(Bパート)
全てが上手く良き得意の絶頂であったウィリアムの所に一つの電話がかかってきた。
それは幸福な彼に届いた絶望への招待状であった。
「もしもし」
「どうも、ウィリアム・ウェンリークさんですね・・。」
「はい、そうですが?」
「私、アリア・ウェンリークの主治医をしていた、サカグチ・アスカと言います・・・・」
「ああ、アリアの高校時代からの友達だった・・・・・・・!
すいません・・・・"していた"とはいったいなのですか・・・。」
「アリアは今朝・・・・・・・」
「・・・・・・」
「死にました・・・・・・」
「!!!!!!!」
ガタン!!
ウィリアムは衝撃のあまり電話を床に落としてしまった・・・・
アリアはウィリアムと別れた後、家には帰らず、昔からの知り合いの医者の病院に入院した。
その医者はアリアの主治医でもあるサカグチ夫妻であるが、アリアの病状を見て愕然とした。
アリアの命の火は風前の灯であった。
アスカはすぐにウィリアムに連絡しようとした。
しかし、アリアはそれを止めた。
それはウィリアムに余計な心配をかけ、事業に集中できなくなるを恐れたからだ。
自分が死にかけているのに、どこまで夫のことを考える出来すぎた妻であった。
さらに娘のマリアには
「しばらくの間、サカグチのアスカおばちゃんの所でゆっくりしてくるから。」
マリアも、よく出来た娘であったのでアリアが疲れているんだと察してOKをだした。
そして、アリアの声は普通であった。
そう、死にかけているいるなんてまったく感じさせないくらいに。
無論、娘にも内緒にしたのは、そこからウィリアムに流れることを恐れたからである。
そしてアリアはウィリアムの成功を聞くまで意地で生き続け、
そして事業の成功を聞いたとたん緊張の糸がぷつんと切れたのか、
そのまま永眠した・・・・・・。
その事を聞いた時ウイリアムは全てに絶望した。
聞いてみれば、すでに事業の前にはすでに病気だったと言う。
何故自分はそんな事に気づかなかったのか!!
アリアが自分に病気の事を言わなかったは仕方がない。
アリアはそんな女だ。
だからこそ自分はアリアに惚れ、アリアを愛した。
だからこそ、アリアの異変には夫である自分が気づかなければならなかったのに・・・・・
何のための夫婦だ!!
そして最後の別れの笑顔・・・・・・
自分は愛する妻の死に目すら見れなかった。
アリアを死なせた、イヤ、殺したのは私だ!!。
そのような絶望の思いがウィリアムの心によぎったのである。
そしてアリアの葬式の日、マリアはウィリアムにこう言った。
「お母さんが死んだのは、父さんのせいだ・・・・・・・。」
ウィリアムは何も言い返せなかった。
そして、ウィリアムはアリアの死を忘れるためかのように更に仕事に没頭していったのである。
それが更にマリアの怒りを買い、それ以降全てがすれ違って行き現在に至るのである。
ウィリアムはрかけた。
相手はロバート・クリムゾン。
「ウィリアムさん、返事はどうですか?」
「色々考えた結果丁重にお断りいたします。
また新聞も論調を変える気はありませんが、テンカワ・アキトを敵に回すつもりもありません。
だから、あの事件を記事にするつもりもありませんし、私がさせません。」
「ほう〜なぜ・・・。」
「一言で言えば彼を見たくなったからですかね。
アイツが惚れた彼のね・・・・。」
「ほ〜う、しかしそれは娘さんが彼に誑かされているということは。
民明書房の本によると女癖の悪さは天下一品のようですし。」
「それについてはちゃんと調べてますよ。
あの本に出てくる女性はアイツを含めて皆、アホな男に誑かされるような女性ではありませんよ。
それにアイツは自慢の娘でね。
男を見る目もかなりモノだと思いますんでね。
それにいくらライバルが多いからといって、アイツは彼を諦めようとはしない。
そんな彼だ。
すでに多くの者が彼に人生を賭けている。
良いじゃないですか。」
「ならすでに彼を敵に回してると思いますがね。
あの論調なら。」
「それはありませんね。
実際、彼の根拠のない中傷を行った、二流三流の雑誌、新聞は全て潰されてますが
(無論これは、アキトが知らない内にTA同盟が行ったこであるが)
うちはテンカワ・アキトの記事に関してはなんの妨害も受けてませんよ。」
「ならどうあっても・・・・」
「ええ私はやりませんし、やらせません。 誰にもね。」
「わかりましたでは・・。」
ピッ・・・・ ツーツーツー
рェ切れた。
(いやにあさっり引き下がったな。いや恐らく!)
