時は、2000年12月24日。 世間一般でいう今世紀最後のクリスマス・イブ。
 記念すべきそれは、全世界の人間、そしてひなた荘の住人たちにも平等に訪れる。
 が、そこには幸せなクリスマス・イブを享受出来ない男女二人の姿があった。

 

 一人は、漆黒のバイザ−に黒マント、そして黒い戦闘服という、
どっからどう見ても怪しい風体をした身長170cm前後の黒ずくめの青年。

 

「・・・君の知っている、浦島景太郎は死んだ・・・。
 ・・・彼の生きた証、受け取ってほしい・・・」

 

 スッ・・・。

 

 彼の手に握られているのは、ラ−メンのレシピ・・・ならぬ東大入試問題集。
そこには、マジックで大きく〔浦島 景太郎〕と書かれていた。

 

「それ・・・かっこつけてます、浦島先輩」

 

 そしてもう一人は、眉根を寄せ、非難するように青年を睨む
 おかっぱ頭がキュ−トな少女。

 

 信じていたのに。 ・・・そんな響きが含まれている。

 

「違うんだよ、しのぶちゃん・・・」

 

 彼は悲しそうに呟き、掛けているバイザ−を外そうとして手を掛けたその時。

 

 スパ−ンッ!! ← ハリセンで叩く音。

 

 タイミング良く(悪く?)ハリセンが彼の後頭部に炸裂する。
 ・・・せっかくのシリアスシ−ンが台無しだ。

 

「ぐえっ!? 何するんだよ、成瀬川! 折角いい所だったのに・・・」

 

「何がいい所よっ! しのぶちゃんもしのぶちゃんよ!!
 こいつにつられて、そんなことやらないの!!」

 

「は、はい(汗)。 すみません成瀬川先輩、つい・・・」

 

 ・・・ハリセンを持った少女に、つっこまれている青年の姿があった(笑)。

 

 

 

 

ラブひな外伝
ひなた荘であった、本当に怖い話Vol.02
クリスマス大作戦 イン ひなた荘!

 

 

 

 

「でもさ−、なんでクリスマスなのにコスプレしなきゃいけないんだろう?
 ハロウィ−ンじゃあるまいし・・・」

 

 殴られた後頭部を摩りながらポツリと呟くのは、一応主人公の浦島景太郎(21)、
東大一年生だ(マガジン本誌では、何やら留学しているようだが)。
三浪の末、何とか東大に合格出来た努力の人である。

 

 ・・・景太郎、それは筆者の都合だ。 そんな細かい事いちいち気にするな。

 

「気にするわよっ! なんでこの寒い中、ノ−スリ−ブのニットに
 黒のスパッツなのよっ!!」

 

と、怒りと寒さに肩を震わせているのは、〔ラブひな〕の本家ヒロイン、
成瀬川なる嬢(19)その人である。 今年の春、東大に合格したばかりの
東大一年生。 元東大模試全国一位の、才女でもある。

 

「・・・確かにこの冬の最中に、FFVIIIのリノアのコスプレをすれば寒いですよ、
 成瀬川先輩・・・。 あのゲ−ム、季節感ゼロですから」

 

と、なるを隣で宥めているのが、先程景太郎と熱演していた
〔ラブひな〕裏ヒロインと噂されている前原しのぶ、15歳だ。

 

 ・・・ちなみに、今の彼女は耳にゴッツい銀色のアンテナが装着されており、
ピンク色のセ−ラ−服、太股までの白タイツを着ていたりする。
そして掃除をする訳でもないのに、何故かモップを持っていた。

 

・ ・・まぁ要するに、ToHeartのマルチのコスプレをしている訳だ。

 

 ToHeartの事を東鳩と略すと、かなりのツウらしい。 ← 注:未確認情報
・・・しのぶちゃんファンが、なんか萌え・・・いや、燃えそうだな。

 

 シャリ−ンッ・・・

 

「・・・遅かりし復讐人、未熟者よ・・・。
 いやぁひさしぶりだね、景太郎君。
 クリスマスパ−ティ−に呼んでもらえて嬉しいよ」

 

と現れたのは、編み傘を被り、マントを羽織った北辰・・・ではなく、
景太郎のバイトの雇い主、そして現東大考古学講師の瀬田記康だ。
恐らく、この人ほどラブひな内で謎に包まれている人はいないだろう。
後は、ひなたば−さんとはるかさん位か。

 

「瀬田さんは北辰のコスプレですか。 なかなか似合ってますね」

 

「ありがとう、景太郎君。
 君も黒アキトのコスプレ、なかなか似合ってるじゃないか」

 

「そうですか? でも、そう言われてみれば、俺の声優さんは一緒なんですよね」
 (注:景太郎の声優さんはアキトと同じ上田裕司さん)

 

「「はっはっは」」

 

 二人して笑っている景太郎と瀬田。 ・・・瀬田さんって、アニメオタク・・・?

