<スレイヤーズ西遊記>





第三十九話 



ガウリイの過去 その3


あらすじ


 何だかな・・・
 
(最早、あらすじの紹介はしないのですか?)

 だってさ、俺じゃない奴がナレーターしてるやんか?
 それに、それ程話し進んでへんし。

(・・・どうして、そこで関西弁?)

 ああ、もう直ぐ里帰りするからな。
 早いとこ標準語から脱却せんと・・・関西じゃ生きていけへんから。

(貴方が一番関西に偏見を持ってられませんか。)

 何を言う!!
 俺は生まれも育ちも関西だぞ!!
 ・・・関東に出て二年経つけどな。

(じゃあ、二年ですっかり関東に適応したと?)

 うんにゃ。
 未だに納豆とうどんは苦手。
 と言うか、納豆は食べた事も無いわ(自慢)

(自慢になりますか・・・そんな事(溜息))

 まあ、そんな事はどうでもいいとして。
 それではスレイヤーズ西遊記 第三十九話 今から始まります!!

「・・・オロオロオロ(汗)」
「何を焦ってるかな? この男は?」
「朝から落ち着きが無いですよね〜」
「・・・フッ(意地の悪い笑み)」
「キキキ!!」(俺って・・・ここでしか台詞貰えないのな(泣))






第一章.溜息


 爽やかな朝・・・
 それは誰にも訪れる時間。
 しかし、それを呪う人物は古今東西無くなる事は無いだろう。
 そして、この地にも少なくとも一人の男性が・・・
 チチチ!!
 小鳥の囀りを聞いて、一人の男性が寝具から起き出す。

「・・・朝、か。」

「ああ、そうだな。」

 どうやら同室の男性は既に起きていた様だ。
 その声を聞いて、ガウリイは頭を掻きながら床に立つ。

 そんな寝惚けた表情のガウリイを横目で見ながら、ゼルガディスは自分の荷物を纏めていた。

「こんな朝早くから元気だな、ゼル。」

「ああ、今日中には隣町に着いておきたいからな。」

 そんなに急がなくても・・・
 俺としては、もう二、三日この町でゆっくりしたいぞ。
 
 と、言う言葉は頭の中に閉まっておく位にはガウリイの頭は目覚めていた。

「おい・・・何だか馬鹿な事を考えてなかったか?」

「全然。」

 疑いの目を向けるゼルガディスの視線から逃げる様に。
 ガウリイは顔を洗う為、足早に宿屋の水汲み場へと向った。
 ドタドタドタ・・・
「・・・まあ、気持ちは解らんでも無が、な。」

 どこまで隠せる事やら。

 そう思いながらゼルガディスは荷造りを続けるのだった。

「キキッキ!!」

 そして開け放たれた部屋の窓から、一匹のムササビが部屋に飛び込んで来た。
 そのムササビは寝具の上に着陸し、荷造りをするゼルガディスをじっと見ている。

 それに気が付いたゼルガディスは・・・

「ん? お前はお前で一晩中遊んでたのかザザビ?
 ・・・あまり夜遊びが目立つ様なら、奥さんに告げ口するぞ。」
 ピキッ!!
 ゼルガディスの一言に凍り付くザザビ。
 どうやら奥さんには言えない事があったらしい。

 そして、以後は穏やかに時は流れ・・・
 ガウリイ達がこの宿屋を発ったのは、お昼まで後二時間と言う時間だった。





「はぁ〜、天気は上々だけど・・・」

「どうして、こうなるんですかねぇ。」

 そんな台詞を言いながらも、楽しそうな笑みを浮かべている二人。
 ガウリイ達は町を出て、昼の弁当を済ませ休憩をしていた。
 すると、ある一団が休憩をしているガウリイ達を取り囲んだ。
 ・・・お約束である。

「おい、貴様等そのフードを取って顔を見せてみろ。」

「へ? 盗賊とかじゃないのアンタ達?」

 しかし、彼等の台詞はリナの予想からかなり外れていた。
 どうやらリナと話している男性が、この団体の責任者らしい。

 そして、その男性が更にリナに言い募る。

「いや、我々は国境の砦の兵士だ。
 ・・・昨日、ちょっとした情報が入ってな。
 その男の顔を確認する為にここまで来たのだ。」

 その目はフードを被った二人・・・
 ガウリイとゼルガディスを睨んでいた。

「その割には・・・態度が大きいわね。」

「人にモノを頼む姿勢とは思えません。」

 リナとアメリアは、その男性の高圧的な態度に反感を覚えた様だ。

「気を悪くしたのなら謝る。
 こちらも焦っていたのでな。」

 しかし、その男性はリナとアメリアに態度を見て慌てて謝る。
 どうやら根は良い男らしい。

「まあ、謝るって言うのなら別にいいけど・・・
 で、誰を探しているよ?」

「私達の命の恩人です。」

 誇らしげに話す男性には・・・
 リナの背後にいる、ガウリイの溜息は聞えていなかった。






第二章.誰何


 名も知らぬ男性とガウリイの間に緊張が走。
 いや、緊張をしているのは男性だけだ。
 ガウリイからは何時もの、何処か力を抜いた雰囲気しかなかった。

「では、そのフードを取っては貰えないのですか?」

「ああ、それは俺の自由だろ。」

 そんなやり取りが、既に30分は続けられている。
 リナは面白そうに。
 アメリアは期待の視線で。
 ゼルガディスは・・・既に一度フードを外して顔を見せ。
 その顔に兵士達の隊長は驚きはしたが。
 直ぐに無礼を謝った為に、それ程気を悪くはしていなかった。

