機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

新しくナデシコに乗ることになった3人のパイロットの歓迎会をする事になった。

歓迎会はさすがに騒ぐ事が大好きなナデシコのクルーだけあって盛大に行われている。

会場となっている部屋だけではなく、廊下やブリッジついにはトイレにまで飾りをつける程である。

そのバカ騒ぎから少し離れた休憩所でアキトとメグミが話をしていた。

 

「ガイがケガをしてもこの騒ぎ、

 みんなガイの事なんて何とも思ってないんじゃないのかな?」

 

「確かに人の手で傷ついたのはショックでしたよ

 でも生きているんだからみんな余り深く考えていないんですよ」

 

「でも死に掛けているのは事実じゃないか!!」

 

メグミの言葉に逆上したのか声の音量を上げる。

 

「この戦艦には撃った人はいないんですよ」

 

「!!」

 

テンカワは固まってメグミを見ている。

 

「誰だって人が傷つくのは怖いですよ。

 みんな意識しないように気をつけているんですから」

 

「………」

 

その後しばらく、2人は見詰め合っていたが

途中から見ていたある人物の手(声)によって現実に戻る。

 

「ア〜キ〜ト!!

 2人とも見詰め合っちゃってプンプ〜ン!!」

 

「な、なんだよそりゃ!」

 

「そうですよ!!

 艦長は歓迎会の司会をしないといけないんじゃないんですか!?」

 

メグミがそう言うとユリカはまだ頬を膨らませながら反論してくる。

 

「歓迎会の司会だったらジュン君が代わってくれたもん!!」

 

「お前、艦長の仕事を押し付けて良いのか?」

 

「艦長の補佐が副長の役目だもん」

 

「そんな事言ってたら仕事をしなくて良くなるじゃないか」

 

「そういえば、メグちゃんは通信士の仕事はどうしたの?」

 

「今は休憩時間ですよ」

 

そう言うとユリカは時間を確かめる。

 

「3,2,1……ブ、ブ〜〜休憩時間は終了しました」

 

「くっ!!そうみたいですね。

 それじゃあ、またアキトさん」

 

メグミが名残惜しそうにいなくなるのをテンカワとユリカは見ながら去っていく。

見える位置にメグミがいなくなったらユリカがテンカワをじっと睨んだ。

 

「結局、アキトはメグちゃんと何を話していたの!?」

 

「…………ガイについてだよ」

 

「え、ヤマダさんのケガの事?」

 

その時ユリカの中で妄想が始まった。

 

今、アキトはお友達がケガをして落ち込んでいるのね。

悲しんでいるのは私に励まして欲しいのね!

そうよ、そうに違いないわ!!

アキトを励ましてあげる事ができるのは恋人の私しかいないのよ!!

 

「アキト!!」

 

そういってアキトに抱きつこうとする。

しかし、テンカワはもうその場から立ち去ろうとしていた。

 

「あれ?

 待ってよアキト〜〜〜!!」

 

 

 

 

 

歓迎会の会場となっている壇上の上に女の人が一人立ってマイクを調節している。

そして、元気一杯という感じに自己紹介を始めた。

 

「初めましてーーーーーっ!!

 新しいパイロットの、アマノ・ヒカルで〜〜〜す!!」

 

 

   「「「「「「うおおおおおおおおっ」」」」」」

 

 

ウリバタケとメカニックが主にこの騒音の原因だ。(笑)

 

「18歳、独身、女。好きな食べ物は、

 ピザのはしの硬くなったところとしけったおせんべい

 それから、スリーサイズは上から、82、56、84でーーーーーす」

 

 

   「「「「「「うおおおおおおおっ!!」」」」」」

 

 

彼らが声をあげるのを誰が責められるだろうか?

いや、誰も責められる筈がない!!(爆)

次の人物が急ごしらえの壇上へと上がった。

 

「よお、俺はスバル・リョーコ、18歳、パイロットだ。みんな、よろしくな」

 

「リョーコ、ちゃんとスリーサイズも言わないと」

 

「バカ、そんなの関係ないだろうが!!」

 

「ほ〜ら、みんな期待しているよ

 みなさ〜ん!!リョーコのバストは……」

 

それ以上続ける事はリョーコの攻撃を避けるために言えなくなった。

 

「マキ・イズミ、新しいパイロット、よろしく」

 

「あれ、イズミちゃん、ギャグは言わないの?」

 

「何故言わないと聞かれたら……

 人もいつまでも同じ事をする訳ではないと答えよう

 同じ事ばかりせず自分と向き合う。

 でも答えは見つからない……。

 何故……悪いわね……やめるつもりはないのよ」

 

「今日はハードボイルドぶりっこなんだ」

 

「あぁ、変な奴、変な奴」

 

そんな事をやっているとプロスが最後に自己紹介を締めくくる。

 

「おっほん、彼女達は新しくナデシコへと

 やってきたパイロットなのでみなさん仲良くして下さいね」

 

 

   「「「「「「まかしておけーーーーー!!」」」」」」

 

 

むやみに元気なウリバタケとメカニック達だった。

何がまかせとけなのやら……。(汗)

 

このような大騒ぎをしている最中に会場に入ってくる2つの人影があった。

顔にガスマスクをつけて隠していて怪しさバツグンだったが

歓迎会で大騒ぎだったので誰も気にしていないようだった。(笑)

 

2つの影は会場内に屋台を置いて商売を始める。

お祭りの屋台のように値段が高かったが誰も普通に買っていた。

 

「バカ?」

 

そういったルリに背の高い方が(もう一方は子供なので低かった)気付いた。

 

「買うのかい?」

 

「じゃあ、たこ焼きを1つ下さい」

 

背の高い方がたこ焼きを焼いてひっくり返したりしている間に

背の小さい方がルリをじーーーーーっと見ていた。

 

「何か用ですか?」

 

「別に………」

 

それでもしつこく見てくるので

もう一度聞こうとしたところでたこ焼きの入ったパックを渡された。

 

「はい、どうぞ」

 

「有難う御座います」

 

「あ、そうだ!!

