再び・時の流れに
〜〜〜私が私であるために〜〜〜
第18話 水の音は『嵐』の音……〜そのとき、歴史は動いたのです〜……その8
ちょっと、びっくりした。
ぐうぜんだけど、あれをみやぶれるひとがいたなんて。
「今度の相手は、今までの相手ほど隙がない」
お父様のことばが、あたまのなかによぎる。
「不意を打つ、などとは考えるな。相手が無警戒に、自ら罠に踏み込むまで、絶対に仕掛けてはいけない。心せよ」
たしかに、そういうひとだった。
ものすごくすなおなのに、いやなよかんがしてふみこめない。
でも、そういうことをかんがえなければ、ものすごくすてきなひとだった。
アーくん、だったよね。
おしごとじゃなければ、ころしたくないかんじのひとだった。
北ちゃんならもっときにいりそうね。
でも、しごとはしごと。
だけど、こまったなあ。
あたしじゃ、あのひとにかてない。
ほんきでかかっても、たぶんむり。
北ちゃんなら、なんとかするかもしれないけれど。
あたしには、しおりには、むりだよ……
だから、にげる。
お父様も、こんかいはつかまってもしななくていい、っていってたし。
じこしょうかいしてもいい、ともいってた。
だから、こまってはいたけど、こわくはなかった。
にげて、おわれて……
あ。
ここまでだ。
もう、にげられない。
そう、わかっちゃった。
「う〜ん、ここまで、かなあ」……あれ?
なんで、このおとがするの?
あ…………
>RURI
着替えた私が、ハルナさんの後に付いていくと、本当に外に出られてしまいました。
今頃中は大騒ぎかもしれませんね……今更ですが。
「でも、なんで連れ出してくれたんですか?」
心配していたのは確かですが、あんな相手……そう、か弱そうな女性の身で、アキトさんを軽々と投げ飛ばすような相手に対して、私が何か出来るわけではありません。むしろ、人質とかにされる危険が増すだけです。
その答えは、ちょっと意外なものでした。
「見ておいて、欲しかったからかな? このあとのことを」
「このあと?」
それは不思議な感覚でした。このあと、何が起きるというのでしょうか。そしてそう語る、ハルナさんの態度は。
まるで、このあと、何が起こるかを知っているかのような……
「うん、知ってるよ」
まるで、私の心を読んだかのような言葉が、ハルナさんの口から出てきました。
「ハルナさん」
判っているのですが、目がきつくなります。
「そう……もういい加減、ルリちゃんも判っているでしょう。あたしはある意味、あなた達以上に、あなた達の知っている以上の未来を知っているわ。それもこの一つ。でもね」
そこで言葉を切るハルナさん。そして、少し真面目な顔をして、切った言葉を繋げました。
「それだって、全てを見通しているわけじゃあないわ。いくらいろいろな未来を知っていても、それでも予想外のことはいくらでも起きる……ガイさんやハーリー君がああいう風に死にかけるだなんて、私にだって初めての体験よ」
私は意識しないうちに、こくり、と頷いていました。けど同時に、何かが引っかかりました。
「私はお兄ちゃんとあの娘が出会う未来を知っているわ。それはもう何通りも。幸福も、不幸も、数知れず。でもね、その絆は、間違いなく太い。決して代替の利かない存在として」
それを聞いたとたん、私は全身に震えが走るのが止まらなくなりました。
今、ハルナさんは言いました。
『それはもう何通りも』と。
それが意味することはただ一つ。
「ハルナさん……あなたは一体、何回この歴史をたどっているんですか!」
「まだ秘密」
返ってきた答えは、その一言でした。
「あたしはルリちゃんが想像しているより、多分もっととんでもない人間よ。でもね、目的がお兄ちゃんを幸せにしてあげたい、っていうのは嘘じゃないわ。ルリちゃんと同じくらいにはね」
「ハルナさん……」
私の目には、この森の暗闇と相まって、彼女がまるで魔女か何かのように映っていました。
己の心を悪魔に売り渡した魔女のように。
「なんで……そんなことを言うんですか。今更そんなこと言われたって、訳が判りません!」
そうです。ハルナさんの能力なら、別にこんな事、わざわざ私に開かす必要はありません。
黙ってちょっと変わった、超人ヒロインをしているくらい、わけはないはずです。
「う〜ん、なんでだろう」
けど、その返事はあまりにも気の抜けるものでした。
「理由は、ないのかもしれない。でもね、多分……聞いて欲しかったのかな、誰かに」
「聞いて、欲しかった、ですか?」
多分今私が聞いたことは、ハルナさんの、未だ隠している真の姿に迫るヒントのはずです。きっと、決して他人に知られていけないはずの。
彼女の目的や、正体がなんであれ。
それはおそらく、私たちの想像を絶する『何か』なのでしょうから。
「あたしはね……」
闇の中を歩きながら、そう、ハルナさんは言いました。
「その気になったら、何でも出来る。でもね、何でも出来ても、一つだけ出来ないことがあったの」
「?」
おかしな矛盾でした。万能でありながら不可能があるのなら、それは万能とは言いません。
「その一つのために、あたしは『あたし』を捨てたわ。ううん、正確には、『捨てようとした』ね。まだ捨てられたわけじゃないから」
