機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

 

クラウン本部ビル内会長室では、アキトが会長室から見える景色を見ていた。

会長室は誰の目から見ても殺風景だったから一目で見て会長室と分かった人は、

入る時にドアに張ってある会長室の金色のプレートを見て判断したのだろう。

会長室にいていい所といったら眺めがいいというぐらいだ。

 

「ここから見る景色は、なかなかいいな…………そうは思わないか」

 

軽い口調で画面の向こう側にいるはずの自分を殺しに来た集団に話し掛ける。

そこで、ラピスから通信があった。

 

「アキト、あいつら今の所一階とエレベーターの周りそれと会長室に向かっているよ」

 

ラピスから教えてもらったこの情報から撃退方法を考える。

 

「よし、隔壁を下ろしてあいつらを閉じ込めろその後にクラウンシークレットサービスを動かす」

 

ネルガルシークレットサービスやほかの企業の諜報部員に対抗するためにクラウンの中で

軍属だった者や格闘技を習っていた者を集めてアキトが一から鍛えなおした集団だ。

この中にミユキも入って一緒に鍛えられた。もしくは、世間の荒波にもまれた。

 

「隔壁下ろしま〜す」

 

ラピスの合図と共に連中の仲間の内ほとんどが中に閉じ込められる。この隔壁は後で取り付けた物

なので未来のデータを元に作ったからもちろん銃や軽い爆薬なんかでは、傷をつけることも出来ない。

 

「残った連中を取り押さえてくれ」

 

その言葉と共に連中の近くに潜んでいたクラウンシークレットサービスが動き出した。(またもやこの名前は

簡単に付けられた)仲間が閉じ込められたのを見て驚いている内にスタンガンで全員気絶させられる。

 

「会長終わりました」

 

隔壁の中の連中もラピスが睡眠ガスを隔壁の中に流して眠らせた所で武器等を取り上げて全員一つ場所に

集められていた。

 

「そいつら外に放り出しておいてくれ」

 

命令を通信で受けると意識が無い連中を本社から追い出す作業を始めた。

 

あるビルの一室でこの状況を聞いている集団がいた。

 

「くそ、やられたか!!!」

 

「クリムゾンとしては、今のうちに奴を殺さないと損害を受けることは間違いないですからな」

 

「まあ、落ち着け諸君、奴が言っていたとおり方法を間違えた。

 これからは奴も警戒するだろう。しばらく様子を見ることになるだろうな」

 

この会議の議長と思われる人物が、そういうと全員落ち着きを取り戻したようだ。

 

「しかし、このままではクラウンの力は、強くなる一方です」

 

「所詮奪われた情報も全体に比べればたいした事ではない放っておけ。ネルガルの戦艦のこともある。

 だが、奴には見張りを付けておかなければいけないな…………」

 

 

しばらくするとラピスが、会長室に入ってきた。

部屋の中にいるアキトを確認すると話し掛けて来た。

 

「アキト、片づけが終わったよ」

 

「そうか。落ち着いた内にこれからする事について言っておくぞ」

 

状況が落ち着いたのか自分が落ち着いたのかわからないが、椅子を自分の方に引き寄せて座る。

 

「私は一体何をすればいいの?」

 

ラピスは、客用に置いてあるソファーに深く座る。しかし、身長が低くて足が下についていない。

 

「ナデシコが宇宙に出る前に軍が…………」

 

ラピスは、ナデシコにアキトが乗っていたときを知らないので未来を変える前に昔話をしてやらないと

いけない。ラピスはその話をアキトが話している時は、アキトが今まで見せてくれなかった顔も見せてくれ

るので好きだった。

 

「どうやって助けるの?」

 

今回助けるのは、ナデシコが宇宙に出る前にチューリップに飲み込まれて地球からボソンジャンプしてしま

ったクロッカスとパンジーの乗員のことである。

 

「チューリップが生きていることを動き出す前に知らせてやれば軍だってバカじゃないだろうから

 ちゃんと脱出するさ」

 

「わかったけど、いつ頃それをすればいいの?」

 

「確かそろそろナデシコを拿捕するために向かっているはずだ」

 

「それじゃあ、そろそろ知らせてやらないといけないね」

 

ラピスはそういって会長室から出ていったので、思考の渦の中に入る。

 

そういえば、ラピスは俺を殺しに来た連中を初めて見たな

ラピスも社長代理だから狙われるかもしれないな。

おそらくクリムゾンの奴らが、最近のクラウンの伸びがすごいので力を削ぎ落とすつもりで送ったのだろうな。

命を狙われるのは好きじゃないから望みどおり稼ぐのを少しやめるか。

 

そこまで考えた所で時計を見る。

 

「そろそろ連絡が来る時刻だな」

 

ウィンドウが開いてミユキが出てくる。しかし、映像が悪い。

 

「あ、見えていますか?

 こっちは、無事にナデシコへと乗ることが出来ましたよ」

 

「わかった、次に君にしてもらうことは危険分子を降ろしてもらう事だ」

 

「きけんぶんし?」

 

疑問に思っているようなので、ラピスに話したように話してやる。

 

「彼らの反乱は失敗に終わる。ナデシコのクルーは、性格はともかく腕は一流だ。

 成功したらネルガルの連中は、見る目がなかったってことになるけどね。

 で、つかまった連中を逃がしてやるのさ」

 

「捕まった連中を逃がすのですか!見つかったらどうするのですか!!」

 

確かに逃がしている所を見つかったら立場が悪くなるだろう。

 

「その場合は、会社名を出してもいいから、

 ただし、逃がしてやるかわりに脱出させるだけだ他のことはさせるな」

 

(ガイが撃たれて死なないようにちゃんと見張っていてもらわないといけないからな)

 

「わかりましたけど、この映像もっと良く映させること出来ないのですか?」

 

まだ納得してないようだが、了承してくれたみたいだ。

 

「気づかれないようにブロックしてもらったからな。

 その分映像が犠牲になったというわけだ。それよりしっかり仕事をしろよ」

 

「給料の割にきついですよ!!」

 

そういってウィンドウが閉じる。しかし、給料は一体どれくらいなのだろうか?

