第12話 「デート

×誘拐

                   ×戦鬼の怒り」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザッ!!


 俺達は戦闘態勢に入る。

 相手は漆黒の戦鬼ことテンカワ アキト

 因みに今は移動キャンプでかなり開けた場所にいる。


 ザッザッ!!
 
 
 俺達は同時に動く。

 まず俺がアキトに牽制の一撃を入れ、

 その間にシキがアキトの背後に回り込む。


 シュッ!バッバッ!!バンッ!!


 シキが背後から放ったハイキックを避けるアキト。

 アキトが避けた方から俺が必殺になる拳打を連続で放つ。

 更に体勢を立て直したシキがアキトの背に渾身の一撃を打つ。


 それらを全て紙一重で避けるアキト。

 しかも目を瞑ったままで。


「なるほど、良いコンビネーションだ。

 一人一人の錬度も上がってるな。」


 余裕かよ、悲しいねぇ。

 これでも俺達の連携で倒せなかった奴はいないんだけどな・・・


「それで、師匠、採点は?」


「65点。」


「さいですか・・・」


 俺達はその後十分ほどアキトと攻防を繰り返した。


 そして最後に前後からの挟み撃ちで攻撃をしかける。


 ザッ!!シュッ!!


    スッ・・・

    
         ズガァァァァン!!

       

 俺達は交互に投げ飛ばされた。


「がっ!!冗談だろ、どうやったら背後から来る

 敵の手を取って前に投げれるんだよ!!」


「グッ!!まったく、それを前から来る奴と同時にかよ!!

 これでも強い方だと思ってたんだけどなぁ。」


「十分強いですよ。

 さて、俺はそろそろ晩御飯を作らなきゃいけないから・・・

 カイト、暫く遊んでやれ。」


 今まで傍観していたカイトにそう言うとアキトはキャンプの方へ行ってしまった。


「じゃあ遊んでやるよ、来い。」


「OK、じゃあいくぜカイト。」


「アキトよりましになるかな・・・行くぞ!!」


 そして俺達は再び戦闘モードに入った。



 数十分後・・・


 俺達は結局カイトに触る事すら出来ず、カイトに完膚なきまでに

 叩きのめされ、現在、地面で寝ている・・・

 因みにカイトは汗一つ掻いてない。


「ちきしょ〜、触れもしねぇとは思わなかった。」


「これも試練か・・・」


「生きてますか?」


 そんな時、アキトが戻ってきた。


「まあ、何とか。」


「同じく・・・」


「じゃあ、起きられるようになったら

 ここに晩御飯置いときますから、食べてくださいね。」


 そう言って俺達の寝てる側に皿を置くアキト。


「カイト、ご苦労さん。

 どうだった?」


「悪くわない、でも・・・」


「不満そうだな。」


「ああ、欲求不満で死にそうだ。

 相手をしてくれるよな?」 


「じゃあ、やるか?」


「ああ。」


 構えをとり向かい合う二人。


 ザッザッ!!


 そして漆黒の戦鬼と紅き死神の戦いが始まった。



「・・・きれいだ・・・」


 俺は寝ながら二人の舞うような戦いを見て、

 そう、呟いてしまった。


 ・・・悔しい、悔しすぎる!!

 完膚なきまでに叩きのめされた上にその二人の戦いを綺麗だと思ってしまった!!

 何か復讐の手段は無いものか・・・


「・・・きれいだ・・・惚れた、いや惚れなおしたぜカイト!!

 絶対振り向かせてやる!!」


 いいな、こいつは楽しそうで・・・

 そうだ!!


「おい!!シキ、耳貸せ。」


「なんだ?」


「・・・・と言うのはどうだ?」


「でも乗ってくるのか?あの二人。」


「そこは・・・・・と言うわけだ。」


「なるほど、いや〜持つべきものは

 悪知恵の働く親友だね。」


「じゃあそっちは頼むぜ。」


「OK任せとけ。」


 俺達は取り合えづ飯を食いキャンプに戻った。

 そして俺は携帯を取り出し先日知り合ったミリアに電話をかける。


 暫く呼び出し音が鳴ったあと・・・


 ガチャ!! 