「……何の話なんですか、一体」
「愚痴よ」
あまりにも不気味なものを感じた私の疑問は、あまりにも世俗的な返答で斬り捨てられてしまいました。
「ルリちゃん」
そしてハルナさんは、ものすごく真面目な顔をして、私の目を見つめてきました。
「あなたは今ここに、5年の時を超えて戻ってきているわ。12歳の体の中に、17歳の叡智を秘めて。17歳で『叡智』なんて、かっこつけすぎかもしれないけど」
私に出来たことは、頷くことだけでした。
そういったハルナさんの目には、ハルナさんの茶化した『叡智』という言葉が文字通りふさわしいような、深淵の煌めきが潜んでいるように見えました。
「今のあなたは、以前の子供とは違う。感情だけで振る舞えた子供ではなく、自分の社会的立場というものが見えている。そしてそれを利用する術さえ、その頭脳に秘めている。でもね」
「でも?」
「お兄ちゃんの目に映っているルリちゃんは、まだせいぜい13〜4歳の、あの別れる前のあなただよ。自分の『子供に』と、『家族に』と望んだ、あの頃のあなた」
ちょっと、いえ、かなり心が痛みました。
「だからね、余計なことは考えちゃダメ。貴方は何処までも、感情の赴くままに、お兄ちゃんを追い続けないと。そうじゃないと、多分お兄ちゃんの方がおかしくなるわ」
そのとたん、何かがすとんと収まりました。
先ほどまで感じていた、ハルナさんに対する怖れ。それがあっさりと消え失せていました。
ああ、この人は。
どこまで行っても、アキトさんのことしか考えていない。
そう、私は変わっています。今ここにいる私は、アキトさんの知っている私ではありません。
『君の知っているテンカワアキトは死んだ』
それはあのお墓の前で、アキトさんが私に言った台詞です。でも、今の私は、それに対する答えを得ました。
『アキトさんの知っているホシノルリも、もうこの世にはいません』
今にして思えば、もしあの時この言葉が言えたら。
あの後の私とアキトさんの関係は、ずいぶんと違ったものになったのではないでしょうか。
「ハルナさん」
そして私は、新たに一つ、心に誓いました。
「私は私にしかなれません。もう、12歳のホシノルリじゃないんです」
「……そっか。そうだよね、ごめんね、変なこと言って」
「だからとりあえず、ハルナさんが何者かっていう話はおいておきます」
そうです。私が私であるのと同じく、ハルナさんはハルナさんでしかないのです。
ものすごい力があるのに、なぜかそれを堂々と振るおうとはせず、こうやってこそこそと裏工作に終始しているハルナさん。
そこに見えるのは、誰にも気づかれずに、アキトさんの人生を幸せのベクトルに乗せようと努力する姿。
少なくともそこに邪念はありません。
「ピースランドに取り入って、アキトさんの背面援護に徹する、という考えは持たないことにします。言われたとおり、それをやったら、アキトさん、変に気を回しそうですし」
「ん、ありがと。お兄ちゃん、そういうところ、ものすごく気にするたちだから」
そうです。アキトさんは、自分のために他人が犠牲になるのをものすごく嫌います。人が傷つくのを見るくらいなら、その分自分が傷ついた方がマシだと考えるタイプです。
「まあ、ある意味ものすごく悪どい甘ったれなんだけどね、それって。要するには人が傷つくのを見たくないから、自分が傷つく方がマシだって言う考え方でしょ、それ」
私は首を縦に振ります。
「でもさあ、それって、相手も同じ事考えているって事が、すっぽり抜けてるのよね」
私は思わずはっとしてしまいました。確かにその通りです。
「お互い相手を傷つけたくなくて、相手の分まで自分が引き受けようとして、結局傷を2倍に増やしているだけ。馬鹿じゃん、それって」
「……ですね」
馬鹿です。確かに馬鹿です。大馬鹿です。
ばかばっか、です。
なんて言うか……アキトさんの一番悪いところが、すんなりと視界に入った気分です。
「本当はさ、相手のことを本当に思うんだったら、相手を傷つけることを怖れちゃいけないんだよね。敢えて相手に傷を付けることさえ要求し、その痛みを二人で分かち合う。そこまで行かなきゃ、本物とはいえないよ。相手を傷つけたくないっていう優しさは、自分が傷つきたくないっていう気持ちの裏返しである場合も多いんだよね。お兄ちゃんもそこまでお姉ちゃんに言えるようになれば、なんの心配も要らないんだけどなあ」
一瞬、私の目に、本当に心から信頼しあったアキトさんとユリカさんの姿が見えました。
それは私がアキトさんと結ばれたかった痛みを、あっさりと溶かすほど美しい光景でした。
「さて」
すでに何も見えなくなった頃、ハルナさんは語調を変えて言いました。
「ここでちょっとお別れ、かな?」
「何かするんですか?」
こんな所に置いていかれたら、お城に帰れるかどうかすら判りません。
「あ、心配はしないで。多分、見知った顔がこの辺にどかどかとやってくるから。でもね、あたしはこの場にはいられないの」
「なぜですか?」
「個人的理由」
私の疑問に、全く答えになっていない答えを返すハルナさん。ですが、それを指摘する間もなく、彼女の姿は闇に消えてしまいました。
いったい、何をする気ですか……?
