玄武戦記〜玄武先制



戦神がブリッジに戻って来た。

「アキト!! 良かった無事だったのね!!」

満面の笑みを浮かべた艦長が戦神に抱きついた。
むう、婿殿に不埒な真似を、抹殺ポイントを一つ追加。

「アキト! やっぱりアキトは、ユリカの王子…」
失礼します。テンカワさん、お見事でした。本来なら、勝手にエステバリスを使用、出撃など厳罰ものですが、
 私達は軍隊ではありません。危機を助けていただきましたし、お咎めなしです」
「ありがとうございます。ちょっと疲れたので休ませてもらっていいですか?」
「はい、かまいませんとも」
「あ、じゃあ、私がアキトを部屋まで案内するね」
艦長! 本日の遅刻の理由をまだ伺っておりませんでしたな」
「あ、いや、それは…」
「北辰さん、艦長と一緒にお話でもしましょうか」
「うむ」

さすがは、ミスターだ。一分の隙も無い話の運びぶり。
地球の猛者よ。見習うべき所が多い奴だ。

 

説教は二時間にも及んだ。艦長もこたえたようだが、我もこたえた。
我らなら鉄拳制裁で済ますのだが、疲れることだ。

艦長を解放し、乗船してから気になることをミスターに尋ねた。

「軍人が多数密かに乗っているようだが、ミスターの管轄か?」
「それは、本当ですか、北辰さん」
「うむ、15人というところか。携帯火器も持っているな」

ミスターは、考え込んでいる。

「始末するか?」
「まず、裏をとります。それから、動きましょう。あ、くれぐれも殺しては駄目ですよ」
「まずいのか?」
「はい、軍と敵対するつもりはありませんから」
「無傷で捕らえろと?」
「ふ〜む、そうですな、骨折くらいなら、よしとしましょう」
「了解した」
「あ、単純骨折、一人一つですよ」
「くっ、細かいな。了解した。では、参る」

 

「愚かなり、未熟者め」
「な、貴様、誰だぁ!!」
滅!! …手加減バージョン
「「「「「ぐわぁ」」」」」
「ふっ、つまらぬ……後は任せたぞ」
「おう!コンテナに放り込んでおくぜ!!」





「ふふふふふ、怖かろう…恐ろしかろう…」
「この化け物め!」
木連式柔術 虎波!! …手加減済
「ぐっ」
「弱い弱すぎるぞ軍人が」
「あんた、強いんだね〜おかしな仮面被っているのに」
「この者達が未熟なだけ……縛っておいてくれ」
「ああ、任せな。今度は料理を食べにきなよ」
「ふっ、任せた」
「「「「「いってらっしゃい」」」」」

 

「このナデシコの目的地についてお話します。今まで明かすことができなかったのは、
 妨害者の目を欺くためです。ナデシコは火星に向かいます!!」

ミスターが主要クルーをブリッジに集め、ナデシコの火星行きを発表した。
む、戦神がいるな。妖精は飯を食べながら聞いておるな。行儀の悪いことだ。
親はいったいどんな……ふっ、奴に親はいないな、それでは仕方が無い。

適当に話し合い決着が着いたようだ。艦長が宣言する。

「それでは、機動戦艦ナデシコ、火星に向けて…」
そうはいかないわよ!

キノコが邪魔をした。5人の未熟者を引き連れて乱入してきたか。
ふふふ、キノコがバターを背負ってやってきおったわ。

「これだけの戦力をむざむざ火星にやるわけにはいかないわよ。この優秀なアタシが使ってやるわ」
「血迷ったか、ムネ茸!! その人数でどうにかできるとでも…」

提督の言葉を鼻で笑うキノコ。
くくく、早く狩りたい。まだか、ミスター?

「ふん、今頃、密かに潜り込んだアタシの部下が艦内を制圧してるわ!!」
「ふ〜そうでもないですけどね〜企業の情報収集力をなめないでいただきたい。
 ルリさん、格納庫と食堂を映して下さい」
「はい」

妖精は、うん、戦神もか、ちょっと驚いているようだ。どうしたんだ?