 

「そんな事はどうでもいいのっ! 寒いんだから、早く中に入ろっ!!
 瀬田先輩もどうぞ!」

 

 寒さを誤魔化すために、景太郎をグ−でどつき倒しながら催促するなる。
そう、なるの鉄拳パンチは某街の狩人の相棒の100tハンマ−の数倍の威力を誇るのだ!
 はっきり言って、かなり怖い。 殴られる人はたまったもんじゃない。
でもま、そりゃノ−スリ−ブじゃ寒いわな、確かに。

 

「そうだね、そろそろ雪も強くなってきたし、中に入ろうか」

 

「はいっ!」

 

 歩き出した瀬田の後を、嬉しそうについていくなる。
一方、殴られた景太郎はというと・・・

 

「・・・・・・(ドクドクドクドク)」

 

「きゃ−、浦島先輩大丈夫ですか!?(オロオロ)」

 

 流血していたりする(笑)。
彼から流れ出た血が雪を真っ赤に染めあげ、ホワイトクリスマスを
〔レッドクリスマス〕に変えていく(笑)。

 

 まあ、景太郎なら三分で復活するだろうから、安心だ。
これまでに明かされた、景太郎七不思議の一つに、
〔景太郎は不死身〕という項目があるのだから。

 

 なんか、某オペレ−タ−みたい。 彼より女っ気あるからマシだけど。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!! どうせ僕なんかぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 突然辺りに響きわたる少年の声。 ・・・気のせいだな、たぶん空耳だろう。
それにもし彼が〔ラブひな〕に登場したら、作品が変わってしまうし。
そう! Benさんが書いている〔ナデひな〕になってしまう!!

 

 ・・・著作権法違反で捕まりたくないぞ、僕は。

 

 

 

 だが、これがこれから始まる不幸の前奏曲だったとは、
まだ誰にも分からなかったのである・・・。
まあ、その前に流血してりゃ分かる訳ないんだけど。

 

 

 その後、キッカリ三分で(笑)ものの見事に再生した景太郎。
しのぶと一緒にロビ−に行ってみると・・・案の定、もの凄い事になっていた。

 

「け−ひゃろ−、みぇりぃ−くりふま−ふ! け−ひゃろ−もにょめ−」

 

「みぇり−くりふま−ふ、うりゃしみゃくん! いっひゃいどうでふか−?」

 

 酒瓶抱えて完全に出来上がっているのは、ひなた荘でも類稀な
プロポ−ションを誇り、そして目が糸の様に細い女性・・・紺野みつね(21)、
通称キツネさんと、同じく抜群のスタイルを誇る東大一年生で、
全国のおっとりお姉さん代表こと乙姫むつみ(22)だ。

 

 もうかなりの量の酒を飲んだのか、二人とも呂律が回ってない。
ていうか、何喋ってるか理解不能である。

 

 ちなみに、二人が先程なんて言っていたかというと、
キツネ・・・「け−たろ−、メリ−クリスマ−ス! け−たろ−も飲め−」で
むつみ・・・「メリ−クリスマ−ス、浦島くん! 一杯どうですか?」になる。
・・・おわかり戴けたでしょうか?

 

 既に、キツネ達の回りには何本もの空になった酒瓶が転がっている。
・・・二人の肝臓は大丈夫だろうか。 ・・・恐らく、次の日は地獄の
二日酔いが彼女達を待っているだろう。 ・・・御愁傷様。

 

「「・・・・・・(汗)」」

 

 頭を抱えている景太郎としのぶの二人。 何故なら、片づけるのは
恐らく(というか十中八九)自分達の仕事になるからだ。

 

 ちなみに、キツネはディノクライシスのレジ−ナ(!)のコスプレをしていた。
そう、あの特殊ス−ツを着ているということは、体のラインがバリバリ出ているのだ!
酔っているので桜色に上気した肌、そしてうなじ・・・実に色っぽい。
お子様には、ちょっと刺激が強いかもしれない(ポッ)。

 

 そして、むつみは髪を金髪に染め、いつもまとめている髪の毛を解いていた。
要するに、〔A・Iが止まらない!〕のサ−ティだ。 ・・・そのまんまやん。
また、彼女もかなり酔っているので、ほんのり桜色の肌が悩ましい(ポポッ)。

 

「・・・止めたのだが・・・クリスマスだから無礼講だ、と言われて・・・(汗)」

 

「・・・素子ちゃん、絶対それマズいよ」

 

と、後ろから話し掛けられた景太郎は、振り返りながら話し掛けた少女に答える。
そこには、ハンカチで汗を拭いている長身の少女の姿があった。

 

 青山素子、18歳。 ”神鳴る”剣、神鳴流を操る退魔師。
しかしその実体は、恋愛にウブな現役女子高生である。

 

「・・・あれ? 素子ちゃんはコスプレしてないの?」

 

