機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

 

食堂にクルーのみんなが押し込められている時

ナデシコから戦艦へ移動して相談している人達がいた。

ミスマル提督によって用意された部屋では、その人達は今の所悩んでいるようだ。

 

「ユリカもマスターキーを外したのだから提督に艦を明け渡しても問題無いはずです」

 

ナデシコの副官であるジュンは、軍に渡すのを支持しているようである。

そしてその案に反対している人も、もちろんいた。

 

「だから、艦長がそうされても本社の了承を得ないと

 ナデシコを軍に簡単に渡すわけにはいかないのですよ」

 

ずり落ちているメガネを押し上げながら自分の意見を言う。

 

「しかし、マスターキーがないとナデシコを動かせないし、

 それに火星に向けて出発なんて馬鹿げた事は、僕がさせません!!」

 

やれやれ、強情な方ですな。

今すぐに艦を明け渡すことは出来ないと言っているのに、このままでは埒があきませんな。

 

「よろしい、ジュンさんの言いたい事は分かりました!

 しかしネルガルの契約通り会社の命令には従ってもらわないといけませんよ」

 

「…………わかりました。どっちにしろこうなったら、明け渡すしかないですけどね」

 

立ちあがりながら嫌味を言ってくる。

そのまま先にユリカがいる部屋へと向かおうと出ていってしまう。

プロスは一人残った部屋で計算を少しする。

 

本当に困った事ですな。

ナデシコを明け渡したら本社に何を言われるか分かった物ではありませんよ。

何せ最新鋭の技術を投入してお金が掛かっているんですからなぁ。

 

「まあ、これからの展開に期待するとしますか」

 

希望的観測をしながらジュンの後を追うために部屋を出ていく。

 

 

しばらく歩いているとユリカの部屋の前でジュンがプロスを来るのを待っていた。

無言のまま周りを軍人に囲まれながらドアを開けて入る。

 

「それで、方針は決まったのかね」

 

もう一度ずり落ちたメガネを上げながらプロスが言う。

 

「ええ、決まりました。

 ナデシコはあくまで我が社の所有物でありその行動に制限受ける必要無し」

 

しかし、ナデシコに戻るにしてもキノコをどうにかしてくれないと困りますな。

ゴート君頼みましたよ。

 

 

 

 

その期待されているゴートは、何をしているかというとゲキガンガーの感想を言っていた。

 

「技の名前を喋るのは、音声入力なのか?」

 

そこで、いろいろな感想を言われた男がついに不平を口にした。

 

「ダァ〜〜!!違うだろ!!

 これが熱血なんだよ!!!」

 

それを後ろの方を向いて言った瞬間に感想を言った連中は別の方を向いた。

それでもあきらめずに説得は続く。

 

「みんな〜〜これを見て何とも思わないのか!?」

 

机の上に興奮して上がりながら話は続く。

 

「今の状況だ!!奪われた秘密基地、軍部の陰謀、

 残された子供達だけでも事態を何とか仕様とは

 思わねぇのか!!」

 

「誰だよ。子供達って」

 

小声でウリバタケは言ったが山田(俺の名前はダイゴウジ・ガイだ!!!)は聞き取ったみた

いだった。

ついでに反論も出る。

 

「でもさぁ。マスターキー無いと動かないよ、この船」

 

「気合で何とかなる!!」

 

その言葉に動かされたかどうかは疑問だがテンカワが、フライパンを持って見張りを倒しに

向かった。

その様子をミユキは見ながら思った事をゴートに言ってみた。

 

「そういえば何故、あなたは動かなかったの?」

 

「俺が動いたら食堂の中は、とんでもない事になっているかもしれないからな」

 

そこでテンカワは、油断していた見張りの頭をおもいっきり叩いた。

強く叩きすぎたか少し心配しているようだ。

 

「そんな事心配しなくても私はまだ動かないわよ。

 このナデシコにおとなしく乗っていなきゃいけないのだし」

 