『もしもしどちら様ですか?』


 電話に出たのはメティちゃんの方だ。


「や、今晩はメティちゃん。」


『あ、ナオおじさん、またお姉ちゃん?』


「俺はまだ25だよって言ったじゃない。」


『四捨五入すれば30だよ、じゃあお姉ちゃん呼んで来るね。』


 それはないでしょメティちゃん・・・


『お姉ちゃ〜ん、ナオおじさんから電話だよ〜』


 電話の向こうから声が聞こえる。


『なに!!またあの男から電話だと!!メティ、切っちまえ!!』


 どうやら俺はまだ親父さんに信用がないらしい。

 ・・・アキトは逢ったその日に娘を嫁にやって良いって言われたとか言ってたのに。

 この差は何なんだ?


『もう、お父さん!!

 あ、メティ、切っちゃダメよ!!』

 
 どうやらメティちゃんは本当に切るつもりだった様だ・・・


『ごめんなさい、遅くなりました。』


「いや、良いんだよ、それより明日軍のキャンプが

 ミリアの街の近くに行くんだ、俺が時間が取れればだけど

 明日会えないかな?

 アキトも連れて行くつもりだから、メティちゃんも一緒に来ると良いよ。」


『お兄ちゃんが?メティ行く!!』


 ミリアからの返答より先にメティちゃんの声が聞こえた。


『息子も一緒なら行っても良いぞ。

 でもお父さんとしてはお前もアキト君とくっついて欲しいぞ。』


 親父さんからの許可も下りた・・・が何かとんでもない事を言っている。


『お父さん!!お父さんはメティの事応援してくれんじゃなかったの!!』


『お前達がインド国籍あたりを取れば問題なく重婚できるぞ。

 そうだな、お父さんの知り合いにそう言う事出来る人がいるから頼んでみよう。』


 おひおひ・・・


『ほんと?・・・お姉ちゃんとならいいよ。』

 
『お父さんもメティも何を言ってるの!!

 ごめんなさい騒がしい家族で。

 それでは、明日時間が取れましたら電話してください。』


「あ、ああ、それじゃあ、昼頃電話するから。」


『はい、では明日・・・』


 ガチャ、ツー、ツー・・・

 
 アキト、ミリアは渡さんぞ!!
 

 まあ、これでミリア達の予約は取れた。

 後はアキトに・・・




 そのころシキは・・・・


「あら、随分と楽しそうですね、

 護衛する対象を差し置いて。」


 俺が楽しげにスキップをしながら歩いたいると

 かなりご機嫌斜めのサラちゃん達に出くわした。

 勿論こちらの思惑通り。


「そりゃ、もう。

 明日は俺とナオとアキトでトリプルデートなんだ。

 楽しいに決まってるじゃん。」


 ガバッ!!

 
 俺は一瞬にしてアリサ、サラ、レイナに組み伏せられた。

 ・・・って俺も一応プロのガードなんですけど。


「「「詳しく聞きましょう!!」」」


 動こうとしたが動けない!!

 アキト、ナオ、洒落にならなくなったかもしれん・・・


 俺はその後事の次第を話、明日の計画を立てている3人から逃げ出した。

 

 

 

 次の日の昼


 デート(俺とナオはそう思っている)は別段トラブル無く進んでいた。


 俺とカイト、ナオとミリアは・・・



「あら、アキト君じゃない。

 奇遇ね、パーツを見に来たんだけど一緒にどお?」


「あら、アキトさん、珍しいですね。」


「そうです、一緒に買い物でもしません?」


「あら〜アキトさん、こんにちは。

 アキトさんも街に来られたんですか?

 私もご一緒してよろしいですか?」


 あれ?昨日あの場にアヤちゃんはいなかった筈だけど・・・

 アヤちゃんは本当に偶然かな?