「そういえば、そうですね。 どうしてですか?」

 

 首を傾げる景色太郎としのぶ。

 

「・・・・・・(汗)」

 

 そこには、首を傾げる黒ずくめの怪しい男と、見た目がロリ−な少女がいた。
・・・何ともシュ−ルな場面だ。 素子でもなくても、普通怪しがるだろう。
ていうか、是非とも一度見てみたい。

 

「あ、ああ。 私はこの恰好で充分だ」

 

「「それはいかんで(いけませんよ)、モトコ(さん)!!」」

 

 ガシッ ← 素子の首ねっこを掴んだ音

 

「へっ? ふ、二人共、何時の間に?」

 

「「モトコ(さん)にもコスプレさせてあげんと(あげませんと)」」

 

 ズリズリズリ ← 素子を引っ張っていく音

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 悪酔いしたキツネとむつみに引きずられていく素子。
が・・・やがてその声も、聞こえなくなる。

 

「・・・浦島先輩、モトコさん大丈夫でしょうか?(汗)」

 

「さ、さあ?(汗)」

 

 心配そうな景太郎、しのぶの二人。 彼女の身に何が起こるのか、
皆目検討がつかない。 そして、今の悪酔いした二人の手に掛かったら・・・
凄いことになりそうだ。

 

「景太郎、なにやってるの? 早くこっち来て食べようよ」

 

「あ、うん。 ・・・サラちゃんは、パラッパのコスプレかい?」

 

「なんだよ、文句あるのか?」

 

と景太郎に喧嘩ごしでしゃべるのは、何故か瀬田の事をパパと呼ぶ
サラ・マクドゥガル、(10)である。 景太郎にとって、天敵ともいえる少女だ。

 

 また、彼女にはとてもいえない秘密があるのだが・・・
それはコミックの方を見てください。

 

「か、かわいい(はぁと)」

 

 サラの隣で目を輝かせるしのぶ。 そう、しのぶはかわいい物に目がないのだ。
そのため、彼女の部屋はかわいいヌイグルミでいっぱいである。

 

「ど−でもいいけど景太郎、その恰好どうにかならない?
 見ててあつ苦しくなってくるんだけど」

 

 冷えたオレンジジュ−スを飲みながらやって来るなる。

 

「・・・悪かったな。 でもこの恰好、結構気に入っているんだよね」

 

「・・・景太郎、アンタってコスプレマニアだったの?(汗)」

 

「煩いな−。 でも・・・成瀬川もリノアのコスプレ、結構似合ってるじゃない」

 

「そう? ・・・でも、素子ちゃんも災難よね。
 よりによって酔っぱらったキツネとむつみさんに捕まっちゃうなんてね−」

 

「確かに・・・」

 

と景太郎となるが話していると、階段の辺りからボソボソと話し声が聞こえてきた。

 

「こ、こんな恰好、絶対に嫌です! 何て破廉恥な!!(ボソボソ)」

 

「なに言ってるんや、モトコ。 なかなか似合っとるで(ボソボソ)」

 

「そうですよ、モトコさん。 ついでに今日は刀は無しですね(ボソボソ)」

 

 先程連れ去られていった素子と、それを説得している様子のキツネとむつみが
なにやら小声で話し合っている。 どうやら、着替えが終わったようだ。

 

「どうしたの、三人とも? 何そんな所でコソコソ話し合ってるの?」

 

「そうよ、みんな。 素子ちゃん、別に笑わないから出てきてよ。
 大丈夫、景太郎が一回でも笑ったら私が張り倒すから。
 例え笑わなくても、張り倒すから安心してね」

 

「・・・ちょっと待った! それって結局オレが殴られるって事じゃないか?」

 

「あら、よく気がついたわね、景太郎。 その通りよ」

 

 あまりにも理不尽ななるの提案に、顔をナノマシンの緑色の燐光で光らせ・・・
違った、顔を真っ赤にしながら怒鳴る景太郎。

 

「ふふっ、冗談よ。 ・・・でも、笑ったら張り倒すからね」

 

「わ、わかってるよ」

 

 夫婦漫才の様な雰囲気の二人。 ここだけ、何故かほのぼのとした雰囲気が漂う。
傍から見てれば、イチャついているような感じだ。

 

 ヒョイッ ← 景太郎となるが、階段を覗き込んだ音

 

「く、来るなっ、浦島ッ! 来るんじゃない!!
 なる先輩、お願いですからこっちに来ないで下さい!!」

 

 慌てて素子が叫ぶが、時すでに遅し。

 

「も、モトコちゃんそのカッコ・・・」

 

「ヴァンパイア・セイヴァ−の・・・」

 

「「モリガン・・・?」」

 

「・・・・・・(赤面)」

 

 そう、景太郎となるが見たものは、セイヴァ−屈指の人気キャラ、〔モリガン〕の
コスプレをした素子だった。 当然、頭にはコウモリの翼の様な被り物を被り、
黒のレオタ−ド(でいいのか?)を着て、コウモリ模様のストッキングを履いている。
もちろん、背中の翼もしっかり再現されている。

 

 ・・・誰がここまで完璧なコスプレをさせたのだろうか?

