第9話「外伝
×出会い
×漆黒の戦鬼」
カチャカチャ・・・
「これで良し、っと。」
俺は今、ブラックサレナの中枢となるエステのコクピットで最終チェックをしている。
これはここに来る時にラピスから送られてきた物だ。
「問題はないな・・・
これならナナフシ戦でアキトが使ったあの技にも耐えられそうだな。」
対ナナフシ戦・・・
ナナフシの所に向かっていアキトとリョーコは敵の戦車に囲まれる。
囮を買ってでたリョーコからエネルギーパックを受け取りナナフシの所へと向かうアキト。
その前に突如巨大な戦車が立ち塞がる!!
DFSは使えない!!
『お前と遊んでる暇は無いんだよ!!
バーストモード スタート!!』
アキトのエステが紅く輝く・・・
『プリンス オブ ダークネスの名に賭けてぇぇぇぇぇ!!』
・・・そ、そう言えばあの事件(サイド1参照)で壊れたアキトは
ラピスが治したんだったな・・・
塗り固めて・・・
『いくぞ!!
愛と!!怒りと!!憎しみのぉぉぉぉぉぉぉお!!
ダァァクネス フィンガァァァソォォォォォド!!』
アキトのエステの手にディストーション フィールドが収束し
漆黒の剣が形成される。
『斬!!』
ぎぎぎぎ・・・
ズッガァァァァァアアアアンンン!!
アキトの一撃により一刀両断され爆発する戦車・・・
『これで終わりだぁぁぁぁ!!
我が前に立ち塞がりし、全ての愚かなる者に
等しく滅びを与えんことを!!』
アキトのエステの手に形成されていた漆黒の剣が
更に収束する!!
『龍覇斬!!』
ちゅごぉぉぉぉぉぉん!!
エステの手がナナフシに突き刺さり、漆黒の光が全てを飲み込む・・・
あとに残ったのはエステの手が刺さっている周りナナフシだった物の残骸・・・
その戦闘のせいでアキトが使っていたエステは完全に使い物になら無くなってしまった。
その後の戦闘は無理やりバーストモードを積んだ予備のエステで行っていたが、
ここに来る前の戦闘でやっぱりダメにしてしまった。
そこで、ラピスに頼みブラックサレナの中枢のエステだけを先に作ってもらい、
送ってもらったと言う訳だ。
因みにあの戦闘のあと、剣を形成した時のセリフについて聞いたところ
『アレほど俺にピッタリのセリフは無いだろ。』
と返された。
ラピスは「そんな意味で言ってもらったんじゃない!!」と嘆いていたが・・・
そうそう、俺が今いるのは西欧方面基地だ。
ここに来たのはオモイカネの反抗期のせいでなのだが・・・
そう言えばオモイカネの反抗期ではこんな事もあった。
オモイカネの自意識を止めるためにオモイカネの中に入った俺とアキトとルリ。
その中でオモイカネはルリが抱いていた願望を映し出した。
『もう止めてぇぇぇぇ!!』
頭を抱え泣き叫ぶルリ・・・
『ルリ・・・』
『・・・』
『う、うっ、私って醜い女ですね。
ユリカさんを消して、自分を置くなんて・・・
オモイカネの言った通りアレは私の想いです。
私は喜んでいたのかもしれません、あの事件を、貴方と二人になれたことを・・・
初めて抱いてもらった時だってああ言えば貴方は断らないと解っていたから!!
