The answer

翼編第12話

神社での、夏祭りの日。

午前中は観鈴は学校の補習があるから、俺は相変わらず稼げないバイトをし、夕方になってから2人で神社に向かった。

「友達、できたんだよ。」

観鈴はそういっていた。

「へえ・・・。」

「霧島佳乃さんと、遠野美凪さんっていうの。」

・・・ああ、そんな人物もいたっけな・・・。

「知ってるの?明人さん。」

「・・・いや。

 それより、せっかく友達ができたんなら、そいつらと行きゃよかったんじゃないのか?」

「そう思って、誘ったんだけど・・・。

 霧島さんは何か用事があって、遠野さんは大事な人と先約があるからダメなんだって。」

「そうか・・・。

 まあ、俺がついてるよ。思いっきり、楽しめ。」

「うん!」

まあ、用事ができるのは誰にでもあろう。また、来年もあるさ。

その頃には、観鈴ももっと友達ができてるだろうよ。

神社に向かう2人を後ろからつける、物凄く怪しい1人と1匹がいた。

「よーし、二人が出発したで。」

「くわ〜。」

「そら、肩にのっときや!後つけて、観鈴と居候とのデートを一部始終覗き見するで!」

「くわ!」

こそこそと電柱に隠れたり人に隠れながら後をつける二人を見て、とある通りすがりの若者2人が呟いた。

「怪しいと思わないかい、あの人。夏にコートはおって、カラス乗せて。」

「・・・怪しいで賞。」

「いや、僕にお米券渡されてもねえ。」

結論から言おう。疲れた。

観鈴に祭りの場所を縦横無尽に引っ張りまわされ、もうフラフラだ。

と言うわけで、しばらくベンチに座って休憩することにした。

「ふいー・・・。」

隣には、まだ元気が有り余っている様子の観鈴。さっき買った綿菓子をうまそうに食べている。

(・・・よっぽど、誰かと祭りに行きたかったんだなあ・・・。)

やっぱりきてよかった、とつくづく思う。

「・・・おや?僕の見間違いじゃなければ、そこにいるのはテンカワ君かい?」

そのとき、昔よく聞いた男、いや友人の声。

まさかな、と思いつつベンチの後ろを見ると、1人の男と2人の少女が立っていた。

少女は、遠野美凪とみちる。

「それとも、こう呼んだほうがいいかい?プリンスオブダークネス、と。」

そして、この世界では初めて会うはずの男、アカツキナガレだった。

「あっ、遠野さん、こんばんわ。」

「・・・ちっす。」

「あっ、かみかみ〜!」

「こんばんわ、みちるちゃん。」

向こうは向こうで話をしている間、俺は昔の友人と再会を祝う。

「よう、アカツキ。」

「君も、やっぱり戻ってきてたのか。」

観鈴が2人とどこかへ行ってしまってから、昔の話をし始める。

「アカツキ、お前はどうやって過去に戻れたんだ?ジャンパーじゃないだろう?」

アカツキはフッと苦笑し、「・・・いろいろあったのさ。」とだけ言う。

「会長、本当になさるのですか?」

「ジャンパーになれば、テンカワ君達の気持ちが少しは分かるかと思ってね。

 ・・・いや、多分解らないだろうけど。」

「ネルガル会長アカツキナガレ。

 テロリスト、テンカワアキトの存在を隠匿、及び同氏に協力していた罪で連行する!」

「やれやれ・・・思ったより早かったね。内通者かな?」

「貴様は、テンカワアキトの使っていたものを回収した、武装解除したユーチャリスの自爆に巻き込まれて、死んでもらう。

 言い残すことは無いか?」

「・・・無いね。」

「よし、自爆装置を遠隔で作動させろ!」

「・・・ツキ。」

「・・・ん?」

「アカツキ?どうした?急にぼけっとして。」

「ん・・・あ、ああ、ちょっと考え事をね。

 それよりテンカワ君。君の目的は、果たせたのかい?」

「・・・ああ。過去に戻ったのは、単なる偶然だがな。」

「で、あそこの彼女は、その関係者かな?」

アカツキが親指で、向こうにいる観鈴を指差す。

「まさか、奥さんとか言わないだろうねえ。」

・・・辺りが凍りついた。

「・・・マジかい?」

「婚約者、だ。」

観鈴が16歳、学生なので、とりあえず婚約という形になった。

「なんだ、それなら僕と同じ・・・ゴホン。」

「ほう?」

アカツキの失言を、聞き逃す俺ではなかった。

「さあアカツキ。どういうことだ?白状したまえ。」

「何のことかなあ、ははは・・・。」

「まあ、いいか。言わないなら、ユリカ特製料理を食わせるぞ。

 覚悟完了?

