・・・ここは機動戦艦ナデシコ内、〔漆黒の戦神〕テンカワ・アキトの部屋。

それは、某同盟の人達にとってはサンクチュアリ(聖域)であり・・・。

某組織の人達にとっては鬼門(北東の方角の事で、縁起が悪い方角)となっている。

 

 ここに入れるのは、数少ない中立の人間(代表はナオとかシュン提督)だけで、

今その聖域に、大人数の男女が集まって何やら話し込んでいた。

 

「・・・マイト、そろそろ元の時間に帰らないと色々厄介な事になる。

 師匠(未来のアキトの事らしい)に頼まれた。 もう充分楽しんだだろ?」

 

「へっ、未来の父さんが? そうか・・・じゃあ、そろそろ帰らないとな・・・」

 

 ・・・某FFVIIIの主人公にそっくりな青年が寝転がったまま、

同じく隣で寝転がっているこれまたアキトそっくりな青年に話し掛けた。

 

「どうでもいいけどさ、二人とも」×この部屋いる人全員

 

「「ん?」」

 

 二人を除く全員が、呆れた様にその様子を眺めている。

 

「「どうしたの(どうした)?」」

 

「・・・アテナちゃんとリノアちゃんに、耳かきしてもらいながらそんな事言っても、緊迫感も説得力もへったくれもないよ・・・(汗)」

 

「もうっ、動かないでよマイト。 手元が狂って危ないじゃない」

 

「スコ−ル、右耳終わったよ−っ。 今度は左耳ね(はぁと)」

 

 ・・・すっかり、新婚生活になれているマイトとアテナ、そしてスコ−ル(マサユキ)とリノア(ユリナ)の四人だった(笑)。

 

 

 


 

機動戦艦ナデシコ・時の流れに外伝

ナデシコであった、本当に怖い話Vol.09

未来より来たりし厄災、あるいは幸せの予兆 − その5 − 

妻をめとらば・・・

 


 

 

「・・・今までいろんな事があって聞けなかったんだけどさ、マイト。 木連との戦争は、どういう風に終結したんだ?」

 

「ああ、それ? いままでExcaliberが考えてなかったんだけど、

 俺達の時代の教科書には、地球と木連との間に第三勢力が出来たんだ。

 その御陰で早急に講和が成立したって載ってるよ」

 

 ソファに腰掛け、お茶を啜りながら尋ねるのはテンカワ・アキトで、

耳掃除が終わり、床に直接寝転って煎餅を食べながら答えるのは、彼の未来の息子のテンカワ・マイトである。

・・・実はこの二人、一卵性双生児レベルでそっくりなので、わざわざマイトはアキトと間違われないように伊達メガネを掛ける程だ。

 

「第三勢力? ・・・某同盟と某組織の争いなんじゃないのか?(汗)」

 

 お茶菓子の甘納豆を食べながらお茶を啜るのは、ヤガミ・ナオその人だ。

ナデシコ内で数少ない中立派の彼は、こうやって時々アキトの部屋に出入りして遊んでいたりする。

ちなみに、アテナの父親でもあったりする。

 

「お父さん、某同盟と某組織って何なのよ・・・(大汗)。

 それはそうと・・・第三勢力っていうのは、所属不明の機動兵器だったみたいよ。

 木連が地球に攻め入った時、謎の機動兵器が全ての機動兵器を破壊したの。

 その機動兵器を恐れた両軍は、謎の勢力に対抗するために結束したのよ」

 

 オオボケかましている父親に、大汗垂らして突っ込むアテナ。 ちなみに彼女は、まだマイトに膝枕をしてあげていたりする(爆)。

 

「うん、そしてその謎の機動兵器は、ボソンジャンプで何処かに消えたんだよね。

 学校で習ったよ。 確か、ずっと前にテストに出たよね、スコ−ル?」

 

「・・・お前、そのテストは間違いだらけで赤点だっただろうが(汗)。 大体、何時も俺がノ−ト見せているのに、何で間違えるんだ?」

 

「あたしは理系だもんっ! いざとなったら永久就職するし!!」

 

 ・・・相変わらず、いちゃついてバカップルやっているのは、

ハヤマ・カズマサ(愛称スコ−ル)、そしてムラサメ・ユリナ(愛称リノア)である。

・・・遺伝子操作によって生まれたこの二人、例に漏れず頭がいいのだが、何故かリノアは社会、特に公民と歴史が苦手だった。

 

 ・・・なるほど、だから一般常識が無いんだな(笑)。

 

「一理ありそうだな、それ。 話を続けると、だ。 結束した両軍はそのまま講和を結んで停戦したんだよな。

 木連でも反戦争思想が広がってたから、和平派は大助かりだったと思うぜ?」

 

「じゅ、十郎太が、真面目な意見を・・・(驚愕)。 あ、明日は槍でも降るかしら・・・?」

 