「それでは、あいつらの鎮圧を手伝ってもらおうか?」

 

椅子から立ちあがってゴートの方を向かずにドアへ歩きながら答える。

 

「わかりましたよ!!」

 

そこで、ナデシコが震えていることに気付いた。

 

「え?」

 

近づいたドアの向こうでテンカワが間抜けな声を出していた。

 

 

 

 

「チューリップが生きていたのか!!」

 

ブリッジに向かいながら聞く。

 

「はい、クロッカスとパンジーが遠距離から攻撃を加えた所活動を再開しました」

 

一緒に歩いていた乗組員が報告をする。

 

「な、何!命令も無しに攻撃をしたのか!!」

 

「それが、チューリップが生きているという連絡が両艦ともありましてその真偽を確かめる為に

 遠距離から攻撃をしたのです。それにあのまま不用意に近づいたら危ない所でした。」

 

「どういう事だ!?

 近くにいた我々でさえわからなかったのにその連絡をした連中は分かったと言うのか」

 

「恐らくは分かっていたのでしょうな。

 それとクロッカスとパンジーの攻撃は余り効いていません」

 

軍より優れた能力を持った人材を抱えている所がネルガル以外にもまだあると言うことか。

しかし、チューリップめ我々を騙まし討ちしようとは卑怯な。

 

「よし!!ユリカ今こそナデシコを動かすときだ!!

 マスターキーを………………。

 あれ、アオイ君。ユリカはどこに行ったのかね?」

 

「え?」

 

ブリッジの画面に問題のユリカが現れる。

 

「お父様!!」

 

「ユリカ!一体何をしているんだ!!」

 

「え!ナデシコへと戻るんです」

 

「「何〜〜〜〜〜!!」」

 

「ユリカ、提督に艦を明け渡すんじゃなかったの?」

 

「え〜〜!!私はただアキトの話が本当か確かめに来ただけだもの」

 

「「ああ〜〜〜〜〜!」」

 

「それでは、お父様さようなら」

 

「ユ、ユリカ〜〜〜〜〜〜!!」

 

「だって、艦を明け渡すわけにはいきません。あの船には私の好きな人が乗っているのです」

 

「ノォーーーーーー!!」

 

ショックの余り顔が歪んで劇画調になっている。

 

 

 

 

プロスが心配していた制圧されていたナデシコはというとすでに主導権を取り返していたから、

無事にナデシコのブリッジに戻ることが出来た。

その戦いではミユキやゴートの働きが一番高かった。

アキトに鍛えられたミユキはそんじょそこらの雑魚に負けるような鍛えられ方はしていない。

それにゴートはネルガルシークレットサービスで鍛えられていた。

つまりナデシコを制圧している連中に押さえられる訳が無かった。

そしてテンカワは、陸戦タイプでナデシコから飛び出していた。勿論海へと落ちていった。

 

「くそ、何だよ!!飛べよ!!」

陸戦タイプが飛べるわけが無くそのまま上がったり下がったりをしているとチューリップが

襲ってきた。

何とか変な動きで避けているが攻撃できなければ意味が無かった。

 

「チューリップ、ナデシコへと向かってきます」

 

「こちらも負けずに全速前進」

 

「その前にヤマダさんとキタウラさんが、発進許可を求めています」

 

「「ヤマダって誰だったっけ?」」

 

ミナトとメグミは食堂のショックで記憶から削除されていた。

だが、別にヤマダはその事については気にしていなかった。

 

「俺の名前はダイゴウジ・ガイだ、ダイゴウジ・ガイ!」

 

二人に突っ込みを入れつつチューリップへ向かいテンカワに通信する。

 

「ふっ、またせたな。坊や」

 

「へっ?」

 

どうやら余り待ってはいなかったらしい。

 

「ゲキガンウィ〜〜〜ング!!」

 

