機動戦艦ナデシコifストーリー
〜黒き牙を継ぎし者〜
NAMAE〜中編
俺はウォンさんといっしょに(てゆーか連れられて)佐世保シティの大通りを歩いている。
なぜ車ではなく徒歩なのかは不明である。聞いてみたら、
「私と歩けるんだからラッキーでしょ」
と、理由になっているのかなっていないのかよく分からない答えを返された。
・・・・・・・・よく考えたらなっている訳ないな。・・・・・・・まあいいか、さっき『接待』って言ってたしな。
おそらくカニでも食べさしてくれるのだろう。
向こうには遺伝子養殖のカニしかなかったからな、料理人を目指す俺としてはやはり
本場のカニを食ってみたい。タラバガニとか、ケガニ、あとズワイガ二・・・・・・・、
「いや、やはりここは花咲だろう・・・・・、ふふふふ・・・・・」
「テンカワ君・・・・・・よだれが出てるわよ・・・・・・」
はっ、しまったつい・・・・・・。
「まったく、きったないわね〜」
ぐっ・・・・・・こんなに純な少年に向かってなんて事を、ってゆーか初対面の人間をそこまで貶すか普通?
「ンな事よりっ!!!」
人差し指を突きつけながら叫ぶ。ここはとりあえず話題を替えといた方がいいだろう。
「俺の荷物どこに持って行かれたんスか?俺らとは正反対の方にあの黒服達行っちゃいましたけど・・・・・・」
あの後ウォンさんに叩き起こされた黒服たちは俺のリュックだけを車に乗せて去って行った。
「彼らには病院に行くように指示したわ、結構酷い怪我だったし・・・・・・・」
「確かに・・・・・・。なかなか起きないヤツはウォンさんのハイヒールでろっ骨踏み砕かれてましたからね」
「ほ、骨を砕いたのはあなたでしょう!!人聞きの悪い事言わないでよっ!!」
周りを歩いていた人達に変な目で見られてる・・・・・・うう、俺目立つの苦手なのに・・・・・・
だいたい人聞きを気にするんならもう少し声のボリューム落とした方がいいと思う。
なんか怖くてンな事言えないけど・・・・・・。
「俺は手加減したからひびぐらいだと思いますよ、たぶん」
「たぶんでしょ?自信ないんでしょう?だったら絶対にあなたよ。私じゃないわ」
むう、全面否定っスか・・・・・・。
でも俺じゃないだろうな。だってウォンさんが踏みつけた時すんげー鈍い音してたぞ。
『ポキッ』なんてカワイイもんじゃない、『メキャア』って感じだったぞ。
ウォンさんも聞こえたはずなんだが・・・・・・・・。
でもまあ病院に行ったんなら大丈夫だろう。
最近の医学は凄いからな、小さい病院でもそれなりの・・・・・・・ってあれ?たしか・・・・・・・
「あのウォンさん、あっちの方に病院ってありましたっけ?」
俺の記憶が確かなら、あっちはしばらく林が続いたあとは山道だったはずだ。
山の中にはサナトリウムなんてなかったはずだし、まさか隣町の病院に行ったのか?
でも普通はそんな事はしなよな・・・・・・・・。
「ああ、あっちにはネルガルの秘密の研究所があるのよ。そこで治療してもらって、って言っといたの」
なるほど、だからか・・・・・・・・・。しかしなぜに秘密なんだ?
「まあついでに遺伝子もちょ〜っといじられるでしょうけど・・・・・・、大丈夫でしょ、たぶん」
・・・・・・・ちょっと待てい。遺伝子操作って犯罪じゃんっ!!
「そうですね、だいじょーぶでしょうね、じゃあ俺は用事を思い出したのでこれで・・・・・・・」
シュタッ、と手で礼をして俺は全力で駆け出した。自慢じゃないが俺は50mを5秒台で駆け抜ける男だ。
いくらウォンさんでも追い着く事はできまい。
逃げ延びた後は日本を離れてピースランドあたりで小さな店でも開いて静かに生きよう、よし決めた!
将来設計完璧っ!!
「待ちなさいよ」
グイッ
ほえっ?
どべしっ
「へばぁ!!!」
おっ・・・・・おもいっきしこけた。しかも顔面から・・・・・・。
たしかどっかの誰かが「倒れる時は前のめりだ」、って言ってたけどちょっと無理ッス、これはマジで痛い。
「何いきなりスタートダッシュしてるのよ、危ないわよ」
ウォンさんが前屈みになりながら顔を押さえて座り込んで俺を見下ろしている。
そして右手にはロープの端が握られている。
「・・・・・・・・・・」
俺は痛む鼻を押さえながらロープを視線でつたっていく。案の定ロープは俺の足首に結んである。
い、いつの間に・・・・・。何者だ?あんたは・・・・。
「・・・・・いくつか質問よろしいでしょうか?」
言いながら足のロープをほどいて立ち上がる。あ〜あズボンが汚れちゃったよ。洗って落ちるかな?