 お、向こうは結局6人で行く様だ。

 モテル男は辛いね〜。

 あ、メティちゃんは子供の特権をフルに行使している様だ。

 腕に掴まったり、肩車をしてもらっている。


 さて、こっちも楽しみますか。


「ところでシキ、お前なんで伊達メガネなんてしているんだ?」


 因みにカイトは情操教育の名目の下、アキトから借用した。

 
「ああ、これね。

 これは、子供のころちょっと大きな事故に遭ってね、

 それから目を開いていると常に頭痛がするようになったんだけど、

 その時会った先生にこの魔法のメガネを貰ったんだ。」


「魔法?」


「ああ、本当か嘘か判らないけど、

 このメガネを掻けていると頭痛はしないんだ。」


「じゃあ何で昨日までしていなかったんだ?」


「それは仕事中になくしたり壊したりしたら困るし、

 まあけっこう頑丈なんだけど、

 これを外さないと接近戦がやりにくくなるんだ。」


「ふ〜ん、そう言えばお前近接戦闘のときは

 必ず急所を狙って来るな、それも必殺の所を。」


「まあね。

 ところで映画を見たことがないってホント?」


「ああ、そうだが。」


「じゃあ、まずはこれから行こう。」


「お前に任せる。」


 俺達はまずアクションものの映画を見ることにした。



 その後俺達は3本の映画を見て皆と合流した。


 合流した後は皆で食事を取る事になった。


 が、約6名がやたらと騒がしいので、

 俺とカイト、ナオとミリアは離れて食事をする事になった。


 離れてようと騒がしいのには変わらないのでムードも何もあったものではない!!


 あ、ナオも青筋が浮かんでる。

 そう言えばナオの奴、ミリアの事は本気の様だな。

 勿論俺もカイトの事は本気だが。
 

 それにしても五月蝿い。


「アリサ、たまには姉に譲りなさい!!」


「何よ姉さん、いつも抜け駆けしてるくせに!!」


「ちょっと、五月蝿いわよ二人とも!!」


「あ〜〜!!なにちゃっかりアキトの隣に座ってるのよレイナ!!」


「いいじゃない、メティちゃんよりましでしょ。」


 因みにメティちゃんはアキトの膝の上だ。


「メティちゃん、アキトさんの迷惑でしょ、どきなさい!!」


「そうなの?お兄ちゃん?」


「いや、そんなことないけど・・・」


「アキトさん!!」


「あらあら、皆さん楽しそうですね〜」


「アヤ!!貴方もアキトさんの隣に座ってのんびり食事をしてるんじゃない!!」


「あ、あのお客様、他のお客様の迷惑になりますのでもう少しお静かに願います。」


「申し訳ありません(泣)」



「なにをしているんだか・・・」


「まったくだな。

 ところで今日は楽しんでいただけましたか?」


「まあ、それなりに勉強になった。」


 今日は客が立ち上がるほど興奮するアクションと

 悲鳴が出るほどのホラー、

 最後に観客の半数が泣いて帰るほどのラブコメ。

 と見ていったのだが・・・

 その全てでカイトは常に無表情だった・・・

 かなりショックだったぞお兄さんは。


 でも、こんな子だから俺は燃えてるのかな?

 ま、そんな事はどうでもいい、

 俺はこいつが好きだ、それでいいじゃないか。 

 

  
 帰りに車内。

 騒がしい三人はカイトをアキトの手によって強制的に眠ってもらい、

 (点穴を使ったとか言ってた)今からキャンプに帰る所だ。


「ところでシキ、その首の傷はどうしたんだ?」


 運転してしているナオがこちらをむかずに聞いてきた。


「聞くな・・・」


「ああ、それは最後の映画を見終わった後、

 こいつがキスを迫ってきたから取り合えず首を落そうとしたのを

 こいつが避けたときについた物だ。」


 いや〜あの雰囲気の中ならいけると思ったんだけどな〜・・・


「ほ〜そうだったのか。」


 後ろの席で両手に二つずつ花を抱えた上に

 膝にも花を乗せている(カイト)アキトが俺の頭に指を・・・


「・・・あの何か指を頭に入ってません?」


「お前は既に死んでいるってやつか?」


 ナオが笑いながら言っている。


「そう言って欲しいか?」


「い。いえ、遠慮しておきます。」


「情操教育の為に映画を見ることを許可したんだが?

 それをなにか勘違いしたのか?お前は既に・・・」


 バコンッ!!