またрするウィリアム。
「ジェーン君か?
いや例の件どうなったかな。
そうかもうアイツに付いてるか。
頼む。」
何処かに何かを頼んだようだ。
р切りながら、
(アイツと、話をしたのは久しぶりだな)
そう思って苦笑した。
(アイツは、マリアはアリア似てよく出来た子だった。
私を思ってか、親に甘えるという事しない子だった。
そう、これが最初だ。
途中からは私に対する意地があったようだが)
ちょっとした思い出し笑いにひたるウィリアム。
(そう、これが最初だな・・・・・・。
アイツが私にワガママを言ったのは。)
心の底では仲直りしたいと思っており、これが期となればとも思っていた。
そして最後にこう思った。
(無事でいてくれよ、マリア)
そのころマリアは一人、道を歩いていた。
(アイツと話したのは久しぶりね)
ウィリアムと同じことを考えていた。
ウィリアムとの仲たがいの根本にあるのは無論母アリアである。
そこから、父娘のすれ違いが始まったのだから。
マリアはすでに、アリアの死の真相を知っていた。
しかし頭が納得しても心が納得してなかった。
更にアリアの献身的すぎる行動すら納得できなかった。
しかし・・・・・
(でも、今の私は母さんのことをとやかく言えないわね。
そう、あそこまで"彼"に入れ込んでしまってる私には)
そう思って苦笑した。
(母さん、今なら母さんの気持ちが少しわかる。
"彼"の為に色々やってしまっている自分をみると。
やっぱり私は母さんの娘なのね。)
そして更に考える。
(でもね、母さん。
"彼"は本当に凄い、私の人生を賭けても惜しくないくらいに。
多少女難の相を持っているのがたまにキズだけど。
そして・・・・アイツ)
アイツとは、父ウィリアムである。
マリアも他人に指摘されれば怒るが、ウィリアムと仲直りしたかった。
今までの意地の張り合い、心のすれ違いなどでまったく話をする機会すら作ろうとしなかった。
(そうだな。
今後のことの為にもう一回会うかな)
今後とはどう言うものかは想像にお任せする。
その時、
「!!!!」
マリアは人の気配を感じた。
それは自分を囲んでいた。
(しまった!!
考えごとをしていてか囲まれるまで、人の気配に気づかないなんて!!)
更に周りに自分と自分を包囲するする者意外に人の気配がないということに気づいた。
そして、路地などから男たちが現れた。
そして皆黒いスーツを着ていた。
「まったく、基本に忠実な連中ね。」
そんな皮肉を言ったマリアであったがそれに何も返さない黒服達。
そしてマリアは相手が何者か考えてみた。
(政府の連中?
否違う、今政府はサツキミドリ二号事件の後始末でてんてこ舞いのはず。
私なんかに手を出して余計な仕事を増やすようなまねをを、あの陰険警察長官が行うはずがない
て、言う事は・・・・・・そうかクリムゾン!)
考えて結論に行き当たるマリア。
(どうやらアイツに提携を断られたから、アイツを脅すために私を狙ったってわけね。
それならばどうするか・・・・・)
敵の正体は解かったがどうすることも出来ない。
マリアはいざととなれば自決する覚悟をかためた。
父、それよりなによりテンカワ・アキトの重荷なりたくない。
自分はテンカワ・アキトと余り面識がない。
それに自分がやってることもアキトのためとはいえ、自分で勝手にやってることである。
たとえそんな自分でも捕らえれればテンカワ・アキトはそれを見捨てはしないだろう。
彼はそういう人間なのだから。
彼のそういう所にもマリアは惚れているのである。
そしてマリアが覚悟を決めかけたその時、
シュッ、バタ!!
突然マリアを包囲していた黒服の一人が倒れた。
首から血がだらだらと流れ出ていた。
黒服達は驚愕した。
何の前触れもなく仲間が殺されたのである。
さらに驚いている内に、
シュッ、バタ! シュッ、バタ!! シュッ、バタ!!!
