第10話 「憎しみ?

×苦しみ?

                   ×戦乙女」

 

 

 

 

 三日目


「これはどの様に使うのですか?」


「これは・・・こうやって使うんだよ。」

 

「え〜!!よくそんな事出来ますね〜!!」

 

「ああ、こんなの慣れだよ。」

 


 今俺は格納庫でブラックサレナの整備をしている。

 レイナ キンジョウ ウォンと一緒にだ。

 と言ってもチェックだけだが。

 レイナはコクピットの、俺は外のチェックをしている。

 アキトは・・・聞いての通りアヤにDFSの使い方を教えている。

 
 勿論、怪しい行動に出たら直ぐに邪魔できる様に鎖はすぐに出せる状態にしている。

 そう言えばレイナもあのエリナの妹なんだよな。

 義兄になるかもしれない人を見に来たと言っていたが・・・要注意だな。

 
「カイト・・・君で良いかな?」


「ああ、好きに呼べ。」


 後ろからシュンが話しかけてきた。


「昨日はいろいろあって言えなかったが、髪形変えたのか?というか女だったんだな。」


「そうだ。」


「いや〜美人だったんだな、見違えたよ。」


「そうか。」


 俺はアキト以外に誉められったって嬉しくない。


「ところで君はアキトとは長いのか?」


「それなりに。

 と言っても、今のアキト、になってからだが・・・」


「ではアキトは何故軍人を毛嫌いしている?」

 それに、あいつの目に映る影は何なのだ?」


 ほぅ、気付いていたか、流石アヤの父親だけある、逆か?


「知りたいか?」


「・・・すまん忘れてくれ、こんな事聞くべき事ではないな・・・」


「賢明な判断だ。」


「・・・それにしてもアヤは彼を気に入ったみたいだな。」


「父親なら止めろよ。」


 まったく、メティの父親といいこいつといい、娘を持った父親の行動をしてくれよ。

 それとも俺のデータ間違っているのか?

 

 ・・・何をニヤついているんだシュン。

 

「・・・もしかしてやきもちか?

 そうそう、昨日あのサラという子がうちにオペレーターとして入ったぞ。」

 

「知っている。」

 

 昨日は迂闊だった、アキトの手の早さをみくびっていた・・・

 ていうか戦場でまで女を落すなよな・・・

 

「ならその双子の妹がこちらに向かっている事は知っているか?」

 

 ピクッ!!

 

「・・・何?どう言う事だ?」

 

「両親が死んだ事とサラ君の事が心配なのだろう、明日到着する予定だ。

 双子だけあって妹さんも美人だそうだぞ。」

 

「・・・まさかここに居座るなんて言わないだろうな?」

 

「そのまさかなんだよ。

 明日付けでここに配属になる。」

 

 楽しげに言うシュン・・・何が楽しいんだか・・・

 

 それより問題なのがその妹だな、また警戒すべき奴が・・・

 

「ここは、こうするといいんだよ。」

 

「こうですか?」

 

 って!!何時の間にか密着して指導してるし!!

 

「アキト!!」

 

「な、なんだカイト?」

 

「鍛錬に行くぞ!!」

 

「あ、ああそうだな。何怒ってるんだろう?」

 

 何で他の事には鋭いのにこの事には気付かないんだ!!

 アヤは後ろで笑ってるし!!

 

 

 

 一通りの鍛錬を終えて廊下を歩いていると・・・

 

「お兄ちゃ〜〜ん!!」

 

 ポフッ!

 

 後方からメティがアキトに走り寄って来る。

 

「やあ、メティちゃん、今日はどうしたの?」

 

 さらにそのメティを抱きかかえるアキト。

 

「今日はお父さんと来たんだよ。」

 

「よう、息子よ、元気かね?」

 

「あの、おじさんここでそんな冗談は・・・」

 

「俺はいたって真面目だぞ。

 それとも家の娘では不満かね?」

 

「いえ、不満と言うか、年齢の問題が・・・」

 

「そんな物あと6年待てば良いだけだぞ。

 なあ、メティ。」

 

「ねぇ。

 あ、カイトさん髪形変えたの?」

 

「お、前のでも美人だったが、また一段と綺麗になったな。」

 

「どうして変えちゃったの?」

 

 お前みたいな奴がいるからだよ!!

