機動戦艦ナデシコSS

サレナ 〜希望の花〜
未来からのメッセージ
第三話 Aパート  過去への希望、未来の約束

 

(う・・・俺はここで死ぬのかな?)

いつも厨房にいるときには思わないことも、戦闘中にはよく考える。

いつもならすぐにそんな考えは払えてきたけどいまは、払う気力もない。

 

あと15分か・・・・

・・・・・・

 

14分

・・・・・・

死のカウントダウンが刻々と近づいてくる。

・・・・・・

 

13分

・・・・・・

今まで散々あがいてきたけど、もうそんな気力もなくなってきた。

エステバリスのメインのシステムは完全にとまり、かろうじて生命維持システムのみが

静かに稼働していた。

・・・・・・

 

12分

・・・・・・

(これからどうなるんだろうなぁ。)

(いや・・・死ぬのは分かっている。)

(ただ、死んだ後父さんと母さんがいる天国に行けるんだろうか?)

(ああ、ガイもいるのかなぁ。)

(みんなでゲキガンガーを見るのも悪くないのかも知れない。)

・・・・・・

 

11分

・・・・・・

(死後の世界か・・・・)

(どうなっているんだろうな。)

「死んだら・・・・・もう終わりなのかな」

ふと、アキトの口から声が漏れた。

・・・・・・

 

・・・・・・

(あれ・・・?)

(カウントダウンが・・・・)

・・・・・・

 

2・1 どか〜〜ん

『なぜなにナデシコ 未来版』

・・・・・・

(は??)

 

 

「古今東西あらゆる科学者、哲学者が求める死後の世界・・・・

これを説明するのはかなり難しい話ねぇ」

「イネスさん・・・・ナデシコが救助に来たんですね!!」

アキトの今までの暗い顔が一転した。

 

「残念だけど救助はまだよ・・・・

いえ救助は絶望的ね。」

さらっと冷たい現実を話すイネス。

 

「じゃぁなんで・・・」

完全に希望を否定されたアキトだったが、今までとは違い話す相手がいる。

逆に希望が出てきた。

 

「・・・・タイトル見なかった?」

少し残念そうにイネスが質問した。

 

「え?タイトル?全然見てないけど・・・・」

何がなんだか全く分からないアキト。

 

「まぁいいわ、私たちから贈り物よ。

突然だけど気にしないで。

エステバリスの電力が長くないから・・・・」

「・・・・贈り物??

今それどころじゃない早く助けてくれよ!!」

なんだか自分の知らないところで勝手に進んでいく。

それに全くついていけないアキトは叫んでいた。

 

「助けるために送るんだけど・・・・」

 

「じゃぁ、早く!!」

もう猫の手でも借りられるなら借りたい状況なのだ。

 

「じゃぁイメージして・・・・」

「はぁ?」

いきなり突きつけられた難題。

一体何をイメージすればいいんだろう?

それよりイメージするだけで助かるのだろうか?

アキトはもしかしてだまされているんじゃないかと不安になった。

 

「いいから!!イメージよ」

ポーカーフェイスだったイネスの顔に焦りが見え始めた。

 

「なんなんだよ!!」

「いいから!!

あなた達を助けるためなの!!!」

あなた達・・・・

そうこれはアキトだけではない、アキトの周りの人たちも助けるためなのだ。

 

「う・・・何をイメージすれば・・・・」

「・・・・そうねぇ・・・・

目の前のディスプレイに何か浮かんでいるのが見える??」

一つだけ生き残ったディスプレイにはこちらにゆっくりと向かってくる

バッタの破片らしき物が見える。

 

「ええ、何かの破片ですけど・・・・」

「それを破片がそこにあるということをイメージして」

「え??」

「はやく!!」

(なんだよ?  破片はそこにあるって・・・・?)

 

「早く!!時間がないわ」

イネスが叫ぶ。

そうバッテリーが無くなれば通信が出来なくなる。

 

 

破片

破片

(くそっ、イネスさんは何をしたいんだよ!!)

 

はへん

はへん

(かなりとがっている)

(これはバッタの破片かな)

 

破片はだんだんと破片が近づいてくる

 

HAHEN

HAHEN

・・・・・

(くそ、くそ、くそ)

(何もおきないじゃないか!!)

 

 

「はやく・・・バッテリーが・・・・」

イネスの声が聞こえる

 

は へ ん

は へ ん

(だったら早く助けてくれよ!!) 

 

ゆっくりとだが破片がこちらに近づいてきていた。

 

(だいぶ近づいてきたな)

(近いな・・・・)

(近い破片・・・・)

 

もう1メートルぐらい先かな?

近い・・・

すぐそこ・・・・

目の前・・・・!!

 

あれ・・・・破片がひかって・・・・・・

 

そしてその瞬間画面が真っ黒になった。

え?バッテリーが・・・

そして辺りが真っ暗になる

 

「ご苦労様・・・・宇宙服を着て外を見てみなさい・・・・

確かに私たちの贈り物届けたわよ」

真っ黒なコックピットの中でイネスさんの声が聞こえた。

 

「うわっ、いったいなんなんだ!!」

 

俺は真っ暗の中宇宙服の機密を確認してハッチを開けた。

 

「うわ・・・なんだ??」

そこには真っ黒な物が浮かんでいた。

 

「これって・・・エステ?」

エステバリスのような機体が目の前にあった。

だけど大きい。

エステバリスが二周りほど大きくなったような機体・・・・

 

そのハッチが何の前触れもなく開く。

 

「え?中には入れってこと?

イネスさんは一体何をしたいのだろう?」

 

僕は少し疑問に思いながらコックピットに入る。

 

シュン・・・・

 

「・・・・」

「エステバリスとほとんど変わらないな・・・・」

えっとIFSの接続端子は・・・・

 

「はいいらっしゃい、呪いの花 復讐の花 そんな不気味な花言葉を持つブラックサレナ

そんな名前のエステバリスのコックピットにようこそ」

 

「ってイネスさんこれは何だよ!!」

なんだか馬鹿にされたような気がしてアキトが抗議の声を上げた。

 

「不平不満もあると思うけどこれはビデオよ。

何いっても私は聞こえないからあしからず。」

そんなことを予見していたのだろうかビデオ録画のはずのイネスが

アキトの抗議に答えた

 

「は?」

そしてアキトは1時間半にもわたる一方的な説明を聞く羽目になった。

 

 


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