 

「ああ、それはウチのバイト道具の名残や。
 他のみんなのも、ウチが貸してやったモノやで」

 

 一体何のバイトをしてたんだ、キツネさん・・・。

 

「似合ってるよ、モトコちゃん」

 

「・・・ま、負けた・・・(泣)」

 

 上の科白が景太郎で、下の科白がなるである。
・・・何が負けたのだろうか。 まあ、乙女心は複雑だからな、僕には全然わからん。

 

「・・・キサマ、この私を侮辱する気かっ!?」

 

「な、何でそうなるんだよぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

 ドタバタドタバタ・・・・・・。

 

「結局こうなるのね・・・」

 

と、なるが見つめる先には、黒マントを翻して逃げる景太郎と、
闘気を漲らせて殺る気、いやヤル気満々の素子がいた。

 

「今回は刀を持っていないので仕方がない!
 くらえッ、浦島ッ!
 〔ダ−クネス・イリュ−ジョン〕!!」

 

 バキッ! グシャッ! ゴキッ! メキョッ! ドゴッ!!

 

「あがろぺきぷろばえッ!?」

 

 27 Hit!
 Motoko Win!!

 

 ・・・本来、人間から聞こえてきてはいけない音を響かせながら、
景太郎は自分が作り出した血の海に沈んでいった。

 

「も、モトコちゃん、何もそこまでしなくても・・・(汗)」

 

「いえ、これくらいしておかないと浦島のためになりませんから(キッパリ)」

 

「そ、そう(大汗)」

 

 どこが景太郎のためなんだろう・・・と思いながらも、敢えて口に出さないなるだった。
 ・・・まだ、死にたくはないからだ。

 

「うう・・・いたたたた・・・」

 

「・・・何で生きてるの、景太郎・・・(滝汗)」

 

 頭を振りながら起き上がる景太郎に、恐怖すら感じているなるだった。
ま、彼は〔不死身〕だからね・・・。 この程度じゃ、死ねないのだろう。

 

 

 

「え−、それではみなさまお待ちかね、恒例のプレゼントコ−ナ−!! やで」

 

「待ってました−!」

 

「・・・・・・♪」

 

「・・・・・・(赤面)」

 

「まってましたぁ−(ケラケラ)」

 

「・・・その科白、どこかで聞いたことがあるような・・・?」

 

 酔いも幾分醒めたのか、口調が元に戻っているキツネが、華々しく
プレゼントコ−ナ−なるモノを開催する。 そして、それに合の手を入れるサラ。
しのぶも幾分楽しそうだ。 が、素子はまだモリガンのコスプレが恥ずかしいらしい。
その隣では、いまだに酒を飲み続けているむつみの姿がある。

 

 そして最後にキツネの科白に首を傾げたのが、なるである。

 

「ということで、け−たろ。 ほれ」

 

「? ・・・なんですか、この手は?」

 

 スッ、と差し出されたキツネの手を、マジマジと見つめる景太郎。
・・・ここまでニブい男も珍しいだろう。

 

「ニブいやっちゃなあ、け−たろ。 ウチらへのプレゼントに決まってるやないの」

 

「ああ、そういう事ですか。 じゃ、まずキツネさんから」

 

 ゴソゴソ、と懐を漁っている景太郎。

 

「あ、あったあった。 はい、キツネさん。 クリスマスプレゼントです」

 

と景太郎が取り出したのは、高さ50cm位の高さの箱だ。
・・・そんなでかい物を、景太郎は一体どこにしまっていたのだろうか?

 

「・・・今年は馬券やないんやな、け−たろ」

 

「ええ、まあ。 探したんですよ、これ」

 

 喋りながらも、さっそくプレゼントの包装を解いていくキツネ。
やっぱり、この瞬間が誰でも一番楽しいんではないだろうか?

 

「なになに? ・・・大吟醸酒“大魔神”? ・・・なんやコレ?」

 

「キツネさんが大好きなお酒ですよ。 シアトルマリナ−ズに入った、
 佐々木投手の活躍を記念して販売されているんです」

 

 大吟醸酒、“大魔神”。 シアトル付近の日本食食材店で売ってます。
味は・・・結構美味しいらしい(注:実話)。
 ちなみに、佐々木投手がシアトルの球場で登板する時、電光掲示板に
“大魔神(英語か日本語かは忘れたけど(汗))”と表示される(注:これも実話)。

 

「えっと、これはむつみさんだ。 はい、むつみさん。
 クリスマスプレゼント」

 

「ありがとう、浦島くん(はぁと)。 ・・・わぁ・・・」

 

