アキトの目がくわっ!と開いた。

「こんな奴に・・・・負けるかぁぁぁっ!」

アキトが雄叫びを上げたのと、金属と金属がぶつかり合い砕ける嫌な音が響き、

爆音と閃光が走ったのがほぼ同時だった。

 

 

 

 

ゴッドナデシコが仁王立ちしている。

『ヘブンズソード』は右足をゴッドに叩き込んだままの姿勢で空中に停止していた。

両者の間に稲妻のような閃光が荒れ狂い、轟音が響く。

 

一瞬前まで、ゴッドの胴体を抉るべく高速回転していた足刀が止まっていた。

その鉤爪の一本をアキトの右手が掴んでいる。

アキトの双眸がぎらり、と輝く。

再び咆哮が轟いた。

 

「俺のこの手が真っ赤に燃えるッ!」

 

溢れる闘気が金色に輝く。

くわっ!と見開かれたアキトの目からもまた、黄金色の闘志が迸った。

顔の前にかざしたアキトの手に、キング・オブ・ハートの紋章が燃えた。

解放された胸のエネルギーマルチプライヤーが燃える。

背中の六枚のフィンが放射状に展開し、溢れるエネルギーが日輪を描く。  

 

「勝利を掴めと轟き叫ぶッッッ!」  

 

灼熱の掌が、掴んでいた鉤爪を握り砕いた。

絶叫を上げ、『ヘブンズソード』が一瞬で飛行形態に変形して離脱を図る。

 

 

ゴッドの腕に装備されていた青い追加装甲がスライドし、指先から手首まで、手の甲の側をすっぽりと覆う。

背中に輝く日輪の中央に光の粒子が集まり、眩しいほどに輝く。

その一瞬後、右手から爆発的なエネルギーが噴出する。

 

「爆ァァァァァク熱ッ!」

 

風を灼き、空を燃やし、爆熱する右手をアキトが大きく振りかぶった。

 

「ゴッドォッ!フィンガァッ!」

 

黒煙を突き破り、突き出されたゴッドフィンガーから爆熱の波動が一直線に伸びる。

竜の吐息の如く伸びたそれは確かに黒煙の中の敵を捕えた。

先程の物より大きな爆発が、バリアそのものを揺るがす。

観客席にまで振動が伝わってきた。

 

 

「どうやら勝負がついたようですね・・・。」

「ふっふっふっふ・・・・」

残念がっているとも喜んでいるともつかないメグミの表情。

対照的にホウメイは太い微笑みを浮かべていた。

 

爆風とともに黒煙が赤く輝くのが内部のアキトにもわかった。

「・・・やったか?」

確かな手応えを感じつつも確信を持てぬままアキトが呟く。

周囲の気配に集中し、アキトが一歩踏み出す。

黒煙の中に何かがあった。

一瞬の後、それがなんであるか理解したアキトの目が大きく見開かれた。

満身創痍・・いや、大破と称しても差し支えない状態のネロスナデシコが倒れていた。

特に胴には大穴が開き、コクピットの部分は丸ごと抉られている。

そばにはファイティングスーツを着た人影が倒れていた。

「あれは・・・サイトウ!?どう言う事だ・・・!」

アキトの呟きが聞こえたかのように、サイトウは倒れたままにやあ、と笑い、そのまま意識を失った。

 

 

赤いランプとサイレンの音が遠ざかっていく。

サイトウを乗せた救急車が走り去るのを見届けてナオが口を開いた。

「何やら怪しい雲行きになってきたもんだ・・・。」

「そう・・とてつもない何かがこのネオホンコンを覆いはじめている・・・。くれぐれも油断は禁物よ。」

シュバルツの言葉に何か感じる所があったのか、アキトが天を見上げる。

おりしも太陽は黒雲に隠されようとしていた。

 

 

下降するエレベーター特有の軽い浮揚感を楽しみながら浮遊椅子に座ったメグミ首相が口を開く。

「さすがのサイトウさんでもそう簡単にはいかなかったみたいですね・・・・。」

「テンカワは仮にもシャッフル同盟の一員。甘く見てはいけないよ。」

直立不動のままでホウメイ。

「ふ・・・歴史の裏で常に世界の秩序を守ってきたシャッフル同盟・・・ですか。

しかし、私が世界の実権を握り続ける限り彼らの存在理由はなくなる・・・そうは思いませんか、ホウメイ先生?」

言いながら身を乗り出し、顔の前で拳を軽く握る。

そのまま顔を上げホウメイにどこか挑発的な視線を送るメグミ。

無言のまま、ホウメイの目がわずかに細まる。

それを見たメグミが、再びアルカイックスマイルを浮かべた。

 

エレベーターが止まり、扉が開いた。

椅子から立ちあがったメグミが、広大な空間の中に掛けられた橋のような通路を歩いてゆく。

「しかも、私は手に入れた・・・神にも匹敵する偉大な力・・・・!

これはせいぜい有効に使わせてもらいますよ・・・。

今後も私が全宇宙の覇者であり続ける為にね・・・。

ふ、ふ、ふ・・・・ほほほほほほほほほほほほほほ!」

 

暗く、広大な地下空間。

あの禍禍しいコンテナがそこにあった。

その扉は大きく開かれ、中に鎮座する異形の存在を無数のライトが照らし出している。

いつ果てるとも知れぬメグミの笑い声の中・・・眠れる魔神、

傷ついたデビルホクシンは静かな、だが恐るべき威圧感を放ち続けていた。

 

 

 

 

次回予告

皆さんお待ちかねぇ!

殺人事件発生!

その現場を目撃してしまったイツキルイゼに迫る黒い影!

彼女を守る為に戦うユリカは、ジョンブルナデシコを倒す事が出来るのでしょうか!?

そしてナデシコローズに迫る巨大な異形の影とは!

機動武闘伝Gナデシコ、

「地獄からの使者!テツヤ復活」に!

レディィィィィィ!GO!

 

あとがき

サイトウくん大活躍(笑)。

いやあ、Benさんの本編ではほんのチョイ役、中途半端な脇役キャラだったのに・・・・・・・・・

ここでは悪の組織の大幹部、デビルホクシン四天王の斬り込み隊長!

本当に大した出世ですねぇ(爆)!

これなら立派に故郷に錦を飾れますよ(笑)!

まあ、それはともかくなんでコイツに巻き舌の小悪党ミケロ・チャリオットをあてたかというと、

 

一、主人公に対して特に反感を持っている

二、大した設定がない(設定が単純である)

三、基本的に小物かつ思考パターンが単純(爆笑)

 

の三つの理由が主ですね。特に三番(笑)。

これからもコイツには小悪党っぽく活躍してもらいましょう(笑)。

 

ちなみに「メティちゃんの性格がまんまアレンビー」(否定はしません(^^;)

などと言う意見もありましょうが・・・・

 

あたしの知ったこっちゃありません。

 

文句はメティちゃんに十個程度のセリフしか与えずに退場させてしまったどこかの人に言って下さい(爆)。

 

さて、次は某氏待望のイツキルイゼ姫再登場(笑)!

百合な展開になるかどうかは気分次第です(核爆)。

 

 

 

管理人の感想

 

 

鋼の城さんから連載第三十二弾の投稿です!!

あ、あははははは(汗)

ども、十個程度のセリフしか割り振らなかった、どこぞの人です(爆)

ううう、未だメティちゃんについては責められるのね。

・・・カズシはそれほど怒られなかったけど(苦笑)

しかし、サイトウは本当に大出世だな〜

 

では、鋼の城さん!! 投稿有難うございました!!

 

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