< 時の流れに >

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その攻撃を避けれたのは、偶然だったと俺は断言する。

 そう、偶然だったんだ・・・床の埃が揺れ動いた事に気が付いたのは。

 そして、アキトが話していた姿の見えない敵の事を思い出したのも―――

 

 考える前に、身体が動いていた。

 その場から素早く横跳びで離れつつ、ウリバタケさんに声を掛ける!!

 

「ウリバタケさん!! 何かがこの部屋に居る!!」

 

「何だって―――!!」

 

        ・・・ドゴッ!!

 

 鈍い音と共に、ウリバタケさんの身体が地面に倒れる!!

 俺には敵の存在を察知する術が・・・無い!!

 

「うぅ、がぁ・・・」

 

 ウリバタケさんも、どうやら生きてはいるらしい。

 このまま、姿の見ない敵―――インと戦うのは不利だ。

 俺はアキトじゃない、とてもじゃないがインとこの場で対等に戦えるとは思っていない。

 だからと言って、諦めるつもりも無い。

 

 視線でウリバタケさんに問う。

 

 苦しげな表情のままで、ウリバタケさんは俺に頷く。

 それを確認した後で、俺は素早く背後にある部屋の入り口に向かって跳ぶ。

 

      ヒュッ!!

 

 背後で、何かが空を切る音がした。

 どうやら、ギリギリのところで間に合ったらしいな。

 敵の存在を知った今、集中をすれば何とかその気配を感じる事は出来る。

 だが、感じるだけでは駄目だ、決定打を捜す為にも今は仕切りなおしだ!!

 

   ガォン!! ガン!!

 

 勘で狙いをつけた場所に、続け様にブラスターを撃ち込む。

 勿論、牽制の為にだが―――せめて足止め位にはなってくれよ!!

 

 そして微かに感じる、動揺の気配・・・

 どうやら、掠る位は出来たようだな!!

 

    プシュ!!

 

 自分の成果を見届ける間もなく、部屋の入り口を閉め開閉スイッチを壊す。

 ウリバタケさんを殺す気なら、最初の一撃で殺していた筈だ。

 ならば、捕獲する事が優先されているのかもしれない。

 実際、ウリバタケさんの持つ知識と腕は、クリムゾンにも垂涎の的だろう。

 

 ・・・そう、危険な賭けだがウリバタケさんは無事だと信じよう。

 

 そう祈りつつ、俺は薄暗い廊下を疾走した。

 

 

 

   タタタタタ!!

 

 ひとまずインとの距離を開きながら、現在の手持ちの装備と他の仲間の事を考えていた。

 ・・・インが居ると言う事は、他の奴等も来ている可能性も高い。

 最悪の場合には―――五対一かよ。

 しかも、アキトと北斗のタッグと互角に戦える相手ときたもんだ。

 

     ダンッ!!

 

 ブラスターに弾丸を補充しつつ、通路の影に我が身を隠す。

 どうやら、インは俺を追い掛けてはいない・・・多分、な。

 俺がアキトとの特訓により、気配を読む術を身に付けたのはつい最近の事だ。

 残念な事に、この能力はそう簡単に使いこなせるモノではなかった。

 

 油断なく周囲を探り、深く息を吸い込む―――

 

 しかし、とことん不利な状況だな・・・

 どう考えても、俺では実力不足だぜまったく。

 俺の他に戦力になりそうな仲間はいても―――相手が相手だしな。

 

 それでも、諦めるつもりはさらさら無い。

 どんなに困難でも、幾ら可能性が皆無でも。

 掛っているのは、大切な女性の命なんだからな。

 

「手段は選ばず、実を取る、か。

 形振り構ってる場合じゃ無いよな。」

 

 俺の覚悟は決まった。

 コミュニケに表示された時間―――3時間20分

 残された時間は刻一刻と過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

「へっ、Dの奴の命令でもこれだけは守れないぜ。

 待ってろよナオ、お前は俺がこの手で・・・燃やし尽くしてやる!!」

 

    ゴウッゥゥゥゥンンン!!

