<真実への路>


第一部 第一話「始まりの別れ」

(1)

 


 今日も天気は上々!!
 御飯も美味い!!
 う〜ん人生を楽しんでるな、あたしって!!
 そう思いながら、昼食の手を休めないあたし。
「な〜、リナ〜
 次の目的地だけど、何処にするんだ?」
 そう言いながらも、あたしの相棒も昼食の手を休めない。
 ちっ!! 隙が無い!!
 あのクリームコロッケに、目を付けていたのだが・・・
「そうね〜、もうそろそろ寒くなりそうだし。
 南の方に行ってみましょうか。」
 やっぱり、寒いのは苦手だ・・・
 暑いのも嫌だけど・・・
「・・・えらく、アバウトな決め方だな。それって・・・」
 ジト目であたしを見るガウリイ。
 彼があたしの相棒兼、自称あたしの保護者である。
 容姿は金髪碧眼の超美形で、剣の腕は超一流の上を行く。
 昔は頭の中に、クラゲが詰っていると信じていたが。
 最近では、何かと頭の回転が良くなっている。
 まあ、世の中デーモン発生事件やら何やらで、物騒だし。
 ガウリイの頭の方にも、いい意味で事件が発生したのだろう(笑)。
 これでも一応彼、光の剣を持つ勇者の家系だし。(その光の剣はもうないけど。)
 その光の剣の紛失に、少なからず関与したあたしは、彼に新しい剣を見つけてあげた。
 ブラスト・ソード 全てを切り裂く魔剣である・・・切れすぎるけど・・・
 この剣は、あたしがガウリイとの契約を果たした証・・・
 そして、ガウリイがあたしの側にいてくれる。という証なのだ。
 ああ、それからあたしの名前はリナ=インバース。
 旅の魔導師である。
 いろいろと自己ピーアールもあるが・・・嫌な噂を思い出すのでやめる。
 そして、今あたし達は大きな仕事を一つこなし。
 懐もあたたかいので、優雅に食事をしながら今後の事を話していたのだ。
「なによ、なんか文句あるわけ。」
 あたしが睨み返すと、ガウリイは微笑みながら言い返す。
「いいや、何もないさ。
 俺がいる場所は、リナの隣だからな。
 リナが行きたい所に、いけばいい。」
 それって、ただ自分で考えるのが面倒なだけじゃ・・・
 まあ、いいけどね。
 ガウリイなら、そう言うと思ってたわ。
 そこで・・・
「隙有り!! クリームコロッケ頂き♪」
「ああ〜!! 楽しみしてた俺のコロッケを!!」
 ・・・そして、いつもの食事光景に移るあたし達だった。

 


「ねえ、ガウリイ。
 あんたって、本当に行きたい場所とか、会いたい人とかいないわけ?」
 昼下がりの街道を、南に向かって歩きながらガウリイに質問する。
 彼にも、あたしに出会う前には、それなりの出会いがあった筈だ。
 だいたい、あたしといる3年より前は、20年を生きてきた筈だし・・・
「う〜ん、行きたいところ・・・って言ってもな、地名を覚えてないし。
 会いたい人っていうのも、別段思いつかんな。」
 一応考えてから、あたしに答える。(本当に考えたのかこいつ?)
 ・・・本当だろうか?
 それとも、彼の記憶残る程の人物が、いなかっただけなのだろうか?
 いろいろな、可能性を考えていると・・・
「でも、別にいいじゃないか!!
 俺はリナの隣に、いれればいいんだからな。」
 ・・・ちょっと嬉しかったりして。
 てっ!! 何考えてるんだあたしは!!
 急いで自分の気持ちを落ち着かせようと、首を振ったりしていると・・・
 突如、ガウリイが叫ぶ!!
「リナ!! 何か争う気配がする!!
 そんなに遠く無い所だ!!」
 いきなり森に駆け出すガウリイに、急いで付いて行くあたし。
 そして森のの中では・・・

「フェルザレード!!」
「ダルフ・ストラッシュ!!」
 二人の呪文攻撃に、数匹のデーモンが塵になる。
「ちくしょう!!
 なんだってこう、次から次えとデーモンに遭遇するんだ!!」
「愚痴を言ってないで、戦って下さい。」
 文句を言いながらでも、確実にデーモンを倒して行く二人。
 そう、あたしの知り合いでもある二人が、デーモン相手に戦っていた。
「どうするリナ?」
「決まってるでしょ、ルークに恩を売るチャンスよ!!」
「・・・恩って、また素直じゃないな。」
「何か言った!!」 
「別に〜」
 くっそ〜!! なんか腹が立つな!!
 ここは、ルークで遊んで気晴らしをしましょ♪
「お久しぶりね、ルーク。
 元気にしてた? ミリーナ。
 ルークの相手は大変でしょう?」
 そう言いながら、あたしとガウリイはルーク達の加勢をする。
「誰の相手が大変だって!!
 いいか、俺とミリーナはなお互い・・・」
「無駄口はしないで、真面目に戦って下さい。」
「・・・はい。」
 うーん、相変らず報われない奴。
 そんなこんなで、デーモン達を全滅させたのは、30分後だった。
「・・・で、どうしてこんな所にいるのよ。」
 取り敢えず尋ねてみる。
「こんな所も何も、依頼のために決まってるだろ。」
 不機嫌に答えるルーク。
「ふーん大変ね〜。
 まっ、あたし達には関係ないから、行きましょガウリイ。
 あ!! これは貸し一だからね、ルーク♪」
 そう宣言して、街道に帰ろうとするあたしに、ミリーナから声がかかる。
「この依頼の内容は、人探しです。」
 へ!!
「そして、その探し人はリナ=インバースと、ガウリイ=ガブリエフって言うんだけどな。」
 してやったりの顔で、言い放つルーク
「あたし達を探してたの? 一体だれが?」
 そして、ルーク達から意外な人物の名前を聞く・・・

 

 

(2)へ続く 

 

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