プロローグ1
火星極冠遺跡近くの病院…
そこの病室に一人の女と二人の男がいた
女は患者だろうか、ベットの上で寝ていて、一人の男はその女性の手を握っていた
そしてもう一人の男は病室の壁にもたれかかって顔を伏せているため表情は分からないが
二人の様子を見ているようだった
その女性はとても安らかな顔をしていた、がもう生きてはいなかった…
それでも男はただその女性の手を握りつづけていた
そして十分ほどすぎた頃
男は立ち上がり壁の男に言った
「なあ、俺たちが何をしたんだ?何が悪かったんだ?やっぱり『あんなもの』発見されなければよかったのか?
そうすれば俺たちは……」
その声はまるで独り言のように力なかった
「…………」
「なぁ、答えてくれよプロス?俺が『あんなこと』をしなければ……」
「…………」
それでもプロスと呼ばれた男は黙っていた
「答えてくれ頼むプロス……やっぱり」
「いいえ」
そこではじめてプロスと呼ばれた男は言った
「『アレ』が発見されなければ出会うこともなかったでしょう、それに既に過ぎたことを後悔しても……」
「後悔するなだと?じゃあ俺があいつに出会わなければあいつは……」
「それも違います。それでも彼女はしあわせだったはずです。あなたに会えたことが」
「しかしっ」
そこで男は声を荒げた。それにもかかわらずプロスはただ淡々と続けた
「彼女の意志を無駄にしないでください、天河さん」
「あいつの意志だと?結局俺に会わなければあいつは……。それにもうあいつの意志を知るすべなんか…」
「いいえ、彼女が「自分が死んだときに」と預かっていたものがあります」
そういってプロスは懐から出した一枚の封筒を天河に渡した
「遺書?こんなものいったい何時……」
「今から一ヶ月前ですよ。きっとこうなることが分かっていたのでしょう。あなたがあんなまねをすること
までは分からなかったかもしれませんが……。とりあえず読んでください」
そして天河は返事もせず封筒を開け、その中身を読んだ……
…読み終わった後、天河は泣いていた、そして笑っていた
「やっぱり馬鹿だよ、あいつは…死んでまでこんなものを残すか?ふつう死んだ後に約束を残すやつがいるか?
一つや二つならともかく……こんなに、しかもこんな内容を。いいだろうやってやろう」
今までとは違いその声はどこかに力が入っていた
「彼女らしいといえば彼女らしいでしょう?」
「ああ、プロス.こんなバカなことを言うのはこいつぐらいだ」
「それはひどいですね本人の前で。ところで何か用意するものはありますか?」
苦笑いしながらプロスは答えた。そしてすこし考えた後いった
「とりあえず宇宙がいいな。それも誰も知らないようなとこが……」
「ふむ……まあ一ヶ所だけ心当たりがあります。設備もそろっているはずなのであなたにはいいでしょう。シャトル
その他の準備はわたしがしておきますので、いつ頃がいいですか?」
「なら、半月後にそれまでには俺のほうの準備も終わるだろうから。費用は俺たちの口座から、全額使ってもかまわん、
どうせもう使わんからな」
うなずきながらプロスは答えた
「たしかにそうですな。それでは」
そういってプロスは病室を後にした
そしてプロスがいなくなった病室で……
「結局おまえはずっと変わらなかったな、あいつは俺に任せてくれ。必ず守るおまえとの約束は……」
そして天河は物言わなくなった妻に軽く口付けをし、自分も去っていった
それから半月後………
シャトルの発射場の前で二人はまた会っていた
一人はプロスペクター、もうひとりは小さな赤ん坊を抱いた天河の姿だった
「それではお元気で、ところで……」
「ああ、こいつか。こいつを連れて行かんと話にならんからな」
「いえ、そうではなく彼女は?」
ああ、そのことかという顔をして天河はある方向を指差した
「あの中だ、あそこならよほどのことがない限り大丈夫だからな」
「ええ、確かに」
「それから、俺の研究の結果はいつものとこに隠してるから、アレを持っていけばおまえもすこしは
ましな待遇になるだろう」
「すいませんね、わざわざ」
「気にするな、じゃあ次に会うのは最低でも三年後か。じゃあな」
「ええ、さようなら」
そしてシャトルに乗ろうとする天河、しかしそこで思い出したかのように言った
