機動戦艦ナデシコSS 涙を越えて |
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第一章 第五話 可能性 | Ver1.5 |
「は?またテストですか?」
最近エステでぐるぐるにかき回されて、コンピューターに触れてないなぁ。
これじゃぁ、体がなまっちゃうよ。
「ええ。そうよ、今度はあれに乗るの」
メリーナさんは嬉しそうに指を指している。
指さしているのは黒い機動兵器・・・・
あっあれは??
あの男が乗っていた機動兵器??
「あの名前は確か??」
「ブラックサレナよ!
『あれ』じゃないわメリーナ」
作業服を来た女性(エリナさんに似ている)が、機動兵器から現れる。
「そうそう。ブラックサレナ。
黒百合って意味よね。
なんか神秘的よねぇ・・・・」
メリーナさんはいつもながら間の抜けた声だなぁ。
僕はこのブラックサレナを見たとたん身震いした。
なんだか、このエステバリスには意志があるんじゃないかと思う。
それもドロドロした怨念のような物が・・・・
「ええそうよ。(黒百合の花言葉知ってるのかしら)
何度いったらわかるの?」
作業服の女性はメリーナさんをにらみながら話を続ける。
「オペレーターは誰?」
「この子よ。マキビ ハリ君」
メリーナさんは僕を作業服の女性の前に連れてくる。
「ふん。私はレイナ・キンジョウ・ウォン。
あなたがのるのよねぇ。
ずいぶんと華奢じゃない。
あいつもにたようなもんだったかしらねぇ?
まぁあの機動兵器につぶされないでね。」
レイナさん・・・は、僕を見て一言つぶやいた。
僕はエリナさんの方を向いてお辞儀をした。
レイナさんを見ると、エリナさんとだぶって見える。
キンジョウ・ウォン・・・・あっ!
「あっ?エリナさんの兄弟ですか?」
「ええ、妹よ。
それよりも、ハリ君!早く用意して。
私は忙しいの、何で私が・・・・」
レイナさんはイライラしているようだ。
「え?用意って・・・・」
「大丈夫もう準備できてるわ。
あなたが乗るだけよ。」
得意そうにメリーナさんが僕の手を握る。
「頑張ってね。期待してるわ。」
「まぁ、エリナの顔ぐらいは立ててあげなさいね。」
え?
え?
あれにのるの?
ねぇ?
と考えているまに、僕はエステの中にいる。
中はあまり変わってない。
いつものごとく双座である。
「よう!ぼうず。用意はいいか?」
えっと誰だっけ、いつも僕を地獄に落としてくれたエステの教官さん。
「ガジェさん・・・・」
そうガジェットさん。
今まで僕をエステバリスで引っかき回してくれた人
エステの生徒からは鬼教官として恐れられているらしい。
いや、見た目は怖くない。
それどころか、いままで怒ったことは見たことない。
でも鬼教官なのだ。
それは鬼教官とエステに乗ったぼくにはいたいほとわかる。
鬼教官と三時間・・・・
これはこの基地での最高タイムらしい・・・・。
「あの?なにするんです?」
「おいおい。知ってるんだろう。
テスト、ピッチングとか何とかのテスト。」
「クラッキングですか?」
「そうそう、そのクラなんとかだ!」
はい?
これに乗ってでテストですか??
「はは、怖いか。
そうだよなぁ、俺も少しばかりびびってるからなぁ。
まぁ安心しろリミッターが50%に設定されているからな。
まぁそれでも普通のエステの何倍もあるが・・・・」
ガジェットさんがビビる機体に乗るんですか?
あの鬼教官と呼ばれた人ですよ。
僕はただのオペレーターですよ。
なにか恨みでもあるんですか?