 

「こっちもすることはしっかりしないとな…………」

 

 

 

 

 

 

 

秘密の会談が終わった後に、艦内を歩いているとすぐに反乱は起こってくれた。

 

「まったく、いつ起こるか分からない反乱の首謀者と共犯者を逃がせなんて

 給料上げて欲しいくらいだわ、ん」

 

「おい、お前!おとなしくついてきてもらうぞ」

 

銃を後ろに付きつけられて言われているので

おとなしく誘導にしたがって歩くと食堂に連れていかれる。

そこにいた中年の男性に声を掛ける。

 

「あの、確かウリバタケさんでしたっけ」

 

「ああ、そうだがあんたは誰だ?」

 

「パイロットのキタウラ・ミユキという者ですよ。

 一体何が起こっているのか教えてくれませんか?」

 

心の中では反乱が起こったと分かっているが確認のためである。

 

「キノコが部下を従えて反乱を起こしやがったんだ。

 それと、艦長とマスターキーは後から来た戦艦に押さえられちまっているよ」

 

キノコ?固有名詞が出てきて良く分からないが、現状はわかった。

 

「それじゃあ、おとなしくしていますか」

 

ミユキは基本的に怠け者なので反乱の鎮圧は他の人に任すことにした様だ。

そのままテーブルのところに座っていると他の人が、次々に食堂に押し込まれる。

それぞれ思い思いの場所に座ったり立っていたりするが、

ミユキが座っているテーブルには、ミナトにメグミとルリが一緒に座っている。

 

「な〜んか、がっかり戦艦に乗ればかっこいい人一杯いると思ったのに

 でもあのネルガルのひげメガネの人、大丈夫かな、なんか頼りないよね」

 

「人は見かけに寄らないものよメグちゃん以外とね」

 

ルリはそんな話をしているミナトとメグミを交互に見比べている。

 

見かけか。まあ確かに会長の見た目はただの優男って感じだけど雰囲気がね。

 

そんなことを考えていると今まで騒いでいた奴が食堂にいる全員に声をかけた。

 

「なんだなんだ!!みんな元気がねぇな〜〜!!

 よし!俺が元気が出る物を見させてやる」

 

飲み物のパックを握りつぶして熱く語っている。

あんたが何でそんなに元気なのか知りたいぐらいだ!!

 

みんなは興味が沸いたのかヤマダ(俺の名前はダイゴウジ・ガイだ!!)の周りに集まってビデオテープ

を見たりしている。

その様子を動かずに見ていた私にゴートさんが近づいて小声で話し掛けてくる。

 

「キタウラ、お前は何故ナデシコに乗りこんだ。クラウンは何を考えている」

 

「さぁ、何を考えているんだかね」

 

今さっきの質問には、私が知りたいぐらいだわ。会長目的を教えてくれないもの。

あの会長のことだから給料もちゃんと振り込まれているのか疑問だわ

 

「それでは、しばらくはおとなしく乗っているというのだな」

 

あれ?これはもしかしてブラックリストを見て警戒しているみたいね。

あ!ゴート・ホーリー!!

どこかで見たことがあると思ったらネルガルシークレットサービスにいた奴じゃない

こうやって話し掛けたという事は私を見張るつもりね。そこでまたあのバカでかい声が響いた。

 

「レッツ!!インサーート!!!」

 

その後に画面に出てきた映像にみんな呆れ返った。

熱血ロボゲキガンガー3と書かれた題名とオープニングが流れたのが原因だ。

そのなか衝撃が少ない人が疑問を口にする。

 

「あれ、でもオープニングが違うぞ」

 

「だろ!!オープニングは第三話からが本当のになるんだよな〜〜!!」

 

興奮してテンカワに喋るヤマダ(俺の名前はダイゴウジ・ガイなんだってば!!)

だけどしばらくすると興奮が冷めたみたいだ。

 

「なんだ。お前か」

 

後ろを向いて少し離れてからまた馬鹿でかい声で喋り出す。

 

「お前にゲキガンガーを語る資格は無い!!」

 

「おい、杖忘れているぞ」

 

慌ててウリバタケから杖を受け取る。

 

「どういうことだよ!」

 

もう一度テンカワの方を向いて言う。

 

「ゲキガンガーが好きだったらなんでパイロットが嫌なんだよ!!!」

 

「別にいいじゃないか!!!」

 

「「ウゥ〜〜〜〜〜〜!!!!」」

 

「熱血ロボゲキガンガー3発進」

 

この言葉と一緒にこのケンカは終わってしまった。

私はこんな連中と一緒にエステバリスに乗って戦うのかと思うと先行きが不安になる。

ルリちゃんが隣で言っている。

 

 

「バカ?」

 

 

 

 

後編

 

 

あとがき

 

  何だか余計なことをいろいろと書きこんでいたら長くなったので二つに分けました。

  それから未来から来たテンカワ・アキトをアキトと呼んで過去にいたテンカワ・アキトをテンカワと

  一応分けましたけど、余計に分かりずらかったですか?

  後編もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第三弾です!!

う〜ん、暗躍してるなアキト(未来)の奴。

でもさ、何か現状を楽しんでないか?(笑)

クリムソンの工作員を捉えても、尋問も無しで放置してるしさ。

まあ、今更必要な情報は無いと思うけどな(苦笑)

ラピスもいるんだし。

 

・・・でも、キタウラさんの給料って幾らなんだろう?

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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