そう思ったとき、突然明かりが闇を切り裂きました。
「誰だ! ……って、ルリちゃんか? 何でまたこんな所に」
やってきたのは、ナオさんとオオサキ提督を頭にした、ナデシコ組一同でした。ご丁寧にアカツキさんやエリナさんまで。いいんですか? ただのVIPじゃないんですよ。あの状況下で行方知れずになったら、大騒ぎです。
私も人のことをいえる立場ではないですが。
「アキトさんが心配で……こっそり抜け道から」
とりあえずハルナさんのことは黙っています。
「やれやれ……今更どうしようもないか。ああ、強制送還したりしないから、一緒に来ないか?」
提督の言葉に、私は肯定の意を表しました。
「で、アキトさんは?」
「多分こっちに向かったんだが……あいつら、なんで明かりも無しにあんな速さでこの中を抜けていけるんだ?」
ナオさんのぼやきに、私も深く頷きました。
と、ちょうどその時でした。
ひゃらり〜
どことなく間の抜けた笛の音が、どこからともなく響いてきました。
それと同時に、何となく首筋が寒くなるような感覚が……
「こっちだ!」
「こっちかしら!」
「きっとこっち!」
「こっちか!」
ナオさん、アリサさん、ユリカさん、アカツキさんの4人が、一斉に同じ方を見ました。少し遅れて、オオサキ提督も。あと、私もです。
「なんかあっちの方でヤバい予感がする……行くか」
もちろん、異論は出ませんでした。
>AKITO
彼女は、信じられないくらい速かった。
俺が全速力で追いかけても、なかなか差が縮まらない。
不慣れな、闇に沈む森の中とはいえ、常軌を逸した速度だった……お互いに。
はたから見ていたのなら、紅と黒の獣が駆け抜けたとしか思えないかもしれなかっただろう。
永遠に続くと思われた追跡劇だったが、それでも終わりの時は来た。
それは、達人同士にのみ通じる符丁だったかも知れない。
彼女との位置関係がある一点に達したとき、俺は彼女を『捕らえた』と認識した。
もちろん、まだ距離はある。だが、その瞬間、確かに感じたのだ。
このあとどう彼女が逃げても、俺は彼女を捕まえることが出来る。
それは将棋で言う『必死』、詰め将棋の問題のように、相手が最善手を打ってもこちらの勝利が確定する、そんな感じだったのかも知れない。
そしてそれは相手も同じだった。森の中、少し開けた場所で、彼女の足が止まる。
「う〜ん、ここまで、かなあ」
そう呟く、彼女の声が聞こえる。
さすがだな……と感心しつつ、一歩踏み込んだときだった。
ひゃらり〜
どことなく間抜けな笛の音が、どこからともなく響き渡った。
背筋が凍る。
恐ろしいことに、俺はその笛の音が、どこから発せられているのかが判らなかった。
響きからして、音源はそう遠くない。なのに、判らない。
周りの木々の反響や、かすかな空気の流れすらもが、音の位置の特定を妨げている。
こんな技を使えるのは、よほどの達人しかいない。
「……お前か、北辰!」
口の中で小さく、だがありったけの怒りを込めて、俺は呟いた。言葉にすることによって、ともすれば沸騰するような気がする血流を鎮める。
だが、そんなものは直後に吹き飛んだ。
一変していた。
目の前の少女。
恐るべき暗殺者であると同時に、天真爛漫純粋無垢でもあった少女。
その少女から、紛れもない『凶念』が吹き出していた。
それは純粋なる怒り。
それは純粋なる怨念。
そして、荒れ狂う呪い。
あまりにも、身に覚えのありすぎる『気』だった。
そして、思わず固まった俺に対して、彼女は顔を上げ、真っ向から視線をぶつけてくる。
その顔は、歪んではいなかった。憎悪にとらわれた心は、往々にして人の形相を変える。だが、彼女は相変わらず美しいままだった。
ただ、その質が一変していた。
先ほどまでの彼女が、日だまりの布団のような、ふんわりとした柔らかい美しさなら、こちらは凍てつく氷より冷たい水で鍛えられた、鋼の刃の美しさだった。
ほんの僅か目つきがきつくなった程度なのに、こうも極端に変わるというのは驚きだ。
