<真実への路>
第一部 第四話「再会」
(8)
大きく抉れた大地
未だ周囲をうろつくアンデット
周辺を覆う、死の空気・・・戦場の空気を見に感じながら・・・
あたしはここまでやって来た。
ただ―――ガウリイに会う為に。
「・・・おい」
ズルズル
「と言うわけで、アンタを取り合えずお土産にしてガウリイに面会を申し込むわ。
敵側の軍に殺されなかっただけ、幸運だと思わなきゃね。
優しいあたしに感謝するように!!」
「・・・もしかして、俺を巻き込んだのは意図的か?」
「当たり前でしょ。
あたしやミリーナを置き去りにして、とっとと新大陸まで逃げ出すなんて。
言語道断!! 問答無用!! 言い訳を聞いてあげるだけ有り難いと思いなさい!!」
襟首を掴んで運んでる、少し焦げた男にあたしはそう言い放つ。
しかし、先程まで大人しかった男は、ミリーナの名前を聞いた瞬間暴れ出した。
「ミ、ミリーナも来てるのか!!」
ジタバタ!!
周囲を見回し、ミリーナを探そうとするルークだが―――
「少し離れた処に、ね。
アメリアも港町に来てるわよ―――フレア・アロー」
ボガン!!
取り合えず、元気を取り戻したルークに呪文を一つ唱えて黙らせる。
手加減・・・はしているので、多分・・・大丈夫だろう。
この男の丈夫さを考えれば、大丈夫だと判断することにした。
黙りこんだ、先程よりさらに程よく焦げている物体を掴んで、あたしの歩く速度が上がる!!
掴んでいる物体が「う!!」とか、「がぁ!!」とかうめいているが無視だ!!
ゴスゥ!!
「おう!!」
あ、尖った岩に刺さってから大人しくなったわね?
そのまま、静かになったルークを引き摺りながら(周囲の兵士の視線が痛いけど)
あたしはガウリイの軍の本営に向かう。
最早、邪魔をしようとする人物は居なかった。
居ても、実力で排除するけど。
・・・だいたい!! あたし達がこんな苦労をするのも全部男共が悪い!!
一言も相談せずに、こんな大掛かりな戦争を始めるなんて!!
そりゃ、ハッキリと返事をしなかったのは悪いと思うけど・・・
こんな裏があるんだったら、それを先に説明してよね!!
何も言わずに、相手の考えが分かるんだったら―――人間、ここまで苦労しなわよ。
「でもよ〜、別に悪気があってガウリイの奴はお前を残して行った訳じゃないんだぜ。
時間が無かったのと、国同士の戦争にお前さんを巻き込みたくなかっただけだ」
「・・・もう一発、今度はフリーズ・アローでもくらってみる?」
「・・・遠慮しときます」
予想以上にタフなルークに呆れながらも、あたしは先を急ぐ。
別にルークの言い訳を信じていない訳じゃ無いない。
ただ、言い訳をするにしても・・・
ガウリイ本人から、聞きたかった
「すみません〜、ここの軍の将軍を一人拾ったんですけど。
王様と面会は出来ますか?」
「・・・俺の立場、台無しだな」
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