明日も知らぬ僕達
第拾壱話 氷雪に閃く紅刃
Side Kouiti
「……提督、俺達には命令拒否権が認められるみたいなんですけど、実際にそれを行使できる場面ってあるんですか?」
「無いに決まってるじゃない。 使ったが最後、あんた達は反逆者よ。」
「じゃあなんで認められているんだ……」
「知らないわよ。形式的な意味合いしかないんじゃないかしら。」
だったら認めるな……
ってぇか、これって「認められている」って言うのか?
「でしたら、最初からそう言って下さい。
紛らわしいですし、思わず使いたくなっちゃうじゃないですか。」
ユリカちゃん、ハッキリ言うね……一応、君、軍側の人間なはずだけど……
それにしても、「思わず」で使いたくならないで欲しいな、こんな危ない物……
「この辺の建前は、結構大事な物なのよ?
まあ、あの親馬鹿に甘やかされて育ったあなたには、判らないでしょうけど?」
「む〜〜〜〜〜。」
……近親憎悪、か?
まあ確かに、ユリカちゃんもムネタケも、「偉大な父親」を持った子供だものな。
ユリカちゃんは、「その父親の大きさに、見合う才能がある」と周囲に認められているだけに、そう認めてもらえていないコイツには、憎たらしく思えるんだろう。
ただ、ミスマル提督が親馬鹿だってのは、同感だけど。
ちなみに俺の親父は……かなりでかい温泉宿の会長だ。
でもあの親父は、実の息子と妻よりも、姪達とその母親の方が大切だったらしい……
親父は死んだ叔父から、その温泉宿を継ぐ為に、俺やお袋を火星に残して地球に行ってしまったのだ。
確かに、実家の鶴来屋を潰すワケにはいかないってのは判るけど、妻子を火星に残してほったらかしは無いだろう。
おまけに、俺が中学の時、お袋はそれまでの無理が祟ってあの世行き。
俺は地球に行って、軍学校に入る為にあれやこれやと苦労したけど……親父を頼るつもりにはなれなかった。
それでも親父は裏から色々と手を出していたみたいで、しかもそれがなければ俺はここにいないのは判っている。
けど、頭では判っているから、余計に腹が立つ。
親父が、鶴来屋を継ぐ為に地球に行ったあの日から、俺と親父がマトモに接触したのは、一年半前の叔母さんの葬式だけだ。
まあ、それは今は関係ないか。
「で、何か命令はないんですか?」
「勿論あるわよ。今回の命令はね、親善大使の救出よ。」
あの白熊か。「今回」もやっぱりそうなのか?
「で、その親善大使は何処に?」
「ここ、北極海域ウチャツラワトツスク島よ。」
……この名前で良かったんだっけ?
憶え辛い名前の島だって記憶してたから、多分「今回」も「過去」や「二度目」と同じなんだろう。
………多分。
Side β
それは……俺が子供の頃の光景……
「アーキートーー!! 何してるの? ポンポン痛いの?
ねえアキト!! ねえってばっ!! どうしたの?」
「…あっちにいっててよ、ユリカ。」
「それじゃアキト!! 元気が出るおまじないしてあげよっか?」
「元気が出るおまじない?」
「うん、だから目を閉じて。」
そして、俺の視界が暗闇に支配された数秒後……
俺の頬と、ユリカの唇が触れ合った………
「夢……か…………
過ぎ去りし想い出の、日々……か。」
あの頃はまだ、火星にも人がいて……
俺にとって、あの空のナノマシンの輝きが当然で……
何よりも………
「父さん……母さん…………」
俺の両親が、生きていた………
そういえば、今の夢に出てきた、あの木々と湖は一体どうなったんだろう?
やっぱり………消えて無くなっているのかな……
Side Hiroyuki
「ひーろゆーきちゃーーん。」
この声は……あかり、か?
「ヒローー、あんたまた寝坊?」
志保……か。
ここは……あの頃の、通学路………か?
なんで、なんで俺に、こんな物を見せるっ!!
もう……ここには、戻って来れないのに……!!
「おはようございます、浩之さん……」
やめろ……
「浩之、あんた姉さん泣かせたら、タダじゃすまないわよ?」
止めろ!
「ふぇ〜〜〜ん、浩之さ〜〜〜〜ん!!」
止めろっ!!
「浩之さん。」「やあ、浩之。」「浩之。」「あんた、もう少し勉強したらどうや?」「Hi!! ヒロユキ!!」「浩之さん。」「先輩っ!!」「小僧!!」「浩之さん、おはようございます。」「藤田君、お金貸して〜〜っ!!」…………
止めてくれぇぇ――――ッ!!
「なんで、私達から逃げるんですか? 浩之さん?」
「ひょっとして、あんた、あたし達の事、こ――た事を気にしてるの?」
ウワァァァァァァァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァアアアアアァァァアア―――――――――――
――――――――――――ッ!!
