玄武戦記〜玄武初戦〜
フハハッハハアアァァァァ!!
戦闘だ!狩りの時間だ!相手が人でないのが残念だが贅沢は言えんな。
戦神が素早い飛び出しで、出て行った。追わねば、好感度アップのイベントだからな!
我が格納庫に着いた時、ある男の背中が目に入った。白鳥…ではない、ヤマダか。
「おい、おめぇ、俺のエステに近づくな!」
赤いエステバリスの近くにいたヤマダにスバルが声をかける、いや、叫ぶ。
「あれ、誰? 北辰さん、知ってる?」
「うむ、ヤマダ「俺はダイゴウジ・ガイだーーー!!」…だ」
眼鏡っ子アマノに答えるとヤマダが遮った。本当に……狩っておくか…
「で、そのヤマダ「ダイゴウジ・ガイ!」…が何の用だ、ここは俺達の戦場だぜ!」
「ふっ、決まっている!俺のゲキガンガーが呼んでいるからだ!!」
「「ゲキガンガー?」」
スバルとアマノが疑問符を浮かべておる。ま〜無理もない。
「気にするな。ヤマダ「ガイだ!」…害は、医務室の主だ」
「「「なるほど(ポン)」」」
「先に行くぜ!!」
害が赤いエステバリスに乗り込もうとしている。が、それはスバルのだろ?
ゲェシィィィィ!!
うむ、腰の入った、中々見事な右だ。左も胸元に寄せる基本も忘れておらんな。
「俺のエステに乗るな! このキ(ピーッ)イ!!」
「ねぇねぇ、リョーコちゃん、こいつ危険だよね。ちゃんと医務室に篭れるようにしとこう」
「ふっ、任せて。奥義・龍尾!」
斬!
「…って、イズミ、それ剣術の奥義だろうがぁ!(ゲシゲシ)」
「無手でも放つ……極めし者に不可なし(サクサク)」
「ハードボイルシリアスバージョンはやめなって、イズミちゃんは…(フミフミ)」
……いや、流石は、山崎並……その後の追い討ちも含めて……
「なぁ北辰さんよ、いいのか」
「ウリバタケ……後を頼む」
「頼まれてもな……医務室放り込むだけだぞ」
「上出来だ」
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我が赤黒いエステバリスで出た時、戦神は雑魚共を掃除していた。
「お〜い、テンカワー!!」
「お待ちど〜う様〜」
「日本一の山だった……富士だった……無事……むぅ〜」
「ご苦労」
ピーン!
む、戦神の殺気を感じる。ふっ、こんな雑魚に殺気もあるまいに、婿殿は一生懸命だな。
「リョーコちゃん、ガイはどうした?」
「ガイ……誰だ、そりゃ?」
「ほら、リョーコ!あの格納庫に居た人!害だよ!!」
「ああ、あの熱血医務室の主か。俺のエステバリスに乗ろうとしてたから、ちゃんと医務室送りに
しておいたぞ。イズミがな」
「最初に殴ったのはリョーコだよ。イズミは斬っただけだよ」
「ヒカルも踏んでた……むぅ……出ない……」
戦神が固まっている。まぁ、見てた我もあれだからな。
そして、我々の初めての本格的な狩りが始まった。
スバルが突っ込み牽制、ヒカルが集団を殲滅、イズミが残敵を掃討。
なかなかやるものだ。
さて、我も見せ場を作るか。好感度アップの為に!
まずは、錫杖を軽く一振り、
シャリーーン!
ズダダダダダダダダッダダダダダダァァァァァァンンン!!!
ぬおぉう!
戦神がライフルを乱射した。何と言う機動をするのだ!自分を360度全方向に回転させ乱射。
しかも、殆ど命中だぞ。過剰なGで意識を保つのも苦労するだろうに…まぁ、戦神は人でないということか。
北斗よ、お前にも見せてやりたいぞ!
『ア、アキトさん、どうしたというのですか!』
『……す、すまない、ルリちゃん……何かが聞こえたんだ』
『…アキトさん』
『大丈夫、ごめん、心配ばかりかけて(ニコッ)』
『そ、そんなことないです(ポッ)』
「テンカワ!おめぇ凄いな!!」
「ほんと、ほんと、もうびっくりだよ」
「………」
三人娘も驚いているようだ。
「いや、それよりも俺はこれから敵戦艦を狙う!サポート頼む」
戦神より通信が入る。ふむ、まだやるのか。
「おう!!雑魚は任せとけ!!」
「派手にやっちゃってね!!」
「…宇宙に華を咲かせてね……もう赤ちゃんが生まれるの…産気…散華…ププ」
マキ・イズミ……何も言うまい、そう我は聞いていない、聞こえない……うむ、大丈夫だ。
「任せておけ」
「………任せた……不快だ不自然だ不健康だ不真面目だ…シリアスシリアスシリアス…」
戦神の舞が始まった。録画して北斗の元に送りたいが、妖精の目があるからな。
ゴゥゥゥゥウウウウウ!!
