喪心の舞姫
 第一話

【草原:???】

気がついたら草原に立っていた。

ここは……?
何か見覚えのある場所、でも思い出せない。

あたりには誰もいない。
感じられるのは風の音と、踏みしめた足もとの草の感触と匂いだけ。

どうしてこんな所にいるんだろう。
理由を思い出そうとしたが思い出せない。
それどころか、自分の事すら思い出せない事に気づいた。

これはいったいどうして?? 私は、誰?!
……私? 私、じゃなくて俺って言っていたような? でもやはり私?
どっちも違和感。 ……どういう事?

暫くしてとりあえず落ち着いたので、まずは自分の服装や持ち物を調べてみる。
黒いマントのような服。手の甲には変な模様……何だこれ。
身元がわかるような物は何もない。
どうしたらいいんだろう……。

【サセボシティ路上:テンカワ・アキト】

畜生、怖いものは怖いんだ。
逃げたっていいじゃないか。

俺は家財道具一式を背負いながら、何処へともなく走っていた。
恐がりのパイロット雇ってるなんて噂が立ったらまずいなんて、俺はパイロットじゃないのに。
……奴らが怖い訳は、あの火星の襲撃のせいだってのはわかってる。
あの事を乗り越えないと怖いままだってのも。
でも……。
そんな事を思った時、目の前が暗くなった。
前を走っていた車の荷物がこぼれて俺にぶち当たったんだ。

「うわーーーーーーーっ!!」

【同:???】

あの草原にいても仕方がないので、近くの街まで歩いてきた。
途中、周りのビルの窓に映る自分の姿を見て自分の年格好を確認した。

年は十六ぐらいかな。
髪の毛はかなり長く、腰まであって色は黒。でも、瞳は金色だ。
一応女の子だ。胸はあんまりないけど。
身元探しに役立ちそうな外見特徴はこの位だろうか。

だけど、これから何処に行けば良いかには全く役に立たない。
ボクは思わずため息をついてしまう。
あ、結局一人称は「ボク」にした。
「私」でも「俺」でも違和感があるから、どうせならどっちでも無い物をって事で。

それはともかく、ボクはこれからどうしようかと、辺りを見回した。
だけど、この街は何だかいろんな所が破壊されている。何があったんだろう。
人通りもなくて誰かに聞いてみる事もできない。
困ったな……。

「うわーーーーーーーっ!!」

そのとき、急に何かがぶつかり合う音と叫び声がした。
慌てて見回す。
自転車に乗った男の人が見事に転倒していた。
どうやら、前の車の荷物がこぼれて自転車の男の人に直撃したみたい。
荷物の中身は洋服で、辺りに飛び散っている。
こちらにも風に乗って一枚流れてきた。

「すみません、すみません、本当にすみません、申し訳ありませんでした。痛いとこ、ありませんか?」
車から慌てて降りてきた、白い制服を着た髪の長い女の人が謝っている。
かけられた言葉に自転車の男の人が顔を上げる。
その二人の顔を見た時、頭の中に衝撃が走った。

……私はアキトが大好き!!……君の知っているテンカワ・アキトは死んだ……私はアキトの目、アキトの耳……。

様々な映像が脳裏を駆けめぐる。
何?!

【同:テンカワ・アキト】

数分後、俺はぶつけられた荷物を拾い集め、詰め直すのを手伝っていた。
我ながらお人好しだと思う。

「あの、これ落ちてました」
「あ、どうもすみません」
親切な事に、偶然その場にいた金色の瞳の少女も、拾い集めるのを手伝っていた。
だが、その娘が俺と目の前に座り込んでいる白い制服の女を、何だかちらちらと見ているのがちょっと気になる。

「なぁ、きみ……?」
「あなた、どこかでお会いしました?」
俺がその娘に声を掛けようとした時、目の前の女がじっと俺の顔を見つめて聞いてきた。
「へ?」
「なんか、そんな気がするんですけど?」
「いや、さあ……俺はそんな気しないけど」
「そうですか」
制服の女はそれで気が済んだのかあっさり引き下がる。