そう、私はユリカさんがいない事を良い事に、貴方の心に突け込んで
ユリカさんから貴方を寝取ろうとしたんです!!』
『もういいんだ、ルリ。』
『でも私は・・・』
『いいんだよ、君は醜くなんて無い。
それにあの時の事は俺に罪がある。
あの時、俺はユリカがいない寂しさから君に逃げたんだ。
それに元々君にそう言う感情を抱いていたのも事実だ。
だから、俺が全て悪いんだよ。』
『違います!!あれは私が・・・』
『それじゃ、あの時はお互い様だった、それで良いかい?』
『!!アキトさん・・・やっぱり貴方は優しいですね。』
『そ〜かな?』
『そうですよ。』
『なあルリ、人は想いがあるから人間なんだ。
「想う」事を止めてしまったらそれは人形と変わらない物になってしまう。
だから想いを醜いなんて言うなよ。』
『はい、ありがとうございます。』
『なあアキト、人間って複雑なんだな。』
『ああ、だからお前もこのナデシコで勉強しなければならないんだ。
さて、まずは他人の想いを覗いて見せびらかす悪い子を
お仕置きしに行かないとな。』
その後はガイの操るゲキガンガー×100をアキトが秒殺して、
オモイカネの自意識を一時的に封印した。
それにしてもオモイカネは本当に戦術的な勉強が必要だな、
ガイを100人持って来たって勝てないのは
バッタが万単位でアキトにかかっても勝てないのと同じだぞ。
それで、全ての作業を終え、廊下を歩いていたとき
「あ〜ら、テンカワ アキト
ちょうど良かったわ。」
などと言いながら、キノコが現れ、
アキトにナデシコを人質に西欧方面軍に行くことを命じたのだ。
俺は、アキトを一人にするとあらゆる意味で危険だと言うことで
アキトの専属オペレーターとして付いていく事になった。
「これで最後だな。」
俺が全てのチェックを終え外に出ようとしたとき・・・
ガスッ!!
「一応報告してやる。
俺は連合軍の軍人じゃない、一般企業からの出向社員だ。
だから軍の階級制度は俺には関係無い。
俺に命令出来るのは会社の上司と連合軍の人事部だけだ。
俺に命令をしたかったら人事部に許可を申請しろ。
それと、俺の名前はテンカワ アキトだ。」
ドスゥゥゥン!!
どうやら、外はアキトが何かやっているようだ。
タッン!
「アキト、何かあったのか?」
俺はエステから飛び降りアキトに現状を聞いた。
「カイト、お前も一応自己紹介しておけ。」
そう言ってアキトが目をやった先にいる唖然とした
服装から見て少佐だろう男と2メートル先でのびている大柄の軍人。
まあ大体の状態は飲み込めた・・・
「俺はテンカワ カイト、アキトと同じ出向社員だ。
それから、俺に命令できるのはアキトだけだ。」
とりあえずいうべき事は言っておいた。
「行くぞカイト。」
そして今だ唖然としている軍人たちを残し俺達は格納庫を後にした。
それから、少し不機嫌なアキトと廊下を歩いていると
ドンッ!!
ガラガラ・・・
「いった〜・・・」
「痛ーじゃねえか、このガキ!!」
俺達の歩いている前方でリアカーを押した女の子と軍人の男がぶつかった。
「ごめんなさい・・・」
「何でこんな所にガキがいるんだよ!!
ったく、いてーな痣になったらどうしてくれんだよ!!」
「それはオジサンが・・・」
「!誰がオジサンだ?クソガキ!!」
そう言ってその少女に掴みかかる男。
・・・運が無かったな、あの男。
「・・・オジサンでしょ?」
軍人に掴まれてなおそんな口が利けるのか、あの少女もなかなかやるな。
「このガキが!!」
そう言って少女を殴ろうとする男。
そこに
「おい、止めろ。」
アキトが男の腕を止めた。
「なんだてめぇ。」
「その子を離せ。」
「うっせぇんだよ!!」
そう言って今度はアキトに殴りかかる。
運も無ければ頭も無いな・・・
シュッ!!
ドガッ!!
あっけなくアキトに投げ飛ばされる男。
・・・そのまま気絶したようだ。
「大丈夫かい?」
救出した少女に優しく話し掛けるアキト・・・
「(ポ〜〜)・・・!!あっ、ありがとうございます。」
「ところでこんな所で何をしてたの?」
「お父さんの仕事のお手伝い、この荷物を運ぶの。」
「じゃあ、手伝ってあげるね、何処に運ぶの?」
それで、俺も手伝って手早く作業を済ませた。
「ありがとう、お兄ちゃん達。」
「いいよ、所で君のお父さんは?」
「ん〜、そろそろ家に戻ってるんじゃないかなぁ。」
「え?お父さんとこの基地に来たんじゃないの?」
「うんとね、お父さんに急な仕事が入っちゃってね、
こっちの仕事に来れなくなっちゃったからメティが持って来たんだよ。」
「そうなの、じゃあもう暗いから送っていってあげるね。」
アキトからその父親に対する怒りが感じられるな・・・表には全く出ていないが。
まあ、当たり前か、こんな子供に仕事をさせるなんて。
「うん、ありがとう。」
そうして俺達はこの少女を家まで送る事になった。
「ところでお兄ちゃん達、名前は?