だが、それなのに俺は、その顔に……いや、視線に、奇妙な懐かしさと興奮を覚えていた。この視線、この雰囲気、俺は確かに知っている。
そしてその答えは、目の前の彼女が直々に明かしてくれた。
「……なにやら面白いことになっているようだな。親父の差し金か?」
呟くような声。同じ喉から出ているはずなのに、一段低く、少女と言うより少年のもののように聞こえる声。俺はその声に、間違いなく聞き覚えがあった。
あまりにも意外なところで聞いた声。
その時俺は(そしておそらくは相手も)、近くにたくさんの人物が近づいてくるのを、無意識のうちに感じ取っていた。あわててはいるが殺気が薄い。そしてなじみのある安心感。
おそらくはナデシコのみんなだろう。
だが、それがひどく遠いことのように、俺は感じていた。
目の前の人物に、ただそれのみに、俺は全神経を集中していた。
そして、確認の言葉を呟く。いや、問いかける。
「……息子じゃ、なかったのか? 北斗!」
>RURI
森の隙間から、アキトさんの姿が見えました。
思わず駆け寄ろうとしてしまいましたが、それをナオさんとオオサキ提督、そしてカズシさんの3人がかりで止められてしまいました。
「近寄るなルリ君。今のアキトに近づいたら、君といえどもただでは済まないかも知れない」
「ああ……なんて言うか、ついに拝めた気がするな。狂ってないアキトの、『100%』っていうやつを」
二人の言葉に、私だけでなく、一緒に来た皆さんも息をのみます。
目の前の光景は、確かに尋常ではない、目に見えない『何か』が張りつめている気がしました。
そんな中、アキトさんは、目の前の女性……なぜか雰囲気が一変して、どう見てもさっきまで踊っていた人物には見えない相手に、声を掛けました。
「……息子じゃ、なかったのか? 北斗!」
!!!
みんなが息を呑み込む音が、はっきりと聞こえました。
「な……」
ナオさんの口からかすかに声が漏れたほかは、口をきくことすら出来ません。
そして目の前の女性は、よく通る声で返答しました。
「さすがだな……この姿を見てもそう言えるか。くっくっくっ」
「ああ。見た目はいざ知らず、その視線と殺気は間違えようがない」
「大したものだ。大概のやつは自分の目の方を疑うがな」
喉の奥でくつくつと笑いながら、女性……北斗さんはいいます。
「まあ、見たとおり、俺は肉体的には女だ。性同一性障害、とかいったか? 医者のやつが昔そう言ってたが、詳しいことは俺にも判らん。が、少なくとも『今』の俺は、自分のことを男としか思えん……テンカワアキト」
そこで北斗さんはきっと眼差しを引き締め、アキトさんを凝視しました。
「そんなことはないと信じたいが……『女に手は上げられん』とかくだらないことを抜かして、俺を失望させるなよ。昔死合った奴に、そう言う馬鹿がいた」
「そんな余裕があるか」
アキトさんも、自然体のように見えて、どこか力の籠もった体勢になります。
「男も女もない……今の俺の目の前にいるのは、おそらく俺の知る限り最強の敵だ。あの北辰より恐ろしい……な。違うか?」
その言葉は、どこかアキトさんらしくない気がしました。最初の時のアキトさんとも、復讐の権化と化したアキトさんとも違う、第3のアキトさんが、そこにいました。
「つくづく『さすが』だな……男子三日会わざれば、即ち刮目せよ、とはよく言ったものだ。この間戦ったときとは大違いだな。よくそこまで研ぎ直したものだ」
「さて……ご託はこの辺でいいだろう。北斗……悪いがお前を捕らえさせてもらう。あの『シオリ』と名乗っていたお前のことを含めて、いろいろ聞かなきゃならないことが多そうだからな」
「いいだろう……殺さず俺を無力化できたなら、お前の知りたいことは、全て教えてやる。まあ、たいしたことは知らんがな。もっとも……」
その刹那、ほんの一呼吸の間より速く、北斗さんの体は動いていました。
同時にみぞおちめがけて飛ぶ拳。そのとたん、アキトさんの体が派手に吹き飛びました。
「殺さずに勝つのは、殺すより難しいぞ」
