<スレイヤーズ西遊記>

 

 

 

第四十四話 

 

ガウリイの過去 その8

 

あらすじ

 

 さて、今日は真面目に仕事をしようかな、っと♪

 

(・・・今までの貴方は真面目じゃなかった、と?)

 

 こんな馬鹿な仕事、真面目に出来るかよ。

 

(作者から伝言ですけどね。

 何時までもゴールデンウィークの影響を、受けてんじゃね〜よ!!

 ・・・だ、そうです。)

 

 ひ、人聞きの悪い事を言うな!!

 ちゃんと仕事はしてるぞ、俺は!!

 

(社員旅行の準備に大変なそうですね。

 ・・・宴会社員ですか? 貴方?)

 

 う、煩〜〜〜〜い!!

 俺はちゃんとした社員だ〜〜〜〜〜〜〜(逃走)

 

(全然説得力が無いですよ・・・

 では、スレイヤーズ西遊記 第四十四話 今から始まります。)

 

「く、首が・・・」

「・・・ここ、何処?」

「リナさ〜〜ん!! 何処ですか〜〜?」

「いきなりバラバラだな、おい。」

「キキッ」(飼い主(?)を探して三千里・・・洒落になってない(涙))

 

 

 

 

 

第一章.邂逅

 

 

 何処を走ったかはリナは覚えていない。

 何も考えず。

 何も考えようとせず。

 リナは大通りを走り抜け。

 通行人を数人弾き飛ばし。

 牛も数頭弾き飛ばしたけど・・・

 

 取り敢えず、気が付けばリナは大きな湖の辺にいた。

 

「ふぅ・・・何だか馬鹿らしくなってきたわ。

 どうして、このあたしがガウリイの事で悩まないと駄目なのよ。」

 

 

 バフッ・・・

 

 

 そう言いながら、その場に寝転がる。

 

 空は快晴

 草木を揺らす風は気持ち良く

 湖で跳ねる魚の音が耳に心地よい・・・

 

 リナは心が落ち着くのを感じた。

 何を・・・焦る事があったのだろう?

 結局はガウリイが自分で決める事ではないか。

 ならば・・・自分は、ガウリイの結論だけを聞けばいい。

 

 そう、自分に言い聞かせている事に、リナ自身は気が付いてなかった。

 

「あの、洋服が汚れますよ?」

 

「いいのよ、どうせ旅装束だから。」

 

 突然の声にも驚かない。

 実はとっくの昔に、自分に近づいてくる気配に気が付いていたリナだった。

 別に害意を感じないので、無視をしていたのである。

 

「でも・・・私が下に敷物を敷きますから、良ければ一緒に寝転がりません?」

 

「・・・変わった人ね貴方って。」

 

「皆さんそう言われます。」

 

 リナの返事を聞いて、その女性はコロコロと笑った。

 

 

 

 

 コポコポコポ・・・

 

 リナは目の前の女性を不思議そうに見ていた。

 服装は別段華美でもなく、地味でもない、ただの普段着。

 それなのに・・・凄く場違いなのである。

 

 長い黒髪は後ろで束ね。

 瞳は髪と同じ黒色。

 体型も、リナじゃなくとも羨ましがる程素晴らしい。

 背丈は女性にしては少し高い位。

 そして、何よりも・・・凄い美人だった。

 

 その美人が微笑みながら、自分とリナの分のお茶を煎れている。

 このお茶も、この女性が持参してきたものだった。

 

 お近づきの印に、と彼女がリナをお茶に誘ったのだ。

 

 そして、お茶の良い香りが辺りに漂う・・・

 

「で、貴方はどうしてココに?」

 

「あ、シルフィールと呼んで下さい。」

 

「じゃ、あたしはリナと呼んで。」

 

「はい、リナさん。」

 

 嬉しそうに笑う彼女に、何とも調子を崩されるリナ。

 気が付けば、ガウリイに感じていた苛々を忘れていた。

 

(これは一種の才能よね〜)

 

 リナは内心でそんな事を考えていた。

 

「え〜と、さっきの質問だけど・・・」

 

「はい、お茶どうぞ。」

 

「あ、有難う。」

 

 暫し、お茶の香りを楽しみ。

 ゆっくりと喉に流し込む。

 ・・・熱いお茶と、湖の上を通る涼しい風が心地よかった。

 

