< 時の流れに >

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・まあ、待ちたまえテンカワ アキト君。」

 

 テンカワ君に話し掛けたのは、バール少将だった。

 

 予想外の人物の発言に、会場は騒然となった。

 私も勿論、その一人だった。

 娘も妻も、少し驚いた顔でバール少将とテンカワ君を見ている。

 

「あら、何を言うつもりなのかしらね、ルリ?」

 

「さあ、でも余り良い予感はしませんね、母。」

 

 と、小声で話し合っている。

 そして、今までテンカワ君の放つ気に気圧されて大人しかった彼が、何を言い出すかと思えば・・・

 

「君は先日の侵入者との戦いで、重症を負ったらしいじゃないか。

 ならば無理をせず、ナデシコクルーにチューリップの相手をしてもらうべきではないのかね。」

 

 そう言って、嫌らしい笑みを浮かべる。

 どうやら、テンカワ君に気圧された事を恥じだと感じたらしい。

 

 まあ、見た目はまだ少年なのだが・・・

 外見で判断できない人物の、代表みたいな存在だぞ彼は。

 

「・・・ご心配、有り難う御座います。

 ですが、自分は十分に戦闘が可能ですので。」

 

 そう言って、会議室から退出しようとするテンカワ君に、バール将軍はなおも言い放つ。

 

「ふん、私が見たいのは君の実力ではない。

 もう、君の馬鹿げた戦闘力は十分に把握しているからな。

 君がナデシコに戻れば、確かにあのチューリップにも勝てるだろう。

 だが、私が知りたいのは・・・他のナデシコクルーの実力だ。」

 

「その意図は?」

 

 テンカワ君に変わりに、オオサキ提督がバール少将に質問をする。

 

「抑止力だよ、そこの会長秘書殿が先程言っていたが。

 彼の戦闘力を抑こめる実力を、ナデシコクルーは持ってるのだろう?

 ならば、彼が倒せると判断した今回の敵軍を、ナデシコクルーだけで倒してもらおうじゃないか。」

 

 無茶苦茶な理論だ。

 その場に居る全員が呆れた。

 こんな男がアフリカ方面軍では、重鎮として扱われているのか?

 

 私は人様の国の事ながら、思わず内心で溜息を吐いた。

 

「理不尽な理論ですね。

 人の生死を軽んじてるとしか思えませんな。」

 

 オオサキ提督の表情に、冷たい何かが宿る。

 この人物も・・・結構な人物らしいな。

 

「なら、私はテンカワ アキト君を連合軍本部の直属にする事を、本部に提案するね。

 彼の戦闘能力はもっと大きな組織が管理するべきだ。

 間違っても、あんな戦艦一つに収めておくモノじゃない。」

 

 今度はテンカワ君をモノ扱いか。

 流石に、温厚な私も怒りを覚えてきたな。

 先日までは、グラシス中将殿やオオサキ提督と会見して、連合軍の軍人を少しは見直していたのだが。

 

 全体・・・とは言わんが、こんな人物も軍内には多いのだろうな。

 

「本気ですか?」

 

「ああ、当たり前だ。」

 

 オオサキ提督と、バール少将の視線がぶつかり合う。

 その緊張した雰囲気を破壊したのは・・・

 

「いいでしょう、ならば戦艦ナデシコとナデシコクルーの実力、とくと拝見して下さい。」

 

 やはり、テンカワ君だった。

 

 

 

 

 その発言に、会議場は揺れた。

 

「本気かね君は!!

 今度は間違い無く、私達全員の命が掛っているのだよ!!」

 

「もし、ナデシコが落ちてみろ!!

 もう、あのチューリップを防ぐ手立ては無いんだぞ!!

 ピースランドとの外交上、急な軍事行動は禁止されている!!

 今から、近隣諸国に救援を出してもギリギリのタイミングなんだぞ!!」

 

「君が出陣すれば確実に勝てるのだろうが!!

