えりなせんせいといっしょ!プロローグ『ここら辺はみな同じ』




どこまでも続く深遠の宇宙。漆黒の中に多色の光点がちりばめられている。

そんな宇宙に、

今、

一番、

多く、

響き渡る声








アキトさん! 帰って来て下さい! 復讐は終わったはずです!!

ナデシコC艦長ホシノ・ルリの天をも切り裂く絶叫。

テンカワ・アキトとラピス・ラズリを乗せたユーチャリスとナデシコCとの遭遇戦。機動兵器戦に電子戦。

連合軍、統合軍、ネルガル他関係各所にこれでもかと圧力をかけ、
地位と実力にものを言わせ集める情報、そこから正確にアキトの動きを読む。
アキト以外の男は何とも思っていない(ぐす、艦長~)ホシノ・ルリだからこその芸当。

地球・月・火星・アステロイド帯・木星は今、熱かった。


「君達の知っているテンカワ・アキトは死んだ、何度も言ったはずだ」

アキトももう口癖になっているセリフを伝えジャンプで逃げようとしていた。
ネルガル月ドックで補給を済ませたばかりである。
お互い撃沈するわけにもいかない戦い、いつものように逃げるだけのはずだった。

しかし、今日のルリは一味違った。


何でエリナさんがそこにいるのですか!(怒)
「へ!?」

アキトの間の抜けた声に明るい声が重なる。

「久しぶりね、ホシノ・ルリ」
「え!?」

無意味に胸を大きく張って答えるエリナ。そのことが更に小さいルリを刺激する。
そして、まだ状況把握できないアキト。

「エリナさん! そこで何をしているのですか!!」
「あら、ユーチャリスに乗っているのよ」
「ですから、どうしてですか!何でですか!早く答えて下さい!!」
「もう短気ね。いいよく聞いてね……」





その頃、アキトはラピスとリンクをしていた。

(なぁ、ラピス、エリナはいつユーチャリスに乗ったんだ?)
(さっき、月面ドック)
(ラピスは知っていたのか?)
(うん)
(うんって……どうして教えてくれなかったんだ?)
(アキト、聞かなかった)
(いや、き、聞かなかったけど……)
(アキト、怒っている? ラピスのこと嫌いになった? もういらないの?)
(いや、怒っていないよ。ラピスのこと嫌いになるはずないだろう)
(ほんとう? 傍にいていい?)
(ああ、ラピスが望む限り)


ある意味ラブラブな二人がリンクしている時、エリナとルリといえば、

「会長秘書が有給休暇ですか、これだから落ち目は…」
「どこが落ち目よ。今は業績も復活して上半期上方修正に大忙しよ!」
「あら、先日、ストップ安になりませんでしたか?」
「すぐ反発したわよ。それより私有給なんて言ったかしら?」

「違うのですか? それとも視察とか同行とか公私混同ですか?」
「ホシノ艦長、慶弔休暇ってご存知かしら?(にや)」
「当たり前です。それがどうしました」
「ネルガルでは新婚旅行で2週間ということは?(にこ)」

(怒怒怒)
ふふふ
(怒怒怒怒怒)

もともとが怒りっぽいエリナにアキトのこととなると見境のないルリ。
それは見事なくらいヒートアップしていた。

止める人が乗っていないユーチャリス。
役に立たない(こういうこと限定)ナデシコCクルー。

アキト関係の痴話げんかを誰も止めれないというのはナデシコシリーズの伝統だろうか。


アキトが我に返ったとき、ナデシコCとの通信画面には泣いているハーリー君と
疲れきったサブロウタしか写っていなかった。

仕方なく、どこか勝ち誇ったようなエリナに事情を問いただそうとしたとき、
オモイカネ・ダッシュが警告を発した。

『ナデシコCよりエステバリス発進』

「なに!?(この状況でまともに動いていた奴がいるのか)」

『そのエステバリスより通信きます』

アキトさん!
「……ル、ルリちゃん……」

ルリの大画面ドアップ通信に腰が引けるアキト。

アキトさん、貴方を殺して私も死にます!!
「へ!?」

まともな奴は一人もいなかった。

見事に姉譲りというか、家族、同居人譲りというか妄想を暴走させ突撃してくる。

「な、何がどうなっている!?」
「う~ん(あせあせ、やりすぎたかしら)」
「ルリ、怖い」

ユーチャリス組は混乱している。

「か、艦長ぅぅぅ~~~しくしく(泣泣泣)」
「………」(女の子からのビデオメールのチェック中)

ナデシコC組は現実逃避をしている。

ドォォォォォンン!!

その混乱の中、ユーチャリスが轟音とともに揺れた。

「くっ、どうなっている?」

『エステバリス、強襲アンカー射出、ジャンプフィールド制御装置被弾』

「アキトさん、どこにも行かせません! 捕まえます!!」
「ちっ、ブラックサレナで出る。ラピスは、ナデシコCにハッキングしろ。
 ダッシュは、アンカー切断後、ナデシコCをすり抜け逃げる。エンジン出力、航路確認」

ユーチャリスを中心に虹色の光が発生する。

『ジャンプフィールド発生します』

「な、ダッシュ、どういうことだ!?」

『暴走です……緊急解除……駄目です、できません、アキト』

「くっ、裏目裏目に……ルリちゃん離れろ!」
「嫌です。絶対に嫌です。もう一人は嫌です」

『アキト、このままではランダムジャンプになります』

「座標指定を……」
「駄目!! アキト、エリナがいる!」

ラピスがアキトに警告する。

アキトとラピス、ルリはジャンパー。
しかし、エリナは違う。このままジャンプすれば待っているのは確実な死。

「ディストーションフィールド緊急展開!!」

アキトもあせり指示を出すがダッシュが無情に告げる。

『すみません、間に合いません。ジャンプ制御不可。ランダムジャンプに入ります』

アキトが背後のエリナを万感の想いを込めて抱きしめる。

「すまない、エリナ」
「……いいのよ、アキト君」
「すまない、いつもいつも迷惑ばかりかけてしまう」
「好きでやってるのよ。もう散々な新婚旅行よね」
「エリナ……」

上目遣いに見つめるエリナにこんな時ながらドキッとするアキト。

「エリナ……」
「………うん」

『ランダムジャンプ』

ユーチャリスはナデシコCの目の前で虹色の光に包まれて消えた。

おまけにルリのエステバリスを連れて。




<あとがき>

ふふふ、これが私の本性です。そう、エリナ IS No.1!!

我が魂の名は、エリナ推進団体実行部隊諜報部長!
師団長!今、応援に参りました!!ともにエリナを活躍させましょう!!!

追伸 おまけの妖精さんへ たぶん某艦長よりはいい目を見れるかと…

 

 

代理人の感想

 

そ、そうだったのくわぁっ(笑)!

 

てっきり「北辰ぱぱ IS No.1!!」

 

の人かとっ(超爆)!

しかも妖精をはっきり「おまけ」と言いきっているし!

 

・・・と、言いつつ代理人も妖精は全然活躍させてなかったりするのだがだが。