「ゆ、夢………?」
気が付くと、俺はベッドで寝ていた。
前身くまなく嫌な汗に覆われ、心臓はとんでもない速さで鼓動し、息は絶え絶え、喉はカラカラだ。
俺の顔は、間違い無く真っ青になっているだろう。
「にしても、なんつー夢を………」
Side β
「……って、夢を見たんだが。」
「奇遇だな。俺も今朝、その夢を見たよ。」
「そう、か……」
「どうした? β?」
「いや……なんでもない。
ただ、今、俺達と一緒にナデシコ改に乗っているユリカは、今の夢に出てきたユリカじゃない。
そう思うと、どうにも……な。」
「……わりぃ。」
アキトが済まなそうに頭を垂れる。
「気にするな。お前が悪いんじゃない。
それに今更昔の事を思い出したからと言って、今が変わるワケじゃないからな。」
「そうか……」
そんな事を話しながら、俺とアキトは食堂に向かっていた。
「ねえβ、ちょっといいかい?
ちょっと、前からあんたに頼んでみたかった事があるんだけどねぇ。」
俺は朝食をとっていると、いきなりホウメイさんにそう話しかけられた。
「何ですか?」
「あんたさ、記憶が途切れるちょっと前まで、大衆食堂で働いていたんだろ?」
「……はい。」
正直、あんまり良い思い出じゃないんだがな。
IFSとバッタ恐怖症のおかげで、事ある毎に「臆病パイロット」呼ばわりされて、結局それが原因で首にされてしまったんじゃあ、良い思い出になりようがない。
「だったらさ、暇な時で良いんだ。
食堂の方さ、手伝っちゃくれないかい?」
「………は? どういう事です?」
「あんた、別に「プリンス オブ ダークネス」みたいに、味覚が無くなっているワケじゃないんだろ?
だったらあんた、まだコックとして使い物になるんじゃないのかい?」
……確かにそうだ。 俺の味覚は無事だ。
復讐を諦めても、火星にいた頃からの、コックの夢がまだある。
ヤマサキに最愛の妻を奪われ、夢を壊されて、復讐しか残されていなかった「プリンス オブ ダークネス」とは……違う。
今の奴には五感が戻っているが、そんな物は結果論でしかない。
それを考えれば、俺はまだマシな人生を歩いているんだろう。
だが……
「すみませんけど、今は………
奴等への……復讐しか………」
「……そうかい。」
そう言ったホウメイさんは……随分悲しそうだった……
Side Akito
流石に、未だ復讐が果たされていない状態で、復讐以外の事をするつもりにはなれない……か。
これでも結構、βの態度は軟化しているんだけどな。
起きあがってから2,3ヶ月頃は、ほとんど「プリンス オブ ダークネス」そのままっだったからなぁ。
メグミちゃんなんかには、思いっきり避けられてたし………
影護姉妹相手だと、物腰が柔らかくなるけど……命の恩人だからか?
ん? アカツキ……か? 何のようだ?
「やあ、テンカワ君。
今暇ならちょっと付き合って欲しいんだけど……」
「付き合うって、何にだ?」
「何って、シミュレータだよ。
僕だってパイロットの端くれだからね、かの「メタルファング」の手並みに興味があるのさ。」
「……そういう事にしておいてやるよ。
だが、生憎と今は食事中だ。」
鍛錬は……まあ、皆には連絡入れとくか。
ちょっとアカツキと模擬戦して、その後にカズキ達と鍛錬……だな。
「判った。じゃ、ご飯が済めば良いんだね?」
「ああ。」
「それじゃ、僕はトレーニングルームで待ってるよ。」
アカツキはそう言って、食堂から出ていった……
「……アカツキ。なんだ、このギャラリーは。」
「僕だってさ、君とゆっくり男同士、腹を割って話をしたかったんだけどさ……」
今、トレーニングルームには、俺とアカツキの他に、他のパイロット達と北斗がいる。
何故かヒロユキの姿が見当たらないが……
どうも、アカツキの奴、通路で会ったリョーコちゃん達三人にからまれて、俺と模擬戦する事を吐いてしまったらしい。
で、彼女等が他の連中を呼び寄せて、こうなった、と。
ちなみにヒロユキは気分が悪くて、医務室で休んでいるらしい。
「気にしない、気にしない♪」
「俺達も、久しぶりにテンカワと模擬戦したいからな。
どうせ一対一じゃ、勝ち目無いんだろう?」
「そりゃあそうだけどさ……」
「それじゃ、テンカワ対その他全員で、」
「ちょっと待ってリョーコちゃん。
いくら俺だって、物量にゃぁ勝てないんだよ。 それ判ってて言ってる?」
「火星につくまでの間、俺達をおちょくってくれた罰としちゃ、丁度良いだろ?」
「……判ったよ。」
Side Akatuki
うわ、僕達を相手にしている時と、カズキ君やβ君を相手にしている時とじゃ、動きがあからさまに違うよ。
三人の戦いはワケの分からないレベルに達していて、巻き込まれて撃墜された時は、もう何が何だか……
で、僕がドロップアウトしてから三分後、
「甘いな、β。」
「くそっ!!」
その会話と同時に、β機のアサルトピットがイミディエットナイフで貫かれる。
これで、僕達は全滅と相成ったワケだ。
この一戦の後、皆は引き上げて行き、トレーニングルームには僕とテンカワ君だけが残された。
「さて、と。テンカワ君、今度は一対一だ。」
「……本気でやるつもりか?」
「僕じゃ君にどうやっても敵わないのは、判ってるよ。」
「別の意図があるとでも?」
「さっき言ったと思ったけどね、君と男同士、腹を割って話がしたいんだよ。」
「……了解。じゃ、シミュレータの中に入れ。」
「ひゅぅ、やっぱり凄いね君。猛烈なプレッシャーを感じるけど、その反面位置を特定させてくれない。」
「俺に対する批評なんぞをする為に、こうしているワケじゃないだろ?