どんどん死んでいく黒服達。
黒服達は恐慌を起こした。
皆、恐怖で顔を歪めていた。
必死に部下に正気を取り戻させようとするリーダー格の男。
しかし、彼も後ろから出されたナイフで首の頚動脈を切られた。
そして生き残った黒服達は悲鳴を上げて逃げ出した。
マリアは目の前で起きた光景を驚愕の目で見ていた。
そして一人の男が現れた。
その男は茶髪の長髪を後ろで簡単に纏め、ジーパン、ジ−ジャンを着ていた。
顔立ちはサングラスをしているからよく解からないがなかなかの美形のようだ。
口にはタバコを咥えている。
「あんた誰。」
辛うじて平静を保ちながら男に問うマリア。
男は苦笑いしながら言った。
「俺を忘れるなんて酷いな、マリアちゃん。」
軽くそう言う男にハッとなるマリア。
「レイモンドさん・・・・・。」
そう、彼はマリアの友人で、アメリカ・ブロックの大富豪ダグラス・マッキンタガートの孫、ジェーン・マッキンタガートの恋人、
私立探偵レイモンドであった。
無論マリアとも友人関係であり、マリアの協力者でもある。
マリアが政府や電子の妖精達の裏をかくことが出来たのも、この天才私立探偵の助力があってこそである。
「でも何故貴方が?」
「じゃじゃネコの依頼でね。」
じゃじゃネコとはレイモンドがジェーンに付けたあだ名である。
「君が何者かに狙われかもしれないと連絡があったて言うんで俺が護衛についたんだ。」
と言いながら心の中で呟くレイモンド。
(それと、これはヨシダさんの依頼でもあるけどな)
ヨシダとは軍務省政務次官ヨシダ・ヒロフミである。
三人目で私立探偵の側近とはレイモンドの事である。
他の二人よりもヨシダとのつながり一番ながい。
ヨシダは最初、レイモンドの才能に惚れこみ自分の秘書となってくれと、頼んだ。
しかしレイモンドは、めんどくさい、の一言で断った。
自分は性格的に政治の世界には向いてないと思った。
さらにもし政界に住めば、本名を名乗らずえないというのがいやでいやでたまらなかった。
それでヨシダとは結局探偵として友人関係を持ってるにすぎない。
しかし、その関係からヨシダから非合法の依頼をよくうけた。
(それにしてもヨシダさんの勘はよく当たるよ。
悪い方にな。)
「じゃあ早く逃げないと!」
そう言うマリア。
こう言う作戦は二重三重の構えで行うのが普通であり、第一陣が失敗したなら、第二陣がすぐに来るのが普通であった。
しかし、レイモンドは慌てず時計を見ながら、
「まあちょっと待ちな。
そろそろだな・・・・5・・・・4・・・・3・・・・2・・・・1・・・・0!!。」
ドカーン!!
と凄まじい爆発音が聞こえてきた。
「これって(汗)。」
ちょっと引きつりながら問うマリア。
「ああ、ここに来る途中あいつらの車を見つけたから、それにちょいと細工して時間が来ると爆発するようにしてきた。
ああ心配するな人様には迷惑にならないようにしてきたから。」
「そう言う問題ではないんじゃ(更に汗)。」
更に引きつるマリア。
「それにこんな事をしたのは訳があんだよ。」
「訳?。」
「どうやら、地方警察の上の方まで話がいってるようでな、いくら待って恐らくは警察は来ない。
だから連中はあんな事を秘密裏する自信があった。
だが、火事となれば話は別だからな。
いくらなんでも、火事は自分の身に直接降りかかかるかもしれないから見逃すわけにはいかない。
そして連中は秘密裏にことをすることが出来なくなって引くしかなくなるのさ。」
「だったら・・・・。」
「?。」
「なおさら逃げないと駄目じゃない!。
このままでは警察に爆弾魔として逮捕されるわよ!!!!。」
「・・・・・・・オウ、そうだな。」
「まさか、後のことを考えてなかったんじゃ(疑い目)。」
「まさか〜(汗)。
それよりさっさと逃げるぞ。」
(絶対何にも考えてない!!!)