戦神のエステバリスがスラスターを全開にして、手にナイフを持ち突進する。
敵戦艦からの主砲をギリギリ避け、護衛艦や乙型無人兵器のミサイル群を潜り抜ける。
ディストーション・フィールドを掠らせ、雑魚を爆破してもいる。
と、鑑賞したいのはやまやまだが、流石に我といえども格闘戦しながら遠距離の戦神は捉えられんな。
戦神は見ていないので、好感度には無駄だが、やるか!
木連式抜刀術・焔壱式!
自らを回転させ進行方向に対角に錫杖を走らせる。
我の進む方向に破壊の光線が走る。舞い散る炎、それが焔……血潮でないのが不満だが。
ディストーション・フィールドでの一撃なので、本来錫杖は関係ないが、これが通というものだ!!
ドゴオォォォォォォォオンン!!!
ぬう、3分8秒…一隻沈めたか。では、我も少し本気を…
まず、軽く錫杖を一閃させて、
シャリーーーーーン!
「ぬおおおおおおぉぉぉう!!!…北辰の気配がするぅぅぅ」
な、何だ、これは、戦神の声か!
ドゴオォォォォォォン!!!
2隻目だと!!なんという早さだ!!!
「落ちろぉぉぉぉぉぅ!!…北辰が」
ドゴオオオォォォォォォォォォンンン!!!
な、三隻目、最後……3分57秒だと……
我が婿殿ながら末恐ろしいものよ……ブリッジが怖がらなけらばいいが…馬鹿な心配をしてしまった…
恍惚として戦闘を忘れなければいいが、だった。
「ミッション終了……残敵の掃討に入る」
戦神の通信が狩りの終結を告げ、ナデシコが無事火星に突入を開始した。
「重力制御を忘れているぞ、ユリカ!!」
突然、床が傾き、戦神が叫んだ!!
「テ、テンカワ!!」
「きゃぁぁぁぁぁあ!!アキト君!!」
「くっ」
格納庫近くの自動販売機の前で戦神に三人娘が貼り付いている。
「くそ〜〜〜〜〜テンカワばかり美味しい目に会いやがって!!」
「喚くな!煩い!!」
我にしがみつくウリバタケに怒鳴る。
「だがよ〜北辰さんよ〜男なら分かるだろう!」
「何か手段は必要だな」
我の言葉にウリバタケは何やら真剣に考え込む表情を見せた。
む〜こやつも娘を持つ親として何かを感じているのか?
ウリバタケよ、渡さぬ!渡さんぞ!戦神は北斗の物だからな!!
「今からナデシコはオリュンポス山に向かいます」
「そこに何があるのですか?」
ミスターの話に艦長が質問する。
「そこにはネルガルの研究施設があるのですよ。我が社の研究施設は、一種のシェルターでして…
一番生存確率が高いのです」
「では、今から研究所への突入メンバーを発表する」
我の言葉に戦神が割って入った。
「すみません、俺にエステを貸して貰えませんか? 故郷を…ユートピアコロニーを見に行きたいんです」
ふっ、予想通りだな。だが、止めることは出来ぬし、薦める訳にも行かぬし…
「むう」
我の苦言に提督が発言した。
「…かまわん、行ってきたまえ」
「ありがとうございます」
まぁ、仕方ない。だが…
「待て」
「故郷を見る権利は誰でもある。私はお飾りだが、これでも指揮権があるのだよ」
「いや、止めている訳ではない。一人では何かあった時と思ってな」
ギン!!
ブリッジに見えない衝撃が走った、気がした…
「はい!私もユートピアコロニーが故郷です!アキトと一緒に行きます!!」
「艦長が艦を離れる訳には行きませんなぁ」
「ふみぃ〜」
「わたし、あまり外の世界を知りませんから見てみたいです……ふふふ」
「ルリさんがいませんとナデシコが動けませんな」
「みぃ〜」
ミスターの言葉に轟沈している。
「では、わたしが行きます。通信のお相手は居ませんし、看護婦の資格も持っていますから(ニコッ)」
「ふむ、メグミさんですか、それなら…」
「はい」
だが、そういう訳には行かぬのだよ。
「だが、何かあった時に戦闘出来ない者では、困るな」
「え〜〜〜!」
「「そうそう」」
我の言葉にメグミが不満の声を上げ、艦長と妖精が賛成してくれた。
戦神もあからさまにホッとしているな。
「なら、俺が…」
「我は、マキ・イズミを推薦する!」
スバルを遮り、我が言った。ブリッジに静寂が落ちる。
「マキは、中々の使い手。我、ミスター、スバルとついでに副長がオリュンポス山を探索する予定だった。
アマノとヤマダにその間の艦の守りを任せれば万全だろう」
偵察通信特大号木連情報局発行東舞歌編纂を参考にすると、
ふふ、マキ・イズミはある意味危険人物だが、その危険人物ではない。
山崎並であって、艦長や妖精並ではないからな。
「…ま〜イズミさんなら…いいか…」
「そうですね、イズミさんなら…」
「……僕、ついで……」
艦長と妖精が控えめに賛意を送り事は決まった。
「…北辰よ、俺に死ねというのか!イズミさんとだと…」
「でも、わたしも安心できます」
「…ルリちゃん?」
「ぷん、さっきはお楽しみでしたね、アキトさん……3人に抱きつかれて……」
「ル、ルリちゃん……」
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「…ルリちゃん、アキトを迎えに行こうよ〜」
「駄目です。アキトさんにお願いされていますから」
「艦長、いい加減諦めて、待ちましょうよぉ〜イズミさんなら間違いはないし」
「ぶ〜〜〜でもでもでもぉ〜」
艦長、妖精、通信士はもめている。
我は、ミスター、提督、操舵士とお茶をしている。あそこに入るのは、自殺行為だ。
分をわきまえぬ副長は、隅でのの字を書いている。未熟者め!
