「てぇーーいッ!!」

 「甘いわっ!!」



 キィーーンッ!!  ガギィッ!!



  巨大な空間で繰り広げられる戦闘! 数の方では明らかに優位にも関わらず、

 アデュー達はリーバンが駆る”ドゥーム・スケルトン”に対し、劣勢を強いられていた!!



 「ふんッ!!」



  ドゥーム・スケルトンが持つ得物 ― 自身の身の丈程もある巨大な鎌が、アデューが駆る”リューナイト”に振り下ろされる。

 アデューは右手に持った剣でソレを防御する。だが、



 ズンッ!!



  攻撃の際に生じた衝撃までは防ぐ事が出来ず、両足を支えている床が形を無くす。

 当然ながら、アデュー自身にもダメージが降りかかった!!



 「ぐぅ!!」

 「な・・なんて力なの。このドゥームは!!」



  それを見ていた、パッフィーは驚きの声を上げる。

 リーバンの駆るドゥーム・スケルトンは想像以上の力を持っている事を、この場にいる全員が改めて痛感していた。



  例え強大な力を誇る”ドゥーム”であっても、4人がぞれぞれの特性を生かした攻撃をすれば倒せると踏んでいた。

 だが、4人の中で瞬間攻撃力が最も高い”リューナイト”の攻撃力を遙かに上回り、パーティー随一の俊敏さを誇る

 サルトビが駆る”リューニンジャ”のスピードよりも早い動きを見せ、パッフィーが操る”リューメイジ”の

 魔法攻撃すら寄せ付けない魔力を披露している。それもイズミが、仲間の力を自身が乗る”リュープリースト”の力をもって

 援護し続けているにも関わらずである。



 「だめだめだめ、弱すぎてこれじゃテストにもならないネ!!何か技の一つでも持っていないのかネ?」

 「ぐぅ!! こ・・・この!!!」



  このままでは負けてしまう事を感じたイズミは、己の力を振り絞って最後の賭に出た!!



 「アデュー! 私が最後の力で!!」



  今まで援護に力を注いでいたリュープリーストが、特攻を仕掛けた。



 「ふんっ、馬鹿な僧侶だ。力量レベルが違う事が分からんのか?」



  だが、それに怯むことなくイズミはリーバンに言い放つ!!



 「私は僧侶だ! 闇の力を恐れたり等しない!! 思い知れっ!!!」



  プリーストの右手に持ったメイスが光り輝き、スケルトンへと激突する!



 「受けよ!! 神の聖なる光りをッ!!!」

 「ぐ、グェェェェェッ!!」



  闘いが始まって、初めてリーバン ― ドゥーム・スケルトンに有効な一撃を与える事ができた。

 このイズミの捨て身の攻撃により、初めてリーバンに大きな隙が生まれる。


  勿論、これを見逃すアデューではなかった。

 直ぐさま、技の発動に入る!! 直後、リューナイトの闘氣が猛烈な高まりを見せた!!



 「リーバンッ! 人を舐めすぎたなァ!! 技を出せとか抜かしたな? 見せてやるぜ、俺の最高の剣技をッ!!」



  スケルトンは先程の攻撃が効いているらしく、まだ動きが鈍かった。

 それでも防御しようと、何らかの動作をしようとしている。

 だが、遅かった。アデューの秘剣が先に発動する!!



秘剣! 覇翔クラッシュ斬り・ドーン!!


 「グァァァァッ・・・・・・・・」



  リューナイトの闘氣を纏った超高速の突きをまともに喰らったスケルトンは、

 僅かな断末魔をその場に残し、バラバラとなって床一面に降り注ぐ!!



 「ど、どうだリーバン! 見たか”秘剣”の威力を!!」

 「アデュー・・・・」



  この時、誰しもが「勝った」と確信した。

 床一面に散らばった残骸をみれば、結果は誰が見ても一目瞭然。

 止めをさしたアデューは興奮し、又パフもある種の感動をしている。


  これで、カードを取り返せば全てが終わるはずだった。

 そう、終わるはずだった・・・・・。



  リーバンが普通の魔導士だったなら・・・・・・。


  異変に真っ先に気が付いたのはサルトビだった。



 「ま、待て、残骸が動いているぞ!?」



  床に散らばった残骸が、まるで生き物のように動き出す。

 そして、



 「フフフッ、僧侶の捨て身の攻撃には驚いたがな。まあこちらの油断もあったようだ。

  一瞬勝ったと思ったか? 思っただろう?」

 「残骸が合わさって元に戻っていくわ!!」



  倒したと思ったリーバンの声が聞こえてきたかと思った瞬間!

