機動戦艦ナデシコSS

涙を越えて
第二章 第二話 愛しい人たち & エノアの復讐 Ver1.0 

 

 

「よっ! 元気か?」

 

バシ!

 

景気づけの挨拶とばかりに僕の肩をたたく。

 

「大丈夫ですよ。全く病院と来たら大げさなんだから。」

事故から2週間(かな?)たった。

僕は今、ナデシコにいる。

体には別段異常はないからだ。

ちょっとIFSのリンクの一部に不具合があるが、

病院での治療よりナデシコでのリハビリの方が回復が早いだろうということになった。

まぁ病院は体の治療が専門だからね。

何たってナデシコには「電子の妖精」ルリさんがいるのだ。

IFSならばルリさんの方が専門だろう。

僕の専属の医師としてメリーナさんがナデシコに乗る案もあったそうだが、

今回は大事をとって安静にするらしい。

(メリーナさんはナデシコが出発する最後まで僕の面倒を見るっていってたそうだ。)

(まぁイネスさんが乗ると言うことで納得したようだけど・・・・)

 

メリーナさんだって、あの惨事の中にいたんだからね。

ショックもまだ残っているに違いない。

だから、もう少し大事をとって休んでいて欲しいな。

 

まぁ僕の方は記憶にないからショックも何もないけど。

 

「おうおう、元気になっちまって!

調子がいいなぁハーリー」

ドゴッ・・・・

この技はエルボーだったかな?

いたいよ。

三郎太さん木連式柔術の免許皆伝なんでしょ

どうしてプロレス技なんか・・・・

 

「三郎太さん!ハーリーくんはまだ病み上がりなんですよ。」

珍しくルリさんが注意する。

「おっそうだったな。

わりぃわりぃ。

おまえが帰ってきたから、ついいつもの癖で・・・・」

はっとした顔で、あやまる。

三郎太さん・・・僕が病み上がりなのを忘れてました??

 

「しっかし、いい顔だなハーリー。

いいことでもあったか?

・・・・・・・・・・

まっあれだけ艦長に心配されちゃぁ、うれしいか。」

 

さっさぶろうたさん!!

三郎太さんも、はーりーくんがいない間ずっとおとなしかったじゃないですか!!」

ルリさんが真っ赤な顔になってる。

「あっ、あれは久々に仕事に燃えていただけで・・・・

ハーリーもいないことだし。」

「三郎太さん、落ち込んでいたんじゃないんですか??

確かに落ち着いていましたけど、ボーとしてたじゃないですか!

あれは、仕事をしてたようにみえませんでしたよ。」

「うっ。

・・・・・・・

あっ、あれは艦長を見ていたんですよ。

そうそう。

あんな艦長めったに見れませんからね。」

「私はいつも通り仕事をしていたじゃないですか!?」

「いやいや、あんな顔をした艦長は初めてみますよ。

仕事はしてましたよ、仕事はね。

でも、話しかけてもボーとして、仕事をしているときもなんかこう・・・・

そう「うわのそら」ってやつですか・・・・。」

「仕事のことを考えていただけです。」

「あんな顔今まで見たことないですよ。

まさか今まで仕事をしてなかった、ってことはないでしょ?」

「それは・・・・・」

・・・・どうやら三郎太さんが優勢だ。

珍しい・・・・・

 

 

  

「ふー、今日も一日ご苦労様」

僕は、ウィンドウボウルの外で背伸びを一つして今日一日の仕事を終える。

 

ナデシコは、整備・点検のためネルガルの月ドックに向かっている。

ついでに僕のリハビリもやっちゃおう、ということらしい。

あっ、月に行くついでだということでイネスさんも乗っている。

A級ジャンパーの護衛という意味もあるのかな。

でも、A級ジャンパーなんだから前みたいにジャンプで・・・・・

なぜなんだろう?

 

「説明しましょう!!」

「うわっ。ななな、なに?」

僕の目の前にウィンドウが開き、白衣のイネスさんがにこにこしながらたっていた。

 

「私がA級ジャンパーでありながらなぜ、ジャンプを使わず月に向かうのか・・・・」

「ってまってください。どうして、説明が始まるんですか!!」

あまりのもの理不尽な事態に混乱してはいたが、何とかイネスさんにツッコミを入れた。

 

「あら、あなた知りたくないの??」

「う・・・。で、でも僕はなにもしゃべって・・・・」

「しゃべってたじゃない。」 

・・・・・・・・・・・・・・まただ。

また勝手に口が・・・・

恨むよこの口を・・・・

 

