容は・・・
『ボース粒子検出!!』
何故、こんな所でボース粒子が・・・
私がそう思うより早く。
「ラピスちゃん、最小範囲でフィールド全開!!」
ユリカからの司令が下る。
「え、でも今のエンジンでそんな事をしたら、
またエンジンが完全に止まっちゃうよ?!」
私は意図が理解できずに聞き返す。
「いいから早く!!」
それでもユリカは真剣な顔でより強く命令してくる。
「りょ、了解。」
私がフィールドの操作に入ったその時!!
『ジャンプアウト反応!!』
先ほどの警告が今度はジャンプアウト反応へと変わる。
そして、スクリーンにナデシコの周り、
この、ナデシコの直ぐ側に、多数の虹色の光が出現する。
「フィールドは!!」
私は艦長の声に我に帰り直ぐにフィールドを展開する。
「フィールド全開です!!」
私がそう言ったとほぼ同時に
ジャンプアウトしてきた『それ』は、フィールドに接触する。
ドォォォォォンン!!
フィールドに触れた『それ』は大爆発を起こし、
ナデシコは大きく揺れる。
だが、私は確かに見た、『それ』がフィールドに触れる前に、
何かが『それ』から分離するのを。
・・・まさか!!
「・・・有人・・・ミサイル・・・」
アキラが呟く。
そう、これは前回世界でも使われた有人のミサイル。
でも、これは・・・
「精度も威力も違いすぎます・・・」
ルリが私達にしか聞こえない様に呟く。
『どうした!!なにがあった!!』
『今の揺れは何?!敵なの!!』
『ちょっと警報は鳴ってないわよね?!』
次々と入ってくるブリッジにいないメンバーからの通信。
『説明し「その前に!!」
イネスがいつも通り説明をはじめ様とした所、ユリカは割って入った。
「全員出撃してください!!
説明は出撃しながら聞いて!!」
ユリカからの命令が飛ぶ。
それと同時に、
「艦長!!フィールド後30秒しかもちません!!」
アキラの悲鳴の様な叫び声が響く。
「と、言う訳です。
急いで!!
ジュン君、カズシさん、シキさんもガイアシリーズで出てください!!」
改めて命令するユリカ。
『り、了解!!』(パイロット一同)
それにより、この艦の状況がある程度は掴めた皆は慌てて出撃体勢に入る。
「イネスさん、時と場合は選びますよ。」
「同じく。」
イネスにそう言って走り、格納庫に向かうルリとカイト。
『ええ、解ってるわ。
じゃあ、説明をはじめるわよ。
今回の敵は安直に名前をつけるなら『有人ミサイル』よ。
敵はおそらく、遠距離からの精密なボソンジャンプで、
イメージングのできる人をのせたミサイルを、こちらの懐に跳ばして来たのよ。
これによるメリットはまず奇襲が可能だと言うことね。
それに、母艦を危険にさらす事はなくなるわね、戦闘宙域にいない訳だし。
勿論デメリットもあるわ、それはジャンプイメージに使った人の命ね。
これについては・・・』
そう、この有人ミサイルの最大欠点と言える所は、
ミサイルに乗る人の命だ。
だが、この作戦の指揮をしているのはあのヤマサキなら・・・
命のことなどなんとも思ってはいない奴だ・・・
格納庫 ルリサイド
ここ、格納庫では修理が済んだばかりのエステとブローディアが、
次々と出撃している。
『エステバリス、ブローディアシリーズはミサイルの破壊を。
ガイアシリーズはナデシコの防御をお願いします。
後数秒でナデシコのフィールドは消失します。
敵のミサイルのあの威力では一発でも当るわけにはいきません。
みなさん、くれぐれも注意してください。』
さっきまでとは別人に思える艦長からの伝令が入る。
「『了解!!』」(パイロット一同)
そして、私も皆に続きカタパルトから出撃する。
ナデシコを中心にし、ナデシコを囲む様に展開する。
『フィ―ルド消えます!!』
アキラの連絡と共に、ナデシコをギリギリ覆っていたフィールドが消失する。
これで今のナデシコの防御は無いに等しく。
更には移動する事すらできない。
「フィリア、フェザーとファミリアの数は?」
私は万全ではない愛機の状況を確認する。
『現在動くファミリアは出撃しているブローディアシリーズにはありません。
フェザーも、全機合わせたところで、とてもナデシコを防御できる程の数では・・・』
だが、やはりファミリアとフェザーの修理は間に合っていなかった様だ。
そう言えば、まだアキトさんとメティが到着していない。
(アキトさん、メティ?)