 ならば早くナデシコに向かいたまえ!!」

 

 そんな騒ぎの中にあって、テンカワ君は悠然としていた。

 そして、その視線はバール少将ではなく・・・ロバート・クリムゾンを見詰めていた。

 

「・・・もし、ナデシコが敗れた場合はどうするのかね?」

 

 ロバート・クリムゾンのその質問に。

 

「心配無用です、自分の専用機は己の安全を可能な限り優先するように、プログラムがされています。

 ・・・ナデシコが破壊されれば、自分の元に飛んで来るでしょう。」

 

 テンカワ君はそう返事を返した。

 

「ほう、なら後始末は自分で着ける、と。」

 

「ええ、跡形も無く消してみせますよ・・・塵芥すら残さずにね。」

 

 淡々とした声だが・・・その声には、先程入室して来た時よりも更に圧倒的な鬼気が内包されていた。

 ナデシコは沈んでも、ピースランドは無事だろう。

 

 だがその時は、私達は現世にありながらにして、本物の修羅を見せ付けられるかもしれん。

 多分、悪夢となって夜毎魘されるような光景を・・・見るのだろう。

 

 会議場は何時しか静寂に包まれていた。

 誰もが、テンカワ君とロバート・クリムゾンの会話に耳を傾け。

 テンカワ君の壮絶な鬼気を受け、身動きが出来なくなっていたのだ。

 

 だが、このロバート・クリムゾンもまた只者ではなかった。

 テンカワ君の鬼気に気圧されながらも、未だその口調に変化は・・・無い。

 

「ならば、ナデシコが落ちた後の君の所属は・・・連合軍本部直属になりますな。」

 

「多分、そうなりますね。」

 

「ほう、ならば今回の君の失態を仲間のナデシコクルーが肩代わりする・・・

 そんな所ですかな?」

 

「・・・否定はしません。」

 

 隣に座っているバール少将が、青い顔をしているのにも係わらず。

 直接テンカワ君の鬼気を受けながらも、そう言いきるこのロバート・クリムゾンも・・・

 また、大物もしくは傑物と呼べる人物だろう。

 

「だ、だが、それだけでは昨日の失態の挽回だけではないか!!

 もう少し、私に誠意を見せられないのかね!!

 この会議は、アフリカ方面軍への和平意思統一が目的では無いのか!!」

 

 ・・・何処にでも、場違いな人間は居るものだ。

 この叫びを上げた男に・・・バール少将に、会場にいた全員が呆れた顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

「ならば、ナデシコが敗れた時には、私がアフリカ方面軍に入ります。」

 

 その発言をした人物を見て、私は驚き・・・呆れたわ。

 

「ル、ルリ!!」

 

「ルリや、お前は何て事を・・・」 

 

「ルリちゃん!! 貴方意味が解って言ってるの!!」

 

 父親と母親の視線を真っ向から受け止めても、その金色の瞳に揺るぎは無かった。

 そして私の叫びにも、ルリちゃんの意思を変える事は出来なかった。

 テンカワ君も驚いた顔をしている。

 

「すみません、父、母、エリナさん、勝手な事を言って。

 ですが、アキトさん同様、私にとってナデシコは大切な居場所なのです。

 皆さんがナデシコクルーを疑っても、私は仲間を最後まで信じます。

 今回の私達の不祥事が、ナデシコクルーの活躍で拭えるのなら。

 和平への私達の意思の強さは、私の身を持って証明します。

 ・・・バール少将殿、ピースランド第一王位継承者 ルリ オブ ピースランドの身柄では不足ですか?」

 

 そう言って、ルリちゃんはバール少将を見詰めた。

 そして、テンカワ君に続いて、ルリちゃんの眼光にもバール少将は屈した。

 いや、二人の信念の前に彼の心は余りに脆すぎた。

 見ていて滑稽な程に・・・

 

「しかし、ルリや・・・もしアフリカ方面軍に行く事になれば。

 きっとお前の身柄は・・・」

 