あっ、メティはメティス テア、メティって呼んでね。」
「俺はテンカワ アキト。」
「テンカワ カイトだ。」
「兄弟なの?」
「まあ似たようなものだ。」
「そう、あっ、家あそこだよ。」
そう言ってメティが指差した
そこには何やら玄関先でうろろしている男がいるが・・・
「お父さ〜ん、ただいま〜。」
どうやらあれが父親の様だ。
アキトは目標確認とばかりにその男を睨んでいる。
「メティ!!心配したんだぞ、何処に行っていたんだ!!」
「基地の方だよ。」
「基地の方って、まさかなくなってる今日配送するはずだった荷物
持っていったのか?」
「うん、そうだよ、お父さん大変そうだったから。」
「!!なんて危ない事を、もうするんじゃないぞ!!」
「はい、ごめんなさい。」
本気で怒る父親にシュンとするメティ・・・
「でも、ありがとな、助かったよ。」
「うん!!」
パッと明るくなるメティ、喜怒哀楽が判り易いな・・・
それにしてもどうやら誤解だったようだ、アキトの怒りの感情はもう消えている。
「ところで、そこの人達は?」
とこちらを見る。
「んとね、メティの王子様とお付きのナイトさん。」
ズテッ!!
アキトがこけている・・・俺の「お付きのナイト」は確かに合っているが
もうアキトを王子様か・・・こんな子供まで堕とすとは・・・
ラピスがいるから不思議ではないが・・・
「なんで王子様になるんだい?」
復活したアキトがメティに聞いている。
かなり複雑な心境の様だ。
「どうして王子様なんだい?」
父親も聞いている。
「んとね、・・・」
メティはさっきの基地での事を説明した。
「そんな事があったのか。
いやあ、娘が世話になったねえ。」
「いえ、大した事はしていませんよ。
じゃあ、俺達はそろそろ・・・」
「まあまあ、待ちたまえ、娘を助けてもらったお礼もしたいし
どうだね、夕飯を食べていかないか?
自慢だが、家のもう一人の娘の料理はそこいらのコックが作った物より美味いぜ。」
アキトもコックなのだが・・・
「いえいえ、そんな大層な事していませんから。」
「まあそう言わずに。」
「いえ悪いですよ。」
「お兄ちゃん、寄っていってよ。」
「そう?じゃあお言葉に甘えさせていただきます。」
・・・なぜ父親のは断ってメティのは断らなかったんだ?
そういう訳で、俺達はテア家にお邪魔することになった。
「あっ!!そう言えばお姉ちゃん今日帰りが遅くなるって言ってなかった?」
「お、そうだすっかり忘れてた。
ん〜〜どうするかな・・・」
家に上げてから気付くなよ・・・
「あ、それなら俺が作りましょうか?」
「いや、客人にそんな事をさせる訳にはいかねえ。」
「いえいえ、お気になさらず。」
「お兄ちゃん料理できるの?」
「ああ、料理は趣味でね、厨房で働いていた事もあるんだ。」
と言いながら台所を漁り始めるアキト。
「俺も手伝う。」
そして俺とアキトは料理を始める・・・
そして数分後。
「うわぁ、すごいねお兄ちゃん。」
「お、これは・・・ミリアかそれ以上だな。」
アキトの作った料理にそれぞれ感想を述べる二人。
アキトが作ったのだから美味しいのは当たり前だ。
不味いなんて言ったら問答無用で狩る!!
