機動戦艦ナデシコ

〜時の旅人〜

 

 

 

第四話 ハード・スケジュール

 

 

 

ナデシコがサツキミドリに到着する、??時間前。

地球のどこか(多分日本だと思われる)

あるマンションの一室。

AM8時。

 

 

カチカチカチカチ……

カチリ

ジリリリリリリ

ピピピピピピ

『アサダ〜オキロ〜』

『オキンカイコラァ!!』

…………………などなど、約十二種類の目覚し時計が、一斉に鳴り響く。

「ウ〜ン……」

バキ

メキ

グシャ

メキョ

ベットの上で気持ちよさそうに寝ていた人物は、

次々に五月蝿く鳴り響いている目覚し時計を破壊していった。

「こ・れ・で・らすとぉ〜」

バキ

ベットの上で寝ていた人物は、

すべての目覚し時計の叩き終わったと同時に上半身を起こした。

「ふぁ〜あ。良く寝たぁ〜」

目が覚めたらしい。欠伸をしながら辺りを見回す。

 

よし、今日は目覚し時計十二個で起き上がれた。

昨日は、三十六個だったのに。

う〜ん、新記録。

 

 

 

 

……新記録なのか、それが。

それ以前に、いつも目覚し時計壊しながら起きているのか。

 

「……さて、顔でも洗いに行きましょうか」

 

そう呟きながら、洗面台の方に向かう。

キュッ

ジャー

水を出しっぱなしのまま、彼女は歯を磨く。

「ふぉういへばくんからしゅっほうめいへいふぁかかっていふぁなあ」

(訳『そう言えば、軍から出向命令がかかっていたなぁ』

「ふぁんのよふだろう?」

(訳『何の用だろう?』

ブラシをくわえたまま、彼女は独り言を呟く。

……独り言から察するに、どうやら彼女は軍人らしい。

 

「う〜ん、今日も良い朝ですね。この平穏がいつまでも続くと良いのですが………」

呟きながら、リビングに移動する。

(……そう言えば、昨日とは何かが違う気がしますね?なんでしょう?

こう、決定的な何かが違う気がするんですが……?)

彼女は何か心の中に引っかかるものがあるらしい。

(……まあ、思い出せないという事は対した事ではないんでしょう。

……思い出したらもう、二度と日常に戻れないような気がしますが)

彼女は敢えて気にしないようにした。

……数十分後にはいやでも思い出す事になるのだが。

 

 

 

 

数十分後。リビング、キッチンにて。

 

 

 

ジュ〜

 

「……今日もパンと目玉焼きで良いですね。時間も無い事ですし」

「…………ああ、俺のも作ってくれ。コーヒーはブラックで」

「……すいません。私は紅茶党なんで、コーヒーは飲まないんですよ」

「何だ……じゃあ、レモンティーで良い。それ以外は受け付けん」

「はあ、解りました…………………………って」

そこまで会話して気付く。

……この家に住んでいるのは自分だけだ。

誰かを家に泊めた覚えも無い。

……………では、今、自分と会話している声の主は誰だろう?

……もしかして、泥棒?

彼女は声がした方向に目を移した。

そこには……

「……?どうした?ボケっとして。折角の目玉焼きが焦げてしまうぞ?」

ソファーに座りながら、何のタイトルも記されていない真っ白な本を読んでいる。

……そいつの格好は、頭の先から足の先まで真っ黒。

早い話が、黒ずくめだった。

「……え?」

「なんだ?まだ目が覚めてないのか?」

 

 

……思い出した。昨日と今日の決定的な違いが。

そしてこの黒ずくめの正体が。

それを思い出した時、

「ななななななななななな」

「あ?『な』?」

「何いいいいいいいいいいいいいいい!?」

叫ばずにはいられなかった。

 

 

 

サツキミドリに着く少し前(30分前後)

ナデシコメインブリッチにて。

 