と、むつみが驚くのも無理はない。 何故なら、景太郎があげた
クリスマスプレゼントは、〔新版・世界の珍スイカ百科事典〕と、カメを題材にした
最新推理小説、〔その時、カメは見ていた〕だったからだ(笑)。

 

 実に景太郎らしい配慮である。 ・・・彼女のツボを押さえている。

 

「これは・・・しのぶちゃんとサラちゃんだ。 二人とも、メリ−クリスマス」

 

「ありがとうございます・・・浦島先輩」

 

「サンキュな、け−たろ!! ・・・でも、去年みたいな土器じゃないだろうな?」

 

 しのぶが受け取ったプレゼントを大事そうに抱き締めていれば、サラはさっそく
バリバリとプレゼントの包装を破っていたりする。

 

「・・・ありがとうございます、浦島先輩・・・。
 ・・・これ・・・大切にします・・・」

 

「へっへ−っ。 なかなかいいセンスしてるじゃんか、け−たろ」

 

「どういたしまして。 似合ってるよ、二人とも」

 

 景太郎がしのぶとサラにプレゼントしたのは、暖かそうな白の手袋と赤いマフラ−。
しのぶが手袋で、サラがマフラ−だ。

 

「え−と、次は・・・モトコちゃんだ。 はい、モトコちゃん。
 クリスマスプレゼント。 ・・・頼むから、睨むのだけはやめてよ」

 

「・・・ブラジャ−ではなかろうな・・・」

 

「まさか。 モトコちゃんにはこれ」

 

「これは・・・刀か?」

 

と景太郎がマントの下から取り出したのは、
長さ二尺三寸(約78cm。 正確には75.75cm)の定寸の刀だった。
だから、一体何処にそんなのをしまってあるんだ、景太郎。
景太郎のマントは、四○元ポ○ットにでもなっているのだろうか?

 

 とりあえず刀の目釘を抜いて、銘を確かめる素子。 と、みるみるうちに
素子の顔が驚愕に歪んでいく。

 

「こ、こんな物をもらっていいのか、浦島!?
 これは・・・幻の名刀、〔菊一文字則孝〕ではないか!」

 

 素子が、驚愕の表情で景太郎の顔を見る。
その前に、なんでそんな幻の名刀がひなた荘にあるんだろう・・・?
菊一文字則孝。 新撰組の沖田総司が使ったという名刀である。

 

「え、それそんなにすごいの? ひなた荘の物置で埃被ってたんだけど?
 ・・・でも、俺が持ってたって使わないだけだし、刀だって使われた方が
 嬉しいだろうしね。 ・・・でもモトコちゃん、それで俺を切らないでね」

 

「・・・わかった。 ・・・ありがたく頂戴する」

 

 チンッ ← 刀を金打した音

 

 金打(きんちょう)・・・刀を鞘から出し、音を立ててまた鞘に収めること。
             古来より、武士が約束事をする時に行われる習わし。

 

「え−と、これは・・・瀬田さんとはるかさんのだ」

 

「なんだい、景太郎くん。 僕達にもあるのかい?」

 

「なんだ、景太郎。 私にもあるんだって?」

 

と、それまで瀬田と一緒に酒を飲んでいた女性が、
意外そうな顔で景太郎の顔をマジマジと見つめる。

 

 浦島はるか、29歳。 景太郎のおばにあたる、瀬田と同じく謎の多い女性である。
ちなみに、彼女はFFVIIのティファのコスプレをしていた。

 

「もちろんですよ、お二人にはいつもお世話になってますから。
 ・・・これ、やっと手に入ったんですけど、有名レストランのペアチケットです」

 

「こんな高い物を・・・。 ありがとう、景太郎君。 使わせてもらうよ」

 

「・・・ふん。 なんでこんなヤツなんかと・・・」

 

 素っ気ない返事だが、少し喜んでるはるかにチケットを渡す景太郎。

 

 ところで・・・どうやって景太郎が有名レストランのチケットを
手に入れたかというと・・・、とある二人の友人の善意的な行為を受け立ったためである。

 

 ・・・が、それは建前で、友人二人の弱みを脅して手に入れた金で買ったのだ。
もちろん、これは恐喝という立派な犯罪行為なので、良い子の皆さんは決してマネしてはいけません。

 

・ ・・これは、Excaliberとの約束だよ。

 

「次は誰かな・・・っと」

 

「景太郎・・・。 アンタのマントって、ホントにどうなってるの?
 さっきから見てれば、酒瓶やら本やら日本刀やら
 ポンポン出てくるんだけど?(汗)」

 

「気にしちゃ駄目だ、成瀬川。 ・・・キツネさんがいつも言ってるだろう?
 〔・・・この世には、気にしちゃいけない事が、たくさんある〕って」

 

 なるの問いに、妙に悟った様な口調で呟く景太郎。
・・・一体、彼は何を悟ったのだろうか?