ドレス姿のまま、真紅の髪の女性は、そう、宣告しました。
「なんて、強さだ……」
私たちは声も上げられないまま、事の成り行きを見守っていました。ナオさんや提督達ならともかく、私たちがうかつに声でも上げようものなら、そのとたん命がなくなっている。私も、ユリカさんも、サラさんも、アリサさんも、エリナさんも、みんな等しくそのことが判ってしまいました。
そもそも私たちには、彼女の姿すら捉えられません。
オオサキ提督やアカツキさんでも怪しいようです。何とか見えているのは、おそらくナオさんだけなのでしょう。
森の中の小さな空間。そこがまるでリングでもあるかのように、二人は戦っていました。お互い武器は手にしていません。おそらく、武器を振るう、その一瞬の動きすら致命的な隙になるような、そんな次元で戦っているのでしょう。
拳が、蹴りが、膝が、肘が、時には頭まで。
肉体のあらゆる部位を持って、相手の肉体を破壊しようとする、そんな行為が3分ほど続いていました。
見ている私たちには、30分にも感じられる3分でしたが。
「互角……だな」
「ああ」
お互い息を整えながら、今度は一転して慎重に相手との位置を計っているように見えます。
「やる気か……」
ナオさんの声が、みんなの息を止めます。
おそらく、お互いに必殺の一撃を放つ。そういう意味なのだと思います。
そして……
先ほどの動の3分とは対照的に、静の3分がやってきました。
あまりにも動きがないために、3分が30分にも感じられます。なのに、こちらの人たちも、誰1人として身を動かす人はいません。
いえ、動かさないのではなく、動かせないのです。
私もこのまま石像と化すかと思いました。
ですが、時は動きました。
しゅっ。
あまりにも速い、静から動への転換。
目を離さなかったにもかかわらず、私にはいつ彼らが動いたのか、さっぱり判りませんでした。
ですが確かに、お互いの位置が入れ替わっていました。
ドラマなどなら、このあと、どちらかが倒れるシーンです。必ずしも先に倒れた方が負けとは限らないのは、ドラマでもよくあることなのですが、この場ではどちらが……
そう思った瞬間、同時に二人ともよろめきました。
「……相打ちか? いや……」
何とも形容しがたい、歯切れの悪いあいづちをナオさんが呟いています。
それは正解でした。次の瞬間、私たちはちょっと信じられないものを見ることになったのです。
>AKITO
必殺の一撃は、お互いに決まっていた。
俺の拳と、北斗の拳は、間違いなく互いの急所を捕らえていた。
もし相手が彼女か北辰でなければ、おそらくお互いにそのまま倒れ伏していた、と俺は思った。
だが。
この相手に対してそれは出来ない。
崩れ落ちようとする意識を。無理矢理つなぎ止めた。
肉体の感覚がほとんどない。かろうじて立っている、と自覚出来る程度だ。
目も見えておらず、音一つ聞こえない。なのに、なぜか俺には、相手のいる位置が察知出来た。
第六感とも違う。おそらくは、唯一生き残っている触感……皮膚感覚からの情報なのだろう。視覚や聴覚が一時的とはいえ断たれたことにより、残った感覚が総動員されている。
ハルナに頼んでやってもらった、あのシミュレーション中にも、こういう感覚を得たことが何度か有った。
そのまま導かれるように拳を振るう。拳に何かが触れる手応えと、それとは別の所から衝撃が伝わるのを感じた。
それはもはや痛みではない。純粋に『衝撃』だった。
その一撃に、自分の中の『何か』が壊れる。物理的なものではない。肉体を動かしている『精神』という名のプログラム。その何かが壊れた気がした。
その刹那、勝手に肉体が動く。見えない目の前で火花が散り、また何かが壊れる。
………………何をしているんだ、俺は。
…………俺? 俺とはなんだ?
……何かが、なにかガ……イル。
クル。
コワサレル……コレハ、コワソウト、シテイル……
コワサレタクハナイ。
コワサレルマエニ……コワセ。
コワセ。
こわせ。
壊せ。
壊……すな!
