「こ、これは!?」

ほとんどのオペレータがウィンドの回復にかかりっきりになっている時、レーダー担当のオペレータが表示された

データを見て驚愕の声を上げた。

 

「ボース粒子の増大反応!!」

 

ウィンドが開きボース粒子の確認された宙域が映し出される、そこにはボース粒子特有の虹色の光が滲むように広がり、何かの形を取ろうとしていた。

「解析データ出ます・・・全長約10メートル、幅約5メートル、識別信号無し、相手応答有りません・・・データ照合・・・!!ッ間違いありません!例のヤツです!!」

データを確認したオペレータが悲鳴にも似た声で報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ、狩りの時間だ・・・」

ジャンプアウトしてきた機動兵器のコクピットでパイロットの口元が醜く歪んだ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 ナデシコ

 

星ノ記憶・・・

 

 

 

 

 

3.

時間は少し戻って、カフェテラス

「ハーリーくん、何したんですか?」

『OTIKA』の文字で埋められたウィンドの塊に追いかけられている客やウィウトレス達を横目に、ルリはコミュニケ

でナデシコBのハーリーを呼び出す。

『違います!違いますよ! ボクは何もしてませんよ!!』

いきなり涙目となったハーリーがウィンド一杯にに映し出されるが。

「本当ですか?」

真顔でハーリーを見返すルリ。

『ホントです!ホントに今回は何もしてません、艦長信用してくださいよ』

「ジ〜〜〜〜〜〜〜」

『か、かんちょう?』(ウルウル)

「ジ〜〜〜〜〜〜〜」

『かんちょう〜〜〜〜』(ウルウル)

