機動戦艦ナデシコ
〜ペルソナ〜
by つちき 喬
『子供達は罪の結晶にて、大人達は彼等を嫌悪する』
――賢者
第2話 機械仕掛けの子供達〜マシンチャイルド〜
地球ネルガル重工本社研究所にやってきたアキト達がまずされた事は、入念な健康診断だった。
長旅による疲れを考慮して、と云う名目はあったが、用は火星人達が何か悪性の病原体を保持していないかを
調べていたのだ。
地球出身の人間達は、月や火星で生まれた者達を自分達よりも低い存在としてみている。
これと似たような事は中世の大航海時代にも起きている。
植民地生まれの明らかな白人が、本国生まれの白人よりも階級が下だとみなされる事がだ。
月や火星の殖民は、その計画の責任者と移住を希望する者達が第一陣として送られている。
あるいはその護衛としての軍人たちが。
軍人であれ政治家であれ、上にいる者程一部を除いて移住を希望しはしなかった。
今の立場を捨てるつもりは無かったし、なによりも殖民初期の人間は実験体としての意味合いが強かったからだ。
事実、火星では初期の移住者達が体内に侵入したナノマシンによってかなりの人数が死亡している。
理論上は大丈夫でも、いざ実戦となると、と云うのは良くある話だ。初期の植民者達はその確認作業に使われた。
その事は一時告発本が出回り誰もが知っている。
そんな中で何時しかこんな噂が流れていった。
『火星とかに移住した奴等は、どうせその程度の存在なんだからさ。俺達の道具として生まれてきたんだぜ』、と。
それは、あるいは最初は自分達の罪悪感を誤魔化すための物だったのかもしれない。
しかし噂はやがて真実となり、特に火星人達は地球人に比べて劣等人種だという話が生まれていった。
差別が――激化した。
正当性が与えられたのだ。それは一時期、人体実験も火星人に限っては許可されるという事態にまで陥った。
今ではもうそれ程酷くは無いのだが、確執はいまだ存在する。
月と火星は、まさに現代に舞い戻った悪しき植民地、あるいは一種の征服地であった。
しかしその後もアキト達は様々な扱いを受けた。直接的な物は無くとも、いや、だからこそ陰険である。
一般の社会ならばこれ程の扱いは受けまい。
子供のまま大人になったような人達の、歪んだ自尊心がくすぐられた結果生まれた矮小な世界が
そこには形成されていた。
なによりイネスは何処の者とも知れぬ孤児であるし、カイト・サキに至っては人間サイズのモルモットとしてしかみなさ
れていないマシンチャイルドである。
アキトにしても、彼等のかっての保護者は自分達の会長と事ある毎に反目しあっていたテンカワ夫妻なのだ。
彼等が冷遇されるにはそれだけで充分であった。
宇宙の広さに反比例して、人間の心は何処迄も狭かった。
アキトは今公園に来ていた。
公園と云っても、研究員達のストレスを軽減させるために研究所の敷地内に造られた物である。さして広くは無い。
それでもアキトがそこに居た理由。暇だった事とこの時間帯が一日の中で最も人がいない時間だったからだ。
公園で一人きり、自然を見て歩く。百%人工物とは云え、心が和むのは事実だ。
他に人がいない事は気配を探って確認してある。一人でのんびり出来る時間がアキトには貴重だった。
手近な木の下で横になり目を瞑る。
考えなければならない事が幾つもあったからだ。
しかし連日の精神的重圧に、自分で判断していた以上に疲れていたのだろう。
誰かが自分を見下ろす気配でやっと意識が覚醒した。
体内時計はあれから三時間が過ぎた事を告げていた。
そっと目を開けてみる。
目の前に居たのは自分より二、三歳年上の少女。勝気な瞳が眩しい、セミロングの見た事の無い少女だった。
当然だった。
自分に悪意を持っている顔見知りの誰かならば、公園内に足を踏み入れた時点で意識は覚醒している。
ならば見ず知らずの気配がしたならばその時点で起きそうなものだが、本能的に自分の敵ではない事を察ししていた
ため起きなかったのだ。
「おはよう」
寝ぼけ眼で云ってみる。
「おはよう、良くお休みだったわよ」
冷ややかな声で少女が云う。混じる、呆れと、不信感。
呆れはこのような場所でぐっすり眠っていた事。
不信感は、マシンチャイルドでもないアキトのような年頃の子供が、何故研究所の敷地内に居るかと云う事だ。
研究員の家族が暮らす集合住宅はここからやや離れた所にある。