 

「心境の変化だ。

 アキト、そろそろ行くぞ。」

 

 とりあえずアキトをこの場から離す。

 

「ああ、引っ張るなよ。」

 

「お兄ちゃん、またね。」

 

「ああ、またね。」

 

 ズルズルズル・・・

 

 

「・・・敵は強いぞ、負けるなよ。」

 

「うん、勿論だよ。」

 

 何か後ろから聞こえたような気がするが、とりあえず無視。

 

 

 

 

 そして食堂では

 

 俺はラーメン、アキトはチャーハンを注文した。

 そう言えばここで食事をするのはこれが初めてだな。

 

 ズルズル・・・

 

 カチャ

 

「不味い。」

 

「おいカイト。」

 

「おい誰だこの不味いラーメンを作ったのは?」

 

「何だ?何か文句あるのか?」

 

 厨房から男が一人出てきた。

 

「ある!!

 何だこの麺は外側はグチャグチャでなのに芯が残ってる、

 一体どんな湯がき方をしているんだ!!

 それにこのスープ、なにをだしに使っている、それから・・・」

 

「カイトもうそのくらいに・・・」

 

 アキトが俺を静止しようとした時。

 

「はん、ラーメンなんぞ、誰が作っても同じだよ。」

 

 ピクッ!!

 

 ・・・この男、言ってはいけない事を・・・

 

「ほう、今のは聞き捨てなら無いな。」

 

「だったらどうした。」

 

「厨房を借りるぞ。」

 

 そう言って厨房に入り調理を始めるアキト。

 

 トン!

 

 男の前にラーメンが置かれる。

 僅か十数分でラーメンを仕上げるとは、元があったとはいえ流石アキトだ。

 

「たかがラーメンで・・・」

 

 ズズズズ・・・

 

 ブツブツ文句を言いながらも食い始める男。

 とそこへ

 

「わぁ良い匂い。」

 

「何か作ってるんですか?」

 

 オペレーターか何かか女が何人か入ってくる。

 

「ああ、ラーメンを作ってみたんだけど。」

 

「良い匂いですね、私にももらえますか?」

 

「私にもお願いします。」

 

「どうぞどうぞ。」

 

 嬉しそうにラーメンを作るアキト。

 まあ料理人だからな・・・

 

 トン!

 

「はい、どうぞ。」

 

「おいしそ〜」

 

「いただきます。」

 

 ズズズズ・・・

 

「!!すごい、これ本当にここで作ったんですか?」

 

「ほんと、美味しいです。」

 

「ありがとう、でもある物で作っただけだよ。」

 

「あ、俺にも下さい。」

 

「私にも。」

 

 人が寄ってきたな、匂いにつられたか。

 

 俺も手伝ってラーメンを作る。

 かなり好評だ。

 

 入り口が騒がしいな・・・

 

「お、珍しく良い匂いがするな。」

 

「ああ、誰かが美味いラーメンを作ったらしいぞ。」

 

「おい!!あれ漆黒の戦鬼じゃないか!!」

 

「何!!じゃああのラーメン、テンカワ アキトが作ってるのか?」

 

 

「え?あの貴方がテンカワ アキトさんですか?」

 

「そうだけど・・・」

 

 どうやら知らなかったらしい。

 まあ、来て二日目だからな。

 

 そう言えば最初の男がいないな・・・逃げたか。

 

「じゃあ、アキトさんは強い上に料理も出来るんだ!!」

 

 アキトの周りに人が集まり始めた、大半が女だ・・・

 

 もしかして俺、とてつもなく余計な事をしたのか?

 とりあえず蹴散らしておく。

 

 この後、何時の間にかアキトがここの厨房を仕切る事になった。

 まあ、本人は喜んでいたが。

 

 

 

 

カイト報告書

二日目 撃墜数 不特定多数

 

 

 

(すまない、こんな結果になってしまった。)

 

(・・・とにかく、今回の人達はまだ好意を持っている、程度です。

 これ以上深くならない様に注意してください。)

 

(全力を尽くす。)

 

(では頑張ってくださいね。)

 

 

 

 

 三日目、昼前

 

「ようこそ我が隊へ、アリサ中尉。」

 

「はっ!!これからよろしくお願いします!!」

 

 そう私の父、シュン隊長に敬礼する白銀の戦乙女こと

 アリサ=ファー=ハーテッド中尉。

 

「ようこそ、私はオオサキ アヤと申します。

 同じパイロットとして、これからよろしくお願いします。」

 

「貴方が西欧方面基地の守護天使と呼ばれる

 

 オオサキ アヤさんですか!!

