<真実への路>


第一部 第二話「それぞれの理由(わけ)」

(3)

 私は自分の部屋で考え事をしていた・・・
 あの後・・・私達はそれぞれ呆けた表情で別れた。
 私自身気が付いたら何時の間にかセイルーンに辿り着いていた。
 リナ・・・ショックだったんだろうな。
 ミリーナさんも・・・
「ゼルガディスさん・・・一言お別れの挨拶くらいしてくれても・・・」
 ゼルガディスさんの気持ちは知っていても、つい愚痴の言葉が出てしまう。
 私には王女としての責任があった・・・
 どちらにしろあの宿からは、もう一緒に旅は出来なかっただろう。
 だからこそ・・・最後に一度会っておきたかった。
 なのに・・・
「考えても仕方ないわね。」
 そう・・・考えてもあの人の考えは解らない。
 何故ガウリイさん達と姿を消したのか? などと想像するのも難しい事だ。
 そう・・・想像をする為の要因さえ不足している。
 第一に目的が解らない。
 第二に何故私達を置いていったのか。(リナさんをガウリイさんが置いて行くなど・・・)
 第三に託宣の事を結局何も教えずに消えさった事で、手掛かりが無し。
「八方塞がりですね・・・これは。」
 ふう・・・思わず溜息をついた時に、部屋の扉をノックする音が響いた。

「では行って参ります父さん!!」
「気を付けて行くんだぞアメリア。」
「はい!!」
 元気よく返事をしながら、私は目的地に向けて出発した。
 そう私をセイルーンに呼び戻した元凶に向って・・・
 彼等の意図は解らない。
 しかし別段武力に訴える気は無いそうだ。
 そんな交渉事に王女の私が出向くのも変だが・・・
「事が事ですからね・・・早く解決しなければ。」
 私はそう心に誓いつつ旅路を急ぐのだった。

「アメリア様!!」
 不意の呼びかけに私は馬の脚を止める。
 そこにはシルフィールさんがいた。
「どうしたのですか、シルフィールさん?」
「私も連れていってくれませんか。」
 いきなりの申し出だった。
 私としても知り合いが旅の共になってくれるのは嬉しい。
 しかし・・・
「今回の私の任務をご存知なんですか?」
 この確認だけは必要なのだ。
「・・・実はフィリオネル殿下から事情を聞きまして。
 何やら胸騒ぎがしますので同行をお願いしてきました。」
 そう、もう父さんと話しはついているのか・・・
「なら私としては断る理由は無いわ。
 丁度話し相手が欲しかったのよ、宜しくねシルフィールさん!!」
 笑顔で私が話し掛ける。
「ええ!! こちらこそ宜しくお願いします!!」
 シルフィールさんも笑顔で返事を返してくれた。
 そうして、私達は共の者と一緒に目的地へと出発した。
 しかし・・・その頃セイルーンでは・・・



「・・・お主は!! 何故ここに!!」
 思わず儂は声を上げていた。
 普段は滅多に動揺などしない儂だが・・・
「・・・お久しぶりです陛下。
 実は内密にお話しがあります。」
 彼は別人の様な雰囲気で儂の前に現た。
 その隣には付き従う様に二人の人物も見える。
「何の話しをしに来たのだお主?
 それにここまで、どうやって来たのだ警備の者は・・・」
 儂の質問に彼が答える。
「失礼と知りながら・・・忍び込みました。
 それも人知れず陛下と話しがしたいが為・・・」
 ・・・違う、彼は以前の彼ではない。
 それとも、これが彼本来の姿なのか?
「・・・いいだろう儂とお主の仲だ話しを聞いてやろう。」
「有難うございます・・・実は・・・」
 彼の話しは途方も無い物だった・・・
 しかし・・・現状ではその話しを信じる事が出来た。
 何より彼の話しで、これまでの彼等の行動に納得がいく。
「・・・信じようその話し。
 しかし、お主の目的は何のだ?
 お主が私利私欲でこんな事をするとは・・・」
 そこで彼の大切な女性を思い出す。
「・・・そうか。
 お主らしいな、いいだろうその話しに乗ろう。
 今は儂一人の決断だが、セイルーンの決断として近い内に通知を出そう。」
「有難うございます・・・それではまた・・・」
 そう言って彼等は儂の目の前から消えた。
 ・・・だが、彼の選択は辛かったろうに。
 それを決断させたのも・・・
「また・・・彼女なのだろうな・・・」

 そうして彼等の旅は進み・・・
 今、彼女達の探索の旅も始まる・・・

 

 

(4)へ続く

 

<真実への路>トップに戻る