   
 その時、タイヤがパンクしたのか、車が大きく揺れる。

 更にそのせいで俺の頭に刺さっていた指も抜けた。


「どわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「騒ぐな!!まだ殺ってなかったよ。」


 まだって、ホントに殺るつもりだったんですか?


「出て来い、居るのは判ってるんだ。」


 そして俺はテツヤと再会する事になった。

 

 

 

 

 

 そのころ、テア家前。


「お兄ちゃんたら酷いんだよ、

 メティとのデートなのに他のお姉ちゃん達にまでプレゼントを買ったんだよ。」


「あらあら、それは酷いわね。」


「それに今日は泊まっていってもらうつもりで

 勝負パンツも履いているのに。」


 ズテッ!!


 私は豪快にこけてしまった・・・


「あれ、お姉ちゃん大丈夫?」
 

「メティ!!なんであなたがそんな物持ってるの!!」


「え、ああ、今日の為にお父さんが用意してくれたの。

 でも泊まっていく事と勝負パンツと何の関係があるの?」


「あなたはまだ知らなくていいの!!」


「そうなの?」


 まったく、あの父親は何を考えているの!!

 メティはまだ11の上にそもそも父親が娘に買い与える物なの!!


「ところでお姉ちゃんの方はどうだった?」


「え?私達?楽しかったわよ。」


「お兄ちゃんもナオおじさんのこと信用できるって言ってたから、

 お姉ちゃんも頑張ってね。」


「頑張るって、何を?」


「なにをって、お姉ちゃんはメティがいたから

 今までろくな恋愛が出来なかったでしょ、だから・・・」


 メティが何か言いかけたとき、数人の男が私達の前に現れた。


「メティス=テアさんとミリア=テアさんですね?」


「そうですけど?」


「おじさん達だれ?」


「用があるのはガキのほうだな、やれ。」


「ちょ、何をするの!!」


「お姉ちゃん!!」


 バン!!ババン!!


 キキキキキキィィィィ!!

 
「メティ!!」


 私達が抵抗もする暇も無く、メティは男達に

 車で連れ去られてしまった。


 キキキキキィィィィィィ!!


 その時私の目の前に一台のトラックが止まる。

 家のトラックだ。


「どうしたミリア!!何があった!!」


「お父さん、メティがメティが!!」


「今の車だな!!逃がすかよ!!」


 キキキキキィィ!!
 

「お父さん、待って!!お父さん!!」


 父はそのまま、さっきの車追ってしまった。


 私がどうしたらいいか判らずオロオロしていると

 ナオさんから電話が掛かってきた・・・







 次の日の昼、基地待合室。


 今はミリアさんとアヤさんアリサと私それからシュンさんカズシさん
 
 とアキトが例の男からの連絡を待っていた。


 それにしても私のガードとアリサのガードは何処に行ったの、

 こんな時に!!それにカイト君の姿も見当たらない。


 プルルルル・・・


 来た!!


 カチャ!!


 
『で、返事は?』

 
 今は代表としてシュンさんが対応している。


「・・・場所を言えアキトがそちらに向うそうだ。」


『ふん、エステバリスで襲撃されるのを待つ程俺はお人好しじゃないんでね。

 その部隊内にも俺達のスパイはいるんだぜ?

 エステバリスが待機状態なのは、こっちも確認済みだ。

 さすがに『漆黒の戦鬼』と真正面から戦う愚は犯さんよ。

 それに、それがアキトの返事と俺は受けとるからな。

 
 ・・・もうそろそろ逆探知も終る頃だろ?』


「くッ!!」


 皆の表情が曇る。

 
 ・・・あれ?アキトがいない・・・
  

『ああ、最後に英雄様に伝えておいてくれよ。

 ・・・個人が企業に勝てると思うなよ、ってな。』


『それはどうかな。』


 電話の向こうからアキトの声がした!!


『なっ!!』


 ツーツーツー・・・


「・・・どういう事なんだ?!