「艦長が、君以外に料理を食べさせるとは思えないねえ。」

・・・チッ。

結局、口を割らなかった。

「で、君はまたナデシコに乗ってるわけだけど・・・。

 目的はなんだい?」

「みんなを守って、木連と和平を結ばせる事だ。」

明人のセリフに、アカツキは胡散臭げな視線を向ける。

「嘘くさ・・・。」

「バレたか。

 ・・・本当は、戦いを終わらせないと、のんびり観鈴と暮らしてられないからだ。

 ナデシコに乗ったのは、昔の義理みたいなものだな。」

「という事は、義理が無かったら君は木連についていたのかい?」

「・・・場合にもよるがな。

 そもそも、俺だって人間なんだ。聖人君子じゃねえんだからな。」

「・・・まあね。」

そのとき、観鈴たちが駆け寄ってくる。しかも、さっき着てた普通の私服から着替えてるし!

「明人さん!一緒に行こ!」

「アカツキさん・・・Goです・・・。」

「「グハッ!!」」

二人そろって吐血した。

「あ、明人さん!?」

「み、観鈴・・・(か、可愛いすぎるぜその浴衣!)・・・ガク。」

「・・・アカツキさん・・・。」

「美凪君・・・(綺麗だねえ・・・もう、死んでもいいや。)・・・ドサ。」

改めて考えると(考えるまでも無いのだが)、俺たちはアホである。

セミの声が騒がしかった夏も終わり、季節は秋。

俺は、ネルガルの会長室で、アカツキと対峙していた。

「もうすぐ、前と同じなら、ナデシコが戻ってくる頃だねえ。」

「ああ、そうだな。

 だが、俺はすぐには乗る気は無いぞ。」

「どういうことだい?」

「サレナではない、新型機を造ってもらう。できてから、また乗る。」

「ああ、そういうことね。」

俺は懐から、プロスさんの如く書類を光速で取り出し、アカツキに渡す。

法術を使えば、この程度の芸当など、容易い。

決してプロスさんが超能力者だの法術士だのと言っているわけではない。

「いつの間に出したんだか。」

と苦笑しつつ、アカツキは書類を受け取り、ペラペラとめくっていく。

「あらまあ・・・。またこういうネタに走るわけだ・・・。」

アカツキは満足そうに書類を閉じ、俺に告げる。

「却下!」

「Why?」

「某古い鉄なんて、ゲームでも使えない機体を、どうして造らなきゃなんないのさ。」

・・・ちょっと待て。

「おまえの言うのは、どのゲームだ?」

「もちろん、コンパクト2に決まってるじゃないか。」

・・・はあ。

俺はアカツキの勘違いに、盛大にため息をつく。

「・・・あんな切り札もランページもないようなもんを、誰が造れ言うた・・・。」

「違うのがあるのかい?」

某衝撃もOGも知らんのか、己は。

「はあ、そんなのもあったのか。初めて知ったよ。

 けどねえ・・・。みんな実弾だからねえ・・・。」

「ふっ・・・これを見ろ。」

「これは・・・また無茶な・・・。

 まあ、こんくらいならいいけど・・・。条件がひとつあるよ。」

「What?」

「アルトを君に造るんなら、僕にも新しい方のアレのデータを造ってくれないかい?」

「別にかまわんが。」

お前には似合わんだろ、とは思っても言わないことにした。

やさしい風が吹き、暖かな陽射しがさしている中、とある草原で、一人の少年が寝転んでいた。

「はあ・・・、平和だねえ・・・。」

そのとき、澄んだソプラノのような少女の声が、少年を呼ぶ。

「ハーリーさん!そろそろ、晩ご飯ができますよ!」

少年は起き上がり、後ろを振り返る。

「今行くよ、ラスティさん。」

ハーリーはラスティ・ファースンのもとへ駆け寄り、二人で町のほうへ歩いていった。

マキビハリは、ナデシコCに乗っているとき、ユーチャリスとのバトルシップチェイスによるランダムジャンプに巻き込まれた。

彼が気がついたとき、そこは異世界だった。