「ジ〜〜〜〜〜〜〜」

『かんちょう〜〜、ヒック グス』

それこそ滝のように涙を流すハーリー、『今回は』の所が気になるが、本当に何もしていないようだ。

『ルリ、そのくらいにしてあげてください( ^_^;)』

それに見かねた?のかオモイカネがウィンドを開きハーリーに助け舟を出す。

「そですね、この回線(ナデシコB経由のウィンド通信)が大丈夫と言うことは、コレは『アメノムラクモ』のウィンド

 回線の混線ですか?」

何もなかったかのように、オモイカネに状況を聞く。

『ハイ、そのようです』

同じようにオモイカネも何事もなかったかのように答えた、横のウィンドでハーリーがいじけてる、その後ろで笑い

をかみ殺しているサブロウタの姿。

『ですが・・・』

「?」

オモイカネが口ごもった(?)ように言葉を切る。

『ですが、何か不自然です。『アメノムラクモ』程のコロニー管理システムにおいてこの様な事故の起こる確率

 は0.000000009パーセント、現実的には起こりえません』

「と言うことは、外部からの干渉?」

『その考えを支持します』

しばらく考え込んでからルリは顔を上げ、ハーリーのウィンドを呼び出す。

「ハーリくん・・・いつまでいじけてるつもりですか?」

『ブツブツブツ 『こら、ハーリー 艦長が呼んでるぞ』 えっあ、はい何ですか?』

サブロウタに小突かれようやく正気に戻ったハーリーが答える。

「この混線はおそらく外部からのハッキングです。

 混乱を起こしてそのスキに『アメノムラクモ』のシステムに侵入するつもりなのでしょう、ハーリーくんはハッキング

してきた相手が何を捜しているのか追跡してください」

『えっいいんですか?』

驚いたようにハーリーが聞き返す、ハッキングを追跡するにはこちらも『アメノムラクモ』のシステムにハッキングす

る必要がある、当然の事だがハッキングは犯罪、それも統合軍のシステムに侵入するのだ見つかれば、ただ

では済まない。

「かまいません、それに見つかるようなドジはしないでしょう」

『も、もちろんです!まかせてください!!』

そのルリの一言にハーリーは敏感に反応した。

【ルリさんはボクの事をそんなに信頼していてくれていたんだ!!】

 ルリの言葉をそう理解したハーリーは、全力を持って『アメノムラクモ』にハッキングを仕掛け始めた。

が、ルリの思惑は、

【オモイカネが付いていればハーリーくんでも大丈夫でしょう、万が一見つかっても、捕まるのはハーリーくんです

 から】

・・・何も言うまい、ハーリー哀れなり。

「それから・・・ッ!?」

何か言おうとしたルリの瞳があるモノを一瞬捉え、言葉を無くした。

それは今だ辺りを縦横無尽に飛び回るウィンド、その一つ、偶然裏返っていたそのウィンドに書かれていた文字

は『AKITO』。

「!!」

次の瞬間、ルリは走り出していた、理由は無いただ嫌な予感がする。

『ルリ! ルリ!! どうかしたのですか?!』

突然走り出したルリに驚いたオモイカネが慌てたようにウィンドで追いかけてくる。

『何処に行くのですか? ルリ』

「オモイカネ!ナデシコに戻ります」

ルリは走りながら答える、普段から余り体を動かしていないせいか、その走り方はぎこちない。

『えっ 何があったのです?ルリ』

「私が戻ったらいつでも出れるように、出航準備を!敵が来ますよ!」

先ほど感じた予感をそのまま口にする。

『解りました』

そう答えると、オモイカネのウィンドは閉じ、ルリはナデシコBに戻るべく走るスピードを上げた。

 

 

 

 

 

”ビィーーーーーーー!!”

第一次防衛ラインの長距離ミサイルが次々と敵に向かって打ち出される。

その数はたった一機の機動兵器を攻撃するには、あまりにも多すぎる数であったが。

「クックックッ統合軍とは無能者の集まりか、我にそのようなモノ通用せぬ事解っていよう」

パイロットは嘲るようにつぶやくと、更に速度を上げミサイル群に向かっていく。

 

『アメノムラクモ』作戦司令室

「敵、機動兵器更に加速します!」

「何!回避すらしないつもりか?!」

オペレータの報告に副指令(アズマ准将はまだ到着してない)が目を剥く、

【ディストーションフィールドで全て受け止めるつもりなのか?】

 そんな考えが一瞬浮かぶがすぐに捨てた、たとえあの機動兵器が戦艦並のディストーションフィールドを持って

いたとしても、あれだけの数のミサイルが直撃すれば耐えられるはずが無い。

「敵機動兵器、ミサイル群に接触!」

オペレータの報告、そして次に来るであろうミサイルの爆光に備え正面のウィンドに偏光フィルターが掛かる。

「・・・・・・?」

が、何も起こらない。

「て、敵機動兵器、ミサイル全弾回避!ミサイル群目標を見失い迷走してます!!」

司令室がざわめく。

信じられないと、副指令はウィンドを見る。

だがそこには間違いなく敵機動兵器が、鮮血を浴びたように赤い機体が映し出されていた。

「相対速度が速すぎて近接信管が作動していません」

データを分析していたオペレータが信じられないと言った面もちで報告する。

「報告は後で聞く、第2次、第3次防衛ラインはどうなってる!」

「Nフィールド上の艦艇が迎撃ポイントに到着しました」

「直撃できなくてもいい、進行速度を落とさせるんだ!」

配置に着いた艦艇群からグラビティーブラストが放たれる。

 

「フッ・・・」

襲いかかってくるグラビティーブラストをスピードを落とさずに全て避わす。

もともとグラビティーブラストは対艦用の装備、高速で動き回る機動兵器を狙うには不向きなのだが、数が数で

あるそれを掠らせる事もなく全てを避わす・・・

神業とはこの事を言うのであろうか、だがそれは神は神でも邪神の技であろう。

「轟!」

赤い機動兵器は突入してきたスピードのまま迎撃艦艇群、その先頭にいた木連式駆逐艦『ミヅキ』に体当たりを

かける。

避ける事もできず『ミヅキ』の艦橋が砕け散る、通常であれば体当たりをかけた機動兵器もただでは済まない、

いやたとえ機体が持ちこたえたとしてもパイロットが無事で済む筈がないのだが、何事も無かったかのよう

に離脱し、まだ生きている『ミヅキ』の砲塔とエンジン部にレールガンを撃ち込み確実に止めを刺す。

『ミヅキ』の爆発に巻き込まれないように散開しながら各艦が一斉に対空レーザーを撃ち上げる、グラビテ

ィーブラストと違い対機動兵器用のそれは、確実に敵機動兵器を捉えたがディストーションフィールドに全

て弾かれる。

 