仮に面会に来たとしても、数々の機密を抱える研究所ではただの子供が一人で出歩ける場所などありはしない。
それを許されているマシンチャイルドではない事は、少年の黒い瞳を見れば明らかだった。
「貴方、どうしてこんな所にいるの? ここは関係者以外立ち入り禁止の筈よ。
外から来た子供はわたしともう一人だけだと云っていたわ」
「一応関係者なもので」
「でも貴方、マシンチャイルドじゃないじゃない。目を見れば解るわ」
「その保護者、と云うか兄貴でね」
「? ああ、貴方の御両親の受精卵を使用したのね」
納得したような少女の言葉に、造ったのはその御両親ですなどと云えるはずも無く、曖昧に笑って誤魔化しておく。
「じゃあ――」
言葉を続けようとした少女の携帯端末が呼び出し音を発する。
出鼻をくじかれて文句を云いながら画面表示を見ると、それは少女の父からの呼び出しであった。
「何なのかしらいったい。自由にしてろって云ったのは父さんの方なのに」
それでも出入り口のほうへ走り出そうとし、思い出したように足を止める。
「わたしの名前はエリナって云うの、憶えててね。それから今度こそ貴方の被保護者の事を聞かせてもらうからね」
云い捨ててさっさと去っていく。その後姿にアキトは、
「それ以前に君、俺の名前訊いてないだろ」
呟きながらも、「まっいっか」と気を取りなおす。アキトの素性など調べれば簡単に解る事だからだ。
立ち上がってズボンに付いた汚れを払い落とす。
「エリナ……か。こんな所に来れるって事は、彼女がネルガル副社長キンジョウ タクマの娘、
エリナ・キンジョウ・ウォンで良いのかな? とすると、もう一人ってのはあいつかな?
将来への勉強って事で」
アキトも公園を出て行く。もしエリナと一緒に来ているのが予想通りの人物だとしたら、
ぜひとも会っておかなければならない。
久しぶりなのだから。
うっとおしい大人達がいなくなったのを確認すると、少年は思いっきり伸びをして硬くなった身体をほぐす。
会社経営に興味が無いわけではないし、周囲の大人達の期待、その反応の理由も解る。
解るが、まだ十四歳の遊びたい盛り、それも妾腹の子として数年前までは何ら期待されていなかった身としては、
少々窮屈に感じてしまう物である。
その目が近づいてくる人影を捉えた。逃げようかなと思った所で、その人影に見覚えがあることに気付く。
「久しぶりだな、リュウ」
「もしかして、アキト君!?」
「ああ」
少年の名はアカツキ ナガレ。ネルガル重工の次期会長であり、アキトの幼馴染。
リュウは、彼の兄とアキトだけに呼ぶ事を許されたあだ名だった。
「へー久しぶりだよね。この前会ったのが二年前だったかな?
地球に来てたんならメールでもくれれば良かったのに」
「送ったぞ?」
「そうじゃなくて。君のIDがプロテクトされている事は解っているんだから、
クラッキングして直接置いて行ってくれれば良いじゃないか」
「天下のネルガル重工のマザーコンピューターに電子戦を挑むのか?」
「電子戦のエキスパートなら<賢者(けんじゃ)>がいるだろう? それに君でも充分突破できると思うよ。
なんたって最も重要な最終プロテクトは、君が昔お遊びで作ってくれた奴だもん。
あれがなけりゃ、今ごろうちの会社は情報の流出によりクリムゾン辺りにでも吸収されてしまっていると思うよ、僕は。
何ならカイト君やサキ君にでも頼めば良い。彼等が君の頼みを断るなんて、絶対にありえないからね」
「良く解っているじゃないか」
「……単に面倒だっただけなんだね」
ジト目のアカツキの問いに笑顔で肯定。
しかしネルガルと云えば、現会長に代わってから急速に成り上がった企業であり、
成り上がりだからこそ情報の流出、特にコンピューター関連には気を配っている。
その鉄壁のプロテクトを突破する凄腕のハッカー達を、遊びで作った数年前のプログラムで防御して見せるアキトの
腕は、S級オペレーターと比較しても何ら遜色の無い物であった。
「……もういいよ。こうしてアキト君に会えたんだしさ。でも、どうして君達が地球にいるんだい?」
「イネスさんの付き添い」
「ああ、なるほど。保護者だったね、彼女が。でもそれだけが理由じゃないんでしょ?」
「後はプロスさんの口添え。精神的安定のためにね」
「どちらのだい?」
「確認する必要があるのか?」
「ごもっとも」
くっくっく、と楽しそうに笑うアカツキ。
二人は歩きながら話し続け、自販機で飲み物を買うと手近なベンチに座って会話を再開する。