「なんだよ、このまま火星に行くんじゃね〜のかよ」

「……まさか。このままの戦力で行ったらすぐに全滅してしまいます。

こちらとしても、最新鋭の戦艦をむざむざ撃沈させる訳には行きません。

……まあ、最後の補給、といったところでしょうか。

正規パイロットも今のところ貴方しかいない事ですし」

「をを!!という事は新たな仲間が加わるって事かあ。

……どんな奴等なんだ?」

「……パイロットの方は三人……いや、四人でした。

全員とも女性の方ですね」

「ふ〜ん、ゲキガンマニアな奴がいると良いんだが」

「さあ?どうでしょうね?」

 

 

 

ナデシコが到着する少し前

さつきみどり二号の居住スペース

ある一室にて。

 

カタカタカタ……

「………………………木連の軍事系データベースにハッキング。

……プロテクト解除……チューリップへの命令を変更……現在より370時間、その場で待機せよ

……攻撃行動、およびボソンジャンプを一切禁止するものとする…………オーヴァー」

カチリ

「ふう、これで暫くの間、チューリップは身動きを取れないでしょう。

……まあ、他の兵器は通常どうりに活動するでしょうが」

そう呟きながら、彼女はノートパソコンを閉じる。

「全く、あの人も無茶言ってくれますよね。

何処をどうやればあんな捻じ曲がった性格になるんだか……」

 

 

 

 

『……はあ!?ナデシコに乗り込めぇ!?』

『……そうだ。お前にやって欲しい事がある』

『自分でやったらどうなんですか!?時間は有り余っているんでしょう!?』

『それはお前も同じ事だろうが…………まあ良い。これを見ろ』

そういって、分厚いリストを彼女に投げて寄越す。

そのリストに目を通して見た。

『……なんですか?これは?』

『……見ての通り、ある対象者のリストだが?』

『……それにしては、妙に対象者が多いような気がするんですが……』

『……お前には、コイツらをある一定期間、死なせないようにして欲しい。

……方法、手段は問わん。歴史、運命を気にする必要はない。

詰まりは、目標を達成させる事が最優先事項だ』

『……そんな!!無理ですよ!!こんなに沢山の人を守るなんて……』

ぱっと見ただけでも数百人以上リストアップされている。

『……一定期間で良い。要は、俺のいた歴史で死んでいった奴等、

等の寿命を24時間程度延ばしてやれば良い。

一定期間を過ぎたらソイツ等の事は気にせんで良い。死のうが生きようが、奴等の勝手だ』

『この……髑髏マークは何なんです?』

『……ああ、ソイツ等は絶対に死なすな。どんな事があろうとも』

何か意味が逆のような気もするが。

それはまあ、彼の趣味なんだろう。

『それでも二百人近く居るじゃあないですか!?』

『……別に守らなくても良い。腕が無くなろうが、下半身が動かなくなろうが、

脳が半分削ぎ落ちようが、その期間内を生き抜けばそれで良い

……逆にその期間内に死ねば……』

『死ねば……?』

『ループを断ち切るのが難しくなる……それに』

『それに?』

『……いや、気にせんで良い』

『はあ?』

 

 

 

 

「……ああ、思い出したくもありません。頭痛がしてきました」

そう呟きながら再びリストを取り出し、見る。

「ミスマルユリカ、アオイジュン、ハルカミナト、ヤマダジロウ、エトセトラ、えとせとら……」

リスト対象者の名前を半ば呆れながら読み上げる。

「うう、頭痛薬、頭痛薬……………………」

 

 

 

数十分後。

サツキミドリ二号のドックにて。

 

「はじめまして!! 新人パイロットのアマノヒカルで〜す!!」

「おおおおおおお!!!」

「18才独身。好きな食べ物は、ピザのはしの硬くなった所と両口屋の千なり。

 後、山本屋の味噌煮込みでーす!!」

 

 

「……俺の名前はスバルリョーコ 18才、パイロット。

特技は居合抜きと射撃。 好きな物はオニギリ。嫌いな物は鶏の皮。以上」

「うををををををを!!」

「相変わらず愛想が無いねぇ。リョーコちゃん」

「うるせ〜な。イズミよりはマシだろ?」

……たしかに。

 