「いやいや、まだ修行中だよ。」
そう言いながらも嬉しそうなアキト。
やはり料理人として自分の料理を誉めてもらうのは嬉しいのだろう。
元の世界では絶対に見る事は無かっただろうアキトの嬉しそうな表情・・・
「強くて、優しくて、顔も良い。
その上料理まで出来る。
メティ、良い男を見つけたな。」
「うん、そうだね。」
「よし、アキト君、今日から「お義父さん」と呼んで良いぞ。」
ズテッ!!
あ、またこけた。
「冗談きついですよ〜。」
「はっはっはっは、別に冗談じゃないぞ。
なあ、メティ、お前もアキト君の嫁さんになりたいよな。」
「うん!!メティ、お兄ちゃんのお嫁さんになる。」
「ちょっ、ちょっとおじさん、メティちゃんまで・・・」
むむ、子供だと思って好きにさせすぎたか?
そうして微笑ましい(?)会話をしながら食事は進んでいった。
「いや〜本当に悪いねぇ。
ろくなお礼もせずに食事を作ってもらった上に片づけまでさせちゃって。」
カシャカシャ・・・
「いえいえ、お構いなく。
こういう仕事をしていると心が和みますから。」
「お父さんは食器に触っちゃダメだよ、また割っちゃうから。」
今はアキトが食器を洗い俺とテア親子はテレビを見ている。
そんな時
「ただいま〜。」
玄関の方から女性の声が聞こえる。
「あ、お姉ちゃんお帰り〜。」
ポフッ
と入ってきた女性に抱きつくメティ。
「ただいま、メティ、ごめんね遅くなって。
晩御飯はどうしたの?
・・・あら?そちらの方は?」
こちらを見るその女性。
「あ、メティちゃんのお姉さんですか、はじめまして。」
キラァァン!!
!!しまった、アキトスマイルの発動を許してしまった!!
あれはあのお堅いエリナも一撃で堕とした技だ!!
しかも今はエプロン着けて洗いかけの皿を持っている、威力は倍増だ!!
早く止めさせねば、ルリ達から与えられた任務が・・・
「あらあら、はじめまして。」
ズテェェェ!!
う、受け流したと言うのか?
バカな!!あのアキトスマイルを・・・
「何やってるんだ、カイト?」
「いや、何でも無い・・・」
「それで、どなたなんですか?」
そしてメティと父親が説明して俺達は自己紹介をした。
「それはそれは、妹と父がお世話になりました。」
「なんで俺もなんだ?」
「お父さん!!
なんでメティを助けてもらった人に料理をさせて
その上皿洗いまでさせてるんですか!!」
「い、いやだってだな、台所に立つなって言ったのはお前だろ。」
「当たり前です、お父さんが台所に立ったら食器が幾つあっても足りません!!」
「そ、それは無いんじゃないかいくら俺でも・・・」
「コップに水を注ぐだけでお皿を20枚も割った人にそんな事言う権利はありません!!」
「いいもん、いいもん・・・」
部屋の隅でいじけ始める父親・・・
愉快な家だな・・・
「まったく・・・本当に家の家族がご迷惑をお掛けしました。」
「いえいえ、構いませんよ、大した事はしていませんから。」
「でも、何かお礼を・・・」
「お!!そうだ良いもんがあるぞ!!」
いきなり復活する父親・・・
「アキト君、酒はいける口かい?」
「ええ、まあ多少は。」
「よし、メティお父さん秘蔵の酒を何本か持ってきてくれ。」
「は〜い。」
「と、言うわけだ、飲んでけ。」
随分と強引だな・・・
「では、おつまみを作りますね。」
どうも飲んでいく事は確定らしい。
数十分後
「いや〜それにしてもメティがこんなに早く男を連れこむたぁ思わなかったぜ。」
すっかり出来あがっている父親。
「これであいつとの約束も守れそうだな。
ははははははは、ぐびぐびぐび・・・」
笑いながら酒を飲みつづけている。
既にその後ろには一升瓶が数本転がっているのだが・・・
「もう、お父さん飲み過ぎよ!!」
「バカヤロ〜!!こんな嬉しい日に飲まずにいられるか。」
「ごめんなさいね、父がこんなので。」
「いえいえ、十分楽しんでますよ。」
それはメティを膝の上に乗せてお酌させ、
空いている手でメティの頭を撫でる事か?
