<真実への路>

 

 

第一部 第四話「再会」

 

(6)

 

 

 コンコン・・・

 

 突然、部屋のドアがノックされた・・・

 今の時間帯は、それほど遅くはないけど、人を訪ねる時間でもない。

 

 取り合えず、私は自分の服装を確かめる。

 ・・・うん、部屋着だけど運動に支障は無いわね。

 そこまで用心をする必要は、無いかもしれないけど。

 

 ・・・ここは異郷の地、でもある。

 

「はい、何方ですか?」

 

 私の質問に応えたのは・・・

 

「夜分、遅くに失礼します。

 私はこの港町の警備を統括している者で、名前はノーフィス=ラス=アイン=ブリード。

 実は、アメリア王女の同行者について、お話があります。」

 

 ・・・同行者?

 ・・・そう言えば、抜け出していたわよね。

 まあ、大人しく待つような人じゃないか。

 

 私は元気すぎる友人の事を思い出しながら、ノーフィスさんを部屋に通した。

 

 ガチャ・・・

 

「どうぞ、お入り下さい。」

 

 私が自分で部屋のドアを開けると、少し慌てた様子の銀髪の女性がいた。

 

「こ、これはどうも。」

 

「あ、気楽にして下さい。

 私はプライベートな場所では、堅苦しいのは苦手なんです。」

 

 私が苦笑しながらそう言うと。

 銀髪の女性も、苦笑しながら頷いた。

 

「じゃあ、そうさせて貰いますね。」

 

      コツコツ・・・

 

 そして、私の部屋に入ってくると、扉の横に自分の腰にあった剣を立て掛けます。

 どうやら、礼儀を大切にする人みたいね。

 

「で、何の御用ですか?」

 

 椅子を勧めながら、私がそう聞くと・・・女性は真剣な顔で、私に話しを始めた。

 

「・・・あの、リナ=インバースについてですが。

 先程、私達の包囲網を突破し、今はガウリイ様の元に向かってます。」

 

「・・・ま、彼女をそうそう止める事は出来ないわよね。」

 

 私が笑いながらそう言うと・・・

 

「確かに、私の油断でした。

 まさか、『全ての母』の力を使えるとは・・・」

 

 !!

 

 ・・・まさか、あの呪文をリナが唱えるとは思えない。

 と、なると『ラグナ・ブレード』の事ね。

 

「彼女が、それだけ特別な存在なのか・・・

 それとも、貴方達の国では彼女みたいな人物が普通なのか。」

 

「そんな訳ないでしょうが。」

 

 リナをセイルーン及び、周辺諸国の一般的な女性と考えられては困る。

 いや、迷惑と言ってもいいわ。

 

「・・・まあ、多分そうだとは思いましたが。

 でも、見事に出し抜かれました。

 流石に、あの剣を受け止める事は不可能ですからね。」

 

「で、取逃がしたと?」

 

    ピクピク・・・

 

 あ、怒ってる(汗)

 ちょ〜〜っと、からかい過ぎたかな?

 

 暫し、怒りを収めるために時間を取った後。

 彼女が本題に入る。

 

「・・・私は、彼女がどうしてガウリイ様に拘るのかを、知りたいのですが。」

 

「ふ〜ん、リナがガウリイさんに拘る理由ね〜」

 

「そうです。」

 

「・・・言うまでも、ないんじゃない?

 あの二人は3年間、本当にお互いを大切なパートナーとして生きてきたわ。

 そうね・・・羨ましい程に、ね。」

 

 あの二人なら・・・ずっと一緒に歩んでいくと思っていた。

 けど、現実は・・・

 

「共有した時間なら・・・私も負けません。」

 

 私の言葉を聞いて、彼女は強い瞳で私を睨む。

 ・・・あ、そういう事なの。

 って、私を睨んでもね。

 

「まあ・・・それは貴方達の問題だし。

 私は無関係で・・・」

 

「普通、一国の王女が未開の土地に、突然外交に来ますかね?」

 

「へ?」

 

「ガウリイ様には、あのリナが追い掛けてきました。

 もう一人の女性も、誰かを追い掛けて来たのでしょう?

 なら、貴方も・・・」

 

「ちょっ、ちょっと待った!!」

 

「ふふふふふふ・・・夜は長いですよ。」

 

 ・・・何だか、怒らせると怖い人だったらしい。

 底光りする目が、リナを私をからかうリナを思い出させる。

 

「えっと、その、あの・・・」

 

 

 

 私は結局、ノア(呼び名を教えて貰った)と一晩語り合い。

 ゼルガディスさんの事を、遂に白状させられたのだった。

 

 ・・・リナ、後で覚えておきなさいよ!!

 

 

 

 

 

(7)に続く

 

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