私はリンクで二人を呼ぶ。
(すまん、もう少し掛かる。)
返って来たのはアキトさんの方からだ。
(私達だけでは守りきれないかもしれません、急いでお願いします。)
(解ってる。)
(もう少しだよ。)
そう言って一旦リンクを切るアキトさんとメティ。
ちょうど、その時だ。
『ボース粒子検出!!
来ます!!』
フィリアの警告に身構える私達。
ナデシコの周りに複数の虹色の光が出現する。
ナデシコの上面から2機、右側面から3機、左側面から2機、
後方から3機、正面に1機、そして下方より1機。
計12機!!
こちらは私、カイト、アカツキさん、リョ―コさん、アリサさん、ヤマダさん、ヒカルさん、イズミさん、イツキさん。
計9人+ガイアのシキさん、ジュンさん、カズシさんの3人。
私は迷わず後方の3機に向かう。
カイトは上方の2機だ。
私はDFSを二本とも構え、割と距離の離れた所に出た3機に向かう、
そして、分離しミサイルだけになり、小型船が安全な距離まで離れた所で爆破させ・・・
たいのに!!
「はやく離れて!!死ぬ気ですか!!」
その3機のパイロットは私の間合いに入って、やっと分離する。
これでは小型船を捲きこんでしまう、でもこれ以上ナデシコに近づけたら、
無防備なナデシコが!!
「くっ!!」
私はその3機の小型船を捕まえ自分のフィールドに入れ、そして、
「飛竜翼斬!!」
ファミリアが無い為、飛び技をミサイルに撃つ。
そして、
「アクティブクローク!!」
『展開!!』
最低限の羽根で構成されているアクティブクロークで、時機と3機の小型船を覆う。
ドッゴォォォォォォォォンン!!
飛竜翼斬が当った3基のミサイルが爆発し、
アクティブクローク越しにも衝撃が来る。
そして、爆発が止まりアクティブクロークを解く。
「フェザーは無事?」
『3割ほど使えなくなりました。』
やはり近すぎた様だ。
なんとかナデシコは無事だが。
私は3機の小型船を開放する。
窓から見えたその小型船のパイロットはきょとんとした顔をしていた。
まあ、自分がした事と、されたことが解っていないのだろう。
私はナデシコに戻りながら他の皆の様子を見る。
すると・・・
『おい!!バカ早く離れろ!!』
『何をしている特攻のつもりか!!』
『おい!!死ぬ気かよ!!』
なんと、どこも小型船を庇いながらミサイルを撃破していた。
ナデシコは何とか3機のガイアシリーズで守られている。
そうでないのは逆に早く分離しすぎる人達だ。
「皆自殺願望でもあるの?!
それとも洗脳されているとでも言うの!!」
確かにこのナデシコなら、自分の命と引き換えに、でも価値があると考えられてしまうかもしれない、
それに、あのヤマサキなら、洗脳くらいやってしまうだろう。
『それは違うんじゃないか?』
カイトから通信が入る。
『パイロットの様子を見る限り、自殺願望も、洗脳された様子も無い。』
そうか、確かにそうだった。
じゃあ、まさか・・・
『艦長!!こいつら全員戦闘の素人だ!!