「プロスこれだけは、忘れないでくれ。『歴史は繰り返す』だからあの子にもしものことがあったときは」
「ええ、出来る限り手伝います……それがどんなものでも」
そう言うプロスの顔は決意に満ちていた。その様子を見て天河は
「出来ればそうならないことを祈りたいが。ま、それじゃあなプロス」
「ええ、それでは。ジンさんあなたもお元気で」
「ああ」
その顔は希望に満ちていた
その後、シャトルは無事に飛び立ち、プロスはそのシャトルを見送っていた
そしてシャトルが見えなくなる頃たった一言つぶやいた
「そうならないことを願いますよ」
そのプロスの呟きは、切なものだった
しかし歴史は繰り返された、くしくも男が自ら見つけたものによって……
機動戦艦ナデシコ
〜Past of Future〜
2201年12月 火星〜地球間アステロイド帯………
そこのあるドック内に先ほど到着したシャトル、そこで二人の男が話をしているようだった。
一人は40代ほどの男、メガネをかけていて優しそうな顔だったがどこか気の抜けないそんな感じの男だった。
もう一人は黒髪の男でサングラスをしているため表情は分からないが、20代前半の若い男のようだ、
そしてなぜか白衣を着ていた。
「そうか、大体の事情はわかった。アキトは消え、ミスマルユリカのほうは衰弱が激しく危ないか。やっぱ
あのときの反応はボソンジャンプか………」
「ええ、とりあえずあなたに来ていただきたいのです。ナノマシン工学の権威 テンカワ ジンさん」
そういわれて男は困ったような顔をして返した。
「おいおい、他人行儀はやめてくれよ、それにナノマシン工学の権威って俺の名は何処にも残ってないぞ?プロス?」
「それはそうでしょうあなたはいなかったことになってるんですから」
「ま、その辺はいいとして。早速いくか」
「ええ、ですが…」
そういってプロスはすこし思案顔になりつづけた
「いいのですか、もう?」
その言葉に若い男は満足そうに答えた
「ああ、あいつのほうはもう充分だ、それにそろそろ約束の期日が迫っている」
「そうですか、なら言うことはありません」
「んじゃさっさと乗ってくれ、多分ティアのやつが準備を済ませてるはずだ」
そしてジンとプロスは近くにある白と黒とに塗り分けられた戦艦へと乗っていった。
その戦艦のブリッジには一人の女性がいた、いや少女か?その明朝こ娘はきれいな艶のある黒髪、雪のように白い肌、
そしてなぜかサングラスをして、白衣を着ていた。オペレーターの席に座って、何か操作をしているところから、
どうやらこの戦艦のオペレーターらしい。
そこに先ほどの二人が入ってきた
「お〜い、ティア。準備は出来てるか?」
ティアと呼ばれた娘は相手を見ずにそのまま答えた
「はい、一応は終わってます。ねえ、アマテラス」
『もちろん、というかいつもと変わらないというか……』
アマテラスと呼ばれたどうやらAIはそうこたえた
「んじゃ行くとしますか、え〜とプロス場所何処だったけな?」
「まったくあなたは本当にちゃんと聞いてたんですか?地球の……とりあえずネルガルのドックに行きましょう
戦艦がそのまま病院に行ったら大変なことになりますからね」
すこし額のあたりを抑えながらプロスは答えた
「じゃ、行き先はネルガル本社ビル地下のドック、ティア頼む」
「はいはい」
そして、ティアがジャンプをはじめようとしたとき、プロスはあることに気付いた
「あの〜、ジンさんところでディストーション・フィールドは?」
「ああ、俺とティアはジャンパーだから大丈夫だ」
「じゃなくて私はどうなるんですか」
必死の形相で叫ぶプロス。あ、そういえばという顔になり苦笑をしてジンは答えた
「あっはっはっは、というわけでティア、ディストーション・フィールドを展開してくれ」
「はいはい」
仕方ないという表情で操作をするティア
「危なかったな〜、プロス、あっはっはっは」
まるでさも他人事のようにわざとらしく笑うジン
「誰のせいですか、誰の?」
そう言うプロスの顔は笑っていなかった、横目でジンを見た後大きなため息をするプロス。
「んじゃ、行くよ?」
後ろで二人が漫才をつづけている間にティアはジャンプを決行した
「着いたっと」