「あ、あの……」
「ユリカぁ〜」
意を決したのか金色の瞳の少女が声を掛けてきた。
だがその時、そこに割り込むように制服の男の方が女を呼んでしまい、女は車に向かってしまう。
「それでは、身体にお気をつけ下さい」
そう言い残して白い制服姿の男女を乗せた車は走り去っていった。

ふと横を見ると金色の瞳の少女が肩を落として立っている。
何か訳有りの様なので声を掛けようとした時、足に何か触れた。
見ると、足下に写真立てが落ちていた。
「……ん、また落として行きやがった」
入っていたのは子供の男女二人組の写真。
「はっ? これ、俺じゃねぇか。何で俺が?」
その時、幼なじみの写真の少女とさっきの女が重なった。
じゃあ、あいつの名前は……。

「「ミスマル・ユリカ!」」
俺がユリカの名を思い出した時、もう一つ声が重なった。
声の主はいつのまにか写真をのぞき込んでいた金色の瞳の少女だった。
その少女は写真と俺の顔を見比べ、口を開く。
「テンカワ・アキト!」
少女の口から俺とユリカの名が出たので慌てて聞き返す。
「君、どうして俺とユリカの名前を?」
俺がそう言うと、彼女は困惑した様な悲しそうな表情になる。
「……わかりません。ボク、記憶喪失なんです。その名前も貴方達を見ていて、頭の中に浮かんできたんです」
なかなか予想外の返事だ。
だけど嘘を言っているようではないので、もう少し質問してみる。
「他に何かわからないの? 自分の名前とかは?」
少女は暫く考えて口を開く。

「もう一つ思い出した名前は……ラピス・ラズリ」
「それが君の名前かい?」
「違うような気がします。でも、そんな気もするし、同じ様な感じは、テンカワ・アキトって名前にもするんです」
「テンカワ・アキトは俺の名前だけど」
「そうですよね……。でも……」
そう言ってしばらく俯いていたと思ったら、いきなり彼女はこっちを向いた。

「あの、間をとって、テンカワ・ラピ…いえ、テンカワ・ラズリって名乗っていいですか」
少女は最初はテンカワ・ラピスって名前にしようと思ったようだ。
が、いきなり悪寒でもしたのか、体を震わせてから、少女はテンカワ・ラズリって名乗りたいって聞いてきた。
「ええっ?!」
「だめですか……?」
うろたえる俺を、涙を浮かべた悲しそうな目で見つめる彼女。
べ、別に名乗るだけで、結婚するとか、兄妹になるとか言ってる訳じゃないんだよな。
……だったら、まあ、いいか。
「名乗るだけならかまわないけど」
「ありがとう、アキト」
俺が了承すると、彼女はにっこり微笑んだ。
なんか、照れるな。

「じゃあ、俺行かなきゃ。俺、アイツに会って聞かなくちゃならない事があるんだ」
そう言った俺の顔を、彼女は驚くほど真剣な表情で見つめてから、口を開いた。
「ボクも行きます。ユリカさんを追いかける。そうしたら、きっと何かわかるはずだから」
「よーし、じゃあ一緒に行くか!」
「はい!!」
「待ってろユリカ!! 俺達はお前に聞かなきゃならない事があるんだからな!!」

【ネルガル重工警備室:プロスペクター】

ナデシコの艦長であるミスマル・ユリカ嬢に会わせろと叫んでいる者が来たという報告を受け、私は警備室までやって来ました。
全く、ナデシコの監査役と言っても雑用みたいなもんですなぁ。
「…というわけで、入り口前で大暴れしていた自転車男とその後ろに乗っていた少女を保護しました」
私は警備員の報告を聞きながら、その二人の右手にパイロット用IFSが在るのを見つけました。
「ほー、パイロットかね?」
「違うよ、俺はコックだ」
「ボク、記憶喪失なんです」
「というように先ほどから訳の分からない事を言って……」
「ふむ……」
とりあえずDNA調査でもしますか。

まずは男性の方から。
「あなたのお名前探しましょ、と」
名前はテンカワ・アキト、と。テンカワ……ね。
出身は……おや?
「全滅したユートピアコロニーから、どうやって?」
「わからない。気がついたら地球にいたんだ」
テンカワさんの両親の事を考えると、もしかしたら、この人は……。
で、テンカワさんはその両親の事で艦長に聞きたい事があると。なるほど。