「ここで、昔・・・大切な人と出会ったんです。

 リナさんと同じ様に寝転がって、湖を眺めてられました。」

 

「ふ〜ん。」

 

 懐かしそうに話すシルフィールに、リナは何も言葉を返せなかった。

 

「凄く、自然体な人でした。

 ・・・そして強かったです、いろいろな意味で。」

 

「・・・」

 

「一杯、大切な事を教えて貰いました。

 それなのに、私は何も恩返しを出来ませんでした。」

 

 自分の髪を弄りながら・・・無意識なので癖なのだろう。

 シルフィールは楽しそうに、その人の事を話す。

 

 リナはある予感を覚えていた。

 シルフィールの正体と。

 シルフィールの語る人物が、自分の良く知る人物だという事を。

 

 

 

 

 

第二章.辺にて・・・

 

 

「あ、済みません。

 つまらなかったですか?」

 

「別にいいわよ。

 あたしが頼んで話してもらったんだから。」

 

 

 ゴロッ・・・

 

 

 そのまま敷物の上に寝転がるリナ。

 今は、何も考えたく無い様だった。

 

「でも、この土地によく入ってこれましたね?

 そんなに簡単には、迷い込めない場所なんですけど。」

 

「あ、そう言えば制止をしてきた兵士がいたわね〜

 勢いで、つい跳ね飛ばしちゃったけどね〜」

 

 事も無げにそう言うリナ。

 口調は凄く眠たそうだ。

 

「あら、じゃあ入り口で昼寝していたんじゃなくて。

 あの人達は気絶していたんですね。」

 

 このシルフィールも、かなりの大物らしい。

 リナの行いを聞いても、楽しげに笑っている。

 

「この頃皆さん、何故か気が立っていて。

 最近までは、結構自由にこの湖までこれたんですよ?

 それが急に、見張りを付ける事になってしまって。

 ちょっと良い気分ですね。

 ・・・リナさん?」

 

 クー、クー・・・ 

 

 可愛い寝息だけが、シルフィールの耳に聞こえてきた。

 

「人の話の途中で寝るのも・・・あの人にそっくりですね。

 あれから3年、いろいろと有りました。

 今では私が、この国を治めているんですよ?

 あの、泣き虫だった私が・・・」

 

 心地よい風が吹いた。

 

 彼女の今までの努力を労わるように。

 

 そして、長い黒髪が風に揺られ、空に舞う。

 

「・・・でも、もう一度逢いたいです。」

 

 その一言は風に紛れ、遠くへと飛んでいった。

 そして、その言葉を聞いた者は・・・

 

(良い娘じゃないの・・・馬鹿ガウリイ)

 

 内心の葛藤に戸惑っていたのだった。

 

 そして、シルフィールもまたリナの隣に寝転び。

 心地良い陽気の元・・・

 二人の健やかな寝息だけが、聞こえていた。

 

 

 

 

「さてさて、どうやって起こしましょうか?」

 

 出るタイミングを完全に逸し、途方に暮れるアメリア。

 

(某に聞かれても、困るでゴザル)

 

 そのアメリアの影の中から聞こえる、N゜の声。

 

「・・・だからって、ねえ。

 タイミングが悪いと言うか、運命の悪戯と言うか。」

 

 気絶をしていた兵士を見付け。

 その介護をした時に、アメリアはシルフィールの正体を知ったのであった。

 

 その話を聞いた瞬間、顔が引き攣ってしまったが。

 

(・・・取り敢えず、ガウイリ殿には自分が報告をしてくるでゴザル)

 

 シュン・・・

 

 その音と共に、N’の気配が無くなった事をアメリアは感じた。

 

「あ、ちょっと!!

 ・・・逃げましたね、N’さん。」

 

 そして湖の辺の二人は、心地よい風と。

 日溜りの暖かさに包まれて、幸せそうに眠っていた・・・

 

 

 

 

 

 

第四十四話         END
							 	 	第四十五話に続く
あとがき

「ニンエです。

 ご都合主義ですよね、この作者(汗)

 だいたいそんな身分の人が、どうして一人でこんな場所に来るんですか?

 え、女心と秋の空?・・・それ意味が違うと思いますよ、作者(苦笑)

 では、また次回でお会いしましょう。」

 

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