 こちらこそよろしくお願いします。」

 

「それではアリサ中尉・・・」

 

 アリサ中尉とお父様は簡単な手続きを済ませます。

 

「はい、了解しました。

 早速で申し訳無いのですが、姉さんに会いたいのですが。」

 

「ああ、許可する。

 今はオペレーター室にいると思うぞ。」

 

「了解しました。」

 

 そう言ってアリサさんはオペレーター室に向かいました。

 

 アリサさんが見えなくなって。

 

「どう思う、アヤ?」

 

「はい、今日中に落ちるものと思われます。」

 

「今日中か?それは早過ぎないか?」

 

「いえ、あの方もサラさんとは正反対の性格の様に見えますが、

 根本的には変わりありませんから、アキトさんに接したらすぐに落ちますよ。

 戦闘でもあれば確実ですね〜。」

 

「・・・今あったばかりでよくそんな事わかるな?」

 

「はい、お父様、人は解り合えるものですよ。」

 

「・・・俺よりNT能力は上かな?」

 

 なにか呟いていますね、NTってなんでしょう?

 

「まあ冗談は置いといて、

 お前はどうなんだ?」

 

「アキトさんですか?

 ええ、好きですよ、吸い込まれそうなほど惹きつけられてますよ〜

 あれは人間磁石と言うよりブラックホールですね、女性限定の。」

 

「・・・そうか。

 ところであいつのファンクラブが出来たという噂があるが?」

 

「ああ、それも確かです、昨日私にも勧誘がきましたから。」

 

「そうだったのか・・・

 それで、お前も入ったのか?」

 

「いえ、入りませんでしたよ。」

 

「何でだ?」

 

「だってそしたらこれ以上進展し無くなるじゃないですか。

 もっとアキトさんの事を知りたいですし。」

 

「・・・もしかして本気か?」

 

「はい。

 でもアキトさんは・・・」

 

 今までとは打って変って真剣な顔になる。

 

「・・・あの影か。」

 

「はい、私はあの闇を超えられるでしょうか・・・」

 

「お前なら大丈夫だよ、きっと。」

 

「ありがとうございます、お父様。」

 

 暫くの静寂の後、私達は格納庫を後にした。

 

 時刻は昼を少し回ったころ。

 

 ビィー!!ビィー!!

 

 警報が鳴り響きました。

 

「第一級戦闘配備!!」

 

「敵の数は?」

 

「現在300、なおも増加中!!」

 

「隊長このままでは街が!!」

 

「アキト君はどうした?」

 

「それが、買出しに出てしまっていて、まだ戻ってきていません!!」

 

「仕方ない、アヤ、アリサ君、敵の足止めをしてくれ。」

 

「・・・アキトさんはどれくらいで戻ってこられるのですか?」

 

「あと数十分は無理です。」

 

「まったく何を考えているのテンカワ アキトは?」

 

「・・・チューリップの数は?」

 

「今のところ3つ確認しています。」

 

「そうですか、隊長作戦があるのですか。」

 

「なんだ?言ってみろ。」

 

 私の作戦はDFSを使いチュ−リップを殲滅する事。

 昨日の特訓で何とか刃を形成できるようになった。

 しかし戦闘しながらでは無理なので皆さんにサポートしてもらいながら

 チュ―リップに近づいて接近できた所で刃を形成しチュ―リップを切ると言うもの。

 チューリップが3つなら何とかなると思う。

 それに何時帰ってくるか解らないアキトさんを待つより確実な作戦だと思う。

 

「・・・解った、許可する。

 だが無茶はするなよ。」

 

「はい解りました。」

 

「では作戦決行!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

 

 ピッ!!

 

『アヤさん、本当にそんな物でチューリップが切れるんですか?』

 

 戦闘にはいる手前でアリサさんから通信が入ります。

 

「はい、私もこの目で見るまでは信じられませんでしたけど。」

 

『そうですか、でもテンカワ アキトはいったいどんな奴なんですか?』

 

「あら、食堂に行ったなら貴方も『敵機接近』

 あら、ではサポートを頼みます。」

 

『了解!!』

 

 ガガガガ!!

 

   ドゴンンン!!

 

      ズガガガ!!

 

 私は味方の援護の下敵の攻撃を回避しチューリップに接近する。

 

 そしてチューリップの目の前に来て。

 

「切り裂けぇぇぇぇ!!」

 

 私はアキトさんに教えてもらった通り声を出してイメージングする。

 そして真紅の刃が形成され

 

 ザキィィィィィ!!

 

 チューリップを切り裂いていく。

 しかし

 

 キィィ!ッガガガ!!

 

 チューリップを切っていたDFSが突然止まる!!

 

「え?」

 

 私はイメージングを切ってよく状況を見てみると。

 DFSの刀身はおろか私のエステの手までチューリップにめり込んでいた。

 

「刃を形成するイメージに集中しすぎて

 振り下ろす角度がおろそかになってしまいましたか。

 でももう一度!!」

 

 私は再度刃をイメージし振り下ろす。

 しかしDFSは反応しない!!