 アキトはさっきまでここにいたはず!!」


「場所はナオさんのいる場所から北東に5kmのところに廃ビルです。」


 皆が呆然としている中、アヤさんの声が響く。

 何処かに通信をしているいみたいだ。


「アヤ、どういう事なんだ?」

 
「敵を欺くにはまず味方を欺けって言うじゃないですか。

 大丈夫ですよ、アキトさんならきっと・・・」

 

 

 

 

 

「それはどうかな。」

 

「なっ!!」

 

 ドゴ!!

    バキ!!

 

 俺はメティの周りにいた男を殴り倒す。

 

「お兄ちゃん!!」

 

 バッ!!タンッ!!

 

 そして、メティを抱きかかえ一旦テツヤがいる所から離れる。

 

「怪我は無いかい?」

 

「うん、大丈夫だよ。

 さすが私の王子様だね。」

 

「テンカワ アキト!!

 貴様何故ここに!!」

 

 俺はメティを下ろし、敵がいない事を確認して、後ろに下がらせる。

 

「な〜に。ここ等辺の地理を把握しておけば簡単なことだろ。」

 

 そう、ここ等辺一体の地理は俺とカイトで調査済みだ。

 後は、場所さえわかればジャンプしてここまで来ればいいだけ。

 

 それにしても、一応、カイトとナオさんとシキさんも怪しい所に

 配置しておいたんだけど。

 この程度なら一人で十分だな。

 

「なあ、テツヤ、試してみるか?

 個人が企業に勝てないかを?」

 

 そう言いながら俺はテツヤに歩み寄る。

 

「良いのか?英雄がそんな事言って。」

 

 余裕そうなテツヤ、まだ何か策があるのか?

 油断はしてやらないぞ。

 

「俺は漆黒の戦鬼だぜ?英雄なんかじゃない。」

 

 そして俺はテツヤに後5メートルの所に来たとき。

 

「ふっ、やはり個人は企業には勝てないさ。」

 

 そうあざ笑ったかと思うと・・・

 

 ズカァァァァン!!

 

 テツヤの背後からバッタが現れた。

 まさかこんな物を!!

 

 カチャ!!バッバッバッバッバッバシュゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 そして撃ち出される無数のミサイル。

 

「このぉぉぉぉ!!」

 

 ジャリリリリィィィィィィィィィン!!

 

 ドゴドドドドドゴォォォォン!! 

 

 俺は鎖を使いミサイルとバッタを叩き落す。

 

 だが・・・

 

 バシュゥゥゥゥゥゥ!!

 

 一発落し損ねたミサイルがメティに向かう!!

 最初から狙いはメティか!!

 

 メティに迫るミサイル!!

 一瞬のデジャヴ

 メティにアイちゃんが重なる・・・

 

「メティィィィィィ!!」

 

 俺はまた護れないのか!!

 また目の前にいるあの子を護れないのか!!

 これだけの力を手にして、ボソンジャンプも手に入れて、

 それでもあの子を護れないと言うのか!!!!

 

 俺が絶望に落ちようとしたその時!!

 

 ガガガ!!

 ドゴォォォォォン!!

 

 メティに迫っていたミサイルが撃ち落される。

 

「いよう。

 無事みたいだな。」

 

 ブラスターを構えたナオがそう言いながら現れた。

 

「はぁぁぁ・・・まったく、随分と美味しい所を持って行きますね。」

 

 俺は肩の力が抜け、まだ敵がいるというのにそんな事を言ったしまった。

 

「おうよ!お前ばかりに良いカッコさせるかよ。

 大丈夫かい、メティちゃん。」

 

そう言ってメティに近づきメティの頭を撫でるナオ。

 

「・・・ナオおじさん、ありがとう!!」

 

 突然の出来事に呆気に取られていたメティもナオを確認するとそう言って微笑んだ。

 

『いや〜感動の再会だね。』

 

 突然聞こえた声に振り向くと、そこには既にテツヤの姿は無く。

 その代わりにマイクから声が聞こえてくる。

 

「残念だったな、テツヤ。」

 

『お前まででしゃばるとは思わなかったよナオ。』

 

「お前の負けだぜ、テツヤ。」

 

『そうでもないさ。』

 

 ゴトンッ!!