 

 俺が打ち付けた手の形に添って壁が陥没する。

 高揚する戦意と気迫に伴って、激しく身体中をアドレナリンが駆け巡る。

 その気勢の高ぶりに反応するように、俺の右腕に纏う炎は轟々と燃え盛る。

 

 そう、耐熱コーティングを施されている、我が身すら焼き尽くすかの様に―――

 

 

    カチッ!!

 

 小さな音が、俺の足元から聞えた。

 そう思った瞬間―――

 

     ドゴォォォォォォォ!!

 

 横手から、炎の柱が噴出し俺を包み込む!!

 

「うざってぇぜ!!」

 

   ドゴッ!!

 

 俺は右腕をその炎の噴射口に突き入れ、そのトラップを叩き壊す。

 インが相手なら、このトラップも有効かもしれないが、相手が悪かったな!!

 

「しかし、トラップを仕掛けているという事は・・・近くに居るんだな、ナオ。」

 

 顔が自然と笑みの形を取る。

 心の底から嬉しくて仕方が無いからだ。

 そして、俺の狩りの時間が始まった。

 

 

 

 

 無茶苦茶な奴だな・・・まったく。

 まさか噴射口を自分の腕で叩き潰すとは。

 つくづく、相手が化け物だと思い知ったぜ。

 これなら小細工レベルのトラップでは、足止めにもならないな。

 しかし、これで確認出来たのが二人。

 後の三人も、多分このサツキミドリ内に居るのだろう。

 

 さて、切り札が通用すればいいのだが・・・

 

 

 

 

 五回目のトラップは漏電を利用したモノだった。

 流石に体内の装置に少しは影響があったが、その場で立ち止まる必要は無い。

 無視をしてそのまま通路を突っ切る。

 段々とトラップの間隔が狭くなっていやがる・・・近いな、ナオの居場所はよ。

 

 そして、次の角を回ったところで俺達は出会った。

 

「・・・もう下手なトラップは終わりかよ?」

 

 俺が侮蔑を込めてそう訪ねる。

 ナオの奴は半身になって、ブラスターを構えているが・・・

 残念だが、俺の身体にそんな豆鉄砲は通用しねえぜ。

 

「資源の無駄使いだからな、これでもエコロジストなんだよ。」

 

「ついでに言えば、貧乏性だからじゃね〜のか?」

 

 俺の事を怯えていないその態度に、気分を害され。

 続けてナオの奴を言葉で貶す。

 その間にも、俺はどうやってこの男を殺そうか―――頭の中で想像して楽しんでいた。

 

「かもな、切り札を使うのが勿体無くてね。」

 

「何時までも―――虚勢を張ってるんじゃねーよ!!」

 

  ダン!!

 

 俺の脚力なら、一跳びでナオの目前まで行ける筈だ!!

 ブラスターの弾丸など、俺には気にする事など―――――

 

     ガゥン!!

 

 俺の目が捉えた弾丸は、「真紅」に輝いていた。

 最大限の警告が俺の脳裏を駆け巡る。

 しかし、空中にある身体を移動させる術は無く・・・

 

    バスッ!!

 

 その真紅の弾丸は、俺の胸を容易く貫き。

 突き抜ける衝撃が、俺を背後に吹き飛ばす―――

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

 ぶっつけ本番にしては、上出来だった。

 俺が放った弾丸は―――『フェザー』のブラスターバージョンだ。

 実は俺達は侵入前に、それぞれが携帯用ディストーション・フィールド発生装置を身に付けていた。

 アキトが使っている物の同型機だ。

 この装置から発生するディストーション・フィールドを、『フェザー』に集中させ。

 ブラスターの弾丸として発射させたのだ。

 そして、俺の右手には特殊なIFSが浮かんでいる。

 これはイネスさんが開発した、DFS専用のIFSなのだ。

 その力の代償として、普通のIFSと違って機械類を思い通りに操れないがな。

 