「そう云えばエリナって子に会ったんだけど、彼女、リュウの付き添いだろ?」
「そうだよ。僕が将来の仕事を知り、エリナ君は会長秘書としての立場に慣れておく、ってとこさ。
所でアキト君。エリナ君の方が年上なんだから、『子』って云い方はちょっと」
「そうか? 結構子供っぽい所があると思ったんだけど」
「それは否定しないよ。でもね、その子供っぽい純粋さ故に、目標に向かってひたすらにがんばれる。
僕には到底真似の出来ない事だね」
「目標って?」
「イヴ迄にネルガルのトップになるんだそうだよ」
「それはそれは」
アキトは苦笑する。しかし、上昇志向の高い人間は嫌いではない。
……手段を選んでいる限りは。
「だが彼女ではネルガルのトップは務まらんな」
「やっぱりアキト君もそう思う?」
「ああ。企業を運営すると云う事は、特にクリムゾンと真っ向から敵対すると云う事は決して綺麗事では済まない。
何の関係も無い人間を道具として利用するだけではない。
自分にとって大切な者さえも利用し切り捨てる。その覚悟が無ければ、今の競争社会では生き残れんよ。
ロバートの爺さんやお前の親父のような極端なのは流石にいただけんが、
それでもあれは企業人としての一つの理想の形、あるべき姿でもあるからな」
「……それは、僕も解っているよ。でもね、父さんのしてきた事を赦すつもりは無いし、認めるつもりも無い。
あいつは、苦しんで苦しみ抜いて死ぬべきだ」
「リュウ!!」
何処か遠くを見つめて放すアカツキに、アキトの鋭い叱責の声が飛ぶ。
「!? ……ごめん。大丈夫、心配しないで。暴走だけはしないから。僕達の計画は、まだ始まったばかりなんだから」
「それなら、構わん」
しばしの沈黙。
痛くなるような静寂の時を破ったのはアカツキだった。
「そうだ、アキト君。バイトする気、無い? スキャパレリ・プロジェクト、知っているでしょ?
あれの要として製造される戦艦に搭載する予定のAIプログラムのサルベージは成功したんだけどね。
そのプログラムを僕達に合わせる作業が難航していてねえ。
そのプログラムの変換作業なんだけど、僕の口添えがあれば作業に参加できるし、
マスターアップに成功すればその分の特許も何%かは君の懐に入るよ?
君にとってはかなり割りの良い仕事だと思うけど」
「遺跡の演算プログラムを人間にも扱いやすいように変換しろと?」
「そう。プロジェクトオモイカネ。僕等の基盤作りには、ちょうど良いステップだと思うよ」
「……解った、受けよう」
「ありがと。で、どのくらいで形に出来る?」
「そのプログラムのサルベージ状態にもよるが、ニ、三ヶ月あれば何とか。
<賢者>にやらせればもっと短期間で高等な奴に出来るんだろうけど」
「それはいいよ。何処にそのプログラムが流出するか解った物じゃないし」
複雑な笑み。
それは彼がネルガルを人的にも技術的にも信用していない事を窺わせた。
――三ヶ月後。
ネルガル関連のとある研究所にて。
瑠璃色の髪を持つ少女が、教官から教材として渡されたプログラムの前で固まっていた。
(これは……オモイカネ!? どうして今ここにオモイカネがいるの?
オモイカネが産まれるには後数年は必要なはず? いったい、何が……)
その答えを得られぬまま少女は、渡されたプログラムをかって自分が良く知っていたプログラムへと作り変え始めた。
疑問の嵐に、心乱されたまま。
スクリーンの中、一対のマシンチャイルドがその身体に鮮やかなナノマシンパターンを浮かび上がらせ、
数瞬で造り上げたプログラムを電脳世界に解き放つ。
戒めを解かれた子供達は、大胆に、そして密やかにウォールを食い破りその体内に己の眷属を寄生させていく。
その様はあたかも一つの芸術のように、見る物にある種の感動すら抱かせる。
「これは……凄まじいですな」
「全くです。中期型でありながら並の後期型を遥かに上回る電子戦能力。流石はテンカワ夫妻の造り上げし傑作。
オモイカネプログラムの育成に関わらせなかったのは失敗でしたかな?」
「いえ、そんな事も無いでしょう。一人、その事に関してずば抜けた物がいると訊いておりますが?」
「ああ、彼女ですね。確かに能力は一、二を争うでしょう。見目もなかなか良い。
ただ難点なのは、愛想が全く無い事ですな」
「それは残念。可愛がって差し上げようと思ったのに」
「まさしく人形ですな」