「そうですよ、ルリ。

 貴方は女の子・・・女性なのですよ!!」

 

「ルリちゃん、考え直すんだ!!」

 

 ルリちゃんの意思を変えようと、必死の説得をする国王夫妻。

 そして、テンカワ君もルリちゃんを止めようと叫ぶ。

 

 でもそれは当然だわ、まだ12歳の愛娘の将来が掛っているのだから。

 絶対に、アフリカ方面軍に入れば返してはもらえない。

 きっと、有力な仕官に嫁がせられ・・・ピースランドの実権を彼等は狙うでしょう。

 

 実際、驚きから醒めたバール少将の目は欲望でギラついていた。

 

「ほほう・・・それはそれは、不足などとんでも無いですな。

 アフリカ方面軍一同、諸手を上げて歓迎しますよ。」

 

「勘違いしないで下さい。

 私はナデシコが沈んだ時には、アフリカ方面軍に入ると言っただけです。

 勿論、ナデシコが勝利を収めた場合には・・・

 アフリカ方面軍の、全面的な和平の協力を誓って貰います。」

 

 二人の視線が絡んだ・・・欲望と、真摯な視線が。

 

「・・・いいでしょう、私の全力を持ってアフリカ方面軍の意思を、和平に統一しましょう。」

 

「感謝します。」

 

 無表情に、バール少将に感情の篭らない言葉で謝礼を返すルリちゃん。

 そして・・・

 

「君は、それで納得するのかね?」

 

「・・・12歳の少女が、仲間を信じて己の身を投げ出したんです。

 自分が反対をする訳はないでしょう。」

 

 ルリちゃんに、視線を向けたままテンカワ君はロバート・クリムゾンに返事を返したわ。

 そして、ルリちゃんの視線もテンカワ君をじっと見ていた・・・

 

 これが、宣誓がなされた瞬間だった。

 この瞬間に、ナデシコの敗北はテンカワ君とルリちゃんの将来を奪うものとなった。

 

 そして己の勝ちを信じるバール少将は、嫌らしい笑みを浮かべながら用意されている自室に向かい。

 その他の客人も、不安げな表情を作りながらそれぞれの部屋に戻っていった。

 会議場に残ったのは、私とテンカワ君、国王夫妻、ルリちゃん、オオサキ提督、グラシス中将。

 そして、ロバート・クリムゾンだった。

 

「いやはや、何とも大胆な手を使う・・・

 とても12歳の少女の考えとは、思えませんな。」

 

「あのままでは、最後まで和平の承諾をしてもらえなかったでしょう。

 ショック療法でなければ、バール少将は動いてくれなかったでしょうからね。」

 

 ロバート・クリムゾンのその発言に。

 冷たい声で応えを返すルリちゃん。

 

「ふむ、実に的確な判断をしている。

 私も、彼が己の欲望を満たしている限り、和平案を受け入れるとは思っていませんでしたが。

 ・・・その欲望を餌に、彼を動かすとは。

 末恐ろしい王女ですな。

 いや、これほどの事を女性に決断させる、君の魅力が一番恐ろしいかもしれんな。」

 

 目だけは笑わずに、ロバート・クリムゾンはテンカワ君にそう告げ。

 会議場から退出をして行ったわ。

 

 ・・・悠々と、テンカワ君の視線すら背中で跳ね返して。

 

「・・・さて、ナデシコに連絡を取るか。

 今回、俺達は傍観組だからね。」

 

 優しく微笑みながら、テンカワ君はルリちゃんに話し掛ける。

 私はちょっと悔しかったけど・・・今回はルリちゃんの勇気と決断に、白旗を揚げたわ。

 

 私には・・・その場で、あれ程の決断は出来なかったと思うから。

 

「そうね、でも・・・怖いわよ今回の皆は。

 多分、相手が感情を持つ敵だったら一生夢に見るでしょうね。」

 

「ああ、そうだろうな・・・アキトとルリ君の人生が掛ってるんだ。

 今回は遊びは無しだ。」

 