「今宵の獲物は活きが良い・・・クックックッ」

パイロットは狂気に満ちた爬虫類の笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

タッタッタッタッタッタッタッ

警報が響く通路をルリはナデシコに向かって走っていた。

【予感は的中、敵が来た・・・】

今だ無秩序に飛び回る、『OTIKA』と書かれたウィンドを避けながら思考を走らせる。

【『OTIKA』の文字、逆から見れば『AKITO』・・・あれは偶然? あれは暗号?

 でも、あの人は・・・アキトさんは・・・3年前の事故で・・・・・・】

思い出したくない過去、認めなくてはならない(認めたくない)現実・・・

『ルリちゃん』

「えっ!?」

一瞬、アキトに呼ばれたような気がして、思わず立ち止まる。

と、

どんっ!!

「キャッ!」

次の瞬間、横から来た何かに突き飛ばされ床に倒れ込む、が痛みは無い。

目を開けてみると、床とルリとの間に腕が差し込まれて体を支えていた。

【え?何・・・】

「ごめん!急いでいたから」

おそらく、ぶつかってきたであろう相手が慌てたように声をかけてくる。

「【? この声・・・】いえ、私も不注意でした。

 それに庇っていただいて、ありがとうございます」

相手を見ようとするが、ほとんど抱きかかえられるような状態なのでよく見えない。

ただ、その声に聞き覚えがあった。

ずっと聞けなくて、だけど一度も忘れたことのない、暖かい優しい声・・・

【まさか!?】

あり得る筈がない、だが実際に今聞こえた声は。

「ア・・・キト・・・さん?」

微かな期待と、あり得る筈がないと言う現実の中、ルリはかすれるような声でその名を呼んだ。

「え!!」

だが、相手はルリの声に反応した、ただその反応はルリが期待していたものとは全く違うものだった。

「・・・!?」

それまで庇っていたルリを突き飛ばすと、先ほどの相手を思いやるような声ではなく、驚愕の響きを含んだ

息づかいをルリに返した。

「イタッ・・・アキトさん!」

突き飛ばされた勢いでルリは反対の壁に背中からぶつかったが、おかげで相手の全身が見えるようになる。

統合軍の大尉の軍服を着て、大型のサングラスかけ、3年前よりやや大人びてはいたが間違いなくルリのよく

見慣れた顔、テンカワ・アキトだった。

だが、以前のように優しい笑顔ではなく、影のように沈んだ顔でルリを睨んでいるが、ルリはそんな事は瞳に

入らず今にも抱きつこうとする。

「近づくな」

アキトはブラスターを抜き、ルリの動きを制する。

「・・・?!」

向けられたブラスターのとまどいと、逢えないと思っていた人に逢えた嬉しさが入り混じった複雑な表情でアキト

を見る。

 