行く当てのない彼を拾った、もとい助けたのは、不老不死の青年、クラビス。

旅の楽士であるクラビスとともにハーリーは旅をし、やがてフォンティーヌという町にたどり着く。

そこで幾つかの事件を経て、ハーリー達はこの町に住むことになった。

「ああ・・・やっぱり、平和っていいなあ・・・。」

「どうしたんですか?ハーリーさん。」

「あ、ちょっと昔のことを思い出してただけ。」

ハーリーは、時々昔のことをラスティに話していた。

たいていの事は面白そうに聞いてくれるのだが、ルリのことを話したときは、

「・・・誰ですか?その人。」

と、ラスティにひどく睨まれた。

何を隠そう、ラスティはハーリーの今の彼女なのだ。

某黒の皇子ほど鈍感ではないハーリーは、危うく天罰降臨しそうな気配を察知し、すばやく話題を切り替えた。

そして、二度とルリの話はしなかった。

「あっ、ハーリー!」

「ラスティさんも一緒ですぅ〜。」

市街地にさしかかったとき、前から聞こえる2人の少女の声が、ハーリー達の足を止める。

「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど。」

元気そうな少女、フィア・ノートが訊ねてくる。

「クラビスさん、どこにいるか、知りませんか〜?」

間延びした口調の、サーリア・ウィネスも続く。

「知りませんけど・・・。

 またどこかに隠れてるんじゃないですか?」

「全く、クラビスったら、何で逃げるのかしら?」

貴方たちが迫るからだと思います、とは言えないハーリーだった。

彼も命が惜しいのだ。

「じゃあね、ハーリー、ラスティ。」

「また明日〜。」

2人は手を振って、去っていった。

「あら、ハーリー君、ラスティちゃん。」

「こんばんわ、アルテさん。」

しばらく町を歩くと、今度は目を閉じた女性、アルテ・セーマと出会った。

ハーリー曰く、綺麗でナイスバディな踊り子の女性である。

一応盲目だが、閉じた目が開かれるとき、大変なことが・・・。

「ハーリー君?」

「は、はい!?何でしょう!?」

どうやら、ハーリーはしばらく自分の世界に入っていたようだ。

「ちょっと聞きたいことがあるの。」

「もしかして、クラビスさんのことですか?知りませんけど・・・。」

「あら、よく解ったわね、ラスティちゃん。」

「さっきも二人に聞かれましたから・・・。」

深々とため息をつくハーリー。

「そう・・・じゃあね、ハーリー君、ラスティちゃん。」

アルテが去ったあと、ラスティがハーリーをジト目で睨む。

「な・・・何でしょう?ラスティさん?」

「ハーリーさん・・・やっぱり、胸は大きい方がいいんですか?

 さっきから、アルテさんの胸見て、鼻の下伸ばしてましたけど?」

「いや・・・あの・・・それは・・・。」

ハーリーの全身の本能が危機を察知していた。

そして、それからは逃げられはしないということを。

「いつも見逃してましたけど、今回はもう許しません!」

と言うと、ラスティは呪文を唱えだす。

説明しよう!

ラスティは聖なる呪文を唱えると、彼女の中に封じられた天使セラフィの力により、

マジカルトワラーエンジェル☆ラビィに変身できるのだ!

「ハイジゴディバトリアノン!モロゾフリンデディッパーダン!!」

まばゆい光の後、魔法のバトンを持った、見た目魔法少女が現れた。

「エンジェル☆ラビィ登場!

 あなたに天罰下します!!」

ドゴォォォォォォォン!!


コメント

・・・またクロスオーバー追加です。加えてアカツキ壊れ気味。

さらに作者自身の首をしめてます。

ちなみに今回の話は次の話とあわせて1話っぽくなってます。前編後編って感じですね。

♪あうあうあ〜天罰!

ハーリー君の投票は、まだ続いています。次回、投票の結果によって、展開が変わります。よろしく。