 

 突然俺の前に何か落ちてくる。

 

 それは・・・

 

「おじさん!!」

 

 メティの父親だった、仰向けに倒れているのひっくり返すと・・・

 

「くっ!!」

 

「メティ!!見るんじゃない!!」

 

 その顔は・・・

 

「ねえ、どうしたのお兄ちゃん、お父さんがどうしたの?」

 

 ナオによってこちらが見えないメティがしきりに父親のことを聞いてくる。

 

『いや〜、そのオヤジさあ、昨日ついでに捕まえたは良いけど、

 「メティを返せ!!」、「娘に手を出すな!!」とか五月蝿い五月蝿い。

 とりあえず黙らせといたけど、それでもこっちを睨んでくるわ、

 目を潰したら暴れ出すわで、もう死ぬまで鬱陶しくて堪らなかったよ。』 

 

「・・・うそ、うそだよねお兄ちゃん?」

 

 俺は・・・何も言えなかった・・・

 

『嘘じゃないさ。

 アキト君が昨日俺の誘いを断らなければ苦しむ事は無かったのにねぇ』

 

 バコンッ!!

 

 俺は声のするスピーカーを無言で破壊した。

 

『だめだよ、まだ話は終わっていないんだ。』

 

 それでも違う場所から声がする。

 

「ねえ、お兄ちゃん、嘘でしょ。

 嘘だって言ってよ!!」

 

『アキト君が大人しく俺の言う事を死ぬ事は無かったのに・・・

 君が殺したも同然なんだぜ、英雄さん。』

 

 ガガ!!

 バコンッ!!

 

「だ・ま・れ!!」

 

 今度はナオがスピーカ―を撃ち落す。

 

『君のお父さんはアキト君のせいで死んだんだよ、メティちゃん。』

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 泣き叫ぶメティ・・・

 俺は・・・

 

『そう・・・死ぬことは無かったんだよ・・・君も!!』

 

 ドン!!ガコォォン!!

 

「なっ!!」

 

 突然ナオとメティのいる周りの床から鉄柵の様な物が出て来たかと思うと

 一瞬にしてナオとメティを囲む牢獄完成した。

 

『はっはっはっはっは!!

 いや〜備えあれば憂い無しとはよく言ったものだ。

 それは対暴徒用のトラップだよ。

 まさか自分が暴徒用のトラップに引っ掛かるとは思わなかったろ、ナオ。

 そうそう、そこは後4分くらいで爆発するから、

 早く逃げたほうが良いぜ、英雄。

 お前はまだ死んじゃいけないんだろ、

 二人を見捨てて逃げるんだな、ハッハッハッハッハッハ・・・』

 

「黙れぇぇぇぇ!!」 

 

 ジャリリリリィィィィィィィィン!!

 バコンッ!!バコッ!!バコォォン!!

 

 俺はその部屋に設置されていた全てのスピーカ―を破壊した。

 

「下がれナオ!!」

 

 俺は鎖を構え手持ちの技で最も「斬る」のに優れた技を撃つ!!

 

「切り裂けぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 ジャリリリリィィィィィィン!!

 カンッカンッカンッカン!ガキィィィン!!

 カラン・・・カランカラン・・・

 

 だが俺の鎖は技を繰り出してすぐに砕けてしまった・・・

 

「くっ!!さっきのミサイルを落としたときのせいか!!」

 

「解除は間に合いそうも無いぜ!!アキト!!」

 

「くッ!!カイト!!シキさん!!」

 

 俺はこちらに向かっている二人に通信をいれる。

 

『だめだ!!とても4分じゃ間に合わない!!』

 

『こっちも無理だ!!どう足掻いたって10分は掛かる!!』

 

 しかし、返って来たのは絶望的な答えだった。

 

 今俺の使っているジャンプフィールド発生装置は試作型、

 一時間以内にに跳べるの2回が限度だ。

 跳んで戻ってこっちに戻る事は出来ない!!

 跳んでエステを取って来ても間に合わない!! 