「さて、次はあなたです」
次は女性の方をと。
「遺伝子情報、登録なし……?」
何ですと?
「ほ、本当ですか?!」
本人も驚いているようですね。
そう言えば記憶喪失と言ってましたね。
「仕方ありません、まずは、お名前は?」
「思い出せません。とりあえず、テンカワ・ラズリ……にしました」
「そ、そうですか」
しかし、このDNA調査で判明しないとなるとラズリさんは普通の人間ではないと言う事になりますが。
不審に思いつつ、私は彼女を眺めました。

「パイロット用IFSだけじゃない? それに、その瞳の色は……?」
私は、彼女は両手にIFSの模様があるのに気がつきました。
右手はパイロットの物と同じ形ですが、左手の方は……、そう、ルリさんの物と同じ形です。
金色の瞳といい、もしかするとこの少女はルリさんと同じマシン・チャイルドなのでは?

私は、この二人を見ながら考えました。
二人とも、なかなか面白い人材のようですね。
ならばここはやはり……。
「わかりました。二人ともこのナデシコで雇いましょう」
「「ナデシコ?」」
「我がネルガルが誇る新造戦艦です。ユリカさんもこの船に乗っていますから、そのうち会えますよ」
二人は私がそう言うと、顔を見合わせてから納得したらしく頷いて、こう聞いてきました。
「で、仕事は何ですか?」
「アキトさんはコック、ラズリさんはとりあえずパイロットです」
「は、はい」
「え、パイロット?」
私の答に満足そうに頷くアキトさんと、心配そうな顔をするラズリさん。
「あなたもIFSが付いているようですからきっと大丈夫でしょう。
 心配ならシミュレーションルームで…。あっと、あそこはまだ調整してませんでしたね。
 ハンガーに行って実際にエステを動かしてみるといいでしょう」

【ハンガー:テンカワ・アキト】

そういう訳でラズリちゃんはハンガーに行く事になり、俺はそれに付いて行った。
だけどそこで俺達はエステバリスとか言うロボットが妙な踊りをしているのに出くわしてしまった。
なんだ、ありゃ。

「ガァイ! スーパー・アッパー!!」

あ、こけた。
エステバリスから出てきたパイロットが担架で運ばれて行く。
何だかなぁ。
「おーいそこの少年!!
 あのロボットのコックピットに俺の大事な宝物があるんだ。
 すまーん、取ってきてくれ〜」
呆れたまま見ているとパイロットから呼びかけられた。
仕方ないので、コックピットに入り込む。

「はあぁ……宝物ってゲキガンガーの人形かよ? いくつだあいつ」
ますます呆れてため息をついたその時、衝撃で周囲が震えた。
「う、ああ! な、なんだ!?」
爆音と衝撃、鳴り響く警報。
はっ! まさか、まさか!!
「奴らだ、奴らが……来た!」
逃げなきゃ、こんな所にいたら奴らに殺される。

【同:テンカワ・ラズリ】

アキトがエステバリスのコックピットに入っていくのを見ながら考えた。
なんか、前にもこんな事があったような気がする。
このナデシコや、エステバリスにも見覚えがあるし、さっきのプロスペクターさんも会った事があるような気がした。
何でだろう。
この船は最新鋭艦だし、エステバリスも最新型なのに。
それどころか、さっきのエステバリスの踊りも、声の大きいパイロットも見覚えがある様に思える。
どうしてだろう。
今起こった事なのに。

でも、その思考は衝撃と警報によって中断された。
な、何? 木星蜥蜴? それって一体?
ボクの思考と同様、周囲も木星蜥蜴とやらの攻撃で大騒ぎになっている。
そんな中を、アキトの乗ったエステバリスが地上へのエレベータへ歩いて行く。
どうしたんだよ、アキト!!
アキトのその行動に驚きつつ、ボクは何かに突き動かされる様に、近くにあった濃紺のエステバリスに乗り込み追いかけた。