 

「……どうも、新人パイロットのマキイズミ」

「うぎゃあああああ!?」(狂乱)

 

「クククククク……………………………(以下、あんまりにも『アレ』なので削除)」

 

 

ズキュウウウウウウウウウーーーーーーン!!(擬音)

 

 

キングクリムゾン発動により、

時間が数分吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

「……大きな星が……点いたりきえたりしている。彗星……かな?(彼岸の彼方へ)」

「チェックメイトォ〜(彼岸の彼方へ)」

「にぃいいいぃいぃいぃさああぁぁぁぁあああん!?!?!?(熱血世界へ)」

……その場にいた(イズミを除く)全員が、メシアの元へ飛び立っていった。

 

 

 

 

……数十分後。

「サ、さあ!!気を取り直していきましょう!!」

プロスがずれた眼鏡を掛け直しながら叫ぶ。

「あは、あはははははははは、そ、そうですね……で、つぎのひとはどこにいるんです?」

ユリカが顔に愛想笑いを浮かべながらプロスにきく。

「……?いませんか?おかしいですね?もう、集合時間はとっくに過ぎているのですが……」

 

 

「すいませ〜ん(確信犯的に遅れましたぁ〜」

……紫色の制服を着た女性がプロスの方に走ってくる。

「……遅かったですね。ずいぶんと。もう、とっくに集合時間は過ぎていますよ?」

「……済みません、ちょっと問題が発生してしまいまして……」

「問題……ですか?」

「ええ、もう対処できましたが」

「………そうですか、では貴方も皆さんに挨拶してください」

「……了解しました」

そういって今度はナデシコクルーの方を見る。

「はじめまして。私の名前は………………」

 

 

 

 

『……で、名前の方なんだが、俺が考えておいた』

『ええっ!?』

彼女は、あからさまに嫌そうな顔をする。

『……サクラマル』

『嫌です』

即答(0,05秒)

『……………………なんだ?まだ全部言い終わっていないぞ?』

『何故に貴方はそこまでネーミングセンスが最悪なんですか!?』

『そんなに嫌か?』

『ええ、とっても』

『名前っつーもんは自分で決められないんだぞ?』

『貴方につけてもらう義理も義務もありません』

『そんなに嫌か?』

『ええ、とっても』

 

 

 

 

 

「……タチバナアヤカです……宜しく……お願いします」

「彼女にはエステバリス小隊の隊長と、整備主任を兼任して頂きます。

……エステバリスの事に関しては、艦長よりも権限があります」

「ふえ?そーなんですか?」

……プロスがこんな事を言って、

某ゲキガン好きな熱血パイロットと某MADな整備班班長が黙っているはずはない。

 

 

 

「「何ぃ!?」」

二人の声がダブる。

 

「おいおい、ヒゲメガネ、

この嬢ちゃんが整備主任なら俺はどうなるんだよ!?無職かあ!?おい!!」

ウリバタケがプロスの胸倉を掴んで、ガクガクと揺らしながら、質問(脅迫とも言う)をする

「リーダーはこの俺だあ!!

俺以外には勤まらねえ!!」

「ええっと、貴方にはエステバリスの整備に徹して頂きたいと思いまして………………

彼女にはナデシコの整備を主にやってもらおうと……」

「あ、何だそういう事かあ。早く言えよなヒゲメガネェ」

怒りがおさまったのか、プロスの胸倉を掴んでいた手を放す。

「ご、ゴホゴホ……ま、まあそういう事です」

「自己完結するんじゃねえ!!俺は断じてみとめないぞ!?」

「いるよねえ〜こ〜ゆ〜キャラ。大体は物語の最初に死んじゃうんだよねぇ〜」

「ええ〜い五月蝿いぞ!!この眼鏡!?」

「あっ、ヒッド〜イ!!その言い方!!」

「まあまあ、要はヤマダさんより強ければ良いんですね?」

プロスがヤマダとヒカルの喧嘩に仲裁に入る。

「オ・レ・は・ダイゴウジガイだあ!!」

「…………では、折角の機会ですので、パイロットの方の能力を再確認しておきましょうか」

「応ともよ!!……だが、それだけじゃあ面白くネエ。罰ゲームもつけようぜ!!」

「……では、一ヶ月間食堂の皿洗い兼雑用というのは?」

「よっしゃあ!!