あんまり無駄話が長いと、問答無用で叩き落して、おひらきにしちまうぞ。」
僕は通信があった方向に火線を送る。
「ひゅぅ、なかなかやるな。」
「……嫌味にしか聞こえないよ。
まあいい。 本題に入ろうか。」
僕が聞きたい事は二つ……
「まず最初の質問。と、いうか、これは確認だね。
君達、木連って聞き覚えないかい?」
「……やっぱ、バレるか。」
「そりゃあ、「木星蜥蜴」から奪った「有人兵器」ブローディアって物的証拠があったら、ね。」
「じゃあどうする? 今すぐナデシコ改を反逆者に仕立てて、クルーを皆殺しにするか?」
うぉっ、向こうは威嚇のつもりなんだろうけど、この殺気はちょっと洒落にならないっ!!
で、でも、まあこんな時でも慌てず騒がず……
「た、確かに立場上そうしないとマズイんだけど、君や北斗君を出し抜くなんて無理な話だからねぇ。
それに、どういうワケだか、プロス君がそちら側につけているし。」
「いや、別にプロスさんは俺達に寝返ってるわけじゃないぞ。
ただ、ナデシコ改と敵対する事はネルガルの利益に反する、ってんで俺達に協力してくれてるのさ。」
「ナデシコ改と敵対する事はネルガルの利益に反する?
どういう事?」
「ナデシコ改にはルリちゃんとフィリスさん、二人のマシンチャイルドが乗っている。
で、マシンチャイルドって奴は、最強のハッカーでもある。
おまけに、この件に関しては、オモイカネは全面的に俺達の味方だ。
今の世の中、コンピュータ管理されていない情報なんざホンの一握りだ。
お前、それでも彼女達とオモイカネに喧嘩売る気になれるか?」
「……嫌過ぎるね。でも、彼女達に的を絞って……」
「俺や北斗は出し抜けない、って言った奴は何処のどいつだ?
更に、ナデシコ改にある脅威は彼女達だけじゃあない。」
「え〜〜と、誰なんだい、その脅威って?」
「俺やβといった、戦闘力をもつA級ジャンパーさ。
俺達はチューリップクリスタルさえあれば、ボソンジャンプで何処へでも行ける。
だから……」
「いきなり会長室にジャンプして、僕を射殺してサヨウナラ、って事もできるってワケかい?」
「そういう事。
ナデシコ改が沈むのが先か、木連の事を秘密にしたがってる連中が、俺達に殲滅されるのが先か。
どっちにした所で、ネルガルの損害は洒落にならないはずだ。」
「なるほどね………」
ジャンプで直接、暗殺対象の所に押しかける……か。
………こうして考えてみると、ジャンプ対策って重要なんだね……
あれ? でも、だったらなんでテンカワ君が、ジャンプ対策の開発依頼なんかするんだろう?
