<真実への路>


第一部 第二話「それぞれの理由(わけ)」

(9)

「あら・・・リナじゃないの?
 どうしたのよセイルーンに来るなんて。」
 セイルーンの城門をくぐって直ぐにあたしに声がかけられた。
 あたし達に後ろから声をかけてきたのは・・・
 声からの予想通りアメリアだった。
 まさかこんなタイミングよくアメリアと再会できるとは。
「ちょっと訳ありなのよ・・・
 それよりアメリアこそ、友人の趣味が変わったわね。」
 あたしはアメリアの後ろに数珠なりになっている、男達を見てそう言った。
「こんなのとはお友達になりたく無いわね。
 海賊よこの人達・・・リナにとってはお得意さんの親戚かな。」
 おい・・・
 まあ、盗賊も海賊またいして変わりはないけどね。
「それで本当の所何しに来たの?
 何か手伝える事があったら手伝うわよ。」
 アメリアからの有り難い申し出だった。
 セイルーンに着いてすぐにアメリアと会えた事すら、かなりの幸運だろう。
 しかも、先程までは遠出していたらしい。
 服装が旅装束になっている。
 少しはあたし達にも運がまわって来たのだろうか。
「お言葉に甘えさせて貰うわね。
 率直に言うとセイルーンにガウリイ達がいる筈なのよ。」
 あたしの台詞にアメリアが驚きの表情をする。
「ガウリイさん達が!!
 と言う事はゼルガディスさんも・・・」
「来てるでしょうね。
 あの三人は一緒に行動をしてるみたいだからね。」
 ここでアメリアが始めて納得の表情をする。
 そして、にこやかに笑いながらあたしに話しかける。
「ふ〜ん、結局追いかけてたんだガウリイさんの事。
 珍しく素直な行動ねリナ。」
「そ、そんなんじゃないわよ!!
 あたしはただこの剣を、ガウリイに返しに来ただけよ!!」
 あたしの必死の否定の言葉を、アメリアはニヤニヤ笑いながら聞いていた。
 どうでもいいが・・・一国の王女のくせにゴシップ好きだなアメリア。
「今はリナさんの動機はおいときましょう。
 それより、アメリアさんフィリオネル殿下にお会いしたいのですが。」
 ミリーナが冷静な突っ込みをいれてきた。
 そうそう話しが逸れてしまっていた。
 あたし達はミルガズィアさんの言葉に従って、セイルーンに来たのだ。
 ここがガウリイ達の次の目的地だと教えられて。
「だけど、どうしてガウリイさん達が今ごろセイルーンに来るんですか?」
 ガウリイ達と別れてからの日数を考えて不思議に思ったのか。
 アメリアがあたし達に質問をしてきた。
「まあ、あたし達の旅の報告を兼ねて教えてあげるわ。
 それよりも・・・先に進まないと渋滞を起こしてるわよ。」
「へ?」
 そう・・・アメリアの後ろの海賊達のせいでセイルーンの城門は渋滞を巻き起こしていた。

「それで・・・各国の有力者に加えて、ミルガズィアさんにまで会ってた訳?」
 アメリアも予想外の展開に驚きの声を上げる。
「そうよ・・・さすがのあたしも全然ガウリイ達の真意が読めないわ。」
「しかも・・・どうやらガウリイさんに何やら変化が起きてます。」
 あたしが意図的に忘れていた事をミリーナが掘り起こす。
 ・・・忘れてすむ問題ではないのだが。
「変化って? 何が起きてるの?」
「魔法剣を使わずに大量のデーモンと渡り合ったそうです。
 しかも、ルークとゼルガディスさんすら凌ぐ成果を上げてます。」
 その言葉が意味する事を理解し、アメリアが凍りつく。
「そんな!! ガウリイさんの魔法は一切使えないんじゃないの!!
 それとも・・・今までのガウリイさんは・・・」
 あたしの方を見てアメリアの言葉が小さくなる。
 あたしの顔は今どんな顔をしているのだろう・・・
「いいのよアメリア・・・その事を含めてガウリイの奴をとっちめてやるんだから!!」
 そう言って元気に笑ってみせた。
 しかし、あまり上手く笑えなかったのかアメリアの顔は綻ばなかった。
 そして全員が黙ったままでセイルーン城にあたし達は入って行った。

「・・・彼等は最早ここにはおらん。」
「・・・へ?」
 フィリオネルさんの第一声は、かなりの衝撃をあたし達に与えた。
「もういない?
 と言う事はセイルーンには来たんですね。」
 ミリーナが動揺を見せずに言葉を話すが・・・
 彼女の手が微かに震えている事にあたしは気付いた。
 あたしもミリーナもお互いの相棒と、これだけの長期間離れた事は無かった。
 ・・・失って気付く事もある。
 だからこそ必死であの日常を取り戻そうとするのかもしれない。
「ガウリイ達は次は何処に向ったのですか!!」
 だが手掛かりが無いわけではない。
 確実に距離は詰っている筈だ!!
「もう無理だろうが・・・
 アメリア、港の彼に会って来たのかね?」
 突然話しかけられ驚くアメリア。
「ええ、エイジさんの事ですね。
 無事に会合は終わりました。
 セイルーンに彼が害をなす事は無いと思います。
 シルフィールさんも同じ意見だそうで、帰りの旅の途中で別れましたが。
 それが何か・・・まさか!!」
 何かに気が付いたのか驚きの声を上げるアメリア。
「そうだ・・・彼が待っているのはガウリイ君だったのだ。
 そして彼等が向う先は・・・すまん、儂にも詳しい事はわからんのだ。」
 やられた・・・
 わざわざミルガズィアさんが手掛かりを残したのは、あたし達の足止めの為。
 セイルーンに寄らずに街道の人の話しを聞いていけば、港に間に合っていた。
 だが、一つ聞いておきたい事があった。
「フィリオネルさん・・・ガウリイ達の目的は何なのですか?」
 あたしはこれだけは聞いておかなければならない。
 勿論ガウリイと会う事を諦めたわけではない。
 だが目的を知っておく方が追跡には有利なのだ。
「・・・聞く覚悟がいるぞリナ殿。」
 フィリオネルさんの顔も真面目な物のなっている。
 だが、ここまできて引き下がるつもりは無い!!
「お願いします。
 あたしは・・・何としてもガウリイに会いたい!!」
 始めて自分から言った本心の言葉だった。
 誰に催促された訳でも無い。
 だが言葉に出さなければならない言葉だった。
 もう一度ガウリイに会う!!
 それがあたしの願い。
 アメリアとミリーナも驚いた顔であたしを見ている。
「ならば話そう彼等の目的は・・・」
 そして、ガウリイ達の真実が一つ明かされる・・・

 

 

 

第三話へ続く

 

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