自分の使ってるミサイルの威力も小型船の性能も全然解ってねェ!!』
私が辿りついた答えをリョ―コさんが叫ぶ。
そう、つまりはそれが狙いなのだ。
私達は小型船とナデシコの両方を守らなければいけないと言うわけだ。
『皆さん、こんな所で木連側に死人を出すわけにはいきません。
総員小型船を保護しつつ、ナデシコの防衛をしてください。』
艦長が神妙な顔で指示を下す。
言葉にするのは、なんと簡単な事か・・・
『ジャンプアウト反応!!』
再度出現する虹色の光。
私達はナデシコの周りに集結し、身構える。
今度は9機、私達はそれぞれ一機ずつの担当で処理にかかる。
私は後方に現れた一機をさっきと同じ方法で処理する。
しかし、その他のメンバーは・・・
『あ、こら、あばれんな!!』
『くっ!!どっちに飛んでいくつもりだよ!!』
苦戦している様だ。
このやり方の難点は保護対象にその理解が全くない事だ。
ドッゴォォォォン!!
『ちぃ!!』
そして、それによりこちらは庇う為にダメージを受ける事もある。
今、ヤマダさんの機体が右腕を失った。
『マスター、このままでは・・・』
ちょっと焦っているフィリア。
「ええ、敵の数によっては・・・」
下手をすれば・・・
私が暗い未来を想像していたその時、更にそれ現実味を帯びさせる様に、
『またジャンプアウト反応です!!』
さっきよりも短い間隔で次ぎの敵が出現する。
今度は11機。
私はその内2機を的確に処理した。
だが、
『しまった!!
すまね、ミサイルを撃ちそこねた!!』
片腕を無くしたヤマダさんの方に穴が開いてしまった!!
『だめだ俺は間に合わん!!』
『こっちも!!』
『おい、マジかよ!!』
更にガイアシリーズは他の面のフォローで動けない!!
ここからミサイルを落とす事は出きるが、この距離では!!
その時、
『更にジャンプアウト反応!!』
新たにナデシコのすぐ近くに虹色の光が出現する。
『そんな!!』
絶望的な状況、パイロットの誰かが叫ぶ。
でも、大丈夫、私には解る。
『ハァァァ!!』
ザン!!
ナデシコのすぐそばに出現した機体により切り裂かれるミサイル。
更に
『フェザー及びファミリア射出!!フィールド全開!!
イージスの盾よ!!』
ドッゴォォォォォン!!
もう一機によりナデシコを覆うフィールドが張られ、
その盾により、今の爆発からも完全にナデシコは守られた。
『すまん遅れた!!』
『ごめん遅れました。』
勿論その二人はアキトさんとメティだ。
「アキトさん、遅いですよ、何をしてたんです?」
流石の私も抗議をする。
『ああ、敵の本体の位置を割り出そうとしたんだが・・・
無理だった。
メティはファミリアとフェザーの補充だ。』
「そうですか・・・」
『でもこれで私一機でナデシコは防御できるよ。
イージスの盾との併用で、同じ場所に連続で来られなけらば大丈夫。』
数はいつもより少ないがナデシコの周りに展開されたフェザーとファミリア。
これとアテナ自身のフィールドで包み、されに盾を使って防御する事により、
今回程度のミサイルなら完全に防御が可能だ。
『聞いての通りです。
メティちゃん以外のメンバーは小型船の保護に当ってください。』
さっきよりかは幾分か明るい声で新たな司令を下す艦長。
『了解!!』
状況の好転に志気が上がるクルー。
『ジャンプアウト反応!!来ます!!』
更に14機が出現するが後方を気にしなくて良くなった事で的確に処理ができた。
『それにしても何発来やがるんだ?』
処理が終って、リョ―コさんがそんな事を愚痴る。
まったくだ、既に46機を処理している、
戦闘の素人を乗せているから、量で来れるのだろうが・・・
『本体の場所さえわかれば何とかなるんだがな・・・』