……まあいい。今はその話じゃない。
「でもさ、反逆者になったら、連合宇宙軍が全力を挙げてナデシコ改を沈めに来ると思うけど……」
「だったらナデシコ改が沈む前に、とっとと邪魔な連中を皆殺しにするよ。」
「言うねぇ。」
「で、どうするんだ? やっぱり、秘密を知っちまった以上、ナデシコクルーにゃ死んでもらう、ってか?」
「いや、それ無理。
僕は、これでもネルガルの会長だからね。
秘密とネルガルそのものを天秤にかけたら、そりゃネルガルになるさ。
だから、ネルガルそのものを犠牲にしてまで、秘密にしておきたいとは思わないよ。」
「周りはどう思うか判らないけど、か。」
「ああ、そうだね……」
「じゃあ、ネルガル会長としては、ナデシコ改は放っておいて構わない、と?」
「というか、そうせざるを得ない。自社の戦艦と喧嘩して倒産じゃ、笑い話にもならないよ。」
「面従腹背って事は?」
「後が怖すぎ。 僕はまだ死にたかないよ。」
「社長派や他の会社は?」
「社長派は、確実に面従腹背ってやるだろうね。
他の会社は僕の知ったこっちゃないよ。 確かに、色々と探らせてはいるんだけどね。
まあ、どこもナデシコシリーズの事を快く思ってない筈だから、反逆者に仕立てようとするんじゃない?」
「了解。で、話はこれだけか?」
「いや、もう一つだけ。」
こっちは、まあ個人的な興味でしかないんだけどね。
ジャンプ対策の事も気になるけど、少し間を空けて、質問内容を良く検討したいから、今回はいいや。
「β君って、君に無茶苦茶似てるけど、あれってなんで?」
そう、テンカワ君とβ君はよく似ている。
まるでどちらかが鏡から抜け出した虚像なのか、と思うほどに……
「……他人の空似って奴だろ。」
「そのレベルを、大きく逸脱しているような気がするのは、僕だけかな?」
「俺だって、今回火星に行くまで、アイツとは会った事もなかったんだ。
もし、何かしら理由があったとしても、俺は知らないぞ。」
「……判ったよ。」
と、次の瞬間、僕のアサルトピットが背後から撃ち抜かれた……
Side Jun
「じゃあ、北辰や草壁は、俺達の事を警戒している、と?」
「ああ。
まぐれとはいえ、あんな奴を退けたんだ。
間違い無く、「地球側最強の部隊」と認識されているだろうな。」
「なるほど。」
確かに北斗の言う通りだよな……
俺が元いた世界で、まぐれでもテンカワを退けられる面子って言ったら……
ナデシコ隊……却下だな。テンカワに対する依存が強すぎる。
例え躊躇無く戦えたとしても、その支柱たるテンカワを欠いた状態では勝負にならない。
優人部隊……駄目だ。まだ弱かった頃のテンカワでも、そこそこ戦えたレベルの彼等ではお話にならない。
優華部隊……ナデシコ隊に匹敵する力を持ち、依存心もほとんどない彼女達なら…無理か。
結局、北斗以外ではテンカワを止められなかったし……
北辰+六人衆……優華部隊の方が、まだ見込みがあるな。
結局、「北斗しかいない」って結論に行きつくわけか……
「という事はだ、何時、俺達の目の前に、深遠が現れてもおかしくない、って事か……」
「そういう事だな。」
「おまけに「過去」や「二度目」同様、木連とクリムゾンが繋がっていた場合、突然、問答無用で反逆者の烙印を押される、って可能性もあるな。」
「は? どういう事だ、カシワギ?」
カシワギの一言に戸惑う俺。北斗も大分困惑しているようだ。
「クリムゾンが完全に木連の味方だった場合、木連にとって邪魔な俺達は当然連中にとっても邪魔だ。
だから、ナデシコにはとっとといなくなって欲しいはずだ。
で、連中は、地球側にも多大な影響力がある。
戦艦一隻、反逆者に仕立てるなんて軽いだろうな。
それを利用してナデシコを反逆者に仕立て上げれば、木連にとって最悪の敵は、地球側の手で排除される。
これで木連は、一兵も犠牲にせずに、深遠を退けたナデシコを葬る事ができる、ってワケだ。」
「……なるほど……厳しいな。」
「しょうがないだろ。あそこで深遠を退かせてなけりゃ、俺達は皆殺しにされていただろうし……」
「で……これからの方針とやらは決まったか?」
「そうだな……現状で俺達の味方になってくれそうな軍人はミスマル提督一人だけ……
「二度目」みたいに事が進んだとしても、オオサキ・シュンとタカバ・カズシの二人が追加されるくらいか。
グラシス中将は……アキトがああだから多分無理だろうし、あんまり世間で「有能」と呼ばれている人ばかりで固めると、暗殺の対象にされるだろうし……な。」
「それでムネタケ、ってわけか?」
「ああ。 まさか、アイツを暗殺しよう、ってな奇特な奴はいないだろうしな。
ムネタケには、ミスマル提督なんかに注目が集まっている裏で、色々と工作してもらうつもりだ。」
「……そうか。ま、味方が少ないから、この際贅沢は言わないよ。
後は、テンカワ立案の「オペレーション・メリークリスマス」がうまく発動してくれれば、なんとか和平へのメドは立つだろう。」
「「オペレーション・メリークリスマス」? なんだ、それは?」
「北斗。コイツはちょいと重要な作戦でね、悪いが、お前にはちょっと話せない。
枝織ちゃん経由で、北辰の耳に入る可能性があるからな。」
「それか……いや、そうだな。判った。」
「テンカワ曰く「全ての人にクリスマスプレゼントを贈る」作戦だ、っていうんだが……
ハッキリ言って、相当強引な作戦でね、成功率は低いんだ。」
「……ワケが判らないな。」
「ま、この説明じゃ、な。」
正直、初めてこの作戦を聞いた時は、テンカワの正気を疑った。
アイツ、アースサイドは良いとして、ジュピターサイドの細工はどうするつもりなんだ?
