<真実への路>


第一部 第一話「始まりの別れ」

(8)

 


 やだよ・・・
 いっちゃ嫌だよ・・・
 ずっと一緒にいてくれるって・・・
 ガウリイ・・・約束・・・
 連れていかないで・・・・
 ・・・・・・!!

 

「いやー!!!!!」

 

 


「はっ!!」
 自分の声に驚いて飛び起きる。
 ・・・どうやら、ガウリイが来る程のうなされ方では無かった様だ。
 しかし夢見の悪さに、喉が凄く乾いて感じる・・・
 だけどまあ、何てタイムリーな夢だろう。
 あたしの不安が夢となって現れたのか・・・
 それとも予知夢なのか・・・
 それは解らない。
 でも、事態は確かに進んでいた。
 ルークがパーティーを離れてから三日が経つ。
 あたしの訳の解らない不安は、募るばかりだ。
 あの後、シルフィールが合流して次の日に。
 第二の託宣が下された・・・
 アメリアとシルフィールの二人に。

 


「ねえ、手紙何て書いてあったのアメリア?」
 好奇心に負けてアメリアに質問をする。
「知りたい? また巻き込まれたいのなら、喜んで教えてあげるけど。」
 怖い笑顔であたしに微笑むアメリア。
 うっ!! 仮にも王族、またお家騒動に関わるのは御免だ。
 それとも・・・やめておこう、好奇心は猫をも殺す・・・だ。
「いいえ、結構です・・・
 あたしが悪うございました。」
「・・・関わって欲しかったのに。」
 残念そうに呟くアメリア。
 絶対にお断りだわ!!
「まあ、今日は皆疲れているんだし。
 早く晩飯を食って寝ようぜ。」
 ガウリイの意見に、反対をする者はいなかった。
 そして、いつもの食事風景を繰り広げつつ。
 シルフィールにミリーナの紹介をする。
「トレジャーハンターなのですか。
 でも、お一人でなさるには危険な職業だと思いますが?」
 もっともなご質問で。
「一応仲間が一人いますから。
 性格を除けば、他の技能は一流の人です。」
「はあ、性格を除けばですか?」
 あたし達一同が皆して頷いているのを見て、シルフィールの顔に汗が浮かんだ。
「・・・それは、大変ですね。」
「ええ、大変なんです。」
 そう答えるミリーナだが、あたしにはちょっと嬉しげに見えた。
 まあ、目の錯覚かもしれないが・・・

 


 そして次の日。
 今日中にシルフィールは、アメリアの返答を持ってセイルーンに帰るらしい。
 しかし、部屋から食堂に降りたあたしが見たシルフィールは・・・
 青い顔をして、何やらアメリアと話し合っていた。
「どうしたのよ二人とも、青い顔しちゃって?」
 びくっぅううう!!
「なな、何でもありません!!」
「そうそう、ちょっと手紙の事について伝言を。」
 露骨な反応を返す二人に、あたしは不審な目で二人を責める。
「なによ、言いたい事があるんならはっきり言いなさいよ。」
 やがて決心したようにアメリアが話し出す。
「リナ・・・第二の託宣が今朝下ったの。
 その内容がね・・・落ち着いて聞いてよ。
 『光を導く者
  炎を纏う者
  そして、考え諭す者を連れ
  空を翔ける者と共に
  かの地への旅を始めん』
 これが第二の託宣よ。」
 なによそれ?
 何だか人数が増えてるんじゃないの?
「この託宣では、どう解釈しても四人の人物が指定されています。
 それぞれが、誰に当てはまるのかは解りません。
 それ以前に、これがリナさんやガウリイ様を示している確証もありません。
 しかし・・・」
 そう、しかしなのだ。
 逆にこの託宣が、あたし達を示していないという確証も無いのだ。
 そして、この託宣が下されてからの魔蔟の襲撃。
 エウーカは言った・・・光を導く者が炎を纏う者が、あたし達の中にいる事を。
 そして、光を導く者はほぼ確実に・・・
 ならば・・・あたしはその四人の中に、含まれているのだろうか?
 ・・・何を馬鹿な事を考えているんだ、あたしは。
 ガウリイがあたしを置いて、何処かに行くことなんて無い。
 例えガウリイが何処かに向かおうと・・・今度はあたしが着いて行く!!
 たまには逆の立場も新鮮でいいものだし。
「まあ、あたし達が考えても仕方の無い事よね。
 さあさあ、早く朝食にしましょ!!」
 心配そうにあたしを見ていた、シルフィールとアメリアに声をかける。
「何が仕方が無いんだ?」
「朝から騒がしい奴だなお前は・・・」
「おはよう御座います。」
 ガウリイとゼルそしてミリーナが、二階の部屋から降りてくる。
「・・・取り敢えず、その託宣の事は秘密ね。」
「・・・解りました。」
「・・・解ったわ。」
 三人で小声で意見を合わせる。
「なんだなんだ、朝から悪巧みか? リナ。」
「ほっといてよ!! 女の子の秘密ってやつよ!!」
「ふ〜ん、そうなのか? まあ、俺には関係無い事なんだな。」
「ええそうよ・・・」
 そう、ガウリイには関係無い事であって欲しい・・・
 そして朝食の後、シルフィールはセイルーンに向って旅だっていった。
「それではガウリイ様、リナさんそれに皆さんも。
 お気をつけて旅を続けて下さい。」
「ああ、シルフィールも気をつけてな。」
「はい、それでは。」
 そうやってシルフィールを送りだし、二日が経った。
 後二日後にはルークが帰ってくる予定だ・・・

 

 早くこの状態から抜け出したい、それだけがあたしの思いだった。

 

 

(9)へ続く

 

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