「ハーリーくん、少なくともイネスさんが乗ってる時は「なぜ」は禁止です。」

遠くでルリさんの声が聞こえた・・・・

 

「まぁ、それはいいわ。しかしなぜジャンプしないのか・・・・」

「・・・・どうしてですか?」

『どうしてですか?』という言葉がイネスさんをさらに増長させる原因だということを

ハーリーはまだ知らない。

いやいつまで経っても分からないかも・・・・

 

「ジャンプはジャンパーの体に負担をかけるわ。

まぁ、人間程度の大きさを移動させるのにはさほどの問題はないけどね。

まぁ今回の場合・・・・」

「今回の場合?」

さらにハーリーはイネスさんを『よいしょ』していることに気がつかない。

イネスさんもこんな聞き手上手がいれば、説明に力が入るね。

(迷惑です!! By ルリ)

 

「ナデシコも月に向かうんでしょう?そのついでよ。」

ばたんっ

往年の、漫画のようにひっくり返ってしまった。

 

「・・・・ナイスリアクション。」

イネスさんが僕を見ての一言。

 

「ついでなんですか・・・・」

僕はまだ倒れたまま起きあがれない。

「ふふ、まぁそうね。

でも、仕事が残ってたからここで済ませておこうと思ったのよ。」

 

やっと起きあがってイネスさんに話を合わせる。

もう完全に『説明』から逃れることは出来ない。

ブリッジではあきらめて椅子に座る者や、出前を頼む者が出てきた。

無論ハーリーは気がつかない。

ハーリーに気を取られているイネスも気がつかない。

これはある意味ブリッジクルーにとって幸せだった。

長い説明をただ聞くより、居眠りできる分だけまだましである。

 

「仕事ですか・・・」

「ふぁははは。そう、そのためにこの俺もいるんだ!!」

別のウィンドウが、イネスさんのウィンドウの横から割り込みしてきた。

 

「ウリバタケさん!!」

「そう、そのとおり。」

いつものようにウリバタケさんは胸を張ってスパナを持ちながら腕を組んでいる。

格納庫から通信しているみたいだ。

思いがけない珍客に、ルリさんは思わず立ち上がった。

そしてウリバタケさんに

「どうしてナデシコに・・・・」

と、聞かずにいられなかったみたいだ。

 

「いやぁ、イネスさんの仕事の手伝いだよ。

まぁ、俺ぐらいのメカニックはそういないからな。

おまえを・・・・・・」

「それから先は秘密でしょう?」

イネスさんが珍しくあわてた様子でウリバタケさんを止める。

「うお。そっ、そうそう。秘密だ秘密。」

怪しい、かなり動揺している。

 

「何ですか。秘密って・・・・」

この人達の秘密はろくな事がない。

「だから、秘密なのひ・み・つ(ハート)」

やめてください、ウリバタケさん。

男に、投げキスされてもイヤなどころか、気持ち悪いです。

 

「う、わかりました。

いずればれるんでしょうから。」

僕は二つのウィンドウをきる。

・・・・って、きれない!!

 

「ふふ、説明がまだよ。詳しく教えてあげるわ。

なぜ私が、ジャンプとナデシコを比べてナデシコの方を選んだのか。

そもそもボソンジャンプとは・・・・」

とほほ・・・・、僕まだ病み上がりですよ。

後ほど密かに、「イネス女史が乗船している場合『なぜ』といってはならない」

との、艦長命令が下った。

そして約一ヶ月後、これは一部の宇宙軍関係者達の「暗黙の了解」となる・・・・。

 

 

「いずれはばれるか・・・・

このことを知ったとき、あいつは耐えられるのか?」

ウィンドウが切れ、ウリバタケは一人つぶやいていた。

 

 

--地球 シャトル発射施設--

 

IFS研究所の所長が珍しく黒の正装でメリーナを見下ろしている。

メリーナは待合室の椅子に座り次にくるシャトルをただ待っている。

「メリーナ、もう少し休んでからでもいいのでは?」

「いえ、これは私の問題です。

私の不注意で、ハリくんが・・・・」

 

所長は少し顔を曇らせたが、すぐに平静を取り戻した。

「いや・・・・あれは事故だよ。

被験者の死亡の可能性は考えられたが、まさかあんな事が起こるとは

イネス女史も全く予想してなかったらしいからな。」

「ハリ君を被験者とかモルモットみたいに言うのはやめてください!!」

所長は突然の激しい抵抗に驚いたが、堅い顔は変わらなかった。

「いや、すまんな・・・・少々配慮がたらんかったようじゃな。

・・・・だが忘れるな。

研究者にとって被験者は被験者なのだよ。

被験者としてみていないと客観的な判断ができん。」

「でもその考えが、ハリ君を傷つけてしまった・・・・」

メリーナの言葉を聞いて遠くを見つめる所長は、いつもよりもまして年をとったように見える。

 