 が、最後の一人によってガウリイ達の足は止められていた。
 そう、ガウリイ自身によって。

「こちらも暇では無いんですけどね。」

「じゃあ、諦めろ。」

 そして、今は隊長とガウリイがお互いに一歩も譲らず対峙している。
 隊長の背後では兵士達が興味深そうに、そのやり取りを眺めていた。

 だが、その膠着した雰囲気を動かしたのはリナだった。

「もう・・・いい加減に勿体ぶるのは止めたら?」

「何を言うんだリナ、別に俺にはそんなつもりなんて・・・」

「ならば・・・御免!!」
 ザシュ!!
 ガウリイがリナに気を取られた一瞬の隙に。
 隊長が抜き打ちの剣の一撃で、ガウリイのフードを狙う。

 ガウリイはそれを余裕で避けたが・・・
 普段は被っていないフードの分だけ、その回避距離が短かった。
 その為、隊長の剣先にフードの端が引っ掛かり。
 ガウリイの頭部からフードは抜け落ちてしまった。

 そう、結果的にガウリイの素顔を日の元に晒す事に成功したのだった。

「・・・問答無用だな。」

「・・・済みません、私の勘違いでした!!」

 ガウリイの長い髪は・・・漆黒で。
 日の光を浴びて輝いていた。
 そして、その瞳も焦げ茶色である。

 それを確認した隊長は、自分の非礼を恥じ深々と頭を下げた。

「まあ、俺にもいろいろと理由があって顔を隠してるんだけどな。
 今後はこんな事が無い事を祈るよ。」

 その謝罪を受けたガウリイは、背後に飛ばされたフードを拾いながらそう応える。

「そちらの事情も聞かず、済みませんでした!!」

「まあまあ、疑いが晴れたのなら、それでいいじゃないですか。」

 恐縮して平謝りを続ける隊長に、アメリアが救いの手を差し伸べる。
 その後、落胆した表情の隊長を引き摺りながら兵士達の一団は帰って行った。




 その場に残っていたガウリイ達は、ノロノロと旅支度を始めた。

「しっかし・・・手間取らせてくれたわね。
 でも国境の兵隊にしては礼儀が良かったわね。」

 少々、感心した口調で話すリナに。

「そうですね、かなり行き届いた組織運営がされているみたいですね。
 しかし、これだけ慕われているんですね『獅子』将軍と言われる方は。」

 アメリアが感心した表情で頷く。

「ははははは、案外ただの遊び人だったりしてな。」

「それはアンタでしょうが!!」

「ガウリイさんからは、そんな高潔な人物が想像出来ません!!」

「・・・そこまで言うか、アメリア」

 ゼルガディスは、ガウリイとリナ達のやり取りを聞きながら呟いた。

「でも、ゼルも器用よね〜、こんな術初めて見たわよ。」

 ガウリイの顔を見ながら、そう感想を述べるリナ。

「ああ、変化の呪文にちょっと手を加えてみたんだ。
 ・・・それに、まだ未完成でなそろそろ術が解けるぞ。」

 その言葉を合図にした様に。
 徐々にガウリイの髪が漆黒から金色に変化していき。
 瞳の色も碧眼に戻っていく。

「でも、お陰で助かったよゼル。
 また今度も危ない時は頼むよ。」

「ま、俺も無用のトラブルは御免だからな。」

 ガウリイの頼みに苦笑をしながら、ゼルガディスは頷く。
 
 その時・・・

 

 ドガァァァァァァァァァァ!!!

 

 今朝方旅立った町から、爆音が響いてきた。
 一同がその方向を見ると、黒々とした煙が確認できる。

「・・・これは、トラブルの方が見逃してくれないか。」

 諦めた様にゼルガディスは呟き・・・
 その後ろで、ガウリイは苦笑をしていた。

 

 

 

 

 

 

第三十九話         END
							 	 	第四十話に続く
あとがき

「じゅわ!! ニンエです。

 ・・・頭が混乱しています。

 どうやら拒絶反応が起きてるみたいでして(汗)

 ああ、あのドタバタの日々が懐かしい。

 ・・・でも、N’の出番はあるのでしょうかね?

 そんな事とを考えつつ、また次回でお会いしましょう。」

 

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