 

「これは・・・スゥちゃんか。 ・・・あれ?
 そういえば、スゥちゃんは今まで一回も出てないような・・・」

 

「そういえば、そうね。
 こんなにしのぶちゃん特製〔クリスマス・ディナ−スペシャル〕が
 たくさんあるのに、食いしん坊のスゥちゃんがいないのは変ねぇ・・・。
 みんな知ってる?」

 

 ブンブン ← 首を振る音

 

「変だなぁ・・・。 まあ、しょうがないか。
 じゃ・・・」

 

「私?」

 

「・・・成瀬川しかいないだろう?」

 

 隣でワクワクしている成瀬川を見ながら、また懐をゴソゴソやりだした景太郎。

 

 イ・・・ネ・・・ビ・・・

 

「・・・なに、この音?」

 

 イン・・・ネ−・・・ビ・・・

 

「さあ? ・・・でも、どこかで聞いた事があるような気がしない?」

 

 なるの呟きに、景太郎が首を傾げながら答える。
その正体不明な音は、だんだん大きくなってきている。

 

 イン ザ ネイビ−・・・

 

「・・・〔In The Navy〕・・・みたいですね」

 

「確か・・・スゥのお気に入りの曲だったな・・・。
 だが、何故この曲が?」

 

 しのぶと素子も、この曲の正体に気付いて、余計わけが分からなくなる。

 

 カタカタカタ・・・

 

「・・・なんや、地震かいな?」

 

「それにしては、随分とまた長い地震ですねぇ」

 

 それぞれのコップに、さっき景太郎から貰ったプレゼントの
大吟醸酒“大魔神”を注ぎながら呟くキツネとむつみ。

 

とその時、慌てた様子のカメ・・・ひなた荘のマスコット的存在の
たまちゃんが飛んでくる。 随分長い距離を飛んで来たらしく、少々息が切れている。

 

「どうしたんだよ、たま。 そんなに慌て、て・・・!?」

 

 たまを頭に乗っけたサラが、その拍子に外を見た瞬間、言葉が詰まる。
あまりにも現実離れした物を見た、という表情だ。

 

「「どうしたのサラちゃ・・・ん・・・!?」」

 

 景太郎、なるペアがその表情を不思議に思い、つられて外を見てその理由が分かった。

 

「「・・・戦車!? ・・・なんで戦車がこんな所に!?」」

 

 ドゴ−ンッ!!

 

 景太郎となるが叫ぶのと同時に、戦車がひなた荘の壁をぶち抜いて
突っ込んで来たのは、ほぼ同時だった。

 

「メリ−クリスマ−スや、みんな−!
 イエス ユ− キャン セイル セブン シ−や!!」

 

 カチャッ、と戦車のハッチを開けて出て来たのは、ひなた荘のトラブルメ−カ−、
国籍不明、恐らくアジア系の美少女、カオラ・スゥ(15)だ。

 

 ・・・御丁寧に、カ−キ色の迷彩服を着て、
背中にでっかいアサルトライフルを背負い、グリ−ンベレ−を被っている。
要するに、特殊部隊のコスプレをしているのだ。

 

「スゥちゃん! それじゃネイビ−(海軍)じゃなくて、ア−ミ−(陸軍)だよ!!」

 

「そんな事つっこんでる場合なのっ、景太郎!?」

 

 スゥに景太郎がつっこみ、そしてなるがさらに景太郎につっこむ。
・・・そんな事やってる暇なんて無いんだと思うんだけど・・・。

 

「ニャハハ−ッ! 鬼ごっこ・クリスマスバ−ジョンの始まりや−!」

 

 スッと、戦車の中に引っ込むスゥ。

 

「や、ヤバいぞ、ちょっと・・・」

 

「ちょ、ちょっと! シャレになんないわよっ!?」

 

 グォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!

 

「とにかく逃げろ−っ!!!!!」 ← ひなた荘の面々

 

 スゥの乗った戦車のエンジンが唸りを上げるのと、景太郎達が悲鳴を上げながら
逃げ出すのは、ほぼ同時だった。

 

 ドガガガガガガガガガガガガガッ・・・・・・。

 

 景太郎達の後を追って、スゥの乗る戦車は
ひなた荘の壁をぶち壊しながら進んでいった。

 

 ・・・修理費、どうするんだろうか?