因みに俺は少し離れた所で飲んでいる。
あの中には馴染めない・・・
それにしてもあの女、さっきからアキトスマイルを見続けていると言うのに
動揺すらしないとは・・・
一体どう言う精神鍛錬をしているのだ?
「ねえ、カイトさん、だっけ?」
「ああ、何だ?」
「これ、作ったおつまみだけどタ食べる?」
そう言って俺の前に皿を置く。
「では頂こう。」
出された料理に箸をつける。
なるほど、自慢するだけあって美味いな、アキトには敵わないが・・・
「ねえカイトさん、貴方はアキトさんとはご兄弟なの?」
「・・・似たようなものだ。」
「似たようなとは?」
「血は繋がってない。」
「そう、・・・貴方はアキトさんの事が好きなんですね。」
「・・・何故そう思う?」
「貴方がアキトさんを見る眼と
さっきからメティを見ている眼ですよ。」
因みに俺はミリアと話しながらも
アキトによって更に堕落させられていくメティを睨んでいる。
最早メティは酔ったかのように顔を赤くし、ポ〜としている。
「お前はアキトを見ても何とも思わないのか?」
「そうですねぇ、素敵な方だとは思うのですが・・・」
「・・・普通はアキトを見ただけで堕ちるぞ。」
「ふふふふ、貴方もその一人なんですね?」
「・・・そうだな、俺はもうアキトなしでは生きていけんだろう。」
「あらあら、アキトさんも罪な人ですね。」
「・・・」
その後俺達、というかアキトを、泊まっていくように勧められたが
メティの目に危険を感じた俺はアキトを連れて逃げる様にテア家を後にした・・・
・・・これからは子供にも気を配らなければいけない事が判明した。
カイト報告書
1日目 撃墜数 1
メティス=テア 11歳
備考 父親公認
(と言う結果になった。)
(・・・まあ良いでしょう、11歳の子供なら追いかけてくる事は出来ないでしょうし・・・
でもこれからは更に警戒しておいてくださいね。)
(了解した。)
(それとカイト、あなた今どんな格好をしているんですか?)
(ん?何時も通りだが。)
(いつも通りって事は男物の制服を着て、さらしをきつく巻いてるんですか?)
(そうだが?)
(それではダメです。
服はともかくさらしはいつもより緩くして、
化粧をしろとは言いませんからもっと女らしくしてください。)
(何故だ?)
(アキトさんには既にあなたと言う女がいる事をアピールするんです。)
(解った、でも女らしくと言っても、どうすれば良いんだ?)
(そうですねぇ・・・髪型を変えると結構変わると思いますよ。)
(解った、やってみよう。)
(では、頼みましたよ。)
二日目の朝
「なあアキト、俺の髪も長くなったし、髪形を変えようと思うのだが。」
朝の身支度をしている時にそう切り出してみる。
「ん〜確かに長くなったな、もう膝まできそうだし。
切りたくは無いんだったな?」
「ああ。」
「じゃあどんな髪型が良いんだ?」
「アキトの好みに合わせてくれ。」
「ん〜、お前はこのままでも十分かわいいんだが・・・
さて、どうするかな〜」
と言いながら妙に慣れた手つきで俺の髪をいじるアキト・・・
(あっ、それは元の世界では私の髪は毎朝アキトさんに結ってもらってたからですよ。)
と突然ルリから通信が入る。
数分後
「ん〜まあこんなもんだろ。」
試行錯誤のすえ俺の髪型はちょっと右方向寄りのポニーテイルに決まった。
俺とアキトが朝の鍛錬を終え、廊下を歩いていると。
「失礼ですが、テンカワ アキトさんとテンカワ カイトさんですよね。」
一人の女と出くわした。
「そうだが、何か?」
「はじめまして、私オオサキ シュンの娘でアヤと言います。」
オオサキ シュン?ああ、ここの隊長か。
「そのあなたが何の用だ?」
「いえ、昨日の父の非礼をお詫びしに参りました。」
「それは命令でか?」
「いえ、私の独断です。
昨日は父が失礼をしたようで、申し訳ありません。
でもカズシおじ様を投げ飛ばすのは酷いですよ。」
「あいつが手を出したのが悪い。」
「でも・・・」
アキトを目を見るアヤ。
「貴方は軍人に何か物凄い恨みがあるんですね。」
「・・・何故そう思う?」
「何となくですが解りますよ。」
なかなか良い洞察力をしているな。
「貴方は何を憎んでいるのですか?」
・・・最愛の人を奪われているからな。
「・・・ではその前に問おう、お前は何を泣いている?」
「え?私は泣いてなんかいませんよ?」
俺にもヘラヘラしているようにしか見えない。
アキトには何かわかるんだろうか・・・
「人のは解っても自分のは解ってない様だな・・・」
ビィー!!ビィー!!