 

「くそ!!シキならこんな物、簡単に切れるって言うのに!!」

 

 どうすればいいんだ、どうすれば・・・

 

 

 

 

 

 

 ドッゴォォォォォォォン・・・

 

 その日、木星蜥蜴の攻撃で廃ビルが爆破され、

 たまたま通りがかったおじさんとメティちゃんが巻き添えになって死亡した

 とニュースで流れた・・・

 

 

 

 基地の待合室

 

「そんな・・・じゃあメティとお父さんは

 貴方のせいで死んだって言うんですか!!」

 

 俺は今回の結果をミリアに伝えた。

 

「・・・そうだ。

 メティに至っては遺体の回収も出来ない状態だ。」

 

「どうして・・・どうして!!

 貴方なら、貴方ならメティを護ってくれると信じていたのに!!

 どうして・・・」

 

 俺は泣き叫ぶ彼女にかける言葉が無かった・・・

 

 その後ミリアはおじさんの遺体と共にアヤとカズシに護送された。

 

 

 カツン、カツンカツン・・キィィィ、パタンッ!

 

 俺は地下への階段を降り、ある部屋に入る。

 

「やっぱりかなり取り乱したか?」

 

「もう起きて大丈夫なんですか?」

 

「ああ、なんとかな。」

 

「すみません、ミリアさんの事お願いします。」

 

「ああ、勿論。

 お前に言われるまでも無い、任せろ。

 だからそっちはお前に任すぞ。

 最もお前にしかできない事だが・・・」

 

「解っていますよ。

 この命に代えても。」

 

「そうか・・・じゃ俺は行くぜ、準備しなきゃいけない物もあるしな。」

 

 カチャ、キィィィ、パタンッ!

 

「・・・カイト、準備は出来たか?」

 

「ああ、完了した。

 ルリへの連絡は?」

 

「もう済ました。

 それから俺は暫く戻れないと思うから、

 こっちの事頼むぞ。」

 

「解った。」

 

「じゃあ行ってくる。

 T・L・Sフルコンタクト!!」

 

 俺の身体のナノマシーンが輝き出す・・・

 

「ダイブ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき


ルリ:また中途半端な終わり方を・・・

アキト:あれ作者は?

ルリ:ああ、あのバカなら、自分はろくに「痛み」を知らないくせに人を殺しましたから

   さっき処刑しときましたよ。

アキト:そう、じゃあ俺も後でやってこよ。

ルリ:まあ、あんな作者はほっといて、今回は前回書き忘れたシキの設定です。

アキト:はい、このバカ作者のメモによればカグラ シキは主に狙撃とナイフによる

    接近戦が得意で、特にナイフを持ったシキに斬られたら絶対に生還できない、

    と言われているそうです。

ルリ:なになに・・・え〜とシキ曰く「見える線を引いているだけ」だそうです。

アキト:なんか、何処かで聞いたような設定だよな会話を聞いてても。

ルリ:まあ、それは言わないでやってください。

   それでは今日はこの辺で。

アキト:次回もよろしく〜。
  

 

 

代理人の感想

 

そうか、シキって実は美人でお金持ちの義妹がいてその双子の美少女召使に手を出していて

金髪美人のあーぱー吸血鬼や眼鏡のオオボケお姉さんとも知り合いなんだな!

 

って、なんでやねん!(裏拳ツッコミ)

 

・・・・いや、いくらなんでもヒネリなさすぎだと思うんですが(苦笑)

まさか本当に直死の魔眼の持ち主だとは思わなかった(爆)

 

それはさておき・・・やっぱり男は無惨に殺される運命にあるのか。

メティちゃんは・・・・どうなのかな〜?

まさか、いくらナオがギャグキャラに近いとは言っても爆弾の直撃を受けて生きてられないだろうし。

次回、乞うご期待。

あ、それとうっかりしてまして「俺式」の六、七話をアップしていませんでした。

お詫び申し上げます。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

T-SAKAさんからの投稿です!!

・・・一応、言っとくけどナオはギャグキャラじゃないぞ代理人(苦笑)

誤解を受けるようなキャラ象を作り上げたのは俺だけど(爆)

しかし、ここの話は何時見ても難しいですよね〜

テツヤって一番吹っ切れた悪役だったし。

やはり外伝だけで終らせるのは勿体無かったか・・・

 

それでは、T-SAKAさん投稿有難うございました!!

 

感想のメールを出す時には、この T-SAKAさん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!

 

 

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