「そうだな、彼がまだ子供だということをすっかり忘れていたよ。

我々はIFS処置をしているという事実だけで、

日頃から被験者としてみていたのかもしれんな。

それが彼らが思っている以上の、心の傷を作っていたとはな・・・・」

「そうですね、自分すら分からない心の傷。

それを見つけるのが大人の役目なのに・・・・」

私は大人なのだろうか?というメリーナのつぶやきを聞いて所長は施設を後にした

 

 

あとがき

ハリ  「あれ?
    今日は僕はFiraさんに呼ばれてここに来たんだけど・・・・」
ハリ  「あ、みなさんこんにちは僕はマキビ ハリです。」
ハリ  「はぁ・・・・で、フィラさんはどこいったんだ?」
ハリ  「お・・・・見つけた見つけた。あルリさんとラピスも一緒!?!?
     
ど・・・どうしたのみんな!!

ハリは何かにひどく怯えるFira達を見つけた。
Fira 「
うみゃぁぁぁぁ〜〜、みょえぇぇぇ〜〜
ルリ 「
あ・・・・・、ああああああ・・・・・
ラピ 「
やだ・・・・、もういやだよぉぉぉ

ハリ「な・・・・
何があったの!?
   ルリさん!!しっかりして」
何があったのかを聞こうとルリの前に来たとたん、ハリに気がついたルリは
怯えたようにこういった。
ルリ「は・・・ハーリー君、あなたはアキトさんは好きですか??

ハリ「
え??
あまりもの突然な事で混乱したハリだったが、さすがは某組織の幹部である。
一言こういった。

ハリ「
キライです。こればっかりはいくらルリさんの頼みとはいえ
   どうしようもないです。」

いつもなら間違いなくお仕置きモードの失言である。
が・・・この日のルリは違った。

ルリ    「
ハーリー君!!
ハーリー 「る・・・・ルリさん!?」

キライだと言ったとたん、ルリはハリに抱きついた。
ハーリーを捕まえるときでさえ滅多に触れようとしないルリであるが、
まるで恋人のようにぴったりとくっついている。

ラピス   「
ホントに嫌いなの!?
迷子の子猫のようなラピス。
Fira    「
ホントのホントに!?
涙目で見つめるFira。

ハリはもう異常な光景に言葉も出なくてただうなずくことしかできなかった。
二人の少女に言葉はいらなかった。
『うぇーーん』
二人の美少女がハリに抱きついてきた。
Fira    「ハーリー君!!」
ルリ    「ハーリー君はあのアキトさんをたぶらかす変態
       とは違うんですね!!」
ラピス   「ハーリーは普通の男の子だよ!!」

結果ハリは3人もの美少女に囲まれることになる。

ハリ    「ななななな・・・・・」
この至福の時間はおよそ10分ほど続いた。

後に後日談だがこの光景を見た某組織につるし上げられた
ハーリーだったが、その目は常に笑っていたという。
ラピスとルリはあの後ハーリーに抱きついたあと、2・3日寝込んだ。
起きたときには、あのとき何があったのか完全に忘れていた。
(無論ハーリーに抱きついたことも完全に忘れていた。 )
(あまりものショックで一時的な記憶喪失になったらしい。)

その後二人はその後何事もなかったかのように過ごしたそうな。

一方Firaは30分ほどハーリーに抱きついていた後、
急に光につつまれ消えてしまった。
(戦闘不能でラグオルに強制送還された。)

ただ、ルリ達が起きた後でアキトと関係があったとされる『男達』が
次々と行方不明となり2・3日後にボロボロになって助けられる
と言った事件が頻発した。
背後に暴走した妖精二人が関わっていたとかいないとか

今日は自信作です。(あとがきが・・・・)
(代)管理人様のありがたいお言葉
 代理人の感想

 ・・・・・考えている事がすぐ口に出る、と言うハーリーくんの設定は
 そもそも誰が言い出したんでしたっけ。
 いまやActionでは半ば公式設定となっているようですが(笑)。

 

 >何ゆえプロレス技

 やっぱり木連式の技はサブにとって「まぢモード」の時用の技なんでしょうか?
 だからハーリーとじゃれてる時はわざと使わないと。

 

 


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