「いいわよ、何?」
「いつの間にロープを?」
「あなたがダッシュした瞬間」
・・・・・・マジっすか?
「・・・・・どこからロープを?」
ウォンさんは手ぶらである。
「いやん、エッチィ♪」
意味不明っス・・・・・・。まさか新手のボソンジャンプ?
・・・・・・な訳ないか。地球にはまだ無理なはずだしな。
・・・じゃあいったいどうやったんだ?まあ気にしない方がいいな、うん。
「最後の質問。遺伝子操作が法律で禁止されてるって知ってます?」
「知ってるに決まってるじゃない。でもそんなヌルイ事言ってたらこの世界では生きていけないのよ」
なるほど・・・・ね、確かにそうかもな。けど・・・・、
「言っときますけど俺、人間を物扱いするような会社に雇われるつもりはないっスよ」
つーかむしろそんな会社潰す。
「勘違いしないでほしいわね。同じ犯罪行為でも非人道的な事は絶対してないわ。
いえ、私がさせない。誓えるわよ」
おお、かっこいい。けど行動と矛盾してるような気がするのはなんでだ?
さっき俺は犬扱いだったぞ。・・・よし、ウォンさんの決意がいかなるモノか試してみよう。
「じゃあ寅さんの像に誓ってきてください。証拠写真も忘れないでくださいね。ポーズはこんな感じで」
と俺は近くの街路樹に片手を突き頭を下げる。
「なんでそこで寅なのよっ!!しかもそれ反省のポーズじゃない!!」
ちっ・・・ばれたか。しかし寅さんを呼び捨てとは・・・。やるなウォンさん!!だったら、
「じゃあハチ公でいいっスよ、ハチ公に跨ってきてください」
「なんで像ばっかなのよ!!」
「ならば俺に誓え」
バコォ
「うごおおおおおっ?!」
ヒ、ヒールが額いにいぃぃぃぃぃぃっ!!!!
「あんまり馬鹿な事言わない方がいいわよ」
「ハアッ、ハアッ」
しっ、死ぬ。この人といっしょにいたらいつか殺される。
「さ、お馬鹿な事はこの辺にしてさっさと行きましょ」
この辺ってどの辺やねん。もうちょっとで死ぬぞ、俺。
「そうですね、とっとと行きましょうか」
カニ食って逃げよう、うん。
「アイ〜ン」
はっ、しまった。ショックのあまりつい志村〇の真似をしてしまった。(なんでやねん)
「どうしたのテンカワ君?早く入るわよ」
彼は急かされてもあまりの事に足が動かない。
なぜならば!逃げると決めてから脱出方法を考えながらたどり着いたのは可愛らしい看板の掛かった
ファミレスだった・・・・・・・。っておいっ!!こんな所にカニがあるわけねーーーー!!!
で、でももしかしたら・・・・・・。
「・・・・・・・・あの、ウォンさん?」
聞くのが怖い・・・・・だが聞くしかない!!
「こ、ここってタラバガニとかは置いてあったりなんかしちゃったりするって事は・・・・・・・」
「・・・・・?あなた、ファミレスでゆでガニとか食べた事あるの?」
「・・・・・いいえ」
あるわけねーよ。
「さっ、レッツ・ゴー!」
なぜかハイテンションのウォンさんに引きずられながら俺はファミレスに向かって行った。
『Pia Carrot』と書かれた看板を呆然と見つめながら・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・どーでもいいけど接待にファミレスを使うウォンさんっていったい・・・・・・・。
ヴイ―ン
カラン カラン
・・・・なんで自動ドアでベルの音がするんだ?
どっかにスピーカーでもあって鳴らしてるんだろうけど・・・変に風情があるな。
それで中は・・・・・・・・おお〜、なかなかいい感じの店じゃないか。
カニにが食べれないと分かってガックリとしていた俺はPiaキャロットに足を踏み入れると同時に感嘆の声を
上げた。
・・・・・・・同時じゃないか。ってンな事よりこの店の内装だ。俺はグルっと店内を見渡した。
シミひとつない綺麗なシルクの壁に鮮やかな紋様をイメージさせる床。
さらに壁と見事な程合っている椅子とテーブル、そして適度に置かれた植物。
天井に吊ってある煌びやかで尚且つシックなライトボール。言うまでもなくGoodなテーブルの配置。
う〜む・・・・・見事な内装だ。そして何より店内の持つイメージ。なんだかもの凄く懐かしい感じがする。
はっきり言ってかなり気に入ったぞ。これで料理の味がよけりゃ毎日通ってもいいくらいだ。
金があればだけど・・・・。
改めて店内を見渡してみると客はあまり多くない。
まあ、もう昼過ぎだし味が悪いからって事には繋がらないだろう。
と、感心していると俺達に気付いたウェイトレスがこっちに近づいて来た。
「いらっしゃいませ!Piaキャロットへようこそ・・・・・ってエリナじゃない、この時間帯に来るなんて珍しいわね」
「葵に出迎えてもらう事もね。美奈ちゃんはどうしたの?いつもはあの子が出迎えてくれるのに」
「奥で耕治クンの治療中よ。涼子がちょっと出てるから」
「はあ〜、また耕治クンあずさちゃんに何かしたの?」
「・・・・・・あの〜もしもし?」
「そーなのよぉ〜、耕治クンったらまたあずさちゃんに胸タッチしちゃったのよ〜」
「それであずさちゃんの六連コンボでも炸裂したんでしょ、耕治クンも毎回よく無事でいるわね〜」
・・・・・・・・・う〜む、一瞬で忘れられてるな、俺・・・。
しかしなんかウォンさん、このウェイトレスさんとやけにフレンドリィ〜だな。
常連客って言うより昔馴染みの友達って感じだ、年齢も近そうだし。
けどこの店のウェイトレスって・・・・・・ナンか変じゃないか?