それで良い!!早速始めようぜ!!」

「…………はあ、死んでも生き返るんじゃないかなあ。この人」

 

 

ナデシコ内、パイロットシミュレーションルームにて。

「……僕まで参加するのか?」

「あの〜、俺、一応コックなんすけど……」

「よ〜し!!やるからには、負けないからね!!」

「うけけけけけけけけ…………」

「よっしゃあ!!全勝してやるぜ!!」

「ふふん!!みんな俺様がぶちのめしてやるぜ!!」

「うう、本当に疲れる所ですね。ここは」

「え〜、用意は良いですか?皆さん。

……それではいきましょう!!」

プロスがどこぞのストーカーのコスプレをしながら叫ぶ。

 

第一回戦

タチバナアヤカ(重武装フレーム)VSヤマダジロウ(空戦フレーム)

 

「お手柔かにお願いします。ヤマダさん」

「俺はダイゴウジガイだっつーの!!」

 

「さあ!!それでは始めてください!!」

 

 

GO!!

「フッフッフ……………………選択ミスだな。

いくら地を這う虎でも!!大空を舞う鷲は絶対に捕まえられん!!」

空中でガッツポーズを取る空戦フレーム。

「……そうでしょうか?」

「いくぞお!!」

「どうぞ。いつでも来て下さい」

「俺のこの手が光って唸るぅ!!お前を倒せと輝き叫ぶ!!」

空戦フレームの右手に光が集まってゆく。

「……はあ、少しは戦術というものを使ったらどうなんですか?」

アヤカは、ヤマダの行動に呆れながら呟いた。

「愛と!!怒りと!!悲しみの!!」

「……ターゲット、ロック」

ガキョンガキョン

重武装フレームの全砲門が、空戦フレームに向けられる。

「シャアアアアアアイニング!!

ナッコオオオオオオオオオ!!」

一直線で重武装フレームに突っ込んでくる空戦フレーム。

「……・全弾発射」

ドガガガガガガガガ

見事に全弾命中し、撃沈する空戦フレーム。

「な、何いいいいいいいいいいい!?」

 

 

 

 

「…………幾ら空戦フレームの機動力が優れていても、

それを生かしきれなければ塵も同然です」

 

 

第二回戦

アヤカVSリョーコ

<両方とも0G戦フレーム>

暗礁宙域ステージ

 

「…………………………畜生、ちくしょう!!何処にいやがる!!でてきやがれ!!」

ドドドドド……

……既にリョーコの機体の耐久力は、半分を切っていた。

逆にアヤカの機体は、まだダメージを受けていない。

「こういう場所で銃を撃てば己の位置を自ら晒す事になります。

……シミュレーションではやらなかったのですか?」

「うるせえ!!とっとと姿を見せやがれ」

「……では、そうさせてもらいましょうか」

ガキィン!!

アヤカのエステは、完全にリョーコのエステの後ろを取った。

「………………な!?後ろ!?」

「ディストーションフィールドを常時張っておくべきでしたね。

こういうフィールドには何処に敵が潜んでいるか解りませんから」

「くっ……!!」

「……最も、エステバリスのフィールドなんてたかが知れてますが」

 

コックピットに直撃。

リョーコ、ゲームオーバー。

 

「へえ。アヤカちゃん、強いんだねえ。よ〜し、つぎは私があいてだ〜」

 

GO!!

ドドドドド…・

ガキィイン!!

ばしゅうううううう……

 

(私の……過去……?)