 俺達は少なくとも、普通の敵が相手なら十分に渡り合えるだけの装備を、今回は持ってきていた。

 だが、敵は予想以上の大物であった為に、その出番は殆ど無かったのだ。

 ウリバタケさんも、装置の発動をする間もなくインに倒されている。

 

 だがそれ以前の問題として、この『フェザー』の弾丸を使えるのは俺とアキトくらいだろう。

 例のIFSの助けを借りたとしても、やはり完全な制御は無理なのだ。

 その為に俺は携帯用DFSを使う事は―――残念ながら出来ないが・・・

 アキトとの特訓により、発生方法の勘をある程度掴んでいた。

 その為に、『フェザー』を使用したこの特性弾丸を使用出来る。

 

 ・・・もっとも、撃ち出す『フェザー』に敵を倒す威力があるのかは不明だったが。

 これは集中力―――つまり俺自身の資質の問題だ。

 

「くそ、集中力が持たないぞ・・・

 これ以上の武器を振り回している、アキトの奴の化け物振りが実感出来るぜ。」

 

「確かに、あの野郎は腹が立つほどの化け物だったぜ。」

 

「何!!」

 

 俺の独り言に、返事を返したのは―――カエンだった。

 胸を抑えながら、立ち上がるその顔には苦痛の色は無いが。

 手足の動きは、確実に鈍っている。

 

 どうやら、そう簡単に決着は着かないみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 やってくれるじゃないか・・・ナオ。

 油断してたぜ、まさか俺の身体を貫く武器を持ってるとはよ。

 だが、逃がしはしねえ。

 そう、絶対にだ。

 

 狙っていたかどうかは知らないが、見事に俺は急所を貫かれていた。

 そう、心臓部とも言えるエネルギー発生装置をだ。

 今は予備の電源で動いているが、3時間もすればそれも切れる。

 そうなれば、脳に送っている酸素も途絶え俺は死んでしまう。

 

 前回に続いて、二回目の失態だ。

 Dや皆が庇っても、あの科学者は容赦無く俺の存在を消すだろう。

 何より、あの爺が俺を生かしておくとは思えねえ。

 信じられない程の維持費が掛るらしいからな、この身体にはよ。

 

 そう考えたら―――覚悟は決まった。

 アイツ等に迷惑は掛けるのは不本意だが!!

 最後くらいは俺の生きたいように生きる!!

 

 ―――道連れはお前に決めたぜ、ナオ!!

 

  ダダダッ!!

 

 呆然とした顔のナオに一瞬にして近づき、その顔を殴りつける!!

 

     ガシィ!! 

 

「ぐぅ!!」

 

 俺の右ストレートを、自分の左腕で防御しつつ背後に吹き飛ぶナオ。

 いや、自分で跳んだな!!

 それに一瞬感じた違和感・・・あれはディストーション・フィールドか!!

 

 その場で直ぐに起き上がったナオを見て、俺は自分が大幅にパワーダウンをしている事を知った。

 例えディストーション・フィールドを張っていても、俺がフルパワーで殴りつければ突破できる。

 そして、ナオの頭部を粉砕する事も可能だったはずだ。

 Dと同レベルのディストーション・フィールドが、携帯版で展開できれば別だが。

 それは幾らなんでも有り得ないだろう。

 

 しかし、予備電源では数回炎を作るだけで尽きてしまう。

 これ以上、身体能力を引き上げる為に無駄な力は使用したくねえ。

 

 ―――最後の最後に、ナオの顔を焼き尽く為にこの力は残しておきてえからな。

 

 それまでは、素手で地獄を見せてやるよ、ナオ!!

 

 サングラスを吹き飛ばされ、その黒い瞳で俺を睨みつけるナオ。

 その表情を苦痛と後悔で彩ってやるぜ!!