すんでの所で、拳が止まった。
目の前には、俺のものより小さく、綺麗な、だがしかし鍛え抜かれた拳があった。
「……不思議なものだな」
互いに一歩引き、体勢を立て直す。
「……ああ」
「まるで計ったように、ギリギリのタイミングで理性が戻った。相当、相性がいいようだな、俺たちは」
「同感だ」
答えつつも、俺は構えを決める。今度の一撃は、さっきの比ではない、正真正銘の一撃必殺になる。
それを俺たちは、互いに理解していた。
精神が、高揚する。
さっきの、理性が飛んでいたときの、あの感覚が、理性の戻った今でも、全身に残っている。
理性を残してしては出来ない、無意識のリミッターを外した動き。だが今の俺は実感していた。
理性を持ったまま理性を消し飛ばす一撃。
限界領域を意識的に使うのとも違う、まぎれもない、人としての、本当の『全力』。
「……行くぞ」
目の前の相手から、最終宣告がなされる。
「ああ、こっちこそ」
俺はそれを受諾する。
そして、俺たちは放った。
人として許される、人として可能な、最高の一撃を。
その時だった。『それ』が起きたのは。
緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険……
emergency・emergency・emergency・emergency・emergency・emergency…………
緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険・緊急・危険……
emergency・emergency・emergency・emergency・emergency・emergency…………
その刹那、頭の中の「どこか」に、言葉にならない『意味』……何だか判らないものが駆けめぐった。
同時に体の内側に、カッと熱いものが生まれる。
全身を燃やし尽くさんばかりに駆けめぐる熱量。全身の神経という神経がデタラメな情報を送り込んでくる。
おそらく通常の精神状態の時にこんな無茶苦茶な情報を頭の中に突っ込まれたら、即座にブレーカーが落ちる……要するに気絶している。
だが、今の俺は、いや、俺達はまともじゃない。肉体の限界領域、その全てを無理矢理引きずり出しているのだ。神経がぶっ壊れるくらい、ある意味織り込み済みだ。
そして、視界の全てが、北斗の姿で埋まり、互いの一撃が相手の体に突き刺さったその瞬間、
全身を駆けめぐっていた熱量が、一気に爆発した。
ギュオオオン!
どう考えても肉体と肉体がぶつかったとは思えない大音響と共に、俺の体は宙に舞っていた。
>RURI
動き、静止し、狂乱し、そして再び静止した二人が、今度こそ正真正銘、最高にして必殺ともいえる一撃をぶつけ合おうとした瞬間のことでした。
それまで気圧されるようだった二人の気合いが、いきなり物理的な圧迫感に変化しました。比喩ではありません。私は自分の全身が、何かに押されるのを確かに感じました。
かぶっていた帽子が、風もないのに後ろに飛んだのが何よりの証拠です。
そしてその直後、アキトさんと北斗さんの全身に、一瞬ジャンプの瞬間を思わせるような、あのナノマシンの輝きを見た、と私は思いました。ですが、それを確認する暇もなく光は爆発的に広がり、そしてすさまじい大音響と共に、巨大な爆発のような衝撃が生じました。
それが錯覚ではない証拠に、地面は抉れ、土砂がまるで散弾のように私たちを撃ち、そして広場を囲っていた木々が、外側へ広がるようになぎ倒されました。
「あたたたた、大丈夫か、みんな!」
そんな中でも、ナオさんはガードとしての本領を発揮し、私をはじめとする女性陣を、提督やカズシさんとも連携して衝撃から守ってくれました。
「はい……」
「うん、だいじょうぶ」
私とユリカさんが、代表するようにそう返事をします。ほかのみんなも怪我をした様子はありません。
「いったい何が……ああっ!」
いち早く身を起こしたアリサさんが、アキトさん達の方を見た瞬間、そう叫んでいました。
どうしたのでしょう。
私もそちらに視線を向けて……あごが外れるかと思いました。
ほかの皆さんも、そちらに目がいくなり、口はあんぐり目はぎろりです。
アキトさんと北斗さんは、全身にいわく不可思議な光る幕のようなものに包まれていたのですから。
アキトさんは怜悧な感じを受ける濃い蒼。屈折の関係か、そこに白い感じの光が混じります。
蒼銀……とでもいうしかない、不思議な色でした。
そして北斗さんは、髪を思わせる真紅。そこに輝く黄色が混じっています。
アキトさんのそれが蒼銀なら、こちらは朱金という感じです。基本の真紅に金の黄色が混じっているためか、ややオレンジがかって見えるのでしょう。紅というより、朱色に見えます。
その幕とももやとも見える不思議な光は、二人の闘気が具現化したかのように、ゆらゆらと揺れながらも二人に纏われ、あまりにも幻想的な光景を現出させていました。
