機動戦艦ナデシコ
白銀と紫炎の双天使
プロローグ もう一つの始まり
2263年…
人の住みし場所は、地球から月へ…月から火星へ…火星から木星へ続き……
そして、土星までいたっている時代……
「お〜い……起きろ……起きろ!起きろって言ってんだろ!アレクサンドラ=アンブローシア!」
「俺をフルネームで呼ぶなぁ!!」
バキッ!
「グァッ!………教師を殴るとは良い度胸だ、アレク。」
土星のコロニー、アルティメトコロニーにある中学校……
「お前が俺をフルネームで呼ぶのが悪い。」
えばりくさる男子中学生、名をアレクサンドラ=アンブローシアと言う。
本人は女のようなこの名前にコンプレックスを持っており、フルネームで呼ばれるのを極端に嫌う。
「まったく、教師を殴ってえばるのはお前だけだ、
いくら知ってるからとはいえ、授業中の居眠りはよくない……わかってるな?」
「………うすっ。」
「うすっ、じゃない!」
バンッ!
教科書でアレクの頭を叩く教師。
「ガーネット、何とかならんか?この双子の弟は……」
「なりませんね、アレがアレクだし。」
そう言う女生徒の名はガーネット=アンブローシア、
アレクの双子の姉である。
「そうか……」
「諦めた方が良いですよ、先生……テストで0点取るのはアレクの自業自得ですし。」
「そうだな。」
教師はそう言って、授業を続きを始めた。
『近宙域にボソン反応!土星親衛機隊のメンバーは各自の機体に乗り、迎撃にあたれ。』
「だとさ、アレク!ガーネット!」
緊急回線で開かれたウインドウの文字を見て教師が言う。
「わかってる!ディーネ!来い!場所は学校!」
「ルシフ!学校に来て!」
アレクとガーネットが腕に付けている時計のような物にそう言い、
数秒して人そっくりのスレンダーなボディーを持ち、翼を持つ白と紫のロボットが、
学校の校庭にボソンジャンプしてくる。
「頑張れよ!二人とも!」
「まったくまだ15の俺達を戦わせるからにはそれなりの報酬はあるだろ!」
「ないわよ!」
スパンッ!
どこから持ってきたのかハリセンでアレクを叩くガーネット。
「さっさと乗る!」
「へいへい。」
ガーネットが白のロボットに、アレクが紫のロボットに乗り込む。
「ディーネ、不調は?」
[ありません。]
「オッケィ!ディアボロス!出る!」
『ルシフェル!行きます!』
紫と白の閃光が校庭から宇宙へと飛び立った。
◆
『そこの宙域は二人に任せる、数は戦艦4隻、護衛艦10隻、機動兵器が100以上だ。』
「全部有人?」
『どうもそうらしいな。』
上官の通信はそこで切れる。
『どうする?アレク。』
「まずは話しをする……ディーネ、向うさんの旗艦に回線繋げて。」
[了解、繋がりました、回線開きます。]
ディアボロスのサポートAIであるディーネがそう言う。
「こちら、土星親衛機団、<紫炎の破壊神>ディアボロス、何者だ?何用で土星に来た?」
『地火木連合軍である、用件は土星にいる重要人物をこちらに引き渡してもらう事だ!』
ウインドウに映った軍人が言う。
「他の宙域の艦隊も同じ用件か?」
『そうだ!』
『だったら答えは決まってるね。』
「そちらの用件は飲めない、御引取り願おう。」
アレクが言う。
『ならば、実力行使で行く!人間の進化のため!土星に住む人間のサンプルがいるのだ!』
軍人がそう怒鳴り、連合軍のエステバリスと呼ばれる人型兵器が動き出し、戦艦も砲撃を始める。
「やっぱり、人体実験関連みたいだな……」
[そうですね……]
『こっちも実力行使で行きましょうか。』
[行くだろう?アレク。]
ルシフェルのサポートAIのルシフが最後にそう言う。
「決まってる!ディーネ!ビット射出!」
[数は?]
