サレナ 〜希望の花〜 第二章 第四話 Bパート

 

「ここですね。」

「助けられる?」

「はい、熱源反応および呼吸と思われる音が聞こえます。

瓦礫の重なり方も、そんなに複雑じゃないですから

楽だと思いますが・・・・」

ブラックサレナが倒壊した家屋の前に立つ。

どこに出もあるような一軒家に腹に大きな穴が開いたバッタがつっこんでいた。

 

 

「このまま瓦礫を取り除いていいんだね?」

「・・・・妙な反応がありますが大丈夫だと思います。

あ、救助班の方には連絡しました。すぐにくると思います。」

アキトがモニターに映るバッタを見ながら静かに問う。

ブラックサレナ単体では瓦礫を取り除く力はなく、救助の補助であって主役ではない。

郊外から漏れだしたバッタの始末、及びセンサーなどでの被害者の詮索これが主な仕事だ。

 

今の自分にはなにもすることはないけど、目の前で原形をとどめたバッタを見ていると

動き出しそうな気になってしまう。

自然と手に力がこもる。

 

 

「少し不気味ですね。妙な反応もありますし・・・・」

と、不意にサレナの神妙な声が聞こえてきた。

ディスプレイに映るCGサレナの表情も不安げだ。

「妙な?」

「電磁波と金属反応です。」

神妙な口調でサレナが答える。

 

「まさかバッタ??」

アキトはモニターに映るバッタから目が離せなくなる。

バッタ一匹は大したことはない。

だが、バッタの下には人がいるのだ。

このまま動き出せば、どうなるか分かった物ではない。

 

「いえ、バッタは間違いなく完全に停止しています。

反応はバッタとは全く異なります、何らかの機材のように見えますが・・・・

問題ないでしょう。」  「木蓮のシステムとは波形が異なります」ね

 

「わかったこのまま、救助班がくるのを待とう。」

アキトはバッタが気になるが完全に止まっていると言う意見を信じることにした。

今まで、彼女は一度も間違えたことはないではないか・・・

深呼吸し、気を落ち着かせる。

 

「よっし、これで最後だ。」

救助班が近くまで来たのを確認して、ブラックサレナで取り除ける大きな破片の処理を始めようと 

まず、家にのっかっているバッタを引き剥がした。

アキトは冷や冷やだったが、バッタは完全に沈黙していた。

 

バッタを引き剥がし終わりかけた頃には、救護班がすぐそばまでやってきていた。

尤もバッタの残骸に後込みして近づいてこなかったが・・・・

一緒についてた少女も、バッタを目にして目を白黒させている。

 

バッタを邪魔にならないところに置いて、いよいよ本格作業に入ろうとしていた。

ふと見下ろすとバッタをはがしたところに、男女が折り重なるように倒れていたのだ。

・・・・救助はあっけない物になりそうだった。

 

「・!!・・・・」

急すぎる展開にアキトは息をのむ。

ゆっくりと目を合わせて血だらけになっている二人を見て、

一気に血の気が引ける。

 

「・・・・まだ息があります。

だいじょうぶです。」

落ちついた女性の声が聞こえる。

後方にいる、救助班にもこの声は届いているはずだ。

サレナの声を聞いて一気に肩の荷が下りて、今まで張りつめていた空気が和らいだ。

 

 

「おかーさん!!」

暫くすると、涙で顔が濡れた少女が家に近づいてきた。

 

「危ないですよ」

少女のすぐ後をメグミが追いかけていた。

アキトはウィンドウでその光景を見ながらフゥーとため息をもらす。

メグミはああ言っているが、両親を心配するのは仕方ないと思い止めることはなかった

瓦礫の崩れる心配があるともおもうが、人一人ぐらいなら問題ないだろう。

アキトは体の緊張を解き、コックピットの座席に体をまかせた。

 

「!?センサーに反応」

と、突然サレナの声が聞こえる。

すぐさま体勢を整えようとするが、何がなんだか分からない。

 

「なに??」

「分かりません。

ただ、バッタ付近に磁気の異常を感知、注意してください。」

レーダーに反応はない。

一体何が起こるのか全く予想がつけられず、ただ身構えるしかない。

と、不意にスピーカーから少女とメグミの言い争う声が聞こえた。

 

「待ちなさいまだ救助中です。

それにさっきから異常が・・・・」

 

「お父さんとお母さん!!・・・・」

どうやら、メグミもサレナの注意を聞いて少女を止めようとしているらしい。

 

 

「待つんだ・・・・」

「待って・・・」

後からジュン達も彼女達を止めようと追いかけてきていた。

 

 

「これは!?」

「やばいです。

周囲に敵対反応!?

熱源・・・・家の周囲に三つあります!!」

 

「な・・・・」

 

「きゃっ、」

「!!」

轟音と共に家の周囲から金属の四角い物体が飛び出してきた。

四角い物体には幾本もの金属製の筒が見える。

 

「この屋敷の防犯システムらしき物が作動しています。

カウンタープログラムを打ちます。」

「くっ。」

攻撃しようと武器を装備し直そうとするが、すでに手遅れだった。

暴走した防犯システムが、全力で『近くの異物』・・・・つまりメグミ達にターゲットを絞っていた。

 

 


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