もっとも、確かに、これが成功すれば和平がグッと近づく。
何しろ、戦争の原因、しかも両軍の大義名分に使われている物を、無理やり排除してしまう作戦だからな。
「まあそういうワケで、今後の方針は
深遠を警戒しつつ、連合宇宙軍からの命令をこなし、その裏で「オペレーションメリークリスマス」の布石を打つ
ってところかな?」
「クリムゾンはどうするんだ?」
「現状じゃあ、俺達に対抗手段は無いから、どうしようもないよ。
幸い、アカツキがアキトに手を出してくれているから、それを逆手にとって味方に引き込めれば、ネルガルを後ろ盾にできるけど……
それが出来たとしても、アカツキが完全に味方になるまでは、俺達は無防備といっていいだろうな。」
「そうか。それまでにクリムゾンに動かれたら、アウトだな。」
「ああ。」
これで、この場は解散となった。
Side Ruri
「……え〜〜〜と……」
「何たって、こんな所にチューリップが十基もあるのよっ!!」
「……いきなり、これか。」
今、ブリッジのメインモニターに映し出されたレーダーは、この作戦の事前情報には無かった十基のチューリップが表示されています。
それだけ木連は私達を警戒している、と言う事でしょうか?
ちなみに、元のナデシコのレーダーでは、吹雪の影響とレーダーレンジの問題で、巨大なチューリップといえども確認できない筈なんですが、その事についてはキノコ提督やエリナさんには伏せてあります。
話すと、お二人とも五月蝿くなるのが目に見えてますので……
「で、どうするんだ? カシワギ?」
「あの警戒網を気付かれずに突破、なんて無理だろ?
ここはナデシコそのものを囮に使って、本隊が戦闘中の間に、別働隊が親善大使を回収。
それが確認出来次第トンズラ、ってところかな?」
「あら、随分消極的じゃない。
あのブラックサレナだか、ブローディアだかって新型があるから、もっと強引でも、それこそチューリップの殲滅くらい軽いんじゃないの?」
「……提督が以前、反乱を起こした時に言ったと思いますけど、連中には知能があります。
だから、出来得る限り、手の内は見せたくないんですよ。」
「第一、提督ってブラックサレナやブローディアについて、どれほどご存知なんですか?
それに、もし、この二機で敵の殲滅が可能であっても、それは機体の性能とパイロットの腕。
提督、あなた自身の力ではないんですよ?」
「キーーーーッ!! うるっさいわねっ!
子供のクセして、何、知った風な口聞くのよっ!!」
「私、少女です。」
ま、確かにブラックサレナとブローディアの実力なら、チューリップ十基程度なら、簡単に殲滅できます。
ただ、あんまり度の過ぎた活躍は、私達の行動を制限しかねませんので……
それに、「ナデシコ改の力=自分の力」と勘違いされると、艦長の方の計画も台無しになってしまいます。
ま、こんな事が判らない人を味方につけても、足を引っ張られるだけなんですけどね。
そんな事を考えていると、艦長が
「こらルリちゃん。」
と言って、私の頭を軽く小突きました。
「さて、と。
提督、今回はあくまでも救出任務ですので、敵の殲滅より、救出目標の安全が優先されます。
それを考えると、チューリップを殲滅している余裕はない、と思った方が良いでしょうね。」
「……判ったわよ。」
「アオイ、ユリカちゃん、プロスさん、あと皆。何か意見は?」
「私はこの作戦に賛成ですね。」
「私もです。」
「私も、合理的な作戦だと思いますよ。」
「俺も、悪くないと思う。」
「うん、私もコウイチ君の作戦にさんせ〜〜い♪
でねでね、コウイチ君。
その作戦でいくなら、別働隊と本隊の合流地点ってこの辺がいいかな?って思うんだけど、どうかな?」
副提督はそう言いながら、地図上のある一点を指差します。
その地点を見た艦長は、ほんの少しだけ思案した後、こう言いました。
「良し、じゃあ合流地点はそこにしようか。」
「あ、あの、艦長? なんか副提督、かなり適当に指差したように見えたんですけど……」
「ルリちゃん、こういう時のユリカちゃんの直感を甘く見ちゃぁいけないよ。」
「……そういう物なんですか?」
「これに関しては、俺もカシワギと同意見だね。
実際、シミュレーションで対戦してると、やろうしている事を全部見透かされている様に感じる奴って、ほんっとうに多いんだからね。」
「……判りました。」
「それじゃあアオイ、本隊はお前の方で動かしてくれ。俺は別働隊を指揮する。」
「おいおいカシワギ、そういうのって普通逆じゃないのか?」
「まあ、そう堅い事言うなよ。
で、引き受けてくれるか?」
「……判ったよ。」
「頼りにしてるぜ、相棒。」
「あんまり期待するなよ。」
Side Jun
あの後、カシワギは別働隊と一緒に、ナデシコを離れた。
ちなみに別働隊のメンバーはカシワギ、センドウ、βの三人だ。
このメンバーを見るに、カシワギの奴は、生身の人間が敵として出てくる事を想定しているようだ。
ま、深遠が何時、何処で襲ってきてもおかしくない状況なんだ。
この程度なら、用心の内にも入らないだろう。
それはともかく……
「で、どうするんですか? 副艦長?」
「そうだな……あと3分半まって、一番近くのチューリップにグラビティブラストで先制攻撃をかける。
これで、チューリップが落ちたら、こちらから距離を詰めてエステバリス隊で攻撃。
チューリップが落ちなかったら、逃げ道を確保しつつ防戦。