「いえ、そういうのを変えていくのもまた一興なのではないですかな?」
「なるほど、真理ですな」
「いやいや。あっはっはっはっは」
隣で交わされる下劣な会話に、アキトもアカツキも嫌悪感と共に吐き気を催していた。無論、顔には出さない。
それは、スピーカーをハックして管制所の会話を聞いていた双子も同じであった。
双子は今十三歳。そちらの方面の知識も僅かながら芽生え始める時期である。
「良し、二人とも今日はあがっていいぞ。今日の実験はこれでおしまいだ」
総責任者のタムラ博士の言葉に双子はさっさと上がってしまう。いつもの事なので研究者達もなにも云わない。
大半のマシンチャイルドに愛想を求めても無駄だという事が解っているからだ。
アキトはアカツキを残してその場を去る。双子を迎えに行くために。
アカツキは次期会長として彼等とやら無ければならない事があるので居残りだ。
恨めしそうな視線を向けてくるが黙殺する。
研究所の廊下を歩いていたアキトは、双子との待ち合わせ場所に向かう途中で懐かしい人影を見た。
「おや、アキトさん。お久しぶりですな」
「プロスさん」
プロスペクターである。
「何時、こちらに?」
「つい先程でして。それにしても大きくなりましたねえ、アキトさん」
「そりゃ、三年も会っていなかったんですから」
「そうですか。あなた方が地球に来てからもうそれだけたったのですね。
いやはや。時の流れという物をしみじみと感じてしまいます」
「はははっ。親父くさいですね」
「子供を持てば誰だって親父ですよ。最近富に語彙が増えた娘にも同じ事を云われましたね」
「それはそれは。アイちゃん、元気ですか?」
「大過無く。ですがイネスさんが帰ってきたのにアキトさんが一緒では無いと知ってとても不機嫌になられましてねえ」
「でしょうね」
「おかげで、私の今回の単身赴任にも一緒に連れていけと駄々をこねる始末。
長引きそうならともかく、半年と期限が付いているのに連れてくるのはどうも気がひけまして」
「アイちゃんは今八歳ですか? 可愛い盛りでしょう」
「ええ、学校でも人気者でしてね。この前なんかラブレターを貰ったそうですよ。
お兄ちゃんのお嫁さんになるからと云って断ったらしいですけど、責任は取ってくださるのですかな?」
「あはは」
苦笑するしかない。その光景がありありと思い浮かぶ。
「イネスさんはどうでした?」
「イネス女史ですか? まああの方もマッドですからね」
「科学者は皆基本的にマッドですよ?」
「貴方も?」
「想像にお任せしますよ。遺跡の発掘状況はどうです?」
「順調といった所ですかね。
ただイネス女史の能力を持ってしても、遺跡の解析、再設計、実用化には三年はかかるでしょうな」
「大体そのくらいですね」
「アキトさんがその気になればどうかは解りませんが」
複雑な顔。衝かれたくない所を衝かれてしまったような。
「所でアキトさん。何処かに行こうとしていたようでしたが、そちらの用事は良いのですかな?」
「……あっ」
完璧に忘れていた。
「すいません、プロスさん。今日はこの位で。また別の日にでも」
「ええ、今度落ち着いた日にでも」
「じゃあ」
全速力で走り去っていく。その後姿を見て一言。
「いやあ、若いって事は良いですなあ」
親父くさ!
なお、その後アキトがサキにこっぴどく叱られた事を記しておこう。
ネルガル副社長キンジョウ タクマ。彼の葬儀はしめやかに執り行われた。
立場の割にはそれ程豪華でもないが、出席者は意外と多い。
尤も、その中のどれぐらいが本気で悲しんでいるのかは甚だ疑問だが。
火星へ向かう途中のシャトル事故。タクマ以外にも数百人の乗客が帰らぬ人となった。
その事故の原因は調査中だが、その真の事実が明らかになる事は永遠にあるまい。
気丈に葬儀を続けるキンジョウ家の者達を見ながらテンカワ兄弟とアカツキは会話していた。
「やりきれないねえ」
「全くだよ。そりゃ確かに野心家で自分の地位を危うくする人物かもしれないけどなあ。
だからと云って数百人単位で巻き添えにして殺す必要があるのか?
強盗に見せかけて殺す方法だってあったろうに……」
「いや、僕がやりきれないといったのはそう云う意味じゃないんだけど」
「はっ?」
「親しい人が亡くなって、それを悲しんでいる人がいる。その事がやりきれないって意味で云ったんだけど」
「どうしてだよ。あのおっさんはネルガルを乗っ取ろうとしていたんだろ?