アキトさんは口惜しそうだ・・・
私も・・・ヤマサキがいる船が近くにいるのに・・・
悔しい・・・探しに行きたい・・・そして・・・この手で・・・
『次ぎ来ます!!』
フィリアの警告により思考が中断され、私は身構える。
今度は18機の有人ミサイルが出現する。
私は後方の現れた3機をジュンさんと共に、上方に現れた2機をカイト、下方の3機をアキトさんが、
右側面の4機をリョ―コさん、アリサさんとカズシさんで、左の4機をイズミさん、イツキさん、シキさんで、
正面の2機をアカツキさんとヤマダさんヒカルさんで担当する。
『多いな、ラストかな?』
軽口をいいながら作業に当るアカツキさん。
流石に皆、慣れて来た様だ。
私も自分の担当する3機を抱えて、ジュンさんがミサイルを打ち落として片付けた。
が、その時、
『ジャンプアウト反応です!!』
私とナデシコの間に2機の有人ミサイルが出現する。
「え!?」
私はまだ3機の小型船を抱えている。
狙ったとは思えないが絶妙な時間差攻撃だ。
そしてジャンプアウトしたのはナデシコのそば、すぐそばにフィールドがある!!
ちゃんとそれに気付いたのか、2機はすぐに分離するが間に合わない!!
「メティ!!」
『だめ!!私はナデシコを守るが限界だよ!!』
フィールドとミサイルが接触する場所に移動し、盾を構えるアテナ。
このままではミサイルの爆発に2機の小型船が捲きこまれてしまう。
私は3機の小型船がすぐ近くにあるから高速移動に入れない。
『僕が!!』
その時、ジュンさんがその2機の回収に向かう。
「危険です、ジュンさん!!」
ガイアだけのフィ―ルドではもたないかもしれないのだ、2機も包んでしまうと。
『見捨てられないだろ!!』
そう言って2機をフィールド包むジュンさん。
急いで離脱しようとしたが、
ドッゴォォォォォォォォンン!!
ミサイルがアテナの張っているフィールドに接触し、爆発する。
『く、ぅ!!』
離れきれなかったジュンさんのガイアは爆風に巻き込まれる。
爆風の強さにフィールドが耐えきれず、フィールド内の小型船に影響が出ようとしていたが、
ジュンさんはガイアの本体を盾にしてそれを守った。
だが、その為にガイア本体にかなりのダメージを受けている。
「大丈夫ですか、ジュンさん?」
私は抱えていた小型船から離れて、飛ばされていたジュンさんをキャッチした。
『ああ、なんとかね。
小型船も無事でしょう?』
衝撃で腕を打ったのか、痛みを我慢しているような顔だが、まあ大丈夫そうだ。
2機の小型船も無事である。
『ところで、あいつらどうするんだ?』
ちょっと落ちつき、ナデシコから離れて固まって待機している小型船を指すリョ―コさん。
「ああ、多分・・・来たようですね。」
私が予想を述べる前にレーダーに反応が出る。
そして小型船はその反応の方へと飛んでいく。
『ああ、なるほどね。』
接近してきた物を確認したアリサさんが納得したように頷く。
そう、接近してきたのはチューリップだ。
小型船は続々とチューリップに入っていく。
これが来たと言うことはもう終わりなのだろう。
『ねえ、ルリちゃん、この2機だけど・・・』
「え?」
ジュンさんが助けた2機を指す。
『パイロット気絶してるんじゃないかな?』
確かに、さっきからこの2機は動かない。
「困りましたね・・・どうしましょう?」
『まあ、チューリップがあるからいつでも・・・』
アキトさんがセリフをいい終る前に、突如
ドッゴォォォォォォン!!
『な?!』
チューリップが自爆する。
『どうして自爆なんか!!まだ二人いるのに!!』
多分、利用される事を避けたんだと思うけど・・・
「・・・どうしましょう?」
私は目の前の2機を見る。
『そのままにはできないだろ?