「アキトさん・・・ですよね」

「・・・・・・」

「アキトさんどうして・・・・・・」

「・・・・・・」

「生きているなら、どうして連絡してくれなかったんですか?」

「・・・・・・」

「会えないのなら、せめて・・・せめて、生きてるって教えてくれてもよかったじゃないですか!」

「・・・・・・」

「ユリカさんだって、どんなに悲しんで・・・」

「・・・・・・」

「アキトさん! 何か答えてください!」

「・・・・・・ナゼ・・・」

「え?」

何も答えず、ただルリを睨んでいたアキトの口から声が漏れる。

「ナゼ、君は俺を知っている・・・君は何故俺の事を知っているんだ?!」

「何故・・・って? アキトさん」

その言葉にルリが戸惑う、そして気づいたアキトが自分を見る目が、まるで知らない相手を見るような光を浮か

べていることに。

「君は   俺達の仲間じゃない・・・なら何故俺の事を知っている?!」

「仲間?・・・アキトさん・・・いったい」

ルリがアキトに向かって、一歩踏み出そうとしたとき、

「貴様!そこで何をしているんだ!!」

2人に、正確にはアキトに向かって鋭い声が飛ぶ。

「少佐に銃を向けるとは、貴様正気か!?」

通路の角から中尉の階級章をつけた男(よく見ると、ルリをカフェテラスまで案内した人)が、アキトに向かって

走ってくる。

「チィッ!」

即座に身を翻し銃口を中尉に向ける。

「?! アキトさんだめぇ!、中尉逃げてください!」

とっさにルリがアキトの腕に飛びつこうとするが・・・

タンッ

馬鹿に軽い音が響き、次に人が倒れる鈍い音。

「そんな・・・」

ルリの視線の先には、額を撃ち抜かれ床に倒れ伏す中尉の姿。

【そんな・・・アキトさんがどうして人を撃つの?・・・・・・

 あんなに人殺しを嫌っていたのに・・・・・・誰よりも人の命を大切に思っていたのに・・・

 これは夢?・・・これは幻?・・・でも、でも・・・・・・

 このヒトはアキトさんじゃないの?・・・そんな筈はない、このヒトはアキトさん!・・・

 なら、どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・】

床に膝をつき、呆然と倒れた中尉を見てルリの思考は飽和する。

 

「おい、今銃声がしなかったか?!」        「ああ、確かに聞こえた!」

「こっちの方から聞こえてきたよな?」                 「行ってみよう!」

「警備兵を呼べ!テロリストの仲間が潜入したのかもしれん!」                    「了解しました」

今の銃声を聞きつけたのか、遠くから幾人もの兵士の声が聞こえてくる。

「チッ、迂闊だった ラピス!」

反射的にブラスターを使ったことを悔やんだ、が 悔やんでももう遅い。

『何、アキト?』

アキトの正面にウィンドが1つ開く、そこにはルリと同じ琥珀色の瞳を持った薄桃色の髪の少女が映っていた。

【・・・え!?・・・あの娘は?】

飽和していたルリの思考がその少女を見て再び動き出した。

「すまないっ、作戦SSからUHAに移行する!」

『うん わかった、アキトの今いる所から2ブロック先に格納庫が有るよ』

「2ブロック・・・よし、わかった。 ありがとうラピス」

『アキト無理しないで』

「わかってるよ、それじゃ後で」

心配そうなラピスの視線にアキトが昔見せていた優しい笑顔で答える。

【そんな、今の娘は・・・ラピス!?

 でも彼女は2年前の爆発事故で死んだんじゃ・・・】

今、アキトが呼び出したウィンドに映っている少女に見覚えがあった。

いや、見覚えがあるどころかルリがよく知っている少女だ。

ルリと同じ遺伝子操作を受けたマシンチャイルドで、同じネルガル研究所にいた同年代の少女 ラピス・ラズリ。

2年前、ネルガル研究所の原因不明の爆発に巻き込まれ多くの人達と共に死亡した事になっていた筈の少女。

 