だったら喜びこそすれ気鬱に思う必要は無いじゃないか」
「カイト。そう云う事は理屈じゃないのよ」
「そうだね。それに彼は僕に優しくしてくれた。
たとえそれが表面上だけだったとしても、その思いは裏切りたくないよ」
「良くわかんねえよ。邪魔者が居なくなった、それだけで良いんじゃねえのか?」
「事はそれ程単純じゃないさ。彼は会長の右腕としてずっとやってきた。
彼は会長の歯止めだった。だが野心を抱いたからと云って長年のパートナーを消す。
こうなってしまうと、会長を止められるものは何も無い。下手すれば、ネルガルは一緒に心中だ」
「何だよ。じゃあ兄貴は副社長が生きてた方が良かったって云うのかよ?」
「そう云う意味じゃないんだがな。お前も知っている通り、会長のやり方は有効ではあるが強引だった。
その軋轢を少なくしてきたのが副社長だ。
その緩衝材無しに今迄通りのやり方を続けてきたら、たちまちあちこちから叩かれておしまいだ」
「潮時だね。シナリオ、実行するかい?」
「……本気か?」
「もちろんさ。兄の死の真相を知った、あの時からね」
「直接的な原因はクリムゾンでしょう?」
「それでも、さ。決行は何時だい?」
「今日にしよう」
「了解。僕は何処かでアリバイでも作っておくよ」
手を振ってキンジョウ家の元に向かうアカツキ。
「カイト、サキ」
「解ってるよ」
「はいっ」
アキトの呼びかけに答える双子。わざわざ確認しなくとも、自分達が何をするべきかは解っている。
瞳に浮かぶのは悲壮な決意などではなく喜び。また一つ、自分達を縛る物から開放される事に対する歓喜。
双子には、アキトさえ居れば良いのだから。
ネルガル会長本邸。
流石に会長宅だけあって警備は堅く、常時二十人弱の警備員がつめ、
使用人の数もたった一人のためにしては半端ではない。
このような所に、会長の見栄が見て取れた。使用人など、必要最低限の人員がいればそれで充分なのに。
肝心の会長は、自室で一人、お気に入りのワインを味わっていた。
「タクマの死に、乾杯」
思いの外工作がうまく行ったことに一人ほくそえむ。
九年前にネルガル会長警備部第四課、通称【猟犬】を失った事は痛かったが、
ネルガルの暗部故にいずれは始末しなければならなかった者達だ。
こううまく行ってくれている以上、消えてくれて助かったとも思っている。
生きているなどとは思っていない。もし本当に生きていれば既に接触してきているはずだ――金を得るために。
彼は他人を信じると云う事が出来なかった。
ヒュッ、ヒュッ。
「あれ? 今、なんか無かったか?」
「気のせいだろ? 後で監視カメラでも見ればはっきりするけどさ、多分何も無いぜ。
あったら警備室からなんか連絡がくるはずだからな」
「やっぱり気のせいか?」
「だろ?」
フッ。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いや、今誰か居たような気がして」
「また怪談話? 好きなのも良いけどいいかげんにしなさいよね。今は仕事中なんだから」
「本当に居たような気がしたんだって」
「貴方、シックスセンスあったかしら? それともいきなり目覚めたとでも?」
「うっ」
「なら気のせいよ」
「そうかなあ」
ギィッ。
「んっ」
かすかなドアの開閉音に顔を上げてみるが開いていない。
「気のせいか」
そう思おうとした。
「いいえ」
不意に聞こえた聞き覚えの無い声。何時の間にか目の前には十五、六歳の少年が居た。
「何者だ」
威圧的な声。普通の少年ならば怯え腰を抜かす事だろう。
「貴方が憶えているかどうかは知りませんが、九年前、貴方の子飼いの暗殺部隊【猟犬】に殺されたテンカワ夫妻の
息子、テンカワ アキトですよ。尤も、今は<賢者>と呼ばれる存在ですが」
九年前、もちろん覚えている。彼は先程迄その事を考えていたのだから。だが<賢者>とは?
「ふっ、その事を知っているとは敵討ちのつもりか。四課の連中をやったように」
至極まっとうな連想。
四課をやったのが目の前の少年だとは思っていないが、後ろに誰かついている可能性もある。しかし、
「違います。あのような者達がどうなろうと、私達の知ったことではありません。
何より彼等を殺したのは私であって私で無い者達。私に云われても困ります。今日来たのはそれと別の用事です」
あのような、とはテンカワ夫妻か【猟犬】か。
そして私であって私で無い者とは。
肯定するとは思わなかったため、微かに動揺が生まれる。
「ほ〜う。だが私は忙しい。本来ならばアポイントメントが必要なのだぞ。礼儀を失しているとは思わないのかね?」
「貴方如きには必要無いと判断しました」
「何だとっ、貴様!?」
激情に駈られる。彼は存在を軽視される事に慣れていなかった。大人でもなかった。
故に<賢者>の言葉を子供のたわごとと笑って受け流す余裕が存在しえなかったのである。
「私が今回こんな事をしたのは、罪を償って貰うためです。六年前の息子殺しと、今回の副会長殺しを」
突拍子も無い言葉に逆に冷静になったのか、椅子に座りなおして一息つく。
「何を云っているのか理解できんね。今回のタクマの件は事故だし、六年前の件だって事故だと判断されている。
もっとも――」
「クリムゾンの仕業だという噂もあるが、ですか?」
言葉を先取りされ再び不機嫌そうになる。
「解っているではないか。それでどうして私の事を疑うのかね?」
「ええ。貴方は出来の良い後継者など望んでは居なかった。あの人は優秀で多少の野心もあった。
そう遠くない内に貴方と入れ替わり会長の立場につく事も不可能ではなかったでしょう。
貴方と違って人望もありましたからね。貴方にはそれが面白くなかった。
だからクリムゾンに巧妙に情報を流して彼を殺させた。違いますか?」
「面白い想像だ。いや、妄想というべきかね?」
「どうぞご自由に。ただ情報元はリュウですが」
「何? ナガレがそんなたわごとを云ったと云うのか?」
「果たしてたわごとでしょうか。リュウには特性のクラッキングプログラムを渡してありました。
会長室の会話など幾等でも手に入れられたはずです」
「あの大うつけめが。親を売ったと云うのか。やはり下賎な血が混じると子すら下賎な存在となるか」
「その下賎な女にはまり、策謀を使って無理やりに自分の女としたのは貴方でしょう?