【ナデシコブリッジ:ホシノ・ルリ】

木星蜥蜴の攻撃が始まってから、オペレータの仕事をしている私の後ろでキノコ頭の軍人さんがうるさいです。
その軍人さんはまるっきり無視したまま、艦長達は作戦を立て始めます。
「艦長の意見はどうだ?」
「海底ゲートを抜けて一旦海中へ、その後浮上して敵を背後から殲滅します」
「そこで俺の出番だ! 俺が囮になって敵を引きつける」
艦長の言葉に、叫ぶパイロット、ヤマダ・ジロウ(自称:ダイゴウジ・ガイ)さん。
「あんた、骨折中だろ」
「ぬあっ、しまったーーー!!」
その作戦は囮が居なくて実行不能かと思われた時、オモイカネから報告が入りました。
「囮なら出てます」
二体のエステバリスがエレベータで移動中です。

通信を繋ぐと、それぞれ乗っていたのは、黒髪黒眼の男性と、黒髪金眼の女性でした。
私と同じ金の瞳……?!
「所属と名前を言いたまえ」
「テンカワ・アキト、コックです」
「テンカワ・ラズリ、パイロットです」
「パイロットの方はともかく、何でコックがそこにいる」
コックと答えた男性の方に、追求が入ります。
と、男性の名前を聞いて、何やら騒ぎ出す艦長。
「アキト……アキト! アキトだ!!」
「えっ!?」
「懐かしい!! そっか、アキトかぁ……なんでさっき知らんぷりしてたの? そっか、相変わらず照れ屋さんだね?」
「ちょ、ちょちょ、ちょっと、ちょっと待て、なんだよおまえ……そこで何やってんだよ?」
「ユリカはこのナデシコの艦長さんなんだよ。えっへん」
「何ぃ?!」
「私が危険な時に駆けつけてくれるなんて、やっぱりアキトは私の王子様だね!!」
「一体何の事だよ! おい、人の話を聞け!!」
艦長とコックらしい男の人は、何やら個人的な会話に突入していきました。
何でしょうかね、この艦長さんは……。

そんな中、パイロットと答えた女性は、それを何やら考えているような表情で見てから、こっちを向いて聞いてきました。
「何だかよくわかりませんけど、ここを攻撃しているロボット達がいるんですよね」
「その通りだ。お前達が囮になって敵を誘導してもらう」
「わかりました。何だか、この艦は大事な場所、皆さんの大事な思い出になる場所、そんな気がします。
 だから、ここは絶対に無くさせはしません」
彼女はそう言って微笑みました。
その微笑みは、ただ決意が込もっているからと言うのではなく、何か透き通るような感じがして、妙に印象に残る物でした。
「作戦は十分間。とにかく敵を引きつけろ。健闘を祈る」

【エステバリス空戦フレーム:テンカワ・ラズリ】

エステバリスを動かしながらボクは思った。
ボクは、こいつでの戦い方を知っている。
この敵の行動パターンや性能も。
どうして……?
その疑問が浮かんだ時、脳裏に様々な戦闘の記憶が浮かんでくる。

……バッタ……ジョロ……チューリップ……マジン……六連……夜天光……。

なんだ……!
この戦闘の記憶は「俺」がやった事だ、間違いない……「俺」は一体?
戦闘の記憶が進んで行き現れた、憎悪と復讐心に囚われた戦闘の記憶に同調していきながら、そんな事を頭の片隅で考えていた。

【ブリッジ:ホシノ・ルリ】

「な、何よ、あれ……」
「むう……」
「あら……」
「お買い得物件だったようですねぇ」
「す、凄い……」
「くっ、やるじゃねぇか……」
「うわぁ……」
二機のエステバリスが囮として出撃して数分後、私達は空戦フレームのエステバリスの動きに釘付けでした。
「アキト、大丈夫かなぁ……」
一人だけ違う人もいるようですが。

出撃直後はどちらのエステバリスも素人同然でした。
ですが、この数分で動きが変わっていったのです。
陸戦フレームの方は、素人にしては良くやっているという程度でしたが、驚くべきは空戦フレームの方です。
見る見るうちに歴戦の戦士もかくやと言う動きになって行きました。
いや、あの動きはパイロットが経験のある一流だと言うだけでは説明できません。
あの動きはパイロットの反射神経や無人兵器の行動予測と戦術だけではないです。