しょうがないから取り合えずナデシコに入れよう。』
「そうですね。」
私はその2機の小型船を抱えてナデシコに戻る。
格納庫
念の為、フィールドを張りつづけているアテナを除き、全員が帰還し、
メインクルーも格納庫に集まる。
問題の2機の小型船のパイロットの為に。
ジュンさんは右腕の骨にヒビが入ったとかで医務室行き。
「どうします?」
「うちで捕虜扱いになるのかな?
今の軍とかに連絡したらロクな事になりそうにないが・・・」
シュンさんが2機を見ながら呟く。
「ではここで匿いますか?
敵を匿った事がバレると厄介ですが・・・」
事実を述べるプロスさん。
「で、どうするんです?」
私は話を艦長にふる。
「取り合えず、お二人と会ってみましょう。」
さっきまでの凛とした指揮官は何処へやら、
いつもの楽天な艦長がそう答える。
「ドア、閉ってて、開かないんだけど?」
扉に手を掛けるナオさん。
「こっちも。」
とアキトさん。
まあ、普通に開かなくて当然だが。
「面倒だから壊すぞ?」
「同じく。」
ガシャン!!
ほぼ同時にドアを引きぬく二人。
そして中にはいる。
すぐに・・・
「寄らないで!!触らないで!!変態!!」
ナオさんが入った方から女性、と言うか女の子の叫び声が響く。
この声・・・
「姉さん、この声って・・・」
「そうね、まあ、いるって事前に言われてたし・・・」
来た有人ミサイルは68発、内、回収したのが2機、
34分の1であたりを引いた様だ、私達は・・・
「おいおい、俺は別に何もしてないだろ?」
結構その言葉に傷ついているナオさん。
そして、女の子が飛び出してくる。
その顔は見て確信する私達。
そう、少女は白鳥 ユキナだ・・・
「お〜い、こっちも女の子なんだが、まだ気絶して・・・」
と、それと同時にアキトさんがもう一方から女の子を抱きかかえて出てくる。
どうもまだ気を失っているらしい。
それを見た彼女は
「あああ!!香織に触るな!!」
アキトさんに食って掛かるそのユキナ。
「おいおい・・・」
殴りかからん勢いでアキトさんから少女をもぎ取り、
ユキナはこちらを睨みつける。
違う形で合流したユキナ、そしてもう一人の少女。
それがこれからの時の流れにどう影響するのだろうか・・・
私は皆でユキナを宥めている中、そんな事を考えていた。
あとがき
ア:皆さんお久しぶりです。
ル:本当にお久し振りです。
・・・どのくらい更新止まってたんでしょうか?
ア:ああ、大体4週間だよ・・・
ル:あのバカ作者は私がじっくりゆっくり殺っておくので、どうぞ平にご容赦下さい。
ア:更にはアレは書き終わったはいいけど、どもう気に入らないとかで書きなおし中、
もう一つは本気でつまらないので没。
ル:一応希望がありましたアキラとサブロウタの過去の話は書きあがりました。
これはアキラとサブロウタを希望する人向けです。
あまり楽しい物では無いですが、それでもよろしい方はメールで希望していただければ送ります。
ア:因みにサブロウタのパートナー投票は次回がアップされるまでです。
ル:まあ今回みたいに遅れる事は無いと思います。
大体2週間以内には書きあがるかと思いますので。
ア:前にも言いましたが変更は可能だそうです。
現在、三姫オンリーがアキラオンリーより4票上です。
ル:差だけ数えてたら票数忘れました、ごめんなさい。
ア:ではまた次回でお会いしましょう〜
代理人の感想
T-SAKAさん、本当にお久しぶりの感想です(爆)。
まぁ、それはさておき(さておくな)。
ユリカはやはりシリアスモードとギャグモードの切り替えが激しいですね。
やはり「非常の人」なんでしょうねぇ(笑)。