それに人間の価値は血筋などでは決まりませんよ。
それを云ったら貴方とて所詮は成り上がり者ではないですか」
「ふんっ。それでどうするつもりだ? 私を殺すかね?」
「ええ。そのために来たんですから」
「どうやってだね。私はこれでも健康第一と考えている身でね。体は鍛えてある。
君のような餓鬼など一捻りだ。それにうまく警備の間を抜けてきたようだが、監視カメラは?
君の姿がはっきり残っているぞ。無論、この部屋にあるカメラにもだ」
「ご心配なく。もし監視カメラに私の姿が移っているとしたら、警備員の一人や二人、既に来ているはずでは?」
会長の顔が驚愕に歪む。
「私の双子の兄弟は優秀なマシンチャイルドです。
監視カメラにクラッキングして、その映像を書き換える事などたやすい事です。
大昔のようにビデオテープなどに録画するならともかく、今のデジタル録画ならばね」
「まさか……。ならばどうやって私を殺す? 君に出来るのかね?」
「こうやって」
云ったアキトの、<賢者>の身体にナノマシンパターンが浮かび上がる。
最も特徴的なのは、眼の下から頬を通る、まるで涙の後のような軌跡で輝きを放つ部位であった。
さらにもう一つ、一房だけ背中迄ある髪と、それを束ねている紐、その紐の両端にある青い宝石のような物までもが光り輝いていた。
そしてアキトが輝きを放つと同時に、会長が胸を押さえて苦しみ出す。
「あが……ぎ……」
「苦しいですか?」
静かな声。
何時の間にか近づいて見下ろすようにしている少年を、憎悪の目で睨む会長。
「ナノマシンプラント。
貴方の体内には、二十年以上前に万能解毒薬として注入されたナノマシンプラントがありますよね」
始めは何を云っているのか解らなかったが、突如思いついた不吉な可能性に顔を強張らせる。
「もし、人体内のナノマシンをクラッキングする事の出来る者が居たら?」
さらに恐怖に歪む顔。
出来るはずが無い。そんな事は不可能だ。何より、何の端末も使用してはいないではないか――と。
「私はそれが出来るんですよ。オペレーターとして特化した、テンカワ アキトであるが故に」
会長の顔には既に死相が浮かび上がっていた。それでもなお、抗うように少年へと手を伸ばす。
その姿に、少年は僅かに顔をしかめた。
「見苦しい。さっさと死になさい」
少年のナノマシンパターンが一層強い輝きを放った。
それは会長の体内のナノマシンの活性化を促し、残りの命も搾り取る。
しばらくの間様子を見、絶命した事を確認すると、再び体内のナノマシンを操作し本来の仕事に戻す。
ナノマシンで人が死んだなどという噂すら立てるわけには行かない。
そのような事になれば、ただでさえ迫害されやすい立場に居る火星人やマシンチャイルドの立場が悪くなってしまうからだ。
元の場所に戻した後、休眠状態にする。解毒用ナノマシンプラントに蘇生機能は存在しないが、念のためだ。
放って置けば主の死によってナノマシン達も活動を停止する。
これで急性心不全の出来あがり。
少年は大きな溜め息をつくと、浮かび上がったナノマシンパターンを沈静化させる。
同時に雰囲気が変わった。
今迄の全てを見通すかのような厭世的な雰囲気とは違い、猛々しい武人の雰囲気へと。
<武帝>。そう呼ばれる彼は、重厚な雰囲気を持つドアを静かに開け、その場を後にした。
(邸外に脱出を確認。クラッキング切る?)