「全部だ!」
ディアボロスの翼が大きく広がり、羽の一つ一つが撃ち出される。
「行けぇっ!フェザー・ビット!」
羽…フェザー・ビット一つ一つが生物のように飛び、
グラビティ・ブラストを撃ち出してエステバリスを落として行く。
『こっちも行くよぉ!』
[おう!]
『フェザー・ビット、連合軍機を打ち落とせぇっ!』
ルシフェルからもフェザー・ビットが撃ち出されて、連合軍のエステバリスを落として行く。
ガーネットも<白銀の戦女神>の二つ名を持ち、連合軍相手でもまさに一騎当千の力を持っている。
『オメガ・キャノン撃てる?』
[充電率、75%。]
『それで充分!発射準備!』
ガーネットがそう言い、ルシフェルの背中にある砲筒が動い左肩に掛る。
「オメガ・キャノンを使うのか?……ディーネ!離れるぞ!」
[了解。]
フェザー・ビットが翼に戻り、ディアボロスがルシフェルのオメガ・キャノンの効果範囲外まで逃げる。
[発射準備完了!]
『オメガ・キャノン!発射ぁーーーーーーー!』
ズドンッ!ギュウウウウウウウウウウウウウウウン……ズオオオオオオオオオッ!
強制的に創られた人工ブラックホールが連合軍を吸い込んで行く。
ブラックホールが消えた後、残った連合軍は僅か戦艦2隻。
「後は俺にやらせろよな!ディーネ!ディストーション・フィールド全開!突っ込むぞ!」
[それは……やめた方が………]
ディーネが言う。
「なら、D(ディストーション)・ブレード!」
[はい。]
ディアボロスが剣の柄のような物を握ると、赤い剣が生まれる。
「行っくぜぇぇぇぇぇぇ!
秘刀流!壱の太刀!鳶燕(とびつばめ)!」
ディアボロスが日本剣術の抜刀の構えを取り、一瞬にして振る。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
振れる事すら叶わぬ距離なのに2隻の戦艦は真っ二つに斬れて、爆発した。
「ふぅ……殲滅終了。」
『皆殺しにしなくてもよかったと思うんだけど……』
「やっちまったもんはしょうがないだろ、帰ろうぜ。」
『うん♪』
ディアボロスとルシフェルが土星に帰ろうとすると、
[[前方にブラックホール発生!アレク(ガーネ)!緊急回避!]]
『え?』
「なにぃ?!」
ディーネとルシフの連絡に、ガーネットとアレクは驚く。
「オメガ・キャノン使った反動か?」
[違います!自然に発生しました!]
「なんだって、この宙域に!」
『ダメ!飲まれる!』
ルシフェルがどんどんブラックホールに近付いて行く。
「くっ!ディーネ!ボソンジャンプ!」
[場所は!]
「知るかっ!ランダムで良い!ブラックホールで死ぬよりマシだ!」
アレクはそう言って、ディアボロスの手でルシフェルを掴む。
[わかりました!行きます。]
「ガーネット!ランダムでジャンプする!ブラックホールに飲まれるよりマシだろ!」
『……うん………アレクに任せる!』
「ルシフ!お前もジャンプシステム作動させろ!ランダムで飛ぶぞ!」
[わかった!]
白と紫の天使がどんどんブラックホールに取り込まれていく。
「ガーネット!」
『うんっ!』
『「ジャンプッ!」』
ボース粒子光りに包まれて、白と紫の天使は姿を消した。
土星の政府は二人はブラックホールに飲まれたとして、コロニー中に生死不明と伝えた。
ども、軍神です。
プロローグ2です♪
これでなんとか良いと思う♪
では1話〜♪
感想メールはこちらまで
代理人の感想
ふむ、「時の流れに」冒頭とその六十年ほど後と、二段仕立てのプロローグですね?
どうもオリキャラのこの二人、某キャラクターの親戚だかなんだかに見えますが
このままアキト達と合流するのでしょうか?