 

 

 

 

 

『……パイロット兼整備班!?すっごいハードスケジュールじゃないですか!?』

『……若いうちの苦労はかってでもしろ』

『それに私はエステバリスの操縦やナデシコの整備をやった事なんてありませんよ!?』

『「エステバリスの操縦」と、「ナデシコの整備」をした事が無いだけだ。

お前にとって見ればエステもナデシコもオモチャ以下だ』

『はあ!?』

『……それに「生前」の記憶を開放しておいた。そのうち思い出してくるだろう。

自分の身に何があったのかを』

『……………………………………え?』

『あ……』

彼は慌てて手で口を隠すそぶりをする。

……だが…………………もう遅い。

『なななななななななななな何なんですか生前って!?』

『…………君の知っているテンカワアキトは死んだ…………

……これは彼が生きた証だ。受け取って欲しい』

何かの紙切れを差し出す。

……少なくとも、ラーメンのレシピではさそうだ。

『要りません!!そんなの!?

なんで私の過去の事を知っているって教えてくれなかったんですか!?』

『……教える必要が無かったから』

『そんなんで納得すると思っているんですか!!?』

ガチャリ

思いっきり無骨な銃を彼女に向ける。

『………へ?』

ドン

ドン

ドン

『は、はは、あははははは』

……辛うじて弾は全て外れたが、銃弾が当たった壁は崩れ、

大きな穴が出来ている。

『じゅ、十三mm炸裂徹鋼弾………………』

チャキ

今度は彼女の眉間に照準を合わせる。

『……知らない方が良い』

そう言いながら引鉄に手を掛ける。

…………本気だ。

目が(バイザーで見えないが)据わっている。

『は、はい!!私だって知りたくありません!!ええ、知りたくありませんとも!!』

『……それで良い』

 

 

 

 

 

(……と、何考えているんだろ〜な〜、

あの■リコンキチ●イ大量虐殺犯。

あの場面で銃を発砲しますか?普通)

 

 

 

ドオ〜ン

GEME OVER

 

「ウワ〜負けちゃった〜ほんとに強いんだねえ〜

次は誰がやるの〜?」

「……………………では、次はテンカワさんに挑戦してもらいましょうか」

「え!?……あの〜俺、コックなんすけど……」

「まあまあ。そういわずに」

……何時の間にか『誰が最初にアヤカを倒せるか』という、一種のゲームになっていた。

「ガンバレよ〜テンカワ〜」

アキト!!俺の敵を討ってくれ!!」

テンカワアキトォ?)

 

 

 

 

 

プチリ

 

 

 

テンカワアキトと聞いた途端、アヤカの中で決定的な何かが切れた。

「…………次はテンカワさんですか?私の方は準備万端ですよ?さあ、何時でもどうぞ?

………………………………………ククククククククククククク」

何やらとても怪しい笑みを浮かべるアヤカ。

殺気がみなぎっている。

「ひい!?」

アキトはどうやら身の危険を本能的に悟ったらしい。

瞳から一筋の涙が流れている。

「………………どうしたんです?後がつかえてますよ?

早くして下さい……………ククククククククククククク」

敬語で喋っているのが恐怖心を倍増させる。

「は、はひ!?」

(お、落ち着くんだ俺!!大丈夫だ、模擬戦で殺されるはずが無いじゃないか!?

憎しみだけがパワーアップしているぞ!!アイちゃん!!(半狂乱))

「……さあ!!準備は良いですね?テンカワさん。それじゃあ始めましょうか?

……………………フフフフフフフフフフフ」

GO!!

(大丈夫だ。速効でけりをつければ…………)

「ブタのような・……………」

アヤカが独り言をぼそっと呟く。

「え?」

アキトにはそれが聞こえなかった。

これを幸運と取るか不運と取るかはその人次第。

…………………しかし、どちらを選んでも結末は同じ。

詰りは……

「悲鳴をあげて死ねえええ!!!!!!」

「ひぎゃああああああああああああああああ!?」

「塵に過ぎない貴様は塵に帰れええええええええええええ!!!!!!!」

「ぐひゃあああああああああああ!?」

地獄、と。

 

………………余りにも惨すぎるので(略)