「呼び出しか・・・この話はまた後で。」
俺達は格納庫へ向かった。
「で、何でお前も来るんだ?」
「あ、私もパイロットですから。」
ここで女のパイロットと言ったら・・・
「まさか、お前が純白の天使か?」
地獄の西欧方面の戦線を維持していると言うあの女パイロットがこんな奴とは・・・
「全員整列!!」
シュンが出てきた。
「今回の作戦を伝える!!
まずは今進撃中のチューリップの偵察。
それと並行して、チューリップの進路上にある街の住民の避難及び救助。
なお、この作戦は志願制とする!!
志願しなかった者は直接上官の指示に従え!!
では、時間は一刻を争うので出発は30分後とする!!
以上、解散!!」
本来なら死亡率のきわめて高い作戦なんだろう。
それを知って民間人の救助に行くとは・・・
「お前の父親はバカなんだな。」
「はい、私の自慢のお父様ですから。」
アヤはしっかりアキトのこの場合のバカの意味を理解しているようだ。
アキトが少し微笑んだ・・・
「貴方達はどうなさるんですか?」
「決まっている。
おい!!」
アキトがシュンに声をかける。
「何だ。」
「民間人の救助なら俺も手伝おう。」
そして俺達は現場へと急いだ。
付いて来たのは60人程、この部隊はバカが多い様だ。
しかし、俺達が現場に着いた時には・・・
「今頃来やがって!!遅いんだよ!!」
「うえーん、お父さーん、お母さーん。」
「何が軍だ!!役たたずめ!!」
道々で聞える怨嗟の声・・・
皆やり切れないと言った表情をしている。
俺とアキトは別々に救助活動を始めた。
そして救助活動が半分ほど終わって・・・
「隊長!! 前方にチューリップ4つ確認!!
無人兵器はその数800を数えます!!
指示をお願いします!!」
シ〜〜〜ン・・・
場が一気に静まり返る。
俺の隣で救助活動をしていたアヤも表情が暗い。
「救助した民間人を乗せたトラックをまずは退避させろ!!
それと歩ける人達を誘導して、この街から少しでも逃げるんだ!!」
「隊長はどうされるんですか?」
カズシがシュンに聞いている。
「ギリギリまで救助活動の指揮を取る!!
逃げたい奴は民間人を先導しながらなら許可するぞ!!」
「そんな言い方したら皆逃げられませんよお父様。」
「それもそうか。
・・・だが、お前には逃げて欲しいぞ、アヤ。」
「何を言うんですか、何処までもお供しますよお父様。」
感動のシーンか?
この先誰も死ぬ事は無いと思うが・・・
「敵か?」
そんな時離れて救助活動をしていたアキトが戻ってきた
女を連れて・・・
・・・しまった、油断した。
「アキト!!お前もその女とカイトを連れてエステで逃げろ!!」
「お前はどうするんだ?」
「俺か?俺は部下が撤退するまで指揮を取るさ。
なんせ俺はこの隊の指揮官だからな。」
胸を張って言うシュン。
「やっぱりお前は軍人にしてはバカだな。」
「軍人の割にはバカなんですね。」
「本来なら上官侮辱罪を適用するぞアキト、お嬢さん。」
「俺(私)は軍人じゃないですから。」
・・・随分と息がピッタリだなアキト、何をしてきたんだ?