 

 

 

 

 

 

 全然効いていない―――って事は、無いみたいだな。

 

 俺は立ち上がりながら、カエンの動きが鈍くなっている事に気が付いた。

 捉える事は不可能ではない、だが素手の攻撃では絶対に勝てない。

 かといって、『フェザー』を使用するだけの隙を、カエンが見せてくれるとは思えない。

 それに・・・敵はまだ他にもいるのだ。

 合流をされては、ますます勝率は落ちて行くだけだな。

 

 結局、最後は拳かよ。

 

 俺は苦笑をしながら、背広のポケットに忍ばせておいたグローブを取り出す。

 コイツはカエンの攻撃で火傷負ったアキトを見て、イネスさんが急遽開発したモノだ。

 表面は特殊コーティングされていて、数百度まで耐えられるそうだ。

 タイミングと本人の身体が持てば、ブラスターの弾丸さえ受け止めたり逸らせるらしい。

 その他にも、IFSの処理者専用に―――短時間だがDFSを展開できる。

 まったく、至れり尽せりだな。

 もっとも、幾ら装備が良くても結局は使い手の技量次第なんだけどな。

 

 グローブを両拳に装着して、俺は猫足立ちの構えをとる。

 そして―――

 

「おらぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 叫び声上げながら凄い早さで踏み込んできたカエンに向かって、薄く紅に光る拳を叩き付けた!!

 

「いい加減、くたばりやがれ!!」

 

     ガシィィィィン!!

 

 俺とカエンの戦闘が再開された瞬間だった。

 

 

 

 

  ドゴッ!! 

 

「ぐはっ!!」

 

 俺の蹴りを受け、背後に吹き飛ばされるナオ。

 本当に生身かと疑いたくなるほどに、こいつはしぶとかった。

 ギリギリのところで致命的な攻撃を避け、隙があれば反撃をしてくる。

 俺も自分の身体にも、決して軽くは無い怪我を負っていた。

 もし痛覚という代物が俺の身体にあったのなら、その場で倒れていたかもしれないな。

 

 それを考えると、ナオの奴は本当にタフだぜ。

 

「まったく、良い根性してるな。」

 

「そ、そりゃあどうも。」

 

 俺の台詞に、軽口で応えながら再び立ち上がるナオ。

 コイツは―――どうしてそこまで頑張れるんだ?

 どう考えても俺に勝てる術はないだろうに。

 

 まあいい、俺はこの男を道連れにして死ぬだけだ。

 

 俺が無造作に繰り出したフックを、ナオが光る拳で捌く。

 そして、体勢が流れた俺の脇腹を狙って、肘を繰り出してくる。

 その肘を、俺は逆に前方に踏み出すことで避け、ナオの背中に裏拳を叩き込む!!

 

「―――シッ!!」

 

「フッ!!」

 

 その場から跳び退き、俺の裏拳を避けるナオ。

 距離を取るナオの動きを追って、俺が跳び出す!!

 

       ガゴォッ!!

 

 俺の拳は目の前の壁を粉砕していた。

 

  ダンッ!!

 

 俺の拳が当たる瞬間、ナオは後方の壁を蹴って上方に跳び。

 さらに俺の肩に手を置いて、俺の背後に飛び降りていたのだ。

 

「逃がすか!!」

 

 その場で後蹴りを放つ!!

 しかし、ナオはその攻撃を半身で避け俺の蹴り足を掴み―――

 

「ちょっとした旅行にでも行って来い!!」

 

「なんだと!!」

 

 そのまま俺の軸足を刈り、一瞬宙に浮いた俺の身体を壁の穴―――

 先程俺自身が開けた、穴の中に放り込む!!

 

「貴様ぁぁぁぁ!! ナオォォォォォォォ!!」

 

「あばよ!! 生身の俺にはお前の相手はキツ過ぎるぜ!!」

 

 俺の叫びも虚しく。

 伸ばした腕も、空を切り・・・

 俺は暗闇の中を落下していった。

 そう―――ダストシュートの中を。

 

「ナオォォォォォォ!! 俺はお前を必ず殺す!!」

 

 底の見えない縦穴の中に、俺の怒りと怨嗟の絶叫が木魂する!!