マリアそう思ったがここに留まる訳にはいかないのでレイモンドについて行った。
「レイモンドさん・・・・・」
「なんだ?」
「私はあんな連中を敵に回して、それで・・・・。」
「だまれ。」
逃げながら喋るマリアの言葉を途中で遮るレイモンド。
「大企業が怖くて私立探偵なんてやってられるか。
それに、今君を見捨てたらジェーンにどんな目に合わされるか解かったもんじゃない。
それに・・・・。」
「それに?。」
「ナデシコには一応俺の従兄弟がいるんでね。」
「解かったわ・・・・。」
そうして二人は都会の闇の中に消えていった。
「そうか、無事保護に成功したよですか・・・・。」
ある部屋の中で一人の男がいた。
「以後監視を強化してください。」
そう言って男は溜息をついた。
彼はとある財閥の当主。
しかし、その財閥はクリムゾン、ネルガルともなんの引けも取らない大財閥である。
だが彼は尊敬をもってある称号で呼ばれている。
その称号とは孟嘗君。
中国の戦国時代の『戦国の四公子』の中で最も有名な人物であるその人物と同じ尊称を受けていた。
それは彼の人格、能力、度量を最大級に評価された結果であった。
まさに、ロバート・クリムゾンやネルガルの先代とは人間的にかけ離れた所にいる人物である。
また尊称の由来の一つに彼が多くの異能者を食客として側に置いてると言うところからも来ている。
しかし、彼は
「人は幅を知らなければならない。」
という考えを持った人物であったので、その気なればいつでもネルガルやクリムゾンを征服出来たのに
全く何もしようともしなかった。
しかし、その人格の高さは有名であり、ウィリアム・ウェンリークもダグラス・マッキンタガ−トも彼に頼ってきている。
だが、それと同時にその見事なバランス感覚から
『阿衡』
とも言われた。
これは、衡(はかり)を阿(つ)ぐ人と言う意味である。
そんな人物であるから、クリムゾンやネルガルがのどちらかが大きくなり過ぎるのを好まなかった。
「しかし、テンカワ・アキトが絡むといつもとんでもないことになるな。」
「それはあの方は私の愛しの方ですから。ね、お父様。」
そう応えたのは後ろにいる美女であった。
ながい黒髪と鋭い目まさに高貴な大和撫子と言える美女である。
そしてどうやら孟嘗君の娘のようだ。
「ふ〜。
いずれお前にナデシコに行ってもらわねばならない。
近い内にな。」
「フフフフフフ・・・・・・」
「・・・・・・?????」
「望むところですわ!!!
あそこには私の運命の人と永遠のライバルがいますから!!!!!。」
メラメラメラメラメラ・・・・・
後ろに炎を上げながらそう叫ぶ美女。
「・・・・・・・・」
「待っていてくださいね、
アキト様!!!(はぁ〜と)
今私が貴方の元に参りますわ!!!!。
オーホホホホ!!!!。」
隣で壊れている娘を見ながら孟嘗君は思った。
(大丈夫か?)
絶対大丈夫ではないと思う(汗)。
あとがき
どうもお久しぶり、槍です。
ここしばらく私の都合でSSを書くのを休んでいました。
しかし、こんなに長い話になるとは思いもよらなかった。
これはマリアさんにスポットあててみようと思って書いたのですが
黒貴宝さん、もしマリアのキャライメージが違っていたらすいません。
マリアさんは私のSSでは結構重要なキャラだったのに、今まで描写を書いたことがなくヤバイと思ったのが
この話を書いた理由です。
今回はかなり冒険してます。
はっきりいって皆さんの反応が怖いです。
これこあらどうなるかな〜。
出来れば見守ってください。
では、あとがきでした〜
(結局最後のあの方には何も触れないやつ)
管理人の感想
槍さんからの投稿です!!
復帰第一号はマリアさんの活躍話でした!!
それと、某女性と(苦笑)
まあ、槍さんの二つ名をご存知の方は正体を知ってられると思いますが(爆笑)
しかし、本編の影では色々な暗躍がありますね〜
マリアさんも危機一髪だでしたしね。
槍さんには政治的な問題を教えていただき、感謝していますよ。
今後も本編の補完をお願いしたいですね!!
では、槍さん!! 投稿有難うございました!!
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