チューリップの触手の間を通りぬけてテンカワ機に近づいていく。

 

「いいか!!お前の陸戦タイプを俺の空戦フレームと合体させる

 チャンスは一回俺の足はかなりやばい。合体の合言葉はクロスガンガー」

 

テンカワは合体の合言葉に疑問を持っているようだ。

 

「それ、言わなきゃダメ?」

 

「ダ〜〜〜〜メ!!」

 

モニターを見ながら合体のタイミングを言う。

 

「合体ポイントまで後十秒!!」

 

そこでエステバリスのコミュニケでミユキが通信を開く。

 

「私も合言葉を一緒に言わせてよ!!」

 

「よっしゃ!!いくぞ!!!」

 

「「クロス・ガンガーーーーーーッ」」

 

テンカワ以外の言葉で合体が発動を始めた。

その合体をする為に放り出されたヤマダ(俺はダイゴウジ・ガイ!!!)のアサルトピットを

エステバリスでミユキが受け止める。

 

「行けぇーーーー!!

 アキト!ゲキガンフレアだーー!!」

 

「ゲキガンフレアーーーーーー!!」

 

合言葉を自分以外のパイロットが全員言っていたのでテンカワは吹っ切れた様だ。

チューリップの触手みたいなのを切断することに成功する。

 

「エステバリスってあんな非常識なこともできるの!?」

 

「よっしゃーーーーーーー!!」

 

「うっそぉ〜〜〜!!」

 

「ほぉ、ディストーションフィールドによる高速攻撃ですな」

 

他の人達の反応はそれぞれ違っていた。特にルリの反応は別のことに向けられていた。

 

「合体しなくてもキタウラさんのエステバリスで攻撃すれば良いのに」

 

その後ナデシコは、チューリップを倒すために内側からグラビティーブラストを撃つ事になった。

チューリップに近づくとテンカワが煩かったが倒すとおとなしくなった。

 

「エステバリス回収後、ここの海域から脱出します」

 

「了解っと」

 

ミナトの操縦によってナデシコは場所の移動にかかった。

 

 

 

ナデシコが去って行くのを見ながら乗組員が聞いた。

 

「提督、追撃はしないのですか?」

 

「追撃?チューリップも満足に倒せない戦艦がいくらあってもナデシコには勝てん、

 作戦は失敗だ」

 

「提督、クロッカスとパンジーに連絡をしてきた者に対してはどうしますか?」

 

「すぐに出所を割り出して私に教えろ、ところでアオイ君ユリカが好きな人とは誰なんだね?」

 

話題はあっという間に娘の方にいってしまった。

あんた提督だろ、それで良いのか!!

しかも、ジュンはユリカに置いていかれたショックから立ち直っていなかったから聞いて

いなかった(笑)

 

 

 

 

 

「アキト、クロッカスとパンジーの乗組員は助かったみたいだよ」

 

クロッカスとパンジーの反応がまだあることからラピスはアキトにそう報告した。

 

「そうか、ちょうどこっちも用事が終わった所だよ」

 

「それからアキト、C.Cをネルガルから買って手にいれたよ。

 まだ余り価値を知らないようだから安値で買い叩いてやった」

 

ラピスが操っている画面にC.Cを大量に保管している場所が映る。

それを見ながらアキトは次の事を考えていた。

 

「ガイを死なすなよ……………」

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

あとがき

   第二話 後編はどうだったでしょうか?

   文章にまとまりがないと言われればそうなんだと思うんですけど、

   自分としては何か面白みに欠けていると思います。

   誰か教えて下さい。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第四弾です!!

い、意外とお茶目な人なんですね、キタウラさん(笑)

まさかガイと一緒に叫ぶとは・・・

本質的に、ナデシコクルーの資格を持っていたんですね(笑)

なら、十分ナデシコでやっていけるでしょう!!

でも、アキトとラピスの審理眼て凄いんだな・・・

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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