サレナ 〜希望の花〜 第一話 Bパート

 

 

地球 −ネルガル極秘ドック−

 

そこには解体される船体とその横で整備を受ける機体が見える。

「さて・・・・点検はこれで終わりだ。」

「ありがとうございます」

ウリバタケのそばのウィンドウから女性の声が聞こえる。

まるでその様子は密会をしているようでもある。

ウリバタケを知る人物であれば間違いなく目を疑うだろう。

 

「まぁいいってことよ、ダッシュの方は新型の方に移るらしいな。

この船もだいぶガタが来ていたからな・・・・仕方がないか」

「わたしはどうなるんでしょうか?」

 

ただ話している方にはウィンドウが宙に浮かんでいるだけで、

そこにいるはずの女性らしき姿は見えない。

 

ウリバタケはウィンドウと話していた。

ウィンドウにはオモイカネシリーズ特有の鐘をモチーフにした映像が映っている。

 

そう、ウリバタケと話しているのはAI・・・・

オモイカネシリーズ ブラックサレナ搭載AI サレナ・・・

この機動兵器の主が、探し求め苦難の果てやっと手に入れた人を連想する名前。

 

ウリバタケはこのサレナの名付け親だ。

ウリバタケは変わり果てた友人を地獄の底から救ってくれることを願い、そして彼女に託した。

心優しい友人の心をずっと守ってもらうために・・・・

友人のたった一つの願いを叶えてやるために・・・・

そしてその友人のことを思っている人達の下へいつか帰れるように・・・・・

その願いはウリバタケに限ったことではないく、

この新型ブラックサレナの開発者全員の願いだっただろう。

 

 

「さぁ、少なくともおまえは新品同然だからな。

捨てられることはないぞ。

いや、こんなすばらしい機体を捨てるやつは俺がゆるさん」

確かにウリバタケはこのブラックサレナに心血を注いできた。

だけど、機体に頬ずりしているのはどうかと思う・・・・

 

「まぁしばらくは運動試験じゃないか?

エリナが新型のエステを開発するっていってたしな」

「試験・・・・何かの実験ですか?・・・・」

「ああ、新型のジャンプ装置の実験をしたいってイネス先生がいってたかなぁ」

「最終的にはイネス先生の方が通りそうですね。」

 

「ん?ああ、そうだろうなぁ。

確かに小型で高性能のコンピューターを内蔵してさらに

正確なジャンプシステムがある機体っていったらおまえしかいないからなぁ。」

「はい、すくなくともネルガルにはないはずです。」

いや世界中さがしてもないだろう。

世界最高のジャンプ技術を持ったネルガルに一つしかないのだ。

 

ネルガルのジャンプ研究はいくらクリムゾングループといえど追随をゆるしていない。

クリムゾングループが火星出身のジャンパーの誘拐に関わっていた疑惑が

明らかになった以上、ジャンパーを募っての研究はもはや絶望的と言っていい。

ただ、クリムゾンとネルガルのジャンプ研究については、

貴重なA級ジャンパーである天才科学者イネス フレサンジュが

ネルガルにいる時点で勝敗は決定していたのかもしれない。。

 

「じゃぁしばらくはイネス先生の実験につき合うんじゃないか?

ダッシュの方は新造艦の方に着けられるらしいから、

あいているオモイカネシリーズっていったらおまえしかいないからな。」

「はいそうですね。」

 

 


BACK ROOM NEXT