 どうだい一緒に食べないか?」

 

いかにも今思いついたみたいだが狙っていたのはバレバレだった。(笑)

 

「それって誘っているのですか?」

 

ちなみにこの台詞はミナトから教わった。

 

「ま、まあ、そうとってもらっても構わないよ」

 

「それじゃあ、一緒に食べましょうか」

 

「ちょっと待っていてね

 待っているお客さんに商品渡してしまうから」

 

並んでいたナデシコのクルーにたこ焼きを総て渡してから

机や椅子のある食堂へと来て

ルリは今さっき買ったたこ焼きを2人組は火星丼を食べ始めた。

 

「あの、ガスマスク外さないのですか?」

 

「これかい?

 別に外さなくても食事ぐらいできるように出来ているから」

 

ルリはそんな商品何の目的どこの誰が作ったのだろうとか思っていた。

 

「たこ焼きおいしいかな?」

 

「ええ、おいしいですよ。

 そこら辺の料理よりはおいしいと思います」

 

「……そうか、それを聞いて安心したよ」

 

話が途絶えてしまいかけたので慌てて別の話をする。

 

「この戦艦は楽しいかい?」

 

「そうですね……前いた研究所よりはいいかもしれませんね」

 

話しながら食べているとホウメイさんがやって来た。

 

「ちょっと、そこのあんた!!

 食べているときはそのガスマスクぐらい外しな」

 

「訳があってこれを外したらやばいんでね」

 

「まあ外したらいけないのだったら無理に外させはしないけど……」

 

簡単に引き下がってくれたホウメイさんの

かわりにホウメイガールズが周りを囲んでいた。

 

「何で食事する時もガスマスクつけているの?」

 

「食べにくくないんですか?」

 

「外したらどうなるんですか?」

 

「黒ずくめの服だけどこれって趣味なの?」

 

「こっちの小さい子、子供?」

 

ホウメイガールズは全員そろって疑問ばかり口にした。

 

「悪いんだが食事は静かに取りたいんだ」

 

「「「「「失礼しました〜〜〜〜!!」」」」」

 

全員厨房へと帰って行く。

そこでルリが疑問を言って来た。

 

「ところであなた一体誰ですか?」

 

「どう言う事かな?」

 

「オモイカネにナデシコへ新しくパイロットが補充されたから

 点呼を取ってもらった所2人程多いんです。

 私が知っている限りではあなた方ぐらいの

 背や服装をしている人はいない筈なんです」

 

たこ焼きのソースが口についているので余り迫力がなかった。(笑)

 

「そうだな、ちょっと昔話をしようか?」

 

急に昔話を始めようとしたのでおかしく思いながらもそれを許した。

 

「……?

 別にいいですけど」

 

すると、小さい方が紙芝居の紙を高い方に渡す。

 

「むかし、むかしある所に王子様とうさぎとお姉さんが仲良く暮らしていました。

 3人で屋台を引いてはラーメンを作って家計を支える毎日でしたが、

 王子様とうさぎが結婚する事になったので、

 2人は新婚旅行へと出発する筈でしたが……」

 

王子様とうさぎって普通結婚できるのかな?

 

「出発するはずでしたが?」

 

「行く前に目つきの悪い爬虫類にさらわれてしまいました」

 

「目つきの悪い爬虫類?」

 

爬虫類って元々目つきが悪かった気が……。

見ると紙芝居の爬虫類は左目が赤かった。

 

「さらわれた2人はそのまま監禁されてしまいましたが、助けがやってきました」

 

「よ、千両役者!!」

 

背が小さい方が掛け声を掛けている。

 

「王子様は助けられましたが、うさぎは爬虫類に捕まったままでした、

 その後はうさぎを助けるために王子様はがんばりましたが

 うさぎを助ける為にお姉さんをかまってあげる事を余りしませんでした。

 っとこんな感じかな?」

 

「その続きはないですか?」

 

「この続きはね。

 まだまだ続きそうだよ」

 

そんなに長いお話なのだろうか?

 

「そのお話とナデシコに乗りこんできたのは関係あるんですか?」

 

「関係大有りさ

 このナデシコにうさぎとお姉さんが乗っているからね」

 

「そうですか」

 

話に納得しているとこっちに話し掛けてきた。

もしかしたら独り言だったのかもしれない。

 

「向こうはこっちの事を覚えてないんだ。

 ……いや、知らないと言うべきかな?」

 

ガスマスクに隠された顔が光っているように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

あとがき

 

 誰が乗ってきたかわかりましたか?

 もちろん乗ってきたのはあの2人です。

 見なおしているときに思った事は

 

 今回はギャグが少なかったかな?

 

 早く入院中の人復活してくれ。(涙)

 まあ、おかしな所はいつもの事と半分あきらめて下さい。

 後の半分はいつか直ると希望を持って下さい。

 それでは、また。

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第七弾です!!

おお、怪しさ大爆発だな、おい(苦笑)

ラピスもいい仕事してるし(笑)

で、ミユキさんは?

・・・まあ、今回は何処かで休憩をされているのでしょう!!

しかし、直接乗り込んでくるとはね〜

会社の経営はいいのか? おい?

ラピスに任せっきりなんだろ、アキトよ・・・

まあ、今後のテンカワ アキト(過去)の活躍に期待をしましょう!!

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

感想のメールを出す時には、この Sakanaさん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!