そして、どちらの場合もカシワギからの連絡があり次第撤退する。
これでいこう。」
「了解しました。」
「メグミ君、パイロット達に、アサルトピット内での待機を通達して。
後、敵はこれだけの大群だ。DFSの使用許可も、出しておいてくれ。」
「了解です。」
「良いんですか? DFSの使用許可なんか出してしまって。」
「良いんだよ。
あんまり出し惜しみし過ぎても、却って問題になってしまうだろうからね。」
「……判りました。」
ふぅ……緊張するな。
実の所、俺自身が指揮をとるのって、「前回」の頃を入れても、今回が初めてだからな。
俺のミスが、即クルーの死に直結する。
「一度目」にしろ「二度目」にしろ、ユリカって、学校出たての時分から、よくこんな緊張感に耐えていたものだ。
もっとも、それもユリカの才能の一端なのだろう。
「ジュン君、プレッシャーを感じるのも良いけど、あんまり肩肘張らないでね。
ジュン君本来の力が出し切れなくなるよ。」
「……ああ、判ってるよ。」
落ち着け……落ち着くんだ。
いくらテンカワの庇護の下、ユリカの補佐ばかりしていた、と言っても、俺だって戦争を潜りぬけている。
それだからこそ判る、実戦の空気を……感じ取るんだ!!
誰一人……無駄死にはさせない!!
「エステバリス隊、スタンバイ完了しました。」
「副艦長、そろそろ3分半経ちます。」
「よし、グラビティブラスト発射!! 目標、前方のチューリップっ!!」
グォォォォオォォォォォォォッ!!
その重力の矛は、チューリップをいとも容易く打ち砕くっ!!
「エステバリス隊発艦っ!!
ナデシコは微速前進っ!! エネルギーは防御優先!!
グラビティブラストのチャージは余裕があったらでいいっ!!」
そして、俺の指揮官としての、初めての戦いが幕を開ける……
Side Kazuki
俺達別働隊を乗せたシャトル(重力波ビームが届かないので、エステは使えない。)は、随分とアッサリ親善大使を発見できた。が…
「編み笠の男が七人……ま、北辰と見て間違い無いだろうな。」
「ク、クククク……まさか、こんなにも早く、チャンスが巡ってくるだなんてな……」
親善大使の周りに北辰と、その部下らしき人影が立っていた。
連中の背後には、シャトルがある。
連中は、どうもそいつに乗ってやって来たらしい。
やっかいな連中ではあるが、βの奴はえらく嬉しそうだ。
「で、どうするんですか、コウイチさん。」
「別に、予想していた事態なんだ。
むしろ夜天光や六連が出てこなかっただけ、マシな展開だろ。
このまま着陸。 向こうが攻撃してくるようなら反撃するぞ。」
「了解。」
「……なんで専守防衛なんだ? 別にこちらから行っても……」
「連中の強さが「過去」と同じだという保証は、何処にも無い。
それに、俺達は「木連なんて知らない」って事になっているんだ。
いくら北辰相手とはいえ、生身の人間には、迂闊に手を出さない方が利口だろうな。」
「……判った。」
βの奴、不承不承に了解した、って感じだったな。
……まあ、ああいう目に会わされていたのなら、北辰を殺したくてしょうがないはずだし、だったら当たり前の反応か。
「ム……貴様は………」
「憶えていたか。 忘れられていたとしても、不思議ではなかった筈だが……」
「よもや、生きているとはな。」
βが北辰とそんな話をしている後ろで、俺とコウイチさん(怪物Ver)がシャトルから降りる。
βはそれを一瞥すると……
「さあ、北辰。殺し合いを始めよう。」
「笑止。」
戦い……殺し合いの火蓋を切って落した。
Side Kouiti
……正直、今のβで北辰を殺るのって、難しいと思うんだが……
ま、それはここで言っていてもしょうがない。
それよりも確実なのは、ここで横槍を入れてはならない事だ。
あいつは……今のβは、北辰を殺す事のみを存在理由としているから……
が、六人衆はそんな事には構わないらしい。
俺は、横からβを攻撃しようとしていた一人に近づき、その男を殴り飛ばす。
無論、手加減などしない。
何のつもりで深遠を伴わずに現れたかは知らないが、こんなチャンスは二度と巡ってこないだろう。
だから、こいつ等七人にはこの場で死んでもらう。
考え方が物騒になるが、今は殺るか殺られるかの状況だ。
この位は当然の気構えだろう。
俺が殴り飛ばした男はそのまま、極寒の海の中へと消えていった。
……生死を確認できないやり方をしたのは拙かったな。
俺は、他の六人衆に向き直る。
そして俺が見た光景は……
Side Kazuki
俺は、今、ここで人殺しになる。
そんな確かな予感を胸に、俺は向かって来る六人衆を眺めていた。
一人目。
俺に殺人の経験が無い事を悟ったのか、明らかに侮った調子で突っ込んできた。
俺はそれを避けると、手刀でそいつの首を切り落とした。
ボトッ………
それが、俺が最初に人を殺した……瞬間だった……
残りは、俺の事を警戒したのか、遠巻きに見ている。
が、それも、横から突っ込んできたコウイチさんの手で崩れる。
敵の陣形は崩壊し、俺達は残りの四人を皆殺しにした。
そして……返り血を浴びた自分を見て、ふと……
「俺は……何を………」
Side β
北辰は……強かった。
俺など…子供扱いにできる程に……
「ほぅ……それなりに己を磨いたと見える。
だが、この程度では、我を屠るには足りぬ。」
「くっ!!」
俺は、北辰の鋭い突きをモロに浴び、数瞬だが息を詰まらせる!!