 このままでは済まさん!!

 俺は絶対に貴様を―――!!

 

 

 

 

 

 

「ふう、しかし本当にキツイ仕事ばかりだな・・・

 だが、何故あそこまで俺に拘る?」

 

 あのカエンとの死闘の後。

 俺は休む間もなく、傷付いた身体を引きずって通信室に向かっていた。

 カエンとの間には、不可解な謎だけが残った様な気がするが。

 コミュニケの反応を見る限り、その部屋にウリバタケさん達は集まっている。

 どうか、無事でいてくれよ―――

 

 しかし、通信室とは都合がいいな。

 そこから地球に、サツキミドリの落下コースを伝えれば被害が幾らかは防げる。

 

  ガッ!! 

 

「くぅ!!」

 

 足をもつれさせ、その場に転がる。

 体中から悲鳴が聞えるほどに、俺は全身にダメージを負っていた。

 このまま、ここで眠れたらどれだけ楽だろうか?

 しかし、そんな馬鹿な事を考えている暇は無い。

 何よりも、残りの時間は先程確認をした時には―――2時間を切っていた。

 

 必死に遠ざかる意識を繋ぎ止め、俺は再び立ち上がる。

 

 何故こんなに頑張っているんだ?

 適当なところで諦めればいいじゃないか?

 脱出ポッドに乗って、この地獄から逃げ出そうぜ?

 あのカエン以外にも、敵はいるんだぞ?

 そんなに名声が欲しいのか?

 その名声と引き換えに、自分の命を落としてもいいのか? 

 

「はっ!! 馬鹿らしい!!」

 

 そう気合を入れ、俺は歩き出す。

 少し足を引きずっているが、普通に歩く分には支障は無い。

 

 アキトの気持ちが良く解るぜ。

 幾ら自分が傷付いてもいい。

 人から誉められなくてもいい。

 ただ、自分が守ると決めたモノは―――

 

「それだけは譲れないんだよな、アキト。」

 

 あの少女を守る事は出来なかった。

 俺達に関わった、というだけの理由で未来を閉ざされた。

 父親も殺された、理不尽なまでの暴力で。

 そして追い詰められた、平和な日常を全て奪い取られて。

 

 しかし、同情―――なんかじゃない。

 俺がミリアに惚れたんだ。

 最後の最後に俺を庇う事を選んだ、あの女性に。

 

 まだ、あの時の礼は終っていない。

 そして、彼女の願いも叶えていはいない。

 

「アキト―――結構辛いもんだな、人の願いを叶えるってのはよ。」

 

 目の前には、やっと辿り付いた通信室。

 終点ではないが、一つの節目ではある。

 

 ・・・ドアロックを外すのも面倒だ。

 それに、室内に待ち伏せをされている可能性も有り得る。

 

 振り上げた拳に、ディストーション・フィールドを纏い振り下ろす。

 簡単なフィールドを纏うだけなら、それ程の集中力はいらないからな。

 

      バァン!!

 

 派手な音と共に、扉が吹き飛び・・・

 同時にブラスターを構えて、警戒をしつつ素早く部屋に侵入。

 今だけは疲労も、体中を駆け巡る痛みも無視だ。

 

 そして、驚いた表情のウリバタケさんを見つける。

 よし!! 無事だな!!

 周囲を見回したところ・・・敵は存在していない。

 

 俺は安心させる為に、笑いながらウリバタケさんに話し掛ける。

 やはり、無事な姿を見ると嬉しいもんだ。

 ・・・それが、おっさんでもな。

 

「待たせたな、皆!! 

 直ぐにここを出て・・・って、何があったんだ?」

 

 その部屋では・・・

 まあ、何時もの光景があった訳で―――

 何と言うか、一気に脱力したね、俺はさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二十話 その8へ続く

 

 

 

 

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