ピッ

「格納庫のウリバタケさん?」
「おう!あいつ等ならコンテナにぶち込んどいたぞ!!」

眼鏡の整備班長と後ろの整備員がブイサインを出している。

「食堂のホウメイさん?」
「あ、これ邪魔だよ。さっさと持って行ってくれ」

ホウメイの後ろには、我が先程撫でてやった軟弱者達が転がっている。

アキトさん、あれ?
だ、誰がやったんだ!
……北辰ですか?
ま、まさか…
でも、他に…
何故だ…

「どうですかな、副提督?」
「な、なななな、いいえ、ブリッジを制圧…」
木連式暗器術 隠し千本!!

我の手から5本の長針が跳んだ。狙いは、銃を持つ右手の甲。
すかさず、走り出す。飛び込み、右手を軸に両足を旋回させ二人を吹き飛ばし一人を巻き込む。
体の回転力を残したまま体を入れ替え、左裏拳を後頭部に。やはり吹き飛ばし一人を巻き込む。

児戯だな。ま〜良い。念の為、倒れている奴の頚動脈を押さえ、落とす。
戦神も妖精もこっちをよ〜く見ている。
ふっ、これで婿殿への好感度アップ!!
「ななななななんな、あんた、何者よぉ!!!」

完璧に北辰だな
本物の北辰ですね
奴の目的は何だ?
ナデシコか私達の生命か…
今の俺では奴の相手ではない…
まだ、決まった訳では…
ああ、だが、油断できない。早急に鍛え上げる!

「ふふふ、時にミスター?」
「何ですかな、北辰さん」
「人は処分していけないとの話だったが、キノコなら何の問題もないな?」
「……北辰さん」
賛成です!!

突然、妖精が言った。我も驚いたが、ブリッジ全員驚いたようだ。

「そうね、キノコですし」
「そうですよねぇ、菌類ですし〜」

ミナトとメグミがいち早く復活し我の提案に賛意を送ってくれる。

「うむ、任せてくれ!」
「北辰さん、ほどほどにお願いしますよ」
「うむ、では、キノコは貰ったぞ! ふははははっははははぁーーーーー

久しぶりに欲求不満が解消できるというものよ。

ルリちゃん……
すみません、つい…
いや、いいけど…

戦神と妖精が我を見て何か会話をしているようだ……普段なら気にならない所だが、戦神の守備範囲は
6才から三十路までと伝えられているからな。妖精への抹殺ポイントを上げるべきか。
いや、婿殿を正しき道へ誘導すべきやもしれぬ!外道は我の専売特許なり。

すべては、キノコ狩りが終わってからだな。
さて、やるべき場所はコンテナか。ふふふふふふふふふふ……

 

むう、我が楽しんでいるうちにナデシコは次元跳躍門と戦っていた。
ちなみにキノコの山入りコンテナは、そのまま海に捨ててきた。もう十分楽しませてもらったからな。

しかし、次元跳躍門にナデシコを突っ込ませるとは、この艦長正気か!?
下手をすれば、全員、いや、我と戦神と艦長は少なくとも生き残るか。は、まさか、自分と戦神のみを
生存させる為に…… うむ、天才艦長と名高きミスマル・ユリカ……恐るべき敵よ。抹殺ポイント+1。


北斗よ、ライバル共は、手強いぞ!!
ふふふ、しかし、我がいる限り、


婿殿と娘が出会うまで、誰にもアドバンテージは与えぬぞ!!

 

<あとがき>

シリーズ化した。
……北辰10年間単身赴任か。娘をあの舞歌に任せ。あの舞歌に……北斗、無事に育つだろうか?

 

 

 

代理人の「パパは仮面のキノコ狩り」のコーナー(爆)

 

そうか、確かにパパさんの言うとおり人間でなければ全く問題はないな(爆)!

ルリちゃんも諸手を上げて賛成している事だし(超爆)!

 

ただ・・・・・・・・

 

ちなみにキノコの山入りコンテナは、そのまま海に捨ててきた。もう十分楽しませてもらったからな。

 

「山」って(汗)?

パパさん、一体アンタ何をした(大汗)?

 

 

>戦神の守備範囲

え?

「ゆりかごから墓場まで」じゃなかったの(核爆)?