咄嗟に後ろに飛んでいなければ、奴の突きは間違いなく俺の身体を貫いていただろう。
そして、体勢を整える暇も有らばこそ、その隙に北辰の連撃が俺を襲う!!
身体中が悲鳴を上げる!!
肉が潰れ、骨が折れ、内臓にもダメージが響くっ!!
意識が……遠のく…
俺はそれを無理に繋ぎ止める。
「まだ立つか……」
北辰はそう言うと、俺にトドメを……
「ソコマデダ。」
艦長……アンタは……………
北辰は……俺の、獲物だ…………………
北辰は艦長を一瞥すると………
「ほぅ、我よりも濃き血の匂いを放つとは………
深遠の他に、そのような輩は存在せぬと思うていたが……
もっとも、深遠に比ぶれば、汝の血臭すら無きに等しいがな。」
「!!!!!」
その言葉に、艦長が驚愕する!!
「マテ!! 俺ガ人ヲ殺シタノハ、今日ガ初メテダ!!
ソレナノニ……オマエヨリモ濃イ血ノ匂イ………ダト!?」
「そうだ、異形なりし者よ。」
北辰はそう言い残すと…自分達のシャトルで、早々にこの場を立ち去ってしまった………
艦長は…ショックで動けなくなっていたらしく、止めることができなかった。
「北……辰…………に、げ………………」
そして、それを最後に、俺は意識を失った…………
Side Jun
俺達の目の前では……「前回」の「この時」のテンカワを彷彿とさせる……フジタの姿があった。
右手にDFS、左手にラピットライフルを携えた緑色の機体は、DFSで次々とチューリップを斬り捨て、ラピットライフルで敵機やミサイルをことごとく叩き落す。
それは「プリンス オブ ダークネス」でなければできない、否、できてはいけない機動だった。
確かに、フジタの動きはあそこまで完璧な物ではない。
実際、フジタは避けきれないミサイルをラピットライフルで叩き落しているが、テンカワは同量のミサイルを全て避けきっていた。
しかし、敵陣のど真ん中で、ディストーションフィールドを捨て去り、DFSを振るって破壊をばら撒くその姿は……
あの禍禍しい姿は、明らかにあの時のテンカワと同じベクトルの物だった。
違うのは、技量だけ……
テンカワの人知を超えた力は、禍禍しさの中にも美しさを添えていたが……
力の及ばないフジタの舞は、ただただ禍禍しいだけ………
結局、カシワギから連絡が来た時には、全てのチューリップが破壊されていた……
Side Uribatake
俺は……ヒロユキが帰投するや、あいつを思いっきり怒鳴りつけていた。
「死にてぇのか、この野郎っ!!
俺達整備班はな、自殺願望者の為にエステの整備をしてるんじゃねぇんだっ!!
死にたいんだったらな、もっと別の方法で死ねっ!!」
「……すみません………」
……妙にしおらしいな、ヒロユキの奴。
とてもじゃぁないが、あんな機動をしていた張本人だとは思えねぇ。
「解ればいいんだよ…
正直、お前がどんな人生を送ってきたのか、何を背負い込んでるのかは知らねぇ。
だがな、相談出来る大人が一応周りに大勢いるだろ?
気が向いたら俺でなくても良い、プロスの旦那や、ホウメイさんにでも相談してみろ。
少なくとも、お前より人生経験は豊富だからな。
…
じゃあな!! お前のエステバリスは今日は突貫で整備だよ!! まったく!!」
ホント、リミッター外してやがったからな、コイツ……
あとでイネスさんから聞いた話によると、戦闘中、一撃であの世行きのあの状況で、ヒロユキの心拍数その他は全く正常だったらしい。
…………
コイツは生身で機動戦ができる人外の化け物だ。
が、どう考えても、それとこれとは別の話だと思う。
ヒロユキ、お前は………一体…………
Side Akito
……ヒロユキのあの狂気………一体なんだったんだろう。
ハッキリ言って、アレはβの憎悪すら凌ぐ獄炎だ。
……いつぞやの、奴とプロスさんの会話が思い出される。
アレが向かう先は……ガディムか。
けど、なんで、こんなタイミングで顕在化するんだ……?