 リノアの話を引き継いだのは、未来の三郎太と三姫との間に生まれた十郎太で、

十郎太の科白に驚愕しているのは、彼とは友達以上恋人未満の関係であるシルフィ−ヌ・レインフォ−ド(愛称シルフィ)である。

普段彼はナンパなどに勤しんでいるため、真面目な歴史の話が出来るとは

思わなかったらしく、驚愕の表情を浮かべているシルフィであった(笑)。

 

「ま、今じゃ地球連合も木連と仲良くやってるしね。 遺跡に関しては手出しせず、ボソンジャンプは共同研究する事で合意したんだ」

 

 最後に、アテナに膝枕をしてもらっているマイトが話を締め括る。

 

「「・・・草壁と北辰は、どうなったんだ?」」

 

 押し殺した声で、木連トップの草壁と暗殺者北辰の事を尋ねるアキト、ナオの両名。

アキトとナオの二人にとって、この二人には何度も戦いを繰り広げたために、先が気になるのだろう。

 

 ・・・個人的に言わせてもらえば、草壁は○ウムの○原で、

北辰は映画〔ハンニバル〕のハンニバル・レクタ−といったところだろうか?

○原は自己中心的だし、ハンニバル・レクタ−は殺人嗜好者だしなぁ・・・。

 

「・・・元木連中将草壁春樹は、今回の戦争の最重要戦犯として公開処刑。

 あと、北辰は・・・北斗母さんとの最後の戦いに敗れて、命を落としたよ・・・」

 

「「そう、か・・・」」

 

 溜め息を付きながら、小さく呟くアキトとナオの両名。

いくら敵とは言え、命を落とすというのを聞いては、やり切れない気持ちになる。

 

「そういえば、確か今日じゃなかったっけ? 謎の機動兵器が現れたのは?」

 

「あ、そういえば・・・」

 

 

 ズズ−ンッ!

 

 

 マイトとアテナがそこまで言った時、激しい横揺れがナデシコを襲う。

そして、それと同時に鳴り響く警報、開くウィンドウ。

 

「・・・行くか、アキト」

 

「そうですね、ナオさん」

 

 言うが早いか、部屋から駆け出していくアキト、ナオの両名。

 

 その姿は気のいい父親ではなく、まさしく漆黒の戦神と超一級諜報員の姿だった。

・・・最近のナオさんはギャグキャラとなりはててしまっているが、一応彼は超一流の諜報員なのだ。 ・・・信じられないけど。

 

「じゃあ、俺達も行くか」

 

「そうね(ああ、うん、ええ、そうだな)」

 

 目配せをしてそれぞれ頷き合うと、マイト達もアキト達の後を追うために急いで駆け出し始めた。

 

 

 

「ルリちゃん、状況は?」

 

「はい、十時から二時の方角まで、木連の機動兵器がウジャウジャいます。

 ・・・マジン、テツジン、そしてダイテツジンの姿を、確認しました。 恐らく・・・旧草壁派・優人部隊の人達ですね」

 

 ナデシコ艦長ミスマル・ユリカは状況確認をすべく、

すぐ近くに座っているナデシコメインオペレ−タ−であるホシノ・ルリに尋ねる。

そして、これでもかっていうくらい冷静な声で答えるルリ。 ・・・ある意味、彼女は物凄く達観していた。

 

「・・・これはちょっと、キツイかもね」

 

「ラピスママが弱気だなんて、初めて見たよ・・・」

 

「・・・(コクリ)」

 

 そう呟くのは、ラピスの娘であるカスミとルリの娘であるミルの二人だ。

 

「あ、ミルも〔私も同意見です〕って言っています。

 そういえば、一応ナデシコのサブオペレ−タ−はもう二人いるんですが・・・。

 ミ−シャさんはともかく、ハ−リ−君は全くといっていいほど役に立ちませんね」

 

 あの、シルバ−フォンでも無いと聞き取れないミルのか細い声を、

聞き取れる様にまでなったルリが通訳する。 短時間で、いったいどうやって・・・。

 

母の愛は偉大なのです(ポッ)」

 

「・・・それは聞き捨てなりませんわね、ルリお姉様。 ハ−リ−さまの何処が不満と言うんですの?(怒)」

 

「どうせ僕なんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

と、これは先日新たにナデシコに配属されたミ−シャ・アレクサンドリア、

そして、泣く子もだまる風雲児、ハ−リ−君ことマキビ・ハリである。

 

 ・・・流石に戦闘開始寸前なので、何時もの様に走り去ったりはしないが、年上の面目丸潰れである(笑)。

 

「・・・そんな事ばっかやっているから、そう言われるのよ、ハ−リ−君(汗)。

 まあ、それはともかく・・・アキト達に連絡した、ミチルちゃん?」

 

「バッチリ! そろそろみんな来ると思うよ、サラお母さん」

 

サラの声に、グッと親指を突き出すのはテンカワ・ミチル、メグミ・レイナ−ドの未来の娘だ。

たまたま今回は、メグミと交代していたのだ。 ちなみに、当のメグミは自室でオヤスミ中である。

 

「あらあら、今日は大漁ですねぇ」

 

「すごいね−、メイナおね−ちゃん。 たくさんいるね−」

 

今日のキャベツはおいくら?みたいな感じで呑気に喋っているのは、サラとアリサの娘であるメイナとイ−ナ。 

 

「パイロットの皆さんは・・・今集まりましたね。 戦闘は各自の判断に任せます。

 みなさん、戦って戦って戦い抜きましょう!! ・・・どこかの誰かの未来のために!!