 私の台詞に、オオサキ提督が同意する。

 

「ふう、君達の未来が掛っているんだ、アリサも張り切るだろうな・・・

 しかし、君の決断には敬意を示しますよ、プリンセス ルリ。」

 

 グラシス中将の台詞に、少し顔を赤らめながらルリちゃんは、頭を下げてお礼を言った。

 

「ルリ・・・貴方の決めた道です。

 もう、私は反対しません。

 だから私も信じましょう、貴方の誇る仲間達を。」

 

「ルリや、何かを得る為に何かを失うのは仕方が無い理だ。

 私もナデシコクルーを信じよう・・・お前と、テンカワ殿がそこまで信じる人達をな。」

 

 両親の許可を得て・・・

 

「はい、私も信じています。

 そして、知っています。

 ナデシコの皆さんがこれしきの事で、負けないという事を・・・」

 

 綺麗な微笑を浮かべて、ルリちゃんはそう言いきった。

 何の気負いも無い、透明で美しい・・・その名の通りの、宝石の様な微笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上が、この戦闘にテンカワ君が参加出来ない理由よ。

 今二人は、ナデシコと無人兵器の戦いを見守る為に、会議室で客人達の相手をしているわ。」

 

 私は、最後の報告をしていた。

 この後、20分後には・・・ナデシコは無人兵器との戦いに突入する。

 

 その数、チューリップ 8つ、無人兵器が数千の大軍勢だった。

 

 勿論、テンカワ君と『ブローディア』が揃えば楽勝と言えなくても、必ず勝てる相手。

 だけど、今そのテンカワ君は動きを封じられていた・・・

 

『・・・』 

 

 通信ウィンドウの艦長は・・・珍しく黙り込んでいた。

 今までの経験上、きっと大声で喚き立てると思っていたのだけど?

 

「艦長?」

 

『酷い人ですね、バール少将って・・・いや、ロバートさんの方が悪者かな。

 でも私、本気で怒ってしまいました。』

 

 そう言って、笑った艦長だが・・・

 

 私はこの時、今まで艦長を・・・ミスマル ユリカの本性を見誤っていた事を知ったわ。

 彼女も古くから続く有名な武門、ミスマル家の長女。

 その猛々しい血は、しっかりと艦長にも流れていた・・・

 

『アキトとルリちゃんの未来・・・

 どんな事をしても、必ず守ってみせます。』

 

「そ、そう頑張ってね。」

 

『はい、では・・・

 あ、そうそうエリナさん!!

 アキトとルリちゃんに「心配無用!!」、と伝えて下さい!!』

 

 ピッ!!

 

 そう言い残して、私の返事を聞かず艦長は通信ウィンドウを閉じた。

 

 しかし・・・あの娘もあんな表情が出来るのね。

 いえ、守るべき人を持つ人間には、誰もが出来る顔かもしれない・・・

 

 そう、あのテンカワ君の様に。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・と、言う訳で今回の戦闘にアキトは参加出来ません。」

 

 艦長の説明に・・・ナデシコが揺れた。

 いや、冗談では無く本当に揺れたと俺は思った。

 

 それにしても、エリナ女史と話をしていた時のあの顔・・・

 中々の人物だと常々思っていたが、予想以上みたいだな。

 

「カズシ補佐官?

 何か私の顔に付いてますか?」

 

「ん? ああ、般若の面が・・・すまん!! 俺が悪かった!!」

 

「冗談でも、可愛い女性にそんな事言わないで下さいね!! プンプン!!」

 

 自分で可愛い女性と言うあたり、やはり大物だな。

 思わずシュン隊長を思い出してしまったぞ。

 あの人の場合は、「お茶目な中年」と自分で言うが。

 

 ・・・じゃあ、俺が不利じゃないか。

 シュン隊長に、口で勝てた事は無いんだからな。

 

 ピッ!!