思案を巡らせても、答えが出る訳でもなく…………
「βが北辰に一方的にやられた……だと?」
その知らせは……俺や北斗、それにジュンにとって、衝撃的な物だった。
「確かに俺達があいつを鍛えたのは、たかが四ヶ月かそこらの間だ。
だが、俺もアキトも、北辰なんぞにいいようにやられるほど、ヤワな鍛え方をした憶えはないぞ。」
「だが、事実だ。
俺達が会った北辰……奴の実力は、見た感じ、俺を半殺しにした時の枝織ちゃんに、僅かに及ばない程度だった。
俺やカズキなら、まだなんとかなる相手だったんだがな。
流石に、βには荷が勝ちすぎる相手だったらしい。」
「? そういや、そのカズキは?」
「人殺しになったショックで、少し塞ぎこんでる。
まあ、タフな奴だし、じきに復活してくれるとは思うが………」
「そう、か……なんにせよ、北辰を逃したのは、かなりの痛手だったな。」
「面目無い。俺が、もう少ししっかりできていれば、むざむざ見逃すなんて事……」
「過ぎた事はしょうがないですよ。コウイチさん。」
そうは言いつつも、結構胃が痛い。
これで深遠を排除しない限り、俺達は北辰に近づく事さえままならないだろう。
「それにしても……何故、北辰がそこまで強い?」
北斗が声をあげる。
まあ、彼女は北辰を「いつでも消せる相手」と認識していたから、このパワーアップには戸惑って当然だろう。
けど…俺には、その答えに一つ、心当たりがあった。
「深遠……」
「何?」
「深遠だよ。北辰が深遠に教えを請うたなら、その強さにも納得ができる。」
「「「!!!!!!」」」
その場にいた俺以外の全員が目を見開く。
が、皆、しばしの思案の後、俺の考えを理解し、頷く。
そもそも、これは簡単な話だ。
実は北辰も、北斗同様ライバルや師と呼べる存在がいなかった、と考えられる。
唯一そうなりそうな北斗は思いっきり非協力的、枝織ちゃんに至っては論外。
それを考えたならば、深遠の出現は、北辰にとって福音だったのだろう。
「……洒落にもならないな。」
これで俺達は……深遠以外に、北辰にも気をつけなければならなくなった……
「ところで、話は変わるんだが………ジュン、北斗。
お前等、今日のヒロユキを見てどう思った?」
あの時、俺も戦場にいてバッタや無人艦を落していたんだが、敵が奴に集中していたおかげで、結構余裕を見てあの様子を見る事ができた。
あの……自身の破滅を望むかのような禍禍しき舞踏………
あれを舞うような男は「プリンス オブ ダークネス」を置いて、他にはいないと思っていたんだが……
「あれでは、まるで「前回」のテンカワだな。
自分自身を許せない死神の舞踏……俺には、そう見えた。
まあ、アイツに比べれば、大分拙い部分もあったけどな。」
「ほう、お前には、そう見えたか。
俺には大した腕には見えなかったから、単なる死にたがりにしか見えなかったが……」
「まぁ、お前の基準じゃあな。
それにしてもアイツには…一体、何があったんだ?」
「……その手の話題は、多分聞き出せないだろうな。
俺は「前回」でテンカワ相手に経験済みだから……」
「「経験者は語る」か……そうだな。
素直に吐くとも思えないし、とりあえずは放っておくか。」
そして俺達は、それぞれの持ち場に戻っていった。
深遠の出現や、今回の北辰のような、木連の強大化。
ヒロユキの暴走。
気になる事を山ほど抱えながら……
第拾弐話「南海の出会い」に続く
あとがき
さてさて、伏線張りの時間です。
今回のヒロユキの夢の中で、人名が漢字表記になっているのは誤字ではありません。
それと、オペレーション・メリークリスマス。
どんな作戦なのかは、結構判りやすいかもしれませんね。
でもこれらの伏線って、しっかり責任をもって回収できたら良いんですけどねぇ……
ところで、最近、出てくるキャラが特定の連中になってきている感じがします。
(まあ、こちらの精進不足のせいなんですけどね。)
なので、次のテニシアン島では、ミナトさんや枝織ちゃん、三人娘などにもスポットを当ててみようかな……と思っています。
なんといっても「海だ!! 水着だ!!」って話ですから……(ォィ)
ちなみに、今回北辰達が生身だったのには一応理由がありますが、突き詰めていくとご都合に辿りつきます。
ま、吹雪の中で生身の戦闘をやりたかったからなんですけどね。
単純に白熊を回収してくるだけでは、味も素っ気もあったものではありませんし……
まあ、そこら辺の膨らませ方には、もっと良いやり方があるかもしれませんけど…
それでは、誤字脱字の指摘や感想などをお待ちしております。
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