 

 

 

 

 

「ええ、あれは最早勝負とは言えませんでした。

今、思い出しても身震いしますよ」(ネルガルの社員Pさん談)

「一言で言うなら『私刑』、かな?」(ピザのはしっこが好きなパイロットH・Aさん談)

「コ、コックピットが……コックピットがアアアアアアアアアア!?」

(髪を染めているパイロットR・Sさんだん)

「すいません、

ナデシコ降りていいですか?」(コック兼パイロットA・Tさん談)

「あ、イヤ、テンカワさんの顔を見たら急に視界が血のように赤く

なったんですよ…………

それからの記憶が無くって……」(エステ小隊隊長(諸悪の根元)A・Tさん談)

 

 

 

 

結果

最多勝利者

タチバナアヤカ 6勝0敗

 

最多惨敗者

ヤマダジロウ

 

 

 

 

「……という訳で頑張って下さい。ヤマダさん」

「何いいいいいいいいい!?(ガビーン)」

「へえ〜、二郎君って結構弱いんだ〜。

コックのアキト君や即席パイロットのジュン君にまで

負けちゃうなんてえ〜」

「お前本当正規パイロットか?

「マ、負け犬……クククククククク…………」

「……パイロットとしては0点ですね?ヤマダさん

「なあんだ。僕を倒したのはまぐれだったのか」

「あ、えっと……俺が勝っちゃって、良いの?」

などなど、みんなヤマダの事を思って、温かい励ましの言葉

を掛けてくる。

「コ、今回は『こんでぃしょん』が悪かっただけだ!!」

必死に弁明するヤマダ。

「……戦場では何時もコンディション万全で戦えると思っているのですか?」

「……ええい!!五月蝿い!!お前はエステの整備をしていれば良いんだ!!」

「はあ…………これを渡しておきます」

そういってアヤカは一枚のCD−ROMを差し出す。

「……十冊分の戦術理論が入っています。火星に到着するまでに読破して下さい」

「俺はこんなもん読まなくても十分強い!!」

「戦場では一体多数が常です。

シミュレーションといえど一度も勝てない人の何処が強いというんですか?」

「五月蝿い!!俺は強いったら強いんだ!!貴様の助けなんぞかりん!!」

「………………黙れ」

「……!!」

「戦術のセの字も使えないパイロットなどヒヨッコ以下です。

そんな奴が戦場にいた所で弾よけにもなりません。

……それでも戦いたいと言うのなら……味方を巻き添えにして死ぬというのなら、

今、ここで私があなたを始末します。その方が後々の被害が少なくて済みますし」

アヤカはヤマダに銃を向ける。

「ふん、どうせこけ脅しだろ!?俺にはそんなもの効かないぜ!!」

ドン

……銃弾がヤマダの頬をかすめる。

「……な!?」

「……………………屑や塵が何人死のうが私には関係ありません。

……貴方に同情した私が間違っていたようですね」

人の命を何だと思っているんだ!?」

恐怖感のせいか、声が少し裏返っている。

「貴方の我侭で無駄な犠牲が出るよりは、ましな処置だと思いますけどね」

……彼女は本気だ。

「…………」

(この冷たくて、希望も未来も何処か遠い所へ置いてきた感じ……何処かで?)

「さあ、如何します?選択権は貴方にあります」

「ち、畜生!!見てろよ!!お前なんてあっという間に追い越してやる!!」

捨て台詞を叫びながらシミュレーションルームを出て行く。

 

 

 

 

「……あ!!俺、ホウメイさんに呼ばれてたんだ!!じゃ、じゃあそういう事で」

「わ、わたしも!!」

「俺もそうだった!!それじゃあな!!」

皆次々とその場から離れていく。

 

 

 

 