 

「はっはっは、ひなた荘にいるとホントに退屈しないですむねぇ」

 

「そうだな・・・。 ・・・もう一つ、どうだ?」

 

「おっ、そうだね。 いただくよ」

 

 そんな中でも、瀬田とはるかの二人は動じた様子もなく、
降りしきる雪を肴に、熱燗を飲みながらクリスマスを満喫していた。

 

 瀬田記康と浦島はるか。 多少の事では全く動じない大人である。

 

 ・・・大物かもしれない。

 

 

 

 所変わって、日向市内。

 

「ありがとうございました−」

 

 有名全国チェ−ン店の牛丼屋の〔古野屋〕から出てくる、背中の煤けた二人の男の姿があった。

 

「・・・なあ、白井」

 

「・・・なんだよ、灰谷」

 

 ・・・そう、景太郎に弱みを握られて金を巻き上げられた
メガネコンビ、灰谷真之と白井功明の二人である。

 

「・・・何が悲しくて、男二人で牛丼を食わなきゃいけないんだ?
 しかも、クリスマスイブに?」

 

「・・・お前がひなた荘に忍び込んで(!)盗撮なんかするからだよ、灰谷。
 ・・・御陰で景太郎に金取られて・・・今月ピンチじゃないか」

 

 灰谷・・・。 お前そんな事してたのか・・・(汗)。

 

「何言ってんだよ、白井。
 お前だって、スゥちゃんのコンピュ−タ−にハッキング(!!)したくせに・・・。
 人の事、言える立場かよ・・・」

 

 白井まで・・・。
君達、言っておくけど犯罪行為なんだからね、それ・・・(汗)。
そこんとこ、わかってる?

 

「「何言っているんだ! 覗きは男のロマンじゃないか!!」」

 

 突然人通りの中で叫び出す灰谷と白井の二人。
道行く通行人(主にアベック)が、彼らを哀れんだ視線で見つめる。

 

〔かわいそうに・・・。 彼女がいなくて、あまりの惨めさに気が狂ったのね・・・〕

 

 ・・・とまあ、通行人(特にアベック)の気持ちを代弁すると、こんな感じになる。

 

「「お前もそう思わないか、Excaliber!?」」

 

 ・・・何で僕に話を振るんだよ、二人とも。
ま、それはそうと今後の人生を考えた方がいいと思うよ、僕は。

 

「「へ? ・・・ヒィィィィィィィッ!!?」」

 

 彼らが見た物・・・とは、御想像におまかせします。
ただ・・・恐ろしいモノ、とだけいっておこう。

 

「覚悟は・・・出来てる? 二人とも・・・。 ・・・フフフ」

 

 ・・・これが、彼らの今世紀で聞いた最後の言葉となった。

 

     ドガッ!

 

              バキッ!!

 

 灰谷、白井を襲う鉄拳、日本刀、モップ、スイカetc.

 

 ドサッ

 

「・・・ああ・・・お花畑にちょうちょが見えるよ、なあ白井・・・?」

 

「・・・そうだね・・・近くに川が流れてるよ・・・」

 

 既にアッチの世界に旅立ってしまった二人。
回りの通行人も、ブツブツ譫言を言う彼らが薄気味悪くて近寄れない。

 

「「ああ・・・天使まで・・・」」

 

 ドサッ

 

 さっきからブツブツと煩いため、サンタクロ−スか何かが気をきかせたのか、
二人の上に大きな雪の固まりが落ちてくる。

 

 ・・・その上、降り積もる雪がその二つの物体X(笑)をさらに覆い隠していく。

 

 ・・・後日、その物体Xは年が明けて21世紀を向かえた時に、
氷の彫刻像となって発見された。

 

 ・・・題名は、〔聖夜に起こりし悲劇〕だそうだ。

 

 発見者のK.U氏は、

 

「いいヤツらだったのに・・・。 ちょっと魔が刺したんでしょうね・・・」

 

と、言葉少なに語ったという・・・(笑)。

 

 

 

「は−っ、ス−ッとした。 全く・・・メガネトリオは
 こんな事ばっかりやってるんだから・・・。 ・・・フフフ」

 

 ポタリポタリ、と拳から血を滴らせているのは・・・
その・・・やっぱりというか何というか・・・なるである。

 

「・・・・・・(大汗)」

 

 そして、その隣で脅えているのが・・・景太郎達6人。

 

「け−たろ、・・・アンタ、ホンマによう考え直した方がええんとちゃう?(汗)」

 

「は、はぁ・・・。 そうかもしれませんね・・・(汗)」

 

 キツネの他に、素子やしのぶまで同情的視線で景太郎の事を見ていたりする。

 

「どうでもいいけどよ、カオラはどうなったんだよ?」

 

「そういえば、そうですねぇ・・・。 よいしょっと」

 

 とりあえず路地裏に隠れた7人は、ヒョコッと顔を出して、様子を見てみる。

 

「見なけりゃよかった・・・」 ← ひなた荘の面々

 

 何故、景太郎達は見なければよかったと言うのか?