俺はウォンさんと談笑(?)しているウェイトレスさん____スカートのネームプレートには皆瀬と書いてある。
さっきのウォンさんとの会話と組み合わせるとフルネームは皆瀬葵(みなせあおい)かな?
____を観察して見た。
蒼色をしたショートカットの髪、やや猫目だが優しそうな瞳。プロポーションは・・・・・もの凄くいい。
ふ〜む・・・・まさに大人の色気を持つお姉さんってとこだな。
気になるのは皆瀬さんの着ている制服だ。
これを一言で表せと言われたら百人中百人が『メイド服』と答えるだろう。
鮮やかな紫色のスカートと肩の膨らみ、エプロンと肩紐は淡いピンク色で胸元が白いブラウスで強調してある。
やや太めのベルトは後ろでそのままリボンになっており、太股まである白いハイソックスはその裾に黄色いリボン
があしらってある。
頭にはやはりと言うべきか白いカチューシャ、右の肩紐にはデフォルメされたニンジンのピンバッチが付けて
ある。
・・・・・・マニアってヤツか?なんかいろんな意味で人気のありそうな店だな。
・・・・・・・・・・・ってゆーかこの二人の会話はいったいいつまで続くんだ?
俺としては早くここの料理を食べてみたいンだけど・・・・・・・。
だが迂闊に皆瀬さんに話しかけるのもな〜。
なんたってウォンさんの知り合いだ、どんな技を仕掛けてくるか分かったモンじゃない。
・・・・・ウォンさんと一緒にいると人間不信になりそうだな。
いっそこのまま逃げてこの店にはまた今度来るってのも・・・・・・後が恐そうだから却下だな。
「あずさちゃんもいい加減なれたらいいのに。別に耕治クンの事嫌ってる訳じゃないんでしょ?」
「と言うよりホレてるわね、『ハート、ポッポ』って感じ。殴るのも愛情の裏返しよ、あれはきっと」
そんな愛情とっとと表返しとけ、危なすぎるぞ。などと俺が胸中で突っ込んでいると・・・・・、
「全然ホレてなんかいませんっ!!
葵さん、勝手な想像しないでください!!!」
おわぁっ!!?
無防備だった俺に背後からもの凄い大声が突き刺さった。
びっ、びっくりしたぁ〜。なんなんだ?いきなし。
俺はなるべく平然を装いながらゆっくりと振り向いた。
そこには皆瀬さんと同じ制服に身を包んだ少女が僅かに息を乱しながら立っていた。
年齢は俺と同じか下くらい・・・・かな。茶色の髪を後ろで結んでおり、鮮やかエメラルドグリーンをした
大きい瞳が特徴の可愛らしい女の子だ。
Piaキャロットの制服も皆瀬さんとは違った意味でとてもよく似合っている。
これで怒った顔じゃなく笑顔だったらもっと魅力的だろうに・・・・・・でもなんでそんなに怒ってるんだ?
「やっほーあずさちゃん、外周りの掃除終わったの?ご苦労様♪」
確かにに手にはホウキが握られている。握る手に異様に力が入ってるけど。
あ、なんかメキメキいってるし・・・・・。
「終わりました。そんな事より葵さん変な事言わないでください。
なんで私があんな変態の事を好きにならなきゃいけないんですか!?」
ああ、それで怒ってンのか。・・・・・・・・しかし完璧に忘れられてるな、俺。
この日野森(ネームプレートを見た)って子は俺の後ろに立っている。
そして前には皆瀬さんとウォンさんがいる。
という事は二人は俺を挟んで会話しているって事だが俺の事はまったく気にしていない。
っていうか俺の事にこの二人は気付いているかどうかも危うい。
「とか言っちゃって〜、怪我してる耕治クンのかわりに外の掃