何気ない感じでティアは呟いた、その言葉のとおり戦艦はドックに到着していた
「は〜よかった、もう少しでわたしは………」
そのティアの後ろではプロスが何かぶつぶついっていいる。そんなことお構いなしにジンはプロスに聞いた
「ま、済んだことは気にするな。で、次はどうする?」
「あなたはよくてもわたしはよくありません、第一、自分を基準にしないでください、そもそもあなたは……」
何か言い続けようとしたプロスだったが、まったく効果がなさそうなので質問に答えた
「とりあえず、ユリカさんの病院でしょうね、場所はここです」
そういって、コミュニケ(まだ持っているようだ)を操作するプロス。すると、目の前にウインドウが開きそこに
地図が出る、そしてある一点が点滅している、おそらくそこが場所であろう
「一応軍の管轄の病院ですので……」
「んじゃ行くとしますか、おいティア」
ここではじめてティアは二人の前に立った。
「んじゃ、送るよ父さん」
「ああ」
なんだか話がわからないプロスはきいた
「あのどういうことでしょう?」
何を言っているんだと、いう顔でジンはプロスにいった
「だから、病院までボソンジャンプで行くんだよ」
「もしかして私もですか?」
「当然、だってじゃ無いと病院に入れないだろ?」
「ええ、そうなんですが………」
「安心しろちゃんと個人用のディストーション・フィールド発生装置はあるから」
そういっておもむろにポケットから、黒くて丸い球を出すジン。そしてジンの右手が光ったかと思うと
急に二人の周りにディストーション・フィールドが展開された
プロスは関心したが、すぐに表情を変えて聞いた
「いえ、ですから会長との話………」
なおも会話を続けようとするプロスを無視してジンは言った
「ああ、その辺はティアに任せる。一応話を聞いてもらうだけだから、大丈夫だろう。んじゃ行くぞ」
「いえ、そうじゃなくて………」
何かを言おうとしたプロスにはおかまいなしで、ティアはジャンプを行った
「じゃね、父さん、プロスさん」
まだ何か言おうとしているプロスを無視して周りは虹色に包まれ…光が収まった後にはティアしか残っていなかった
「ねえ、アマテラス。プロスさんは何が言いたかったのかな?」
『さあ』
「ま、いっかそれじゃ私は私の仕事をしてきますか」
結局プロスが言いたかったことは分からずじまいで、ティアは戦艦を降りていった
あとがき(座談会?)
作者「とりあえず初の小説が完成しました。ここまで読んでくださった方ありがとうございます………
すいません正直に言いますと、お気づきの方もいると思いますが、これ、プロローグの1なんですよ
ね。本当はちゃんとプロローグひとつの話で送りたかったのですが色々と事情があって、1として送
りました。ちなみに理由は………」
ジン「宿題が残ってるんだろ?」
作者「う………実際そうだけどもう少し言い方というものが……」
ジン「貴様に言わせると言い訳だけでずっと書きそうだからな。そもそも宿題くらいさっさと仕上げろ。」
作者「そういってもね〜どうもやる気が出なくてさ(遠い目をしている)」
ジン「趣味に走るときは睡眠が2.3時間でも元気なやつが。そもそもなんでこの話ができるまでこんなに
かかったんだ?」
作者「そんなに長くかかったか?」
ジン「最初の原案が出来てから半年はゆうに過ぎてるだろうがしかも設定ばかりは妙に細かいくせに」
作者「ま、気にするな。地道にやっていくよ」
ジン「だがこの話を書くのに実際どのくらいかかった?」
作者「う………。ま、とりあえずいいじゃないか」
ジン「これから先出てくる機体の名前もひねりがないしな」
作者「ま、この辺で話をやめよう、なっ(余計なことをしゃべられてはたまらん)」
ジン「ま、いいだろう。ここまで読んでくれた方この愚者に代わって礼を言っておこう。ありがとう」
作者「(僕は最初に言ったような?)」
ちなみに機体の名前(英語の頭文字)は、F・A、F・Q、Oです。ひとつは漫画の一話目のタイトル、ひとつは喜劇、
最後は神話からきてます。商品はありませんが、分かった方はどうか言ってください。それでは
1、サブタイトルは「紅き死の天使」 2、ティアの名前の由来 3、曜日はいっこめは
|