 

 それは・・・

 

「戦車乗っ取り犯に継ぐ−! 君は完璧に包囲されている!!
 無駄な抵抗は止めて大人しく降伏しなさい!!!」

 

「ニャハハ−! ウチを止めるのは不可能やで−!
 売られたケンカなら、喜んで買うで−!!」

 

「くっ! 仕方がない、発砲を許可する!! 撃ち方よ−い!!」

 

「いっくで−! メカタマ6(半自動小型迎撃システム)、射出!
 グラビティキャノン、発射準備!! ついでに相転移砲も発射準備や−!!」

 

と・・・いう風になる(汗)。
でもな、スゥちゃん。 相転移砲は止めた方がいいと思うぞ。

 

「しもうた、相転移砲用のエネルギ−が足りんわ!」

 

 ほっ、とりあえず最悪の事態だけはまぬがれた様だ。

 

 ズド−ンッ! ズド−ンッ!!

 

 ガギィンッ! ガギィンッ!!

 

「な、なにぃ!? 直撃した筈だぞ!
 ・・・戦車砲を跳ね返したのかっ!?」

 

「ふっふっふ、ブラックサ○ナ並のディスト−ションフィ−ルドを誇る
 〔ビシュヌ(ヒンドゥ−教の三大神)君初号機〕にケンカ売るとはいい度胸やなっ!」

 

 驚く自衛隊隊員に、自慢気に胸を張るスゥ。
ディスト−ションフィ−ルドって・・・どっからそんな技術を・・・(汗)。

 

「こないだ見たナ○シコで出てたのを開発したんや!
 メカタマ6達! その内の四機はけ−たろ達を探すのを手伝うんや!
 残りのメカタマ達は、ウチの敵を”消滅”させるんや!!」

 

「MYU−!!」 メカタマ6達(メカなので、科白は英語(笑))。

 

 キビキビメカタマ達に命令を下すスゥ。
・・・目の色が、完璧に変わってしまっている。
いや、それ以前に自衛隊と戦闘する方が間違っている。

 

 ・・・破防法(破壊活動防止法)が適用されてもおかしくはない。

 

「本部! 至急応援をお願いします!!」

 

「ニャハハ−ッ! なんや、なさけないな−っ!!」

 

 そして、そこから激しい砲撃戦が始まった。
飛び交う砲弾。 だが、決してスゥの戦車には傷一つ付けることが出来ない自衛隊。

 

 予め言っておくが、ここは日本である。 イ○ラエルなどではない。
しかも、市街戦をおっぱじめて僅か五分。 日向市は廃墟と化していた。

 

 その一部始終を見ていたキツネ。

 

「・・・マズいでみんな。 ・・・よし、ここは三組に別れて逃げるんや。
 そうした方が、被害が少ないと思うで。
 ・・・そうやなぁ、け−たろとなる、ウチとカメのね−ちゃん、
 モトコ、しのぶ、サラのペアで逃げるで」

 

「何でコイツと・・・。 何か、頼りないわね・・・」

 

「・・・悪かったな、成瀬川。 じゃ・・・みんな、無事で・・・」

 

「それはこっちの科白だ、浦島。 なる先輩を放って逃げたら、承知せんぞ」

 

「浦島先輩、どうか御無事で・・・」

 

「け−たろ−、なるを見捨てるんじゃないぞ!!」

 

「わかってるよ、モトコちゃん、サラちゃん。
 しのぶちゃん、ありがとう。
 三人とも、無事で・・・」

 

「そろそろ行くわよ、景太郎。
 ・・・なんか、ドイツ軍から逃げるフランスのレジスタンスになった気分ね・・・。
 戦車に追われるなんて、思ってもみなかったわ」

 

「まったくや。 何もクリスマスイブにこんな事せんでもいいんやけど・・・」

 

「いいじゃないですかぁ−、今世紀最後のクリスマスイブとして思い出に残りますよ」

 

「・・・ノンキでいいですね、むつみさん」

 

とまあ、こんなカンジで今生の別れ(という程ではないが)を済ませる景太郎達7人。
その間にも、スゥと自衛隊の戦闘はかなり白熱化している。

 

「じゃ、みんな! ひなた荘で!!」

 

「こうなったら、もうヤケクソよっ! 
 カメでも戦車でも何でも来なさいってば!!」

 

 ダッ

 

 景太郎、なるペアが路地裏から身を乗り出し、走り出る!

 

「私達もいくぞ、しのぶ、サラ」

 

「はっ、はいっ。 ・・・大丈夫でしょうか・・・?」

 

「おっしゃ−! 気合入れていくぜ−!!」

 

 素子、しのぶ、サラトリオが景太郎・なるペアと反対の方向に向かって駆け出す!!

 

「さぁ−て、ウチらもボチボチ行こうか、カメのね−ちゃん?」

 

「そうですねぇ−・・・。 うふふ、スゥちゃんたら・・・。
 こんな面白い催物を考えてたなんて・・・(ウキウキ)」

 

「・・・(汗)」

 

 ・・・亀の姉ちゃんとコンビを組んだのは、失敗やったかも。
と、今更ながらに思うキツネだった。

 

 ・・・今世紀最大の(回りにとってはた迷惑な)鬼ごっこ、
クリスマス大作戦の幕が、この日向市の路地裏で切って落とされた!!

 

 

後編に続く