もしもアキトが○○○○だったら?to the answer
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「アカツキィーーッ!」
今日も平和なネルガルの会長室のドアを蹴破り、男が乱入してきた。
「何だ、テンカワ君か。騒々しい。」
アカツキはくの字に折れ曲がったドアを見て、顔をしかめる。
(高かったんだけどねえ・・・。)
「お前、前々から俺の家にカメラ仕掛けてたろ?」
「うん。相変わらずユリカ君とホシノ君とラピス君で修羅場ってるねえ。」
前々とは、完結編のことです。
「そういえばテンカワ君。君、まだ初めてを済ませてないみたいだねえ。」
アカツキが意地悪く笑う。
「ほっとけ!」
「男として信じられないよ。
エリナ君やイネス君の誘いには顔を真っ赤にして逃げ出したそうだし、ホシノ君とラピス君のコンビネーションには殴って気絶させてるし、
奥さんには結婚して一度もディープキスすらしてないそうじゃないか。」
カカカ、と半ば本気で笑うアカツキ。
「頼むからその話はするな・・・。今日は別の話だ。」
「ん?何だい?」
アカツキは笑顔ながらも、目は真剣になっていた。アキトのマジな顔を見て取ったのである。
「別れを、言いにきた。」
「・・・・・・そうかい。」
アキトは幽霊になったとはいえ、テロリストで指名手配されている。死んだことが知られていないからだ。
地球圏に住むのも、限界なのだろう。アカツキはそう推測した。
ならば、友人への最後の贈り物を。
「判った。逃走に必要な物資、食糧とかはユーチャリスに積ませておこう。」
「・・・何を言っている?アカツキ。」
「へ?テロリストじゃ地球圏に居場所がないから、家族そろって外宇宙に逃げるんだろう?」
「何かとんでもない勘違いをしているな。俺一人が、逃げるんだ。」
一人のところで、アカツキの目が少し据わる。
「テンカワ君、家族を置いていくなんていう最低なまねをするなんて、見損なったよ。」
「それも勘違いだ!俺はあいつらから逃げるんだ!」
「・・・はいい?」
アカツキは本気であきれてしまった。アキトは無視して続ける。
「俺が三下り半突きつけて、サレナで逃げるんだ!大体あいつ等ときたら隙あらば俺を襲ってきやがって・・・。
目が血走ってるんだ!恐ろしいことこの上も下もない!」
「で、突きつけたのかい?」
「いや・・・・・・。」
「それじゃ別れてないじゃん。」
「ぐっ・・・。」
友人のアホらしい姿を見て、アカツキは苦笑する。
(こんな風なテンカワ君を見るのも、久しぶりだねえ・・・。けど、何か隠してるね?)
「分かったよテンカワ君。どこに行くつもりなんだい?」
「ああ・・・分からん。もしかしたらランダムジャンプするかもしれん。」
「チャレンジャーだねえ・・・。」
アカツキはそう言いつつも、アキトが何かを目論んでいる事を見破っていた。
「じゃあね、テンカワ君。」
「色々と、世話になったな。」
そういうと、アキトの姿が掻き消える。
アカツキは目を閉じて椅子に深く腰掛け、それからふと思い出したように引き出しを開けて携帯を取り出し、ある場所にかける。
「・・・あ、ユリカ君?実はねえ、テンカワ君が・・・。」
・
・
・
・
・
・
ふ〜っ、うまくいったな。さて、ジャンプの準備に入るか。
確かにアカツキに言った理由もあっているが、こんな事をする気になった本当の理由は、別にある。
そう、あれは、数日前、とある古道具屋で。
・
・
・
ふと、ボロボロになった人形が、俺の目に留まった。何の飾り気もない人形。
けど、つい俺はそれを手にとってしまった。すると、
「・・・たすけて・・・。」
人形が、喋ったような気がした。
空耳だ、気のせいだ。
「・・・たすけて・・・。」
おい、空耳じゃないのかよ!と思ったが、それ以降は喋ることはなかった。
が、この人形は俺の興味を引きすぎた。
「幾らだ?」
「100円になります。」
俺は、買って帰った。
・
・
・
そしたらその日から、毎晩、夢の中で、誰かが助けを呼ぶんだ!
「・・・たすけて・・・。」
それは、ずっと止まる事がなかった。
ためしにユリカに人形を持たせて眠らせてみたが、そんな夢は見なかったという。
「・・・もしかして、俺の助けを求めているのか?」
んな馬鹿な事あってたまるか!と思ったが、毎晩同じ夢と言う時点で既に異常すぎる。
次に夢に出てきたとき、確かめてやる!
・
・
・
「・・・たすけて・・・。」
出てきたか、今晩も。
「おい!どこにいる!」
「・・・・・・!」
返事はなかったが、明らかに気配に反応があった。
「そこか!」
俺は思いっきり走ったが、どこまで行っても何も見つからない。
そして、目が覚めてしまう。
・
・
・
・
・
・
というわけで、ジャンプなら、僅かなりとも可能性があると思って、こうする事にした。
・・・・・・何か間違ってるとか言うなよ?逃げることも目的だから、いいんだよ。
「よし、あの夢をイメージ・・・。」
そのとき、レーダーに反応がした。
「火星の後継者か?」
が、全然違った。モニターに映るのは、俺がよく使っていた戦艦、ユーチャリス!つまり・・・
「アキト!」
「アキトさん!」
「アキト!」
・・・・・・ユリカ、ルリちゃん、ラピスだ(涙)
「アカツキさんから聞きました!」
「アキト、火星の後継者に突貫するって!」
「アキト!もう復讐はやめて!」
アカツキ・・・・・・どういう説明をしたぁぁぁぁぁぁぁっ!!
「・・・お前たちの知っているテンカワアキトはもういない。」
ふっ、久々のシリアスモードだ・・・。
「アキト・・・。」
「アキトさん・・・。」
「アキト・・・。」
だが、それも一瞬だけ!
「さらばだーっ!」
逃げろーっ!
「「「あっ!待て〜!アキト〜!!」」」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
コメント
と言うわけで、微妙にうちのアキトは設定が違います。
何か短編と言うより外伝?
感想代理人 皐月
情けない……本当に、情けない。
据え膳食わぬは男の恥と言うだろうに、逃げ出すとは。
ちなみに冒頭でアカツキが何かを隠してると思った時に、私はてっきり「やっぱやる事やってデキてしまったのか」と思いました。
それだったら逃げるのも納得です<最低