「とにかく逃げろ、お前も民間人なのだろ。」
「しょうがない。
サラちゃん悪いけどここからは別の人に送ってもらってね。」
「おい、アキト!!」
「アキトはどうするの?」
「ああ、心配無いよ。
シュン隊長、貴方は俺の知る軍人の中でも、上位に位置するまともな人物だ。
ここで死ぬのは惜しい人材だと判断した。
俺は救助に邪魔なモノを排除するまでだ。
カイト、データ取り頼むぞ。」
「ああ、でもこの程度の敵ではなあ。」
「ま、出来るだけ時間をかけるさ。」
そう言って自分のエステに向かうアキト。
後ろでは二人が呆然としている。
俺は専用に用意されたトラックに乗りデータの採取を行う。
ピッ!!
『何なの、今何か黒い物が通り過ぎましたよ!!』
先行していたアヤから通信が入る。
『それはアキトだ。』
シュンからも通信が開く。
『え?アキトさんなの、
!!何あの武器は!!』
ズドォォォォォン!!
一つ目のチューリップが沈んだ。
『!!』
『!!』
二人はおろかその場にいる者全員が驚愕の表情をする。
ズドォォォォォン!!
二つ目が落ちた様だ。
「おい、アキト早過ぎるぞ、
これではデータが取れない、もっと遊んでくれ。」
『ん〜、これでも十分遊んでるんだけどな〜』
そんな中に俺達は場違いの様な会話をする。
ズドドドォォォォォォン!!
今度は2つ同時に落ちるチューリップ。
「おいアキト、これじゃあ機動テストにしかならないじゃないか。」
『悪い、あんまり良い角度でいたもんだから、ついな。』
他の連中は驚きのあまり身動きもできない様だ。
こうして、俺達の西欧方面基地での初戦は終わった。
その後、フリーズした連中を正常に戻す方が時間がかかった・・・
カイト報告書
二日目 撃墜数1
サラ=ファー=ハーテッド 18歳
備考 アキトを追って軍に就職
あとがき
作:どうも、ちょっとテア家を濃い目に書いてみました。
ルリ:・・・まあ良いでしょう、子供ですし・・・
アキト:君と同じ年齢だろ、それより俺は「プリンス オブ ダークネス」かよ。
作:おう、Gガンをこの調子に変えるならルリが「プリンセス イン シャイン」
とかカイトが「ジェネラル カオス」とか北斗が「ダークジョーカー」かな。
ルリ:ネーミングセンス無いですね、で、あと一人は?
作:そう、このあと更に「プリースト オン アース」の称号を持つ者が出てくる。
「時の流れに」に出てくるキャラです、さて誰でしょう?
正解者には・・・何もありませんけど。
アキト:なんか賞品とかないのかよ・・・。
作:何を賞品にしろと?俺の書いたカイトの落書きで良ければ、あげても良いけど?
それとも前回のカイトの陵辱シーンとか?
ルリ:そんなの誰も欲しがりませんよ!!
作:まあ欲しい人で正解者には漏れなく送ります、どっちか、締め切りは12話がアップされるまでです。
アキト:まあそんな事は置いといて、オリキャラ、アヤちゃんの事は?
作:設定はシュンの20歳の時の子です。シュンの妻が殺された時は奇跡的に助かります。
因みにその時の年齢は7歳です。
ま、今はこんな所で。
ルリ:ちゃんと考えてあるんですか?
作:勿論だ、今は言えないが。
では今日はこの辺で。
アキト:なんか唐突に終わるな、まあ良いか・・・
ではまた次回お会いしましょう。
管理人の感想
T-SAKAさんからの投稿です!!
とうとう外伝にきましたか・・・
色々と想い出があるんですよね、この話。
今の私の二つ名を決めた話でもありますからね〜(苦笑)
しかし、テア家の親父・・・こんな性格やったんかい(笑)
出てきて直ぐに御昇天されたから、あまり描写がなかったんですよね。
・・・それはメティにも言えることですが(汗)
それでは、T-SAKAさん投稿有難うございました!!
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