 残骸が一カ所に集まりだし、ある形を形成し始める。

 その形とは、パッフィーが叫んでいるように、破壊される前の”ドゥーム・スケルトン”だった!!



 「クククッ、まさかこうも上手くいくとは思わなかったネ。実の処、最初から君の技は知っていたんだヨ。
  知らないのかい? 武人のカードは秘めた魔力もさる事ながら、過去の全ての乗り手の技を全て記憶しているんだぞ!!」



  リーバンの言葉を受けたアデューは、ここに来る前にナジーが言っていた事を思い出す。




  基本的に”リュー”とカードは一対が基本なのじゃ。
 じゃが、数々の闘いでリューが失われる事も珍しくはない。その時、カード

 それまで主だった乗り手の技を記憶していく。更なる高みへと行く為に!!




 「確かに、アイツがそんな事を言っていた。だが! なんで貴様が記憶を覗けるんだ!?」

 「愚問だな。私の”力”を持ってすれば、これくらいは造作もない事!!」



  アデューの疑問を簡単にあしらったリーバンは、続けざまにこう言い放つ。



 「やはり、君達ではカードを持つ資格などないネ。

  ましてや、リューに乗る資格すらない!!」



  その言葉に比例して、カードが納めされたボディが光り輝く!!




 「己の非力さを後悔しろ!!


  秘術! 魔塵イビル流骸破・ストリームッッ!!




  スケルトンの胸部から無数の光弾が、アデュー達に向けて放たれた!

 アデュー達は既に疲労困憊で避ける事ができず、まともにリーバンの攻撃を喰らう事になる。



  その結果!!



 「なんだ、この力は!?」

 「きゃぁぁぁぁっ!?」

 「何でござる、これは!」

 「リューと我々の力が切り離される!?」



  アデュー達4人は、各々のリューから切り離され外部に放り出される。

 更には、リューを召還するキーさえも自身から飛ばされてしまった。



 「ハハハハッ!! 言っただろう? 弱すぎると、未熟者共が!!
  貴様等に聖騎士パラディン級の力が備わっていれば、リューから投げ出される事もなかっただろうにな!!!」



 バキィィンッ!!



  そう言って、足下にあるアデュー達の召還キィを踏み砕いた!!



 「ああっ、け、剣が!!」

 「これで、もうリューにすら乗れん! 諦めるのだな。さて・・・・・」



  リーバンが動けない4人を一通り見渡した後、スケルトンの大きな手が

 パッフィーに向かって伸びる。



 「では、まずこの小娘から始めようとするか」



  スケルトンはパッフィーを握り、眼前にその手を持ってきた。



 「!! 何する気だ、てめぇ!!」



  アデューを一瞥したリーバンは、事もなく言い放つ。


 「お前達は、私の召使いとして今後働いて貰う。亡者アンデッドとしてな!!」

 「ゾンビにするつもりか! 止めろーーーーーーーッ!!」



  アデューの絶叫が、部屋一杯に響き渡る!!









  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  










  ここで時間は、リーバンがアデュー達の前に現れた時まで少し遡る。

 ナジーによって張られた結界の内側に映し出された映像を、

 アキト等5人(ディア・ブロスを含めれば7人)は、固唾を呑んで見ていた。



 「アレが、リーバンって人なの? 何か感じ悪いね」



  初めてリーバンを見たレオーネは、率直な感想を言う。


 〈私もレオーネに同意見だよ。好きにはなれない〉

 《同じく、僕もあんな奴とはお友達になりたくないよ》


  二人ディア・ブロスも言い方の違いはあれど、同じ印象を持っている事を口にする。


  この映像を見るまで、俺達は直接リーバンの顔を見てはいない。

 ナジーとグラチェスから、大まかな事を間接的に聞いただけだった。


  ナジーとグラチェスに至っては、過去に1回だけ接触が合ったらしく、互いに顔は知っているという事。

 勿論、互いに”敵”としてと言う事だったが。特にグラチェスに至っては実際に戦っているらしく、

 その時は「痛み分け」と云う形だったとの事。尤も、現在の戦闘力に於いては――――――



  クイクイッ


  思考が少し深くなった処、エステルによって現実に引き戻される。



 「あ、悪い悪い。で、どうした?」



  スッ・・・・


  エステルは映像の方を指さす。見るとなにやらアデュー達とリーバンが話しをしている光景があった。

 だが、音声が小さく良く聞き取れない。そこで俺はナジーにもっと良く聞き取れるように頼む。

 すると、俺の耳にとんでもない言葉が入ってきた!!