ズズゥゥゥゥゥゥンンン!!
「敵、前方のチューリップから次々現れます」
「ルリちゃん!!グラビティ・ブラスト発射準備!!」
「…発射準備完了」
「発射!!」
「ネルガル社製のお茶菓子、今一なのよね、プロスさんどうにかならない?」
「ははは、同感ですが、グループでしてね〜」
ギュォォォォォォォォン!
「…敵、小型機は殲滅するも戦艦タイプは未だ健在。その数…更に増大します…」
「え〜〜何で〜グラビティ・ブラストが効かないの〜?」
「…敵もディストーション・フィールドを張ってるみたいです」
「もう戦艦とか子供の好きそうな物にお金かけて、他は駄目なんて…」
「いえいえ会長が好き物でして…」
って、おい、ハルカ。のんびりお茶を片付けていて、いいのか?
我は未来を知る身として動揺などせぬが、立派な危機のはず……誰も動揺してないか……ナデシコは。
「は〜〜」
「では、次は私秘蔵の虎屋の…を」
「きゃっ、私好きなのよ、いいわね〜」
「そんな…ここからフィールドを張りつつ後退します。あ、アキト、どうしよう?」
「…テンカワ機より、通信入ります」
「え!本当ルリちゃん!」
「はい、通信出します」
ピッ!
「ユリカ!今から敵陣を強行突破してナデシコに合流する!!」
ブリッジの気温がやけに正確に3度下がった。婿殿よ……
「…アキト」
「…聞いているのか!俺とイズミさんと後一人、イネスさんという人が合流するからな!!」
艦長の声に気付かぬか。愚かな…
「…アキトさん」
「大丈夫だよルリちゃん。今回は回避に徹するからさ」
妖精の声にも気付かぬか。未熟な…
「…アキトさんって」
メグミを除いてやった我の好意を無にするか…
「「「そんなの信じられません!!」」」
「へ?」
戦神の動きが止まった。
「何よ!アキト、その格好は!!」
「どうして、イズミさんが膝に抱っこされてるのですか!!」
「その右手に抱いている女性はどなたですか!!」
艦長、妖精、メグミの言葉が冷たく光る。
だが、そんなことはどうでもいい!
イネス・フレサンジュのことは最初から諦めている。
しかし、しかしだ、我が細心の注意を払い、すべてを考慮したことを無にするとは……許せん!!
何故、マキ・イズミの頬が真っ赤なのだ!!
あの山崎並すら落としたのか、婿殿!!!
「…後できちんと釈明します」
「なら、よろしい」
「…本当のことを言って下さいね、アキトさん」
「どんな、言い訳をするのですか、アキトさん?」
戦神の凄まじいまでの攻撃が見れたことをつけ加えておこう。
そして、この我の手元のテンカワ・アキト抹殺組合加入申込書の扱いをどうするかだな…
北斗との出逢いまで先は長い……ちょっと、こう、両拳を胸元で握ってみたりして、
お父さんは頑張るぞ!ぐっ!!
<あとがき>
パパの組合加入はどうしたらいいんでしょう?
先が読めない。というか読んで書いてないし。行き当たりばったりさ。
今回は同盟さん、メグミ様以外敵に回してないでしょう!
おう?マキ・イズミ嬢……んな、マニアックな……ごめん。
代理人の「パパは仮面の策謀家」のコーナー
・・・・・・これは。これだけは完全に予想外だったな〜(笑)。
まさかイズミさんが落とされるとは(爆笑)!
さすがである。
後、謎だった「木連情報」ですが
東舞歌編纂
やっぱりこの人の仕業だったか(笑)。
・・・・しかし、そう言う情報もいちいちチェックしてたのか、北辰は(爆)?
まさか、「時の流れに」の頃から壊れていたとか(超爆)。
追伸
「……僕、ついで……」
愚かなり未熟者よ(爆)。