私のその予測を裏付けるように整備主任のウリバタケさんが叫びました。
「あの空戦フレームのパイロット何もんだ! アイツ、絶対エステバリスのシステムに介入してやがるぜ!」
やはりそうですか。
あのディストーションフィールドの強度や、スラスターの出力は通常出せるものではありません。
ただリミッターを外すのではなく、機体が耐えられる様にシステムを完全に支配下においていなければまず出来ないでしょう。
「あんなの、全力疾走しながら数学の問題を解くようなもんだぜ。普通、出来るこっちゃねぇ」
私のようなIFS強化体質と、パイロットとしての一流の能力が無くては出来ないでしょうね。
あの人、一体何者なんでしょう。

と、ナデシコのメインコンピュータであるオモイカネからゲート開放可能のサインがきました。
「八割方注水完了、ゲート開きます」
考えるのは後です。今は戦闘中ですから。
でも、あの空戦フレームのパイロット、私と同じ金色の瞳でした。

【陸戦フレーム:テンカワ・アキト】

俺、最初は無我夢中だったけど、だんだん、敵の攻撃が余り大した事無いのに気づいて周りを見渡す余裕が出てきた。
そうしたら、敵の攻撃が俺の方にあんまり来ない理由がわかった。
理由は、俺と一緒に出たもう一機の為だ。
敵は、その一機の凄い戦い方に翻弄されていた。
幾ら素人の俺でも、ラズリちゃんの戦いが凄いってのはわかる。

テンカワ・ラズリ……俺とユリカの名前を知っていた記憶喪失の少女。
今の戦いと、俺の名字を名乗っていいって言った時のあの笑顔とはまるで結びつかない。
一体どういう事なんだ。

そんな事を考えていたせいか、俺は崖っぷちに追い込まれていた。
くうっ、どうする……?
「エステバリス、海中に退避!」
そこへ通信が入り、俺は機体を海中へと飛び込ませる。
海中にはナデシコがいて、俺はその上に乗っかっていた。

「目標、敵まとめてぜーんぶ!」
浮上したナデシコの攻撃。
ラズリちゃんの行動により半数近くは破壊されていたが、それでも残り全てを一撃で撃破した。
凄いな……って、ラズリちゃんもあの中にいたんじゃないのか?
慌てる俺の前にユリカからの通信が入る。
「アキト、大丈夫! 貴方のために急いできたの!!」
「ああ、大丈夫だ。それよりユリカ、ラズリちゃんはどうした?」
「良かった! やっぱりアキトは私の王子様だね!!」
「人の話を聞け!!」

ラズリちゃんのエステがそこへ着艦する。
良かった、無事だったか。
でも、あれだけの戦いをしたのに、機体にほとんど傷も付いて無いや。
本当、何者なんだろうか。

【空戦フレーム:テンカワ・ラズリ】

海中から浮上したナデシコの一撃。

この光景も、見た事があるような気がする。
一体どういう事なんだろう。
それに、戦っていた時に現れたあの記憶。

いや、それだけじゃない。
衝撃の記憶から自分を取り戻していくうちに、ボクは機体のシステムを自由に操れる事に気づいた。
いや、装備があったら、敵の機械だって操れるような気がした。
どうしてなんだろう。

もっと考えたかったけど、記憶の機動に体がついていって無いのか、急激な疲労感が襲ってきた。
意識が薄れる中、ボクは思った。

ボクは、一体誰なんだろう……。






【あとがき:筆者】

初めまして。yuaniと申します。
web上に作品を発表するのは初めてなのでどんな評価が来るか気になります。
「逆行物、黒黄色アキト同時存在、書式は一人称ザッピング、使われたネタばかりじゃないか」
なんて言われないか心配です。
確かに独自色は主人公が逆行キャラなのに記憶喪失ってぐらいでしょうか。
ですがこれから出来るだけの事をするつもりなのでよろしくお願いします。
では。

(2003.08.行間追加等微修正)

 

代理人の感想

同時存在・・・・・・・? やっぱ黒アキトなんでしょうか?

ジャンプしたせいでルリやラピスと混ざったとか色々期待してたんですが(笑)。

まぁ、本当にそうかどうかは作品の続きを楽しみにさせていただくとしましょう。