そして二人は、それぞれが自分を見、そしてお互いを見て言いました。
「よくわからんが、お前には似合う色だな、北斗」
「貴様こそな。だが、何故だろうな。俺にはこれが何だか判る。お前もだろう」
「ああ、何故だろうな……だが、それはこの際後回しだ」
その言葉と同時に二人が互いに向き合った瞬間、それまで不定型に揺らめいていた蒼銀と朱金の光は、まるで二人を守る鎧でもあるかのように、二人の体にぴったりと密着していました。
そして次の瞬間。
二人の姿は光の残像と化しました。
「なんだあっ! ありゃ人間の速さじゃないぞ!」
ナオさんが素っ頓狂な声を上げていました。私にはもはや捕らえられない速さですが、確かにこんな速度を人間が出せるはずがないと言うことは判ります。
そして二人がぶつかり合うたびに、まるで爆弾でもぶつけ合っているかのように周りのものが破壊されます。
「こ、これはたまらんぞ!」
「提督! この場から離れないと、いくら何でも危険すぎます! 俺達はともかくお嬢様方が!」
提督とカズシさんも、必死になって私たちをかばってくれていますが、あたりはまるで爆撃にあっている最中の街中です。
ですが突然、それがぴたりとやみました。
「……北斗」
「ああ、無粋な来客だな」
光を纏ったまま、動きを止めた二人が、最初の位置でお互いお城の方に視線を向けています。
「本来ならお前を捕らえなければならん所だが、はっきりいって捕まえられるとも思えない。なら、この場を離れろ」
「いいのか?」
北斗さんはやや歪んだ笑みを浮かべて言います。
「ああ、はっきりいって、お前が捕まる方が話がややこしくなるからな」
「ほう?」
「お前が木連の人間だとはっきり判ってしまったら、こちらの意見はおそらく真っ二つだ。少なくとも俺は、今更こんな事をされたくらいで、和平をあきらめる気はない」
私たちは、まわりの状況も忘れて思わず頷いてしまいました。
「少なくとも八雲さんはこんな手は打たない。だとすれば北辰か、その上からの指令だろう。まあ確かにあちらは今の段階で和平なんぞされたら、かえって困るだろうな……北斗」
そこでアキトさんは、語気を強めて北斗さんに言いました。
「和平はなんとしても成し遂げてみせる。だが、俺はそのために木連をないがしろにしようという気は全くない。いや、むしろ木連との和平は、完全に五分の手打ちになってくれないと困る。そちらの狙っているブツは、そちらには渡せんが、連合に取らせる気もない、そう伝えろ」
北斗さんは、少し怪訝そうな顔になりましたが、それでも少し頷きました。
「まあ、いいだろう。伝えるだけは伝えてやる」
そしてそのまま、彼女は森の中へと消えていきました。
その姿が視界から消えると同時に、アキトさんの体から発せられていた光も、ゆっくりと消えていきます。
「アキト! 大丈夫!」
そんな中、真っ先にアキトさんの元に行ったのは、やはり、ユリカさんでした。
「アキトさん!」
「アキト君!」
「アキトさん!」
ワンテンポ遅れて、アリサさん、エリナさん、サラさんも駆け寄っていきます。
「ああ、大丈夫。別に何ともない。むしろ、かえって元気が出たくらいだ」
アキトさんは、肩のこりをほぐすように、腕をぐりぐりと回して見せました。
私の目から見ても、異常はないようです……よく考えてみると、その方がなんか変ですが。いつの間にか、最初の激戦で負った傷すら消えているみたいです。
「ならいいんだけど……ねぇアキト、さっきのあれ、なんなの?」
そしてほっとした様子の皆さんを代表するかのように、ユリカさんがそうアキトさんに聞きます。
「ああ……よくは判らないんだが……」
といいつつ、アキトさんが少し眉根を寄せると、再びあの蒼銀の光が、さっきよりは弱いものの、アキトさんの体に纏われました。
「わ、アキト、それ、コントロール出来るの?」
「出来る」
アキトさんはそういうと、いくつかの演舞を行いました。光は、その間、アキトさんの体を優しく包んでいます。
「どうしてこんなものが出たのかは判らないんだが、俺には判る。これは、エステのフィールドコントロールと同じ要領で操作出来るみたいなんだ」
そういってアキトさんが拳を上げると、光がそこに集まってきました。同時に、アキトさんのIFSが、手袋越しに光を放っています……? なんか違和感がありますね。なんでしょう。
ですが、そんなものは、その次のアキトさんの言葉でどこかへ行ってしまいました。
「それに、これを展開していると、何故かあまり体の重さを感じない」
まさか……重力を遮断でもしているのでしょうか。
「よくわからんが、漫画なんかにある、秘拳とでもいうやつか? こう、手からビーム出したりする奴」
ナオさんが茶々を入れてきます。ところがアキトさんの答えは。
「今はまだ無理そうですけど、なんか練習すれば出来るような気もしますね」
………………アキトさん、ついに人間やめましたか?