 

『艦長、先程の話は本当かい?』

 

 通信ウィンドウが開き、アカツキ君が現れる。

 

「ええ、冗談だったら良かったんですけどね。

 ・・・アカツキさんには、エステバリスの指揮権を完全に委ねます。

 私はナデシコの指揮に集中しますから。」

 

 敵の数はチューリップ8つに、無人兵器数千・・・

 さてさて、どうやって勝とうかね?

 勿論、俺も負けるつもりは微塵も無い。

 

『ふ〜ん、指揮権については了解したよ。

 あ、そうそう、先程からパイロット三名が、極度の興奮状態でね。

 僕も今日戦う敵には、同情をしてしまうよ。』

 

 肩を竦めるアカツキ君だが・・・

 

「あら、アカツキさんも目が笑ってませんよ?」

 

『そう言う艦長こそ、可愛い微笑みに凄みがあるね。』

 

「『ふふふふふふふ』」

 

 ・・・危ないって、こいつ等。

 見境無しに地表を破壊しないでくれよ?

 後で怒られるのは・・・絶対に俺と、ハリ君なんだから。

 

「敵、交戦予定地まで残り、後10!!

 もう、跡形も無く消し去っていいよ、ラピスちゃん!!」

 

「勿論だよ、メグミさん!!」

 

「今日は止めないわ、思いっきりやりなさいラピスちゃん!!」

 

「うん、任せてよミナトさん!!」

 

 ・・・いや、俺としては止めて欲しいな。

 俺の視線と、ハリ君の視線が絡んだ。

 お互い、止めるに止められない状況に、心の中で涙を流しているようだ。

 

 いや、君の気持ちは解るぞハリ君!!

 俺も同じ心境だからな!!

 

 そして、続々と入る・・・決意表明・・・

 

 ピッ!!

 

『ヤマダ〜〜〜!! 武器弾薬の出し惜しみは無しだ!!

 今日は真面目に暴れてこい!!

 アキトの未来だけならいざ知らず、ルリルリの未来は絶対に守るんだぞ!!』

 

 ピッ!!

 

『任せておけ、ウリバタケ班長!!

 今日はおふざけも、おちゃらけも無しだ!!

 最初から全開でいくぜ!!』

 

 ピッ!!

 

『テンカワの未来をかってに決められてたまるか!!

 アリサ、今日だけはライバル宣言は取り下げだ!!

 壊滅じゃ気が済まね〜、殲滅してやる!!』

 

 ピッ!!

 

『勿論、異論はありませんよリョーコ!!

 アキトさんの未来が掛ったこの一戦!!

 例え、敵が白旗を上げても止まりません!!』

 

 ピッ!!

 

『その意気よ皆!!

 メンテナンスは完全、武器弾薬も特別製よ!!

 思いっきり暴れてきてね!!

 逆に、直ぐにやられて帰ってくるようだったら、ノーマルエステで出撃させるからね!!』

 

 ピッ!!

 

『ははは、どうも僕達の存在は、連合軍上層部には軽んじられてるみたいだね。

 今回は止める理由も無いし、思いっきり自己主張をしようじゃないか。』

 

 ピッ!!

 

『アカツキさんの意見に賛成〜♪』

 

 ピッ!!

 

『賛成その2・・・』

 

 ピッ!!

 

『先輩、私頑張ります!!』

 

 ・・・これはもう止まらんな。

 勢い余って、ピースランドまで破壊しない事を祈るしかないか。

 

 そして、最後の締めはこの人だった。

 

「皆さん!!

 実力を100%発揮しろなんて、甘い事は言いません!!

 持てる実力の200%で挑みましょう!!

 私達の、大切な仲間の未来が掛ったこの一戦・・・負ける訳にはいきません!!」

 

 

 

「「「「おおおお!!」」」」

 

 

 

 艦長の檄を合図に、ナデシコは無人兵器達との交戦に入った。

 

 

 

 

 

 

 

第十八話 五日目その3へ続く

 

 

 

 

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