「居たぞ!!こっちだ!」

「え・・・?」

サブマシンガンを構えた警備兵数人が通路から現れ、ルリの思考は中断された。

「!?・・・いかん! ホシノ少佐を助けるんだ!」

状況を確認した警備兵達は、当然のごとく銃口をアキトに向ける。

「遅い!」

が、警備兵達が引き金を引くより速く、アキトがブラスターを撃つ。

「ガッ!」

足を撃たれた1人が倒れ込み、残りの警備兵は曲がり角に身を隠す。

アキトはルリの背後に回り込み、警備兵達と自分との間に常にルリが入るように動く。

「え、あっ・・・」

その間を彼女としては珍しく、ただ狼狽えるルリ。

いや、電子戦を得意ととする彼女だからこそこんな状況には馴れていないし、また頭ではわかっていてもとっさ

には動けない。

それに彼女が動けばアキトが撃たれる、そんなことは出来るはずがない。

「少佐」

「!」

すぐ背後から声がして一瞬身を固くする、後頭部にブラスターの銃口が押しつけられている。

「本来なら、俺を知っている君は殺さなければならないが・・・殺さない」

「ア、キトさん 何を言って・・・」

銃口が離れ、

「きゃっ・・・!!」

次の瞬間、ルリの体は警備兵に向かって突き飛ばされた。

「!? 少佐!」

警備兵の1人が慌ててルリの体を受け止める。

当然、警備兵の注意は突き飛ばされたルリに集まり、アキトから意識が逸れる。

「イタッ・・・!! アキトさん」

警備兵に支えられたルリが顔を上げた時には、アキトはもう反対側の角を迂ろうとしていた。

「逃がすな! 追え!! それと指令部に連絡! 増援を要請!」

「ハッ!」

隊長の声に警備兵達が反応し、走り出す。

【アキトさん・・・ラピス・・・

         いったい・・・・・・】

何が起きているのか理解できないまま、ルリはアキトを追って走り出していた。

 

 

 

 

 