「……見事な演技でしたね、アヤカさん。やはり貴方を雇っておいて正解でした」

「……本気ですよ。私は。そのままいけば、ヤマダさんを殺さないにしても、

骨の一本や二本くらい折っていました」

「……なら尚更だ……部下思いですね。貴方は」

「……彼らには何としても生き残って欲しい……当たり前の事をしたまでです」

「……貴方はスキャバレリ・プロジェクトの件、如何見ます?」

「成功する確率は0%に近いですね」

「………………ほう!!それは何故ですか?」

「一つ、彼らが『腕が一流でも民間人』である事。

二つ、この艦の性能。

三つ、『彼ら』がナデシコ設計者である事……ですね」

「?この艦は最新鋭の戦艦ですよ?何か不満でも?」

「…………『コピー』でしょう?この艦に使われている殆どの技術は」

「…………な!!何処でその事を!?」

驚愕の表情を隠しきれないプロス。

「……『コミュニケ』、『ディストーションフィールド』、『Gブラスト』、『相転移エンジン』

これらは全て唐突に歴史の表舞台に出ています。

前身となった『技術』が全く無い……

と、言う事は少なくても貴方達が作り出した技術ではないはずです。

『1』を『2』に昇華させる事で『道具』は進歩していきます。

……しかし、これらの『技術』は『2』だとしたら『1』が無い。

……唐突に『0』から『1』になっています。

『無』から『有』を作り出した?いえ、違いますね。

そんな所業が出来る奴は少なくとも人間ではありません。

……人類の繁栄を脅かす立派な化け物でしょうね。

……『発掘』したんでしょう?これらの技術を」

「……参りました。当たりです。トップシークレットなので詳しくは教えられませんが」

「…………………良いです。私には関係ない事なので」

「……貴方の目的は何です?何故この艦に乗り込んできたのですか?」

「まあ、『蜥蜴星人をやっつける為』とでもしておいて下さい」

「……それでは、そういう事にしておきましょうか」

含みのある笑いをする二人。

「……では、私は部屋で休ませてもらいます。いろいろと疲れましたから」

「……おっと、待って下さい」

プロスは部屋で

休もうとシミュレーションルームを出て行こうとするアヤカの肩を掴む。

「……なんでしょう?パイロットの仕事は終わったはずですが」

「……アナタ、自分の部署を思い出して下さい」

「……え?」

 

 

タチバナアヤカ

エステバリス小隊隊長整備主任。

 

「……駄目ですか」

プロスはにっこり微笑みながら、

「ええ。駄目です」

 

 

 

 

一方その頃

???(場所特定不能)にて。

黒ずくめの男が、真っ白い、何もタイトルが表記されていない本を読んでいる。

「『テンカワアキト、火星の後継者の乱後、歴史を変えようとするが、

連合軍およびネルガルSSに暗殺される』か。愚かな奴だ。

『後悔』するのなら復讐なんてしなければ良い。

…………『過去』に縛られた愚か者め」

 

 

 

 

設定資料

〜ネタ切れです(早いな、おい)〜

 

 

 

 

マキイズミ

 

 

 

アマノヒカル

 

 

 

スバルリョーコ

 

 

 ■リコンキチ●イ大量虐殺犯。

 

 

 

 

 

 

後書き

 

前回の後書き、2行しかまともな文章を書いていない事に気がつき、軽い絶望。

そんな訳で今回は真面目に書こうと思います。

 

今回から数話、自称村人Aのアキト君、チョイ役です。

回想に出てくるとか、そんな感じ。

 

ヤマダジロウ、見事に雑用行。

まあ、所詮奴は出てきてすぐ退場がお約束すから。

 

………………ぐあ、話題がこれだけ。

真面目には書けませんか<自分

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

U-conさんからの投稿です!!

うお? 何だか話が大きく変更されてる?

いや、それ以前にあのアキト君はどうなった?

どうみても、このアキト君は過去の良い子バージョン!!

あの壊れた彼は何処へ?

・・・って、変わりにオリキャラと黒尽くめさんがいますけど?(爆)

う〜ん、今後はどんな話になるんだろうか?

でもガイ・・・弱すぎ(笑)

 

それでは、U-conさん投稿有り難う御座いました!!

 

感想のメールを出す時には、この U-conさん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!