 「・・・・あのスケルトン等が、奴の実験で犠牲になった人間達だと!!」



  俺はおもわず叫んだ。自分自身の中に抑えきれない”怒り”が生まれる!



  彼等の会話の中に於いて、彼等がいる場所が魔法の品で、起動させる為にこれまで大量の生命エネルギーを要した事。

 更には、その行為によって殺された人間を、事もあろうにリーバンが己の魔力で操っている事を話しているのだ。

 ましてや、リーバンの方に悪びれた様子など微塵もない事が、俺の怒りに拍車を掛ける!!


  俺は直ぐさま、リーバンのいる場所に駆けつけたい衝動に駆られた!

 だが!!



 「待つのじゃ、アキトよ。主の怒りもよう分かる。お主でなくとも、奴の行為は許す事はできぬ!!」

 「なら―――」

 「―――それでもじゃ、今はまだ駄目じゃ! この場は彼等に任せるのじゃ、分かってくれ」

 「くっ!!」



  ナジーの言う事は分かる。今、俺達がこの場にいるのは、彼等の闘いを見届ける為。

 でなければ、最初から俺達が動いていたのだから。でも、頭では理解していても感情はそういかないのも事実。

 それを察してか、グラチェスが俺の肩に右手を置く。



 「アキト、君の気持ちは痛い程わかります。できるなら、私も直ぐにあの場所に行きたい!!」



  俺は、グラチェスの方を向く。その顔は苦渋に満ちていた。

 更に、空いている方の手は固く握りしめられ、そこから血が滴り落ちている。


  それを見た俺は、なんとかその場に留まる事を決意した。

 無論、怒りそのものが収まった訳ではない。むしろ増している。

 だが、あのグラチェスでさえ必死で我慢しているのだ。

 俺も耐えなければいけない事を、自分に無理矢理言い聞かせた。


  その直後、リーバンはドゥームを召還し、アデュー等もリューで応戦を始める。

 それに伴い、城の周辺から漏れ出す”霧”が一層濃くなっていくのを感じていた。



 「やはり、あの霧は”ドゥーム”が生み出したものでしたか・・・・」



  グラチェスは城から流れでる霧を、苦い表情で見下している。



 「ナジー、あの霧が街まで到達する事はあるの?」



  レオーネが心配そうにナジーに尋ねる。対してナジーは

 至極真面目な顔をしてそれに答えた。



 「今のところは・・・・な。だがこれが続くようなら考えねばならぬ」

 「そ、そんな〜・・・」



  ナジーの言葉に不安そうな声をあげるレオーネ。これは、自分に迫る危機にではなく、

 近隣の街に住む住民達の事を心配するあまりに出た声だ。


  二人のやりとりの最中、アデュー達の戦闘は危機的な状況に追い込まれていた!!

 そして、決定的な場面が訪れる!!


  リーバンの秘術をまともに受けたアデュー達が、リューから放り出され
 終いには、起動キィを破壊されてしまったのだ!!


 〈アキト兄! あれじゃ、リューに乗る事できないよ!!〉

 《それよりも、彼等じゃ生身で”ドゥーム”に対抗できない!!》



  この光景を見ていた二人ディア・ブロスは、悲鳴にも似た声を上げる!!

 そして、俺の目にパッフィーと呼ばれる少女が、ドゥームに握られる場面が映り、



 亡者アンデッドになって頂く!!』



  リーバンの非情な言葉が耳に入った!!



 「ナジー、もう我慢が出来ない! 俺は行かせて貰うぞ!!」


  左手の甲にある宝玉が鈍い光りを発し、右手にカードが出現する。

 だがその瞬間!!



 キィィィィィィィィィンッ!!