(いえ、もう少し占拠していましょう。兄様の姿を映される訳にはいかないのですから)
(了解)
ネルガル本部研究所に与えられたテンカワ兄弟の部屋、そこから双子は会長本低にクラッキングを仕掛けていた。
アキトが邸外に脱出してから十分後、もう大丈夫だと確信したサキによってクラッキングは切られる。
集中によって浮かび上がった汗が気持ち悪い。ともかくシャワーを浴びて一息つく。
「つっかれったー」
「全くですわ。確かに会長の元へ誰にも見咎められないよう行くのは<武帝>か<闇主>にしか無理ですが、
<武帝>では同時にセキュリティにクラッキング、映像の書き換えは出来ませんし、
<闇主>は出てきてくれませんものね」
「<武帝>の隠形術で進入、<賢者>のナノマシンブレイキングでナノマシンプラントをクラッキング、
心不全に見せて殺す。確かに俺達の目的のためには最も効率の良いやり方ではあるけどさ」
「文句は云わない。私達は兄様の道具となる事を決心したのでしょう。まさか今更やめたいとでも?」
「そんな事は無いさ。実際に兄貴が俺達のことを道具として見ていない事も知っている。
これが、俺達が平穏に暮らすために必要な事だって事も承知している。
だけどさ、やっぱり陰謀ってのは性(しょう)に合わなくって」
「でしょうね、カイトの場合」
そう云って笑うサキの笑顔は、年相応の物で、何処か酷く儚げだった。
キンジョウ家を慰めるために滞在していたアカツキの元に会長死亡の報が届いたのは、
それから一時間もしないうちだった。
唯一の後継者として、アカツキは直ちに本低に向かう。
もし本当に死亡したとなれば、彼がやらなければならない事は多々あるからだ。
(急性心不全ね。随分と温厚な殺し方だね。だけど。これで僕達のシナリオはまた一つ進んだ。
僕達が望む物は平穏な生活。それは邪魔する者である以上、父さんはいずれ死ななければならなかった。
だってそうしなければきっと僕の方が先に殺されていたから――)
思考の淵に沈むアカツキを見て、周りの大人達は今後背負わなければならない重圧に苦悩しているのだと判断した。
真実を知らないと云う事は、実はとても幸せな事であるのかもしれない。
「これが……僕達の罪……」
サキのオペレートによって開かれたシークレットファイルの中身に愕然とするアカツキ。
テンカワ兄弟も似たような物だ。
それは、今迄ネルガルが行ってきた全てが保存されていた。その内容は酷く衝撃的な物である。
しかしそれは代々のネルガルトップ陣が行ってきた事であり、アカツキ自体には罪は無い。
彼とて己を善人であると云い切るつもりは無いし、多少の裏工作とて必要とあれば出来る。
それでもなお、そのファイルに記された数々は衝撃的な物であった。
「どうする、リュウ?」
「どうするって、殆どどうしようもない事ばかりじゃないか」
しばしの重い沈黙。
「……でもまあ、出来る事から始めようか」
「出来る事?」
「そう。ネルガルの最も深い罪の象徴、マシンチャイルドを――」
「どうするんですか?」
「う……」
「妥当な所でカウンセリングによるメンタルケアと里親探しだろうな」
「それだ! アキト君」
我が意を得たとばかりにアキトの案に飛びつくアカツキ。
四人でのミニ会議の結果、
『一、マシンチャイルドとしての教育は続けるが法に触れるような事はしない。
二、全員にカウンセリングを受けさせ、精神的な傷を癒す。
三、出来るだけまともな里親を探す』
これだけなら良かったのだが、何故か、
『四、特に精神的状態の酷いマシンチャイルドはテンカワ兄弟が引き取る』
というのができた。
これは能力の高いマシンチャイルド程自分の感情を封じ込めてしまう傾向がある事と、
テンカワ兄弟が皆高いオペレート能力を持つためである。
アキトとしては反対したかったのだが、サキが積極的に同意してしまったため、断るに断れない状況となってしまった。
この事を役員会議にかけたとき、最初アカツキは反対されると思っていた。
しかし意外に賛成意見が多かったのである。
理由としては、最近マシンチャイルドにもまともな人権を求める気運が高まってきたため、
わざわざ危ない橋を渡る必要は無いという事。
戦略兵器として軍に輸出する場合でも、無愛想よりは多少の可愛げがあったほうが良いであろうと云う事。
そしてテンカワ兄弟にしても、双子が高い能力を有しているのは事実であり、その支えとなっているのがアキトで
ある事は自明の理だったからである。
なおこのとき、会長周囲の新人事も発表されていた。
会長・アカツキ ナガレ。
会長秘書・エリナ・キンジョウ・ウォン。
副会長・テンカワ アキト。
副会長補佐・テンカワ カイト、サキ。
皆若いながらも高い能力を有しており、身内で固まっている事については幾つか非難はあった物の、
積極的に反対をする者はおらず、こちらもすんなりと受理された。