 

「何で!!」

 

 今度は刃を形成する事だけに集中する。

 それでもDFSは反応しない!!

 

「!!まさか今の衝撃で!!」

 

『アヤさん!!一旦後退してください、囲まれてしまいます!!』

 

 その声に周りを見ると既に敵が近くまで来ていた。

 ここは後退するしかない!!

 

 ガキンッ!!ガキンッ!!

 

「え?ぬ、抜けない!!」

 

 私のエステの手はチューリップに深く突き刺さり抜く事が出来なかった。

 

『アヤさん、早く!!』

 

 もう敵が目の前に来ている!!

 

『アヤァァァァァ!!』

  

 
 お父様の叫び声が聞こえる・・・私、ここで死ぬの?お母様・・・

 

『切り裂け!!飛竜翼斬!!』

 

 絶望した私の目の前を黒い光が横切る。

 

 シュッ!!

 

    ズガガガガガンンンンンン!!

 

 その黒い光は私に向かって来ていた敵を全て切り裂いて行った。

 私が刺さっているチューリップも・・・

 

『アヤちゃん、無理し過ぎだよ。』

 

 ウィンドウに少し怒った顔のアキトさんが映ります。

 

「あ、ご、ごめんなさい。

 あ、ありがとうございます。」

 

『アリサちゃん、悪いけどアヤちゃんの事お願いね。』

 

『え?あなた、食堂の厨房にいた・・・』

 

『アキト、バーストモード残り時間二分。』

 

 カイトさんからアキトさんに通信が入りました。

 

『と、言うわけなんだ、アヤちゃんを連れて後退して。』

 

『は、はい解りました。』

 

 私はアリサさんに連れられアキトさんの後ろに後退しました。

 

『アキト、もうすぐ残り一分を切るぞ。

 どうするんだ?』

 

『そうだな、せっかくバーストモードを使ったんだし。

 この機体の限界を試してみるか。』

 

 そう言って構えを取るアキト機。

 

『行くぞ!!

 愛と!!怒りと!!憎しみのぉぉぉぉぉ!!

 ダァァクネス フィンガァァァソォォォォド!!』

 

 そしてDFSも無しにアキト機の手に漆黒の剣が現れる!!

 

『全ての敵を飲みこめ!!

 終之秘剣 双龍弾!!』 

 

 そして二匹の漆黒の龍が放たれ

 

 

 グオォォォォォォォォン!!

 

 

      ズガァァァァァン!!

 

 それはまるで龍が吼える様の音とともに駆け抜け、

 全ての敵を食らい尽くし、チューリップに大穴を開けて消えていった・・・

 

 

 私達はただ、唖然とするばかりだった。

 

『さすがに秘術と終之秘剣の複合技には無理があったようだな。』

 

 アキト機は煙を上げていた。

 

『ああ、そうみたいだな、エリナちゃんごめん今夜は徹夜で修理になりそうだ。』

 

『え、ええ、構わないけど、でもそう言う次元の問題なの?』

 

 これだけの事をしてまだ余裕があるアキトさん・・・

 

 

 ブラックサレナがあなたのエステの名前でしたね。

 ブラックサレナ、黒百合の花言葉は「恋」、「呪い」。

 

 貴方は何に怒り、何を憎み、何を呪い、

 そして何に恋し、愛しているのですか?アキトさん・・・

 

 

  

 

 

 

 あとがき

 

ルリ:この外伝は飛ばさないのですか?今のところ原作通りの流れですが。

作:ん〜細かいのは飛ばすけど、オリキャラの登場とかあるからね〜。

アキト:何話くらいを予定しているんだ?

作:今のところ外伝はあと三話、戻った後は後三話やって俺式にに入る予定。

ルリ:先は長いですね。

作:はい、そうです、それまでに見捨てられなきゃいいけど・・・

アキト:そう言う事らしいので、飽きる、と思った人は17話から読んでやってください。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

T-SAKAさんからの投稿です!!

またまた出ましたダークネスフィンガー(笑)

しかも今回はソード版(笑)

う〜ん、この技も大好きなんですけどね〜

さすがに、近距離でチューリップを握り潰すのはどうかと思ったので(苦笑)

あ、俺もナナフシで一度だけ使ったな、そう言えば。

あれ以来、北斗との戦い以外には近距離戦ってなかったもんな〜

・・・しかし、カイトの苦労は尽きませんね〜(爆笑)

 

それでは、T-SAKAさん投稿有難うございました!!

 

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出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!

 

 

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