  手に持ったカードが大きな音を発したのだ!



 〔どうした、ディア・ブロス? 何が起きている!?〕

 〈呼ばれているんだよ。武人のカード≠ノ!!〉

 〔呼ばれている?〕

 《そう、理由は分からないけど確かに。この音は呼びかけに対する”返事”みたいなもの。つまり「共振」なんだよ!!》

 〈これは、私たちじゃどうする事もできないんだよ!〉


  俺は、乗り手である二人レオーネ・グラチェスに視線を移す。
 すると、二人レオーネ・グラチェスカードも同様に大きな音を発していた!!



 「ナジー、これは一体?」



  普段冷静なグラチェスでさえ、この現象は理解できなくナジーに問う。

 すると、ナジーはいつもの笑みを浮かべ、



 「どうやら間に合ったようじゃな、よく見ているがいい」



  視線を映像に移す。それに釣られるかのように俺達も映像に目を向ける。

 そこには信じられない出来事が映し出されていた!!









  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  










  リーバンがスケルトンの力を用いて、パッフィーから生命力を奪い取ろうとしたその瞬間!!



 ブシュゥゥゥゥー!



 「どういう事だ? 何故”力”を放出する!?」



  ドゥーム・スケルトンは突如、蓄えていた”力”を放出し始めた。

 それに伴い、ある音が周囲に広がる。



  キィィィン、キィィィン、キィィィン



 「な、なんだこの音は? 共鳴音? 一体何に・・・、まさか!?」



  そこまで言いかけたリーバンは、ハッとなりある物体等を凝視する。

 それは・・・・・


 「これは、リューか。此奴等のリューが、私のカードと共鳴しているとでもいうのか!?

  くッ! このままでは制御できぬ。魔力回路を閉鎖! 出力をカットだッ!!」



  突然の事態にアデュー達も戸惑っていた。だが、先に我を取り戻したのはアデューだった。



 (動きが止まった! チャンスだッ!!)



  残る力を振り絞り、パッフィーが握られているスケルトンの手へと飛びつく。

 そして、スケルトンの手からパフを解放しようと、指をこじ開ける為腕に力を込める。


  当然の事ながら、阻止しようとリーバンもスケルトンを動かそうとするのだが、



 「く、くそッ。出力を上げれば暴走する! かといってこのままじゃ生命力も吸いとれんわっ!!」



  思うように動かす事ができずに、アデューを振り落とせないでいた。

 その状況の中、一人の男が助太刀に入る!!



 「アデュー! 姫をたのむぜ!!」



  サルトビが今できる最高の動きで、スケルトンの懐に進入した。右手に一本のクナイを携えて!



 「き、貴様ぁッ!!」

 「へッ!! バケモノめ、見てろよ。」



  そういって、クナイの狙いをある一点へと定める。



 「このカードさえ引き剥がしさえすりゃあよッ!!」



  寸分の狂いなく、振り下ろされたクナイはその役目を果たし、

 スケルトンの胴体から目的のモノを引き剥がす事に成功する!!




 バシュゥゥゥッ!!




  轟音と共にスケルトンからは、カードと制御しきれないエネルギーが溢れ出た!!

 と同時に、パフを拘束していた手の力が緩み、パフは地面へと落下する。

 だが、床への激突の寸前にアデューが抱きかかえ事なきを得た。



 「大丈夫か、パフ!?」

 「・・・はい、何とか・・・。ゴフッ、ゴフ・・・」



  助け出されたパフは、アデューの声に弱々しくも、はっきりとした返事を返す。

 アデュー、サルトビ、イズミはホッと胸をなで下ろした。


  だが、それも束の間。危機的状況は依然として変わっていない事を全員が感じている。

 事実、



 「ぬぅぅぅ・・・、やってくれるわ・・・」



  カードを剥がされたにもかかわらず、ドゥーム・スケルトンが動き始めようとしていた!!



 「だが! 状況は一つも変わらんねェ!! 否、カードを剥がしてくれたお陰で、暴走も止まった!!

  既に貴様等のリューは動かす事すらできんのだ!! これ以上何が出来る!?」



  リーバンの叫びと共にスケルトンは、完全に再起動を果たす!!

 もやはこれまでかと思ったその瞬間、一際大きな音が空間一杯に響き渡った!!