 

「・・・何かガンパレみたいですね」

 

 ユリカの隣では、ユリカに瓜二つな容姿を持つ娘、アイカが冷静に突っ込んでいた。

・・・冷静に突っ込んでいる場合か、アイカ(汗)。

 

「へっ、ちょうど退屈してたんだ。 いいストレス解消だぜ」

 

「そうですね、リョ−コ」

 

「うんうん」

 

「鬱憤・・・うっぷん・・・誘惑するとき・・・そりゃうっふん・・・(極寒)。 くくく・・・イイ、スゴクイィッ」

 

 それぞれ上から、リョ−コ、アリサ、ヒカル、イズミの順である。

こんな時でもギャグを考えているイズミ。 ・・・ある意味立派だ。 ・・・岩田化しているのは、御愛嬌。

 

「ふう・・・。 やっと僕にも、まともな出番が来たよ。

 Vol.7とVol.8ではアイカくん達に殺されかけたりと、本当に踏んだり蹴ったりだったからね」

 

 感慨深げに呟くのは、元大関スケコマシでキザロンゲなアカツキ・ナガレである。

そうだよなぁ、アイカ達三人に殴られたり切られたりとハ−ドな出番だったしね。

 

「俺達も、バックアップで出ます。 北斗母さんも、そのうち来ると思うし。

 そしたら、たぶん父さんは北斗母さんの相手で手一杯になるだろうしね。

 俺、アテナ、アイカ、マトイの四人は機動戦、・・・メイナ、イ−ナ、アズサ、ピュア、スコ−ル、リノア、

 十郎太、シルフィ、そして裕香の九人は、ブリッジ要員の護衛だ」

 

「はいっ(おうっ、うんっ、ええ、etc.)」

 

 マイトの指示を聞き、頷く一同。 ちなみに、リョ−コの娘であるアズサと

レイナの娘であるピュアの二人は、ジャンプでブリッジに跳んできていた。

 

「ちょっと待ってよ、マ−くん。 何であたしがブリッジ要員の護衛で、アテナさんがマ−くん(マイトの事)と一緒に機動戦なのよ!

 アタシだって、〔グリ−ン・ビショップ(緑の僧侶)〕持ってきたんだからね!!」

 

「裕香殿・・・そう言って、ずっと前にグリ−ン・ビショップを大破させ、莫大な修理費用が掛かったのをもう忘れたのですか?(汗)」

 

「う゛っ・・・(汗)」

 

 マイトの科白に反論しかけたのは、東・舞歌の娘である東・裕香で、

冷静に突っ込んでいるのは、もう一人の戦神である北斗の娘、マトイだ。

・・・実は、彼女が一番テンカワ・シスタ−ズの中でまともだったりする(苦笑)。

 

「よし、配置もだいたい決まったみたいだし・・・行こうか!」

 

「おうッ!!」×パイロット達全員

 

 アキトの掛け声に、駆け出そうとするパイロット達だったが・・・。

 

「あ、ちょっと待って」

 

 ・・・アテナの科白に、全員がコケる。

 

「マイト・・・。 私が出るってコトは、やっぱりアレやるの・・・?(赤面)」

 

「・・・しかたないだろ、サイクロンと一番相性がいいのはお前なんだから(赤面)」

 

 心持ち、頬が赤いマイトとアテナの両名。 ・・・何故だろう?

 

「あ、お兄ちゃんとアテナお姉ちゃん、アレやるんだ」

 

 カスミの目が、面白そうに笑っている。 もちろん、他の姉妹達もだ。

 

「アレ?」×テンカワ・シスタ−ズと裕香達を除くブリッジにいる人全員

 

「見てればわかるよ。 ・・・でも、ナオおじさんには刺激が強いかも・・・」

 

「・・・何で、オレには刺激が強い・・・!?」

 

 不思議そうなナオの科白が、途中で止まる。 何故なら・・・。

 

 

 

 

 

 

マイトとアテナが、ブリッジのド真ん中でキスを始めたからだ(爆)。

しかも、マウストゥマウス(要するに、口と口)である。

 

 

 

 

 

 

「・・・もしもし? あなた達、今何をすべきかわかっているんですか・・・(怒)」

 

「「うわぁ・・・大胆・・・(ポッ)」」

 

「・・・・・・(妄想中)」×4

 

 何故か怒りに震えている、ルリ。 どうやら、焼き餅を焼いているらしい。

ユリカとラピスは、顔を真っ赤にしながらもジックリと観察しているし(笑)、サラ、アリサ、リョ−コ、エリナの四人に到っては、

自分と置き換えて見ているため、アッチの世界に片足突っ込みかけている(爆笑)。

 

 

 

 

・・・ナオなんか、マジでブチ切れ五秒前だ(大爆笑)。

 

 

 

 

〔か、母さま達、何もあれは見せつける為じゃないんですよ(汗)。 ナオおじさま、落ち着いて下さい(大汗)。 ちゃんと意味がある行為なんです〕

 

とウィンドウ越しに説明しだすのは、ナデシコ一エキセントリックな科学者なイネス・フレサンジュの娘、ヒサメである。

 

〔アテナ姉さまの能力は対象の能力を複写・・・つまりコピ−出来る事なんです。

 ですが、この能力を使うには対象と、えっと・・・その・・・せ、接吻(爆)をしなければいけないんです・・・(顔真っ赤)〕

 

 顔を真っ赤にしながら説明するヒサメ。

やはり科学者でも、ラブシ−ンを見ながら説明するのは恥ずかしいらしい(笑)。

 

「ア、アテナ、ちゃんと能力コピ−出来てるかどうか、テストしてみろよ(赤面)」

 

「え、え、ええ(赤面)」

 

 頬を真っ赤にしながら、目を瞑って集中し始めるアテナ。

アテナ自慢の長い栗色の髪が、ゆっくりと空中に舞い上がり始める。

・・・次の瞬間、彼女は銀色の光を体に纏っていた。

 

「こ、これって・・・武羅威・・・!? アテナちゃんまで・・・。 しかも、この色はマイトの昴気の色だ・・・」

 

 ブリッジにいる全員は、声が出ない。 普通の女の子だった彼女が、いきなり武羅威になったのだ。 これで驚かない方がおかしい。

 

「そろそろ格納庫に行くぞぉ! 向こうはそんなに待ってはくれないんだぞ!!」

 

と、シリアス空間の空気を見事にぶち壊すのは、ダイゴウジ・ガイという

ソウル・ネ−ムを持つ男、ヤマダ・ジロウその人だ。

 

「・・・アンタって男は、場の空気の流れってモンが読めんのかぁッ!!」×全員

  

 

 ゲシッ!!

 

 

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!?」

 

 ナデシコクル−全員に足蹴にされ、目を回して気絶するガイ。 この男は、これくらいの出番しかないのだろうか・・・?

 

「・・・それじゃ、俺達はジャンプで先に行かせてもらうよ」

 

 その言葉と同時に、ブリッジから消えるマイト、アテナ、マトイ、アイカの四人。

 

「そ、そうだった、早く格納庫に行かなきゃ・・・」

 

 急いで格納庫に走っていくリョ−コ達を追い掛けるべく、走り出したアキトだったが・・・。

 

「・・・後でゆっくりと、将来についての話をしような、アキト。 ・・・マイトにも、伝えとけよ・・・(ニッコリ)」

 

という、無駄に爽やかなナオの科白(with凄まじい怒気)を聞いて、背筋に悪寒が走るアキトだった(笑)。

・・・娘をマイトに取られるのが、そんなに悔しいのかナオさん・・・(笑)。

 

 

 

「しかしまぁ・・・よくこんなにウジャウジャと集まったもんだな」

 

「向こうも必死みたいだしね−」

 

「必死・・・ひっし・・・ひっし・・・。 くっ・・・思い浮かばないわ」

 

「うおおおおおおおおッ! やっと活躍の機会がやってきたぜェッ!!」

 

「ま、死なない程度に頑張りますか」

 

「・・・不謹慎ですよ、アカツキさん」

 

「ううっ・・・出番が少ないです、ユリカ先輩・・・(泣)」

 

 ・・・上の科白群は、ナデシコが誇るエ−スパイロット達七人の物である。

この科白だけでどれがどの人だかわかる人、ナデシコマスタ−です(笑)。

 

 

 ドガッ!

 

 

「ほらほら、よそ見してると危ないよ?」

 

「そこです!」

 

 次々と襲いかかる機動兵器の群れを、巧妙なチ−ムプレイで撃破していくのはアカツキとイツキの二人のコンビ。

 

「雑魚に用はないんだよッ!!」

 

「私に勝とうなんて、十年早いんですよ! 出直して来なさい!!」

 

 ズズ・・・ン・・・

 

 カスタム・エステバリスの中でも、一、二を争う攻撃力を持つリョ−コとアリサのエステバリス〔マルス〕と〔ルナ〕の二体は、

文字通り敵を全滅させそうな勢いで暴れている。 ちなみに二人の撃墜数はともに二十機で、銀剣突撃勲章確定だ(笑)。

 

 

 ドガッ!!

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉッ! ガイ・ハイパ−ナックル!!」

 

「張り切ってるね、ヤマダ君!」

 

「張り切り・・・はりきり・・・腹切り・・・。 いまいち落ちないわね・・・」

 

 こちらは和気あいあいと戦っているガイ、ヒカル、イズミの三人。

久し振りに戦えるとあって、張り切っているガイであった。

 

 ここまでは、ナデシコが誇る七人の侍・・・ならぬ七人のエ−スパイトットの活躍。

 

 

ギャイィィィィィィィィィィィィィッンッ!!!

 

 

「ふッ! 俺の魂の飢えを潤してくれるのは、お前だけだッ! アキトッ!!」

 

「そいつは光栄だな、北斗!!」

 

 DFSとDFSとがぶつかり合い、凄まじい程の衝撃波が発生する。

その発生源とは・・・御存知の通り、北斗とアキトの二人である。

二人の攻防はまるで剣舞でも舞っているかのようで、動きに全く無駄がない。

 

 ちなみに、何故ここに北斗がいるかというと、舞歌率いる優華部隊の、草壁派優人部隊の説得のためである。

・・・まあ、北斗はアキトと戦いたいがためにここに来たと言っても過言ではないが。

動く火薬庫だもんなぁ、この二人(笑)。 しかも、過少評価だし(苦笑)。

 

「う−ん・・・さすがは父さん達だ、体の動きに全く無駄がないなぁ。

 ・・・さて、父さん達の戦いを邪魔するわけにもいかないし、周辺宙域の掃除でもしようか。 頼んだぞ、アイカにマトイ」

 

「はい、兄さん」

 

「承知しました、兄上!」

 

 マイトが二人に指示した瞬間、後方から高出力のレ−ザ−が飛来し、

後方で隙を窺っていた機動兵器は一瞬の内に破片と化した。

 

「私はサイクロン(台風)で三人が取りこぼした敵を片づけるわ! バックアップはまかせて、みんなは暴れてきて!!」

 

〔おう、まかせとけマイト。 アテナは俺が全力でサポ−トするぞ!〕

 

「サンキュな、アテナにスコット。 そろそろ三人共・・・いくぞッ!」

 

 アテナとサイクロンメインA・Iであるスコットが返事をしたその瞬間

ブロ−ディア・カスタム、通称〔ホワイト・エンペラ−(白き皇帝)〕の目に、淡い金色の光が瞬く。

それは、ホワイトエンペラ−の体に生命が宿った証拠だ。

 

「テンカワ流剣術二刀流! 武神舞王剣・参の型、〔流星〕!!」」

 

 

 ドウンッ!!

 

 

 マトイのその叫びと同時に、一度に何体もの機動兵器が爆発四散していく!

・・・二本のDFSを十文字に組み、回転しながら一気にトップスピ−ドで突撃するこの技の由来は、

その姿が流星または彗星を思わせるから、らしい。 その代わり、パイロットに凄まじいまでのGがかかるので、あまり多用は出来ない。

 

〔マトイ、三時の方向に敵機動兵器の反応があります。 ・・・どうにかして、戦闘を回避できないものでしょうか?〕

 

 そうマトイにウィンドウ越しに話し掛けるのは、レッド・ロイヤルガ−ド(赤き近衛騎士)のメインA・Iのエルキィだ。

彼(?)は、争い事が嫌いで、無駄な戦いは避けたいと常々思っているのである。

 

〔無理だってば、向こうはこっちを殺す気で来ているんだから。

 それにさ、エルキィ。 ・・・このままコイツらを放っておいたら、全宇宙に混沌が訪れるんだよ?〕

 

「・・・それは私も同感ですね、パヴァ。 草壁春樹を放っておいては、地球に真の平和がやって来ませんからね」

 

 

 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

 

四方八方にガトリングガンの銃弾小型ミサイル120ミリレ−ルガン、はては粒子加速砲までぶっ放しながら、

アイカは自分の愛機であるブル−・マジシャン(青き魔術師)のメインA・Iであるパヴァの言葉に頷く。

そのブル−・マジシャンの周辺は、機動兵器の残骸だらけであった(汗)。

 

〔それに、こんな風に暴れられるなんて、ひさっしぶりだもんね−。 やっぱり、もっとあばれたいし−♪〕

 

「・・・久し振りに真面目な事を言うなと思ったら、そんな事を考えてたのね」

 

 パヴァの科白に、呆れたように呟くアイカ。

まあ、彼女が考えている事も、実際それほど大差はない。

〔眠れる青い獅子〕の二つ名にある様に、彼女は戦う事を誇りにしているのである。

・・・ユリカの子のはず、なんだけどなぁ・・・確か・・・(汗)。

 

「全く、自分達の実力をもう少し自覚してから俺達に挑戦してほしいよ・・・」

 

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

 

 マイトの放ったグラビティ・ライフルの一撃が、数百体もの無人兵器を巻き込んで宇宙の彼方へと消え去っていく。

さすがはブロ−ディアのカスタム、それくらいの芸当は簡単にやってのける。

 

〔マイト、あなた実戦は二回目だったわよね?〕

 

 ホワイトエンペラ−メインA・I、シルビアが呆れたような呟く。

・・・カエルの子はカエルという諺があるように、やはり親子の血は争えない物らしい。

 

「・・・ずっと前みたいに、ブリッジの方に敵が乗り込んでこなきゃいいけど・・・」

 

 シルビアが示す敵機情報に、的確に反応しながらマイトは独りごちる。

この悪い予感が、はずれてくれるといいんだけどな、と思いながら・・・。

 

 

 

「そうはいかないんだよなぁ、やっぱり。 そう思わないか、カズマサ?」

 

「誰に向かって説明しているのかわからんが・・・同感だな。 ・・・それと十郎太、俺の事はスコ−ルと呼べと言っているだろう」

 

 ブリッジでは、十五人もの(!)編傘連中が折り重なるように倒れていた。

・・・これら全て、テンカワ・シスタ−ズと十郎太達五人の活躍によって倒されていたりする。

 

「でも、すごかったわ・・・。 みんな強いのね・・・」

 

 感心したように、または呆れたように呟くのはナデシコで数少ない良識人であるハルカ・ミナトその人だ。

 

「テンカワ・シスタ−ズと名乗るのは、伊達じゃないわね・・・」

 

 その隣では、ネルガル会長秘書であるエリナ・キンジョウ・ウォンが

放心したように呟いており、先程あった出来事をもう一度思い出していたのだ。

 

 

「・・・そろそろ、ヤツらも来る頃だな」

 

「ああ・・・」

 

 

 ドッガァァァァァァァァンッ!

 

 

 それぞれの獲物を構えたスコ−ルと十郎太が静かに呟きあった瞬間、ブリッジの自動ドアは音を立てて吹っ飛んでいった。

 

「・・・皆の者、油断すまいぞ」

 

「「悪い(けど/が)、そいつが油断(なんだよ/だ)」」

 

 

 シュンッ!!

 

 

 一番先頭に立っていた編傘が気を引き締めた時に襲いかかる斬撃。

スコ−ルと十郎太の二人は既に行動に移っており、一気に間合いを詰め、切り裂く。

先頭の方にいた二人が、ゆっくりと床に倒れていく。 ・・・卑怯だ(汗)。

 

「「あんた達、卑怯よ」」

 

 

 ヒュンッ!!

 

 

 リノアのブラスタ−エッジが空を切って相手に切り傷を負わせれば、

シルフィの鞭もまた相手の首に巻きつき、呼吸困難に陥らせる。

・・・人の事言えた義理じゃないだろうが、アンタらも(汗)。

 

「まったく・・・同胞とは思いたくないわね」

 

 さりげなく、得意の弓で援護射撃しているのは祐香だ。

もちろん、その矢尻の先には象でも一撃で仕留める猛毒が塗られている(汗)。

・・・味方に当たったら、どうするつもりなんだろうか?(大汗)

 

「だいじょ−ぶだいじょ−ぶ、スコ−ルと十郎太の二人は殺したって死なないから。

 そうそうミチルちゃん、そろそろ何時ものお願いね」

 

「は−い!」

 

 祐香の声に、すぅとミチルは大きく息を吸うと、誰をも魅了する声で歌い始める。

彼女の〔Angel Voice(天使の歌声)〕という二つ名は伊達じゃない。

もちろん、彼女がこれから歌う歌とは・・・。

 

「・・・その心は闇を払う銀の剣」

 

 ・・・そう、歌ったが最後、敵味方撤退出来なくなるあの魔性の歌だ(笑)。

ここぞという時に歌いたいが、歌わないで欲しい時に歌われたら最悪である(苦笑)。

 

「絶望と悲しみの海から生まれ出て(メイナ)

 

「戦友達の作った血の池で、涙で編んだ鎖を引き(ピュア)

 

「悲しみで鍛えられた軍刀を振るう(アルナ)

 

 ・・・いつの間にか、他のテンカワ・シスタ−ズも声を揃えて歌い出す。 さすが姉妹だけあって、連携はバッチリだ。

 

「どこかのだれかの未来のために(アズサ)

 

「地に希望を、天に夢を取り戻そう(カスミ)

 

「我等はそう、戦うために生まれてきた(ヒサメ)

 

 アズサ、カスミ、ヒサメの三人も、顔を見合わせて微笑みあうと彼女達も他の姉達に併せて歌いだす。

 

「そうよ未来はいつだって、このマ−チと共にある(ミル)

 

「私は今一人じゃない、いつどこにあろうと共に歌う仲間がいる(イ−ナ)

 

 普段は蚊の鳴く様な小さな声で話すミルが大きな声で歌うのを、

イ−ナは初めて見たような気がしたが(笑)、驚きを隠して歌を綴っていく。

 

「死すらも超えるマ−チを歌おう(キャル)

 

「時をも超えるマ−チを歌おう(リノア)

 

「オ−ル・ハンドトゥ・ガンパレ−ド(全軍抜刀・全軍突撃)!(シルフィ)

 

「どこかの誰かの未来のために(祐香)

 

〔マ−チを歌おう!〕×全員

 

 ・・・歌が佳境に入り、全員の歌声は熱がこもったものに変わっていく。

 

〔ガンパレ−ド・マ−チ ガンパレ−ド・マ−チ

 ガンパレ−ド・マ−チ ガンパレ−ド・マ−チ・・・〕×全員

 

 編傘連中はあまりにも場違いな歌声に戸惑っている。

歌い終わった事を確認して十郎太とスコ−ルが後ろに下がった時、メイナを始めとするテンカワ・シスタ−ズは、ノリノリであった(笑)。

 

「お兄様、アレを使わせてもらいますね・・・。

 いでよっ、全てをつらぬく槍、鬼神槍(きじんそう)!! テンカワ流槍術・最終奥義! ・・・天魔斬光陣!!

 

 

 ブオンッ!!

 

 

 どこからともなく、目茶苦茶ゴッツイ槍を取り出して編傘に突撃するメイナ。

・・・その姿は、まさに鬼神を彷彿とさせる。

 

「全てを切り裂く一条の光の刃よ、我が敵を切り裂け! ・・・退魔烈空刃!!

 

 

 キンッ!!

 

 

 低い位置から放たれたピュアの斬撃は、光の軌跡を描きながら近くにいた編傘を

吹っ飛ばす、が怪我はせず対象の悪しき気を切り裂くだけだ(!)。

 

「・・・大気に宿りし荒ぶる雷龍よ、我に力を! テンカワ流格闘術最終奥義、雷龍牙破鋼爆砕拳!!

 

 

 カッ!!

 

 

 目に焼きつく程の光を放ちながら殴りかかるアズサ。

後に残るのは、数十億ボルトの電圧を喰らって消し炭と化した編傘だった(汗)。

 

「いっくよ−! ・・・コンバット・フルオ−プン!!」

 

 

 ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

 

 

イ−ナが背中に背負ったバックパックから、これでもかという数の銃器が飛び出し、銃弾の雨が次々と編傘に襲い掛かる。

ガトリングガンからショットガン対戦車ライフルグレネ−ド、果ては両手に対人用レ−ルガンと、

ランボ−やロボコップも裸足で逃げる武装である(汗)。

 

 もちろん、これらの銃弾は全て暴徒鎮圧用の特殊ゴム弾だが、

当たったら死ぬほど痛い(当たり所が悪ければ死亡)という事を明記しておく(大汗)。

 

 ・・・テンカワ・シスタ−ズの活躍で、大半の編傘は虫の息だ(滝汗)。

残り、一人である。 運がいいのか悪いのか・・・かわいそうになってくる(涙)。

 

「くっ・・・。 この子供がどうなってもいいのか?」

 

と最後の編傘は、人質としては価値が全く無い(汗)ハ−リ−を人質に取った。

 

「・・・」×全員

 

 人質を取られたため、迂闊に手を出せないテンカワ・シスタ−ズetc.。

ハ−リ−なら死ぬ可能性はまず無いが(汗)、夢見が悪くなりそうだ。

 

「ふっ・・・ここは私の出番のようね。 キャルちゃん、これを使いなさい。 使い方は・・・」

 

 ・・・怪しい機械片手に、ボソンジャンプでイネスさん登場。

寝る間を惜しんで今まで怪しい機械を作っていたらしく、少々やつれていたりする。

純真無垢なキャルに、一体何を吹き込んだのやら・・・(呆れ)。

 

「わかったです−、イネスおかあさん−。 ・・・でじ・ぼ−ん・えなじゃいず、です−♪」

 

 

 ピカ−!

 

 

 携帯用トランシ−バ−みたいな機械から、一条の光がハ−リ−に向かって飛ぶ。

そしてそれは狙い違わず直撃し、ハ−リ−が光に包まれ・・・。

 

 

「ハ−リ−・デジ・ボ−ン・トゥ・・・エクスハリモン!」

 

 

 ・・・変形した(汗)。 しかも手足には鋭い鉤爪頭には鋭い角、おまけに背中にはドラゴンの翼まで生えてしまっている(大汗)。

そう、最近アメリカで大人気の某デジモン(しかも02)の主役のパ−トナ−にだ。 ・・・結構面白しろいので、僕も見ていたりして(笑)。

 

「ハ、ハ−リ−様が・・・変形した!?(か、カッコイイですわ、ハ−リ−様!!)」

 

「・・・変形じゃなくて変身だと思いますよ、ミ−シャさん(汗)。

 しかし・・・ついに人間である事をやめたんですか、ハ−リ−君?(滝汗)」

 

 顔を驚愕に染めている(実は感激している)ミ−シャの科白に、

体中にイヤ−な汗全開なナデシコクル−を代表してルリが突っ込む。

・・・確かに、人間をやめないデジメンタルアップ出来ないだろう(笑)。

 

「ふふふ、成功ね。 ハ−リ−君にいろんな生物の遺伝子を組み込んでみたのよ。

 この機械、〔D−3〕がないと発動しないけどね・・・(ニヤリ)。 ・・・ユキナちゃんには、こっちの黒い方の〔D−3〕をあげるわ。

 アオイくんにも、いろんな生物の遺伝子を組み込んであるのよ・・・(邪笑)」

 

 

 

・・・アンタ、ホントに科学者なんですか、イネスさん?(超滝汗)

アンタの狂った探究心を満たすために、ハ−リ−を改造したんじゃ?(激汗)

 

 

 

 ・・・ナデシコクル−(含むテンカワ・シスタ−ズ)の脳裏に、その一文が掠めていった(笑)。

 

「えっ、ホント? じゃ、早速」

 

「ちょ、ちょっと待て! あの時の注射はそのためだったのか!?」

 

 嬉しそうに黒いD−3をジュンにかざすユキナ。

キャルの時と同じように、D−3から一条の光がジュンに向かって放たれる。

 

「ジュンちゃん、デジ・ボ−ン・エナジャイズ!」

 

 ジュンの魂の叫びを無視して、デジメンタルアップを始めるユキナ。

しかも、ジュンちゃんと言っているという所がミソである(ニヤリ)。

 

 

「ジュン・デジ・ボ−ン・トゥ・・・スティングジュン!!」

 

 

 ・・・彼までハ−リ−みたいに変身した(汗)。

筋骨隆々の体背中には羽、極めつけにはハチの様な顔に・・・(大汗)。

まさしく、異形の怪物大行進って感じである(滝汗)。

 

「しかも、この二人はDNA・デジ・ボ−ンもできるのよ、二人とも」

 

 

 キュピ−ンッ!!

 

 

 イネスさんが得意気に胸を張りながら説明すると、キャルとユキナの目が怪しく光る。

そう、メタルギア・ソリッドの敵に発見されたみたいに!!(コワッ)

 

 ピコッ!

 

「エクスハリモン!」

 

「スティングジュン!」

 

「「DNA・デジ・ボ−ン・トゥ・・・」」

 

 二人(っていうか二体?(汗))は光を纏いながら一つになっていく。 もちろん、そこに誕生するのは・・・。

 

「「パイルハリモン!!」」

 

だそうで、なんかもう無茶苦茶である(大汗)。 まあ、メガ・デジ・ボ−ンをしないだけマシだろう。

ナデシコごと沈みかねないし(滝汗)。

 

「人生とは・・・理不尽なモノだな・・・(遠い目)」

 

 

 

 ・・・それが、最後の編傘の科白となった(笑)。

 

 

 

 そりゃね、こんな良く分からないモノと戦いたくはないと思うけどね。

あ、ちなみにキャルやユキナ等の科白は、英語版をそのまま使用していますので、

科白が違う、という事は気にしないでください(ペコリ)。

 

 

 

 

「・・・って事があったんですよ、アキトさん(汗)」

 

「・・・そ、それは実に面白そうだね、ルリちゃん・・・(大汗)。 イネスさん・・・遂に人道から足を踏み外したのか・・・(滝汗)」

 

 はぁ・・・

 

 ここは喧騒ざわめくナデシコ格納庫。

迎えに来ていたルリから、事の顛末を事細かに聞いたアキトは、傍らにいるルリと共に深い深い溜め息を付いた。

 

 ブンッ!!

 

「コラ−ッ、マイトにアテナちゃんにアイカちゃんにマトイちゃん!

 ボソンジャンプで直接ハンガ−に帰ってくんなって何回言やぁわかるんだぁ!!」

 

 拡声器片手に叫ぶのは、ナデシコ整備班班長を努めるウリバタケ・セイヤその人だ。

あともう少しでサイクロンに潰されそうになったのだから文句を言われても仕方がないだろう(汗)。

 

「すいませ−ん、ちょっと失敗しました、ウリバタケおじさ・・・!?」

 

 フラ・・・ドサッ!

 

「アテナ!? おいッ、しっかりしろ!!」

 

 サイクロンから降りてきたアテナだったが、何の前置きもなく突然倒れる。

マイトが慌てて駆け寄って抱き上げてみると、顔色がとっても悪く、真っ青だ。

・・・実はこのシ−ン、一度でいいからナデシコで書いてみたかった(笑)。

 

「母さんッ! イネス母さん!」

 

〔どうしたの、マイト君? そんなに慌てて?〕

 

 即時にコミュニケを使い、イネスを呼び出すマイト。

呼び出されたイネスは休憩中だったらしく、煎餅をくわえている(笑)。

 

「急患です! アテナが倒れました!! ・・・今からそっちに行きます!!」

 

〔なんですって!? わかったわ、こっちは準備して・・・って、アレ?〕

 

 イネスがそこまで言った時、マイトはもう既に駆け出していなかったりする。

 

「兄上は、アテナ先輩の事になると、性格が変わるからな・・・」

 

「それだけアテナさんが大事なんでしょう、兄さんは」

 

 いつの間にか自分の機動兵器から降りてきていたアイカとマトイは、そんな兄の様子を呆れたように、でも頼もしそうに眺めていた。

 

 

・・・あまりにも凄いスピ−ドで走っているため、何人かのクル−がマイトに跳ね飛ばされている事を除いて(汗)。

 

 

「・・・しかし、何時になったらタイトルと関係した話になるんでしょう?」

 

「・・・それは言ったらいけませんよ、姉上・・・(汗)」

 

  • ・・・大きな御世話だ、二人とも。
  •  

     

     

     

    後編に、続くッ!!