みんなが思わず沈黙する中、1人はしゃいでいたのがユリカさんでした。
「すごいすごいすごい! さすがはアキト、やっぱりアキトはあたしの王子様!」
……ユリカさん、それは少し違うと思います。
そう心の中で突っ込んだとき、あたりが急に騒がしくなりました。
「いたぞ!」
「こっちだ!」
捜索隊の方々が、到着したようでした。
>HOKUTO
全身を朱金の光に包まれた俺は、体が異常に軽くなっていることに気がついた。軽く地を蹴るだけで、五メートル以上は簡単に飛び上がれる。それどころか、空中で気を入れると、その方向に加速出来たりする。
この光は、少なくとも俺の知っている『物理法則』というものを超えた何かのようだった。
心当たりは一つしかない。
木連式最終秘奥義・『昂気』。
木連式開祖の師匠にして偉人である、故・紅六郎が、かつて火星を追われるときにこの奥義に目覚め、瞬く間に敵を駆逐したと伝えられている。ただ残念な事に、その人物はあの『大跳躍』の際に行方不明になってしまったという。
十分に距離を取ったところで、俺は足を止めた。
一応もう一人の自分……『枝織』の時のことも、俺の頭には入っている。だから、このあとどこに向かえばよいのかは判る。
だが、その場所と現在位置が、どうしても上手く結びついてくれなかった。
そこに行こうとするには一旦城まで戻らないといけないのだが、さすがに今城に戻るわけにはいかないだろう。敵なんぞはどうにでもなるが、そうなるとテンカワアキトも再び出てくる。それはそれで望ましいが、まわりがいけない。余計な邪魔者がいっぱいいて無粋だろうし、何よりアキトも俺と『戦う』ためではなく、『捕獲する』ために動くはずだろう。それでは興醒めだ。
誰が計らったのかは知らないが、あれだけ面白い『好敵手』なのだ。戦うならお互い全てを出し尽くす、そんな戦いがいい。つまらない戦いはしたくない。
その時だった。
俺は全身の毛がそそけ立つのを感じていた。
……不覚。
いつの間にか『必死』の圏内に、何者かが侵入している。
こんな不覚は、ついぞないことだった。
だが、同時に思う。侵入者が何者であれ、気づいた俺がこうして生きている以上、相手に俺を殺すという意図はない。
「久しいな、北斗……いや、正確には、初めまして、か」
その声には、いやというほど聞き覚えがあった。だがそれは同時に、ここで聞くことなぞないはずの声。
「……何者だ」
短く、そう答えを返す。実際の所、判ってはいた。初めて会うと同時に、よく知るもの。そんな変な矛盾を言いそうな人物に対する心当たりなど、一人しかいない。
相手は答えるように、隠行を解いた。
物陰から出てくる、何故気づけなかったのかが不思議なくらいな、白一色の着衣。
顔全体を布で覆い、のぞくのは目だけ。『忍び装束』と呼ぶ服装だと、以前教わったことがあった。
本来は闇にまぎれやすい、濃紺や焦げ茶色をしているそうだが。ちなみに、漆黒は意外と闇に映える。
そんな中、その覆面よりのぞく金色に光る目は、忘れようにも忘れられない色だった。
「師匠……」
「正確には違うがな。だが、間違いでもない」
そう。俺の目の前に立っていたのは、俺に木連式の全てを叩き込んだ師だった。
だが、違うが、間違いではない、とは?
「我はお前の師その人ではない。だが、お前のことも、お前が何を教わったかも、全て知っている」
「その師の代理人が、何用……」
最初の問いに答えた相手は、今度の問いには答えなかった。いや、答えてはいたが、それに気がついたときは遅かった。
朱金の昂気を纏っていたはずの俺に対して、師はそれが文字通りの霞であるかのように、その守りを突き破って、俺に一撃を与えていた。
鳩尾の急所をつかれた……さすがの俺も、意識が遠くなる。確かにこの人物は俺の師そのものだ。ほかの誰にこんな真似が出来る。
「悪いな、北斗……これ以上お前に動き回られると、シナリオが狂う」
シナリオ……?
「ま、なんにせよ、昂気習得、おめでとう。今のお前と互角に戦える相手は、この世に3人しかいないよ」
それが、消える意識が最後に聞いた言葉だった。
中書きその2
またもや1年以上ぶりのゴールドアームです。
本音をいえばこの18話、きちんと完成させてから発表したかったんですけど……
さすがに時間掛かりすぎ。仕事が立て込んできたせいか、執筆に取れる時間が大幅に減っており、ここまでは実のところ去年の暮れに完成していたものの、この続きが少し煮詰まってしまいました。このままでは18話完成時には前回更新から2年たってしまいそうなので、ここいらへんで続きをあげておくことに致しました。
ストーリーそのものは見えているんですけど、どうしても一つ、大きな山が。
ここを越えさえすれば、後は怒濤のバトルシーンになって、一気に話が進められることは判っているんですけどね。
何とか頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
代理人の感想
なんじゃあこりゃあ!(爆)
時ナデ本編でもアキトVS北斗の前に全てが霞んでいた印象がありましたが、
今回は別の意味で他の全てがブッ飛びました。
一体全体なんなんだ、あの昂氣発動シーン(笑)。
後はやっぱり枝織ですか、今回の注目株は。
一見よくありそうで、実は物凄い異常者だってのが彼女のキャラクターなんですが、
今回はちょっとそう言う異常性は抑え気味・・・というかまだ導入段階なのでしょうか。
アキトが初めて彼女を見たときに抱いた第一印象が、そう言う意味で実は彼女の本質に極めて近いわけですが、
そういう点を掘り下げてもらえると彼女「たち」のファンとしては嬉しいかなと。