 キィィィィィィィィィンッ!!




 「何故だ? 剥がされたカードの音が止まんのだ!? それどころか、かえって強くなっているぞ!!」



  剥がれたら止むと思っていたのが止まず、逆に強まっている現象にリーバンは軽いパニック症状に陥っていた。

 だが、逆にパッフィーには今起きている現象が何なのか、理解し始めていた。

 そして、自分を抱きかかえているアデューに驚くべき事を語る!!



 「ア・・・・アデュー、反撃はこれからのようです!」

 「パフ?」



  パッフィーの言葉は、動揺しているリーバンに更に追い打ちを掛けた。



 「は、反撃だとォ!? なんだこの小娘がふざけた事をッ!!」



  だが、次に起きた現象により、パッフィーの言葉が正しかった事が全員に示される!!



 カッ!!



 「げェッ!! カードが4枚に分かれた!?」



  今まで激しい音を発していた武人のカード≠ェ眩い光りを発したかと思うと、

 次の瞬間には、同じ型のカードが4枚出現していた。そしてアデューの驚きを余所に、分かれたカードは、

 4機のリューの元へと飛来する!!

  あたかも、何かの”力”に導かれるかのように・・・・・・・。


 それを見ていたイズミはポツリと言う。



 「これは・・・、我々のリューと同調したのか!?」



  イズミの呟きは誰に言った訳でもない。だが、その呟きはリーバンの耳に

 何故かもの凄く鮮明に聞こえてきた。そして、これまでで最大の動揺を見せる。



 「くッ!! リューの共鳴はこの為だったのか!? 壊されたアイテムより、遙かに魔力の強いカードを起動キィにするつもりだな!!
  おのれリュー共ぉ! よくも、こここの私のカードをーーーッ!!」



  それぞれのリューの元へと飛来したカードは、リューとの同調を一瞬で終えると、

 それぞれの担い手の元に収まった。


  そして、受け取ったアデューはカードをリーバンにかざして、



 「何、抜かしてやがる! 見ろ! カードもてめえなんぞに使われたくないってよ!!」



  誇らしげに言い放つ。



 「き、貴様ーーーッ!!」



  激昂したリーバンは、スケルトンの巨大な鎌をアデューに振り下ろそうと駆け寄ってくる。

 だが、それよりも早く、アデューはカードを上空に掲げ叫ぶ!!




 「いくぜ! 相棒ッ!!」




  掛け声と共に、アデュー達は再び己のリューに乗り込んだ。

 すると、今までにない程の強大な力がリューから流れ込んでくる。

 その力によって、今まで失われていた体力が回復しただけではなく、

 自身の能力までもが増大していくのが感じられた!!




 「どうだァ、リーバンッ!! 見違えるようだぜこの力!!」



 「! 〜ッ!! 許さん、この世から消し去ってくれるわッ!!!」



  大鎌を振りかざし、リューナイトに猛進してくるスケルトン!

 応じてアデューも突進するする!! だが、リーバンの攻撃はアデューに届く事はなかった!!




 パァッ!!

         ドギャアッ!!




 「な、何ぃッ? 魔力の障壁バリアーだとッ!? ぬぅっっ!!」

 「どうした? そんなモン効きはしないぜ!!」


  突如としてリューナイトの周囲に発生した魔力盾シールドにより、スケルトンの攻撃が遮断される!

 アデューもこれを見越して、防御せずに突進をしていた。その為、スケルトンの方が僅かに後退させられる!!


 「その通り! バウルスリュー・プリーストの援護の力も増大している!!

  そう簡単に破られたりはしないッ!!」



  リーバンの秘術を喰らう前も、イズミはありったけの力で全員に援護の力を与えている。

 だが、強大な力の前には、紙切れ同然と言っていい程の代物に過ぎなかった。

 それが、新たな力を得た事により、防げなかった攻撃も防げるようになったのだ!!



 「ひッひひッ! 笑わせるなガキどもが!! 少々パワーアップしたぐらいでいきがるなぁーーーッ!!!」





  思わぬ出来事により、各々のリューと再び一緒に戦う事ができるようになったアデュー達!
 更なる力カードを得て、リーバンとの最終決戦が開始されようとしていた!!




 果たして、闘いの先に待っているモノとは・・・・・・・・・。








第参幕