「データ検索、絹ごし 出来たスープを順にボクヘ、スピードはわんこの上級で、っと」

ナデシコBのブリッヂで、ハーリーはまさに喜び勇んで『アメノムラクモ』にハッキングを仕掛けていた。

元々こう言う事は好きだし、今回はルリの期待(勘違い)が掛かっているのだ、張り切りすぎる程、ハーリーは

張り切っていた。

「よっ! 張り切ってるじゃないか」

ウインドウボールの中にサブロウタが入ってくる、いつもなら盛大に驚くのだが今回は違っていた。

「もちろんですよ!【なんて言ったって艦長がボクを信頼してまかせてくれた仕事です】」

「ハ、ハハ・・・」

ハーリーの表情から心の中を読みとったサブロウタは乾いた笑いで答えた、ルリの考えも何となく読めていたから

ハーリーが少々気の毒に思える。

「それより、どうだ?」

「え? あっはい、今までの所は問題ありません。

 『アメノムラクモ』のシステムへのハッキングは無事終了、混乱してましたから楽に入れました。

 ハッキングしてきた犯人がダウンロードしたデータの特定はもう少し掛かります・・・けど」

「けど? どうしたハーリー」

少し言い淀んだハーリーの雰囲気に、サブロウタは何かを感じた。

「・・・推測なんですけど、多分この犯人は普通のハッカーじゃ無いですね」

「普通じゃないって、それじゃあなんなんだ?」

「・・・艦長やボクと同じマシンチャイルドです、きっと」

「なんだって!」

サブロウタが信じられないモノを見るようにハーリーを見る。

マシンチャイルドとはルリやハーリーのように遺伝子操作でコンピュータ操作に特出した人間のことである。

もちろん生命倫理に関わる問題の為、今では国際法規で禁止されている。

「あっ 来た、来た!」

難しい顔をしているサブロウタを無視するように、ハーリーがウインドボールを操作すると、ある画面が表示された。

「オイッ ハーリー!」

「こ、これは・・・」

表示された画面を見て、我に返ったサブロウタが声を荒げ、ハーリーは絶句する。

『A級ジャンパーによるボソンジャンプ実験報告書』

「・・・ボソンジャンプの人体実験・・・・・・これ全部非公式ですよ!」

「当たり前だ! こんなモノが公式でいいわけがない!!」

ファイルに入りページを進めると、数百の被験者リストに代わる。

実験結果・・・死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、

死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、死亡、・・・・・・

その全てに、実験失敗と被験者死亡の文字が記されていた。

「まさか・・・こんなデータが出てくるとはな・・・」

「それに、これを見てください」

別のウインドを開き『アメノムラクモ』の全体図が表示され、公式データにはないゲート及びブロックが存在していることを示す。

「これが、今までのコロニー襲撃の理由って事か」

「でも・・・!!」

突然、警告音が響き慌ててハーリーが対応する。

「ばれたか?」

「オモイカネデータ、ブロック! 疑似エントリー及び防壁展開!」

顔にうっすらとナノマシンの光の筋を浮かべ、意識を集中する。

・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

「ハァ〜」

数分後、ウインドボールを解除して大きく溜息をついた。

「やけに時間掛かったな」

「これ以上追うなら、相手する って言われました」

がっくりと肩を落として、ハーリーがつぶやいた。

「? 言われたって、誰にだ?」

「ハッカーのヒト・・・」

「ハァ?・・・『アメノムラクモ』にじゃなくて、ハッカーに見つかったのか?お前」

 グサッ!!

「それで軽くあしらわれたと」

 ザクザクザクッ

「そ、そこまで、言わなくてもいいじゃないですか!!」

涙目でサブロウタに食ってかかるハーリー、だが。

「艦長になんて報告するんだ? ハーリー」

 ズンッ!!

「そ、それは〜」

『ハーリー、不様だね』

さりげなく、止めを刺すオモイカネ。

ゴイ〜〜〜〜ン!!(ウインド表示・効果音付き)

「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

ダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・・・・

「コラ!ハーリー、今は第2種戦闘配置中だぞ〜・・・聞いちゃいないか」

『そうだね』

小さくなっていくハーリーを見送りながらサブロウタとオモイカネは顔(?)を見合わせた。

 

 

 

 

 

コロニー襲撃中だと言うのに今ひとつ緊張感がない・・・流石ナデシコと言ったところか?

 

 

 

 

 

 


あ(と)がき

 

どうも、おひさしぶりの めるう゛ぃるです。

今回の『星ノ記憶・・・』第3話どうでしたか? あちこちに場面が入れ替わり立ち替わりしてましたが・・・

しかし、心理描写って難しい・・・つくづく自分の未熟さを味わいました。

 

さて、まだ名前は出していませんが、コロニー襲撃者はアキトではなく”あの人”と”あの機体”でした、なんだか予測

していた人もかなりいたみたいですね・・・なんだか悔しい。

それと、ラピスですが、ここ(星ノ記憶・・・)ではルリと面識あります、あとルリと同じ16歳となってますね。

やはりルリとアキトを争うには、11歳ではかなり不利でしょうから、同じにしました、めるう゛ぃるの中では既にユリカ

は消えてます。(気が変われば出てくるかも)

 

まだまだ拙い、未熟者の作品ですが、よろしければお付き合いください。

誤字脱字及び文章表現此処がおかしいぞって言うのが有ればどんどん教えてください。

 

 

あぅ〜・・・まだ『コロニー襲撃編』終わらない(T。T)

 

 

 

 

 

 

 

                               続く

 

 

管理人爆睡(・・・)

 

めるう゛ぃるさん!! 続編の投稿有難う!!

待っていたの第三話です!!

ははは・・・あの人ですね(笑)

もう、純粋なBenを騙すなんて・・・酷い人だ貴方は(苦笑)

でも話しの先が読めません!!

凄く続きが楽しみですね!!

でも、ユリカ・・・いきなり戦力外通知をくらうとは(苦笑)

今後はラピスとルリの戦いも見物ですね。

・・・それとハーリーの不幸とか(爆)

 

 

では、めるう゛ぃるさん 投稿有難うございました!!

 

 

感想のメールを出す時には、この めるう゛ぃるさん の名前をクリックして下さいね!!

もし、メールが出来ない方はこの掲示板に出来れば一言でも感想を書き込んで下さいね!!

感想は作者の原動力ですから!!

いや、本気で(苦笑)

 

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