そしてこの時、エリナは始めてアキトの名前を知ったとか知らなかったとか。
「そう云えば名前、一度も訊いてなかったわね。あはははは」
本社研究所に集められた六十余名のマシンチャイルド達。
六十対もの金色の瞳がじろりと自分達を見ているのはある意味恐怖である。
研究員から渡された資料を元に、誰を引き取る羽目になるのか考えていたアキトの耳に、小さな呟きが聞こえた。
「アキトさん……」
思わず顔を上げた。何人か顔見知りのマシンチャイルドは居る。
しかし彼等の声は全員覚えているが、今の声は聞き覚えのない物だったのだ。
何より声に含まれた驚愕の響き。こんな所に、居るはずないのに……と。
視線が、合った。
資料の中にあった顔だ。
瑠璃色の髪を持つ少女。彼女にしがみ付いている薄桃色の髪を持つ少女もまた、
自分に驚愕の視線を向けていた。その瞳が意味する物は同じ。
ホシノ ルリ。
ラピス・ラズリ。
何故そのような視線を向けるのか解らぬまま、お互いにただ見詰め合っていた。
ずっと、ずっと……
次回予告
結局四人の少女を引き取る事になったテンカワ兄弟。
皆、何処か危うい儚さを持つ少女達だった。
家庭の暖かさを知らない少女達が時折見せる笑みは、
アキトには酷く暖かい物として移った。
押し付けられたからでは無く、
己の意思で少女達を愛そうとするアキト。
束の間の安らぎ。
静寂を打ち破る火星陥落の報。
次回
機動戦艦ナデシコ〜ペルソナ〜
第3話
日常〜アイ ウィッシュ〜
「アタタ……カイ……」
「火星が……落ちた?」
なお次回予告の内容は変更される場合がある事を御了承下さい。
後書き
自分の存在の軽さを感じる時=自動ドアがなかなか開かない時。
やった〜。一月中に2話を書き終わしたぞ。
の割にはあんまり進んでないような気が。
一体何時になったらTV版本編に入れるんだ?
つちきには解らないよ。
ともかく第3話を終わらせれば先が見えるかな?
ネルガル会長もぶっ殺して実権も手に入った事だし。
一応つちきとしては一月中にもう1話仕上げたいです。
がんばれば平気かな?
しかし台詞多いな。
一部メールでもあったのですが、<闇主>の読みが解らないとの事なので、
一応第1話に出た三人の読みを記しておきます。
闇主=あんしゅ
武帝=ぶてい
狂皇子=きょうおうじ
後何か知りたい事があったらぜひ尋ねてください。答えられる事でしたら答えます。
なおペルソナの名前は個人的に引っ張りたい(引っ張る程でもないが)ので答えられません。
では!
用語解説パート2
NO,3【シンクロナイズシステム】
ありていに云えばただのリンクシステム。実は仮称。
双子に注入するナノマシンに遺跡のナノマシンを利用したため起きた現象。
最初は双子故の同調かと思われたため、シンクロナイズシステムと仮称された。
任意で意識の表層を繋げる事が出来る。時間も距離も関係ないテレパシーを実現しているが、
感覚なども繋げる事が出来るため、深い部分で使用するには細心の注意が必要。
そのナノマシンの精製法を知るのはアキト等一部の者のみ。
戦闘などの際には、パイロットとオペレーターの意識を繋げる事で、パイロットが機動兵器の探知機などから知る
事の出来る限定された空間・精度の情報だけではなく、戦艦の探知機から得られたより高度で戦略的な情報を
得る事により、戦闘に深みを持たせる事を可能としている。
要するに戦艦からの援護射撃が動きを読んでくれるのでしやすいと云う事。
もちろんアキト達はこの技術を公開するつもりは無い。
NO,4【ナノマシンブレイキング】
人体内、あるいは大気中のナノマシンにクラッキングを仕掛け、望むままの結果を導き出す。
もちろんこんな無茶苦茶な事が出来るのはアキトだけである。
これを使用するためには、最低でもパイロットかオペレーター並のナノマシン保有量が必要。
もちろん媒介も必要となる。作中でネルガル会長が『何の端末も使用していない』と思ったのは誤り。
実際には付けていたが、解らなかっただけ。
その辺はいわば技術力の差である。
この能力はかなり応用が利き、相手の身体をコントロールするなどと云う事も無理すれば出来ない事は無い。
ただし一般的な使い方は相手のナノマシンを医療用に変化させたりなど。
使い方によって神にも悪魔にもなれる能力である。
管理人の感想
つちきさんからの投稿です!!
あれ? やはり逆行系?
だって、ルリちゃんがルリちゃんだし(何を言ってる、俺)
すっごくアカツキがクールで素敵なんですけど(苦笑)
それとプロス・・・あんた結構しとったんかい?(爆)
イネスさんは名前だけしか出てこなかったし(笑)
・・・そう言えば、ラピスも未来の記憶を持ってるのかな?
それでは、つちきさん投稿有難うございました!!
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