そして地獄が始まった。
結局テストは10分で終わった。
僕はその後、丸一日寝込んだ・・・・。
実験のミーティング
「まぁこんなもんかしらね」
「うう。」
イネスの結論を聞いてエリナはまたしょげている。
「今度はうまくいくって確信したのよ〜。」
「まぁハーリーくんですから。」
ルリがエリナの横でこたえる。
「まぁ70%で気絶ってのはほめてあげるけど。
まぁあのパーツはあんなものね。」
「うぅ・・・・」
レイナ追い打ち。
「しかしやるねぇ。あのぼうず。うちの連中にもあの根性があればなぁ。」
ガジェットは腕組みをしてうんうんうなずいている。
「あいつがパイロットになればなぁ。」
「むりねぇ。それはさすがに。オペレーターのIFSじゃぁ。」
イネスはだめだめと手を振っている。
「どうしてだい?」
訳を聞きたいという顔でガジェットがイネスに顔を向ける。
やばい。
ルリ・エリナ・レイナの三人は青ざめる。
これは・・・・・
「説明しましょう!!」
始まってしまった。
三人は肩を落とす。
「なぜ、オペレーターのIFSではエステをうまく動かせないか!!」
メリーナとガジェットは興味深そうに聞いている。
いつまで持つかな?
「パイロットのIFSは「感覚」を変換してエステバリスに伝えているの。
その情報を元にエステバリスはうごいている。
だから、パイロットが体を動かすように、エステバリスを動かせるわけ。
でもオペレーターのIFSはそうじゃない。
頭の中の「記憶」を変換してコンピューターに送るの。
だから、パイロットのように自然に動かすことは出来ない。
いちいち「右足あげて左足あげて」と動かさなきゃならないの。」
うんうん
二人ともうなずきながら話を聞いている。
そんな積極的な二人を見てうれしそうにイネスが説明を続ける。
かなり専門的な話になってきたが二人とも何とかついてきているようだ。
この二人のおかげで説明は4時間をオーバーしたらしい。
周りが次々と倒れる中二人は興味深そうに最後まで聞いていたそうだ。
「あの二人とイネスさんの組み合わせは危険です!!」(某電子の妖精)
みんながふらふらになりながら帰る中、ガジェットとイネスはまだ話を続けている。
「イネス先生? じゃぁパイロット用のナノマシンをあいつに入れればいいんじゃないか?」
「むりね。二つの違うナノマシンは拒絶反応を起こすわ。
もしなくても、一つの神経を二つのIFSが使うことになるのよ。」
「なるほどねぇ。」
不意にメリーナの目が光る
「・・・・二つのIFSか」
「説明しましょう」
本日二回目の説明が始まってしまった。
今度はガジェットとメリーナの二人だけだった。
(他の研究員やルリ達は逃げ出した・・・・)
しかし、二人とも熱心に・・・・。
とくにメリーナはしきりに質問を繰り返していた。
予定を大幅に遅れてエリナ達は研究所を後にする。
「じゃぁ、またくるわ。」
「ええ、おまちしてます。」
「また説明よろしくな!!」
ガジェットとメリーナはイネスに手を振っている。
イネスも珍しく笑顔で手を振る
「もうくるな!!」
という周りからの声には耳も貸さず・・・・。
「あ、すいません所長」
「ん、なにかね」
憔悴しきった初老の老人
ため息をはきながら、メリーナに顔を向ける。
「ちょっと機材をお借りしたいのですが?」
「かまわんよ。なににつかうのかね?」
「ええ、イネス博士の説明を聞いてアイデアが・・・・。」
説明と聞いて博士の体がびくんとはねる。
「うっ、そうかね。よろしい。許可しよう」
そういうと所長と呼ばれた初老の老人は足早にこの場を去っていった。
「WIFSって言う名前はどうかしら・・・・」
メリーナは去っていく老人を見ながら一人つぶやくのであった。
研究所
「両立させる方法は・・・・」
「・・・・一部を・・・・・」
「・・を共有させて・・・・」
「・・・は大丈夫だから・・」
メリーナは一人研究に没頭する。
そして二週間・・・・
あとがき |
さてようやくナデシコのヒーローが使う機動兵器「ブラックサレナ」に ハーリー君が乗れました。 まぁ結果は散々ですが・・・・ さてハーリー君がヒーローになるのはいつの日か・・・・ |