サレナ 〜希望の花〜 第二章 第二話 Bパート

 

しばらくして、ブリッジにサレナがやってきた。

それを見た二人はしばらく声を失った。

 

完全に固まった二人を見て、サレナは一言こういった。

 

「あれ、マスターご飯まだなんですか??」

何とか異様な光景から目をそらし、一呼吸ついた後アキトはサレナに忠告する。

 

「サ・・・サレナ・・・さん??」

声が妙に裏返る。

目の前の光景を前にしては、舌が回らない。

本来ならここで毒舌の一つや二つを言うはずのルリでさえ、完全に声を失っている。

最も、最低限の仕事はしているようだがそれで手一杯の状況のようだ。

 

「ふぁい??」

いまだなぜ、アキトが自分に驚いているのか分からないサレナ。

頭の上に本当にはてなマークが飛び交っている。(無論ウィンドウ)

 

「ご飯粒・・・・・ほっぺについてますよ。」

サレナに忠告できたのは、ポーカーフェイスが崩れ目が点なルリだった。

サレナはしばらく何を言っていたのか分からず、ただうろうろしていたが

しばらくして問題に気が付いたようだ。

 

「ふぉえ??」

え? という顔の後、顔に手をやるサレナ。

ほっぺたからご飯粒を一粒とってそのまま口に放り込んだ。

 

「あ、両方のほっぺたです。

それから・・・・・・いっぱいついてます。」

そして、アキトもルリに続き忠告する。

 

 

「ふぉえええ??」

完全に訳の分からなくなったサレナ。

どうしてよいか分からず、右往左往するサレナ。

そんなサレナにルリからのアドバイス。

「鏡がミナトさんの席にありますから一度見た方がいいですよ?」

 

「ふぁい・・・」

サレナはこれ以上は無駄だとルリに諭されてとぼとぼと、ミナトの席に向かう。

しばらくご飯粒と格闘した後、サレナは二人の前にやってきた。

 

「ふふっ、あんまりおいしかったモノで、ついつい食べ過ぎちゃいました。」

「・・・・・・ヘン・・・・」

「うん・・・・・」

ルリとアキトは顔を合わせる。

にゃはは、と無邪気に笑うサレナを見て、もはや二人に疑う余地もなかった。

 

 

 

「じゃぁ処理を交代しますか??」

「大丈夫ですか??」

まだルリはサレナがオペレートが出来るという事が信じられないようだった。

 

「まぁ現状維持ぐらいなら大丈夫ですよ。

余裕があれば計算の続きしてますから・・・・」

そういってにこにこしながら手を振るサレナ。

 

「よろしくお願いします・・・・」

ルリが挨拶をしてオペレートの交代を始める。

交代をする二人を見ながら、アキトはぼんやりと考えていた。

(今日はやけにルリちゃんはサレナさんに突っかからないな??)

 

そして、交代が完了しルリがアキトの元にやってきた。

ルリの視線はずっと、お弁当を向いている。

 

ぐぅ〜

 

かすかにルリから音が聞こえた。

 

(はは・・・やっぱりルリちゃんもおなかすいてたんだ・・・・)

と、アキトは納得した。

 

「はむはむ・・・」

 

「ルリちゃんおいしい??」

 

「ふぁい・・・・」

 

 

ルリはお弁当がおいしいのか、しゃべりもせずに黙々と食べている。

おいしそうに食べるルリを見ながら今更ながら、

コックになってよかったなと考えるアキト。

そんな幸せそうな二人を見ながら、神妙な顔でサレナは一人考える・・・

 

 

「・・・・もうちょっと食べたかった・・・・クスン」

いいね、アンドロイドは太らないから・・・

 

 

サレナがいなくなった食堂

 

「全くあの子はこういうところが完全に子供だねぇ。」

こぼれたご飯や、飛び散ったスープ・・・

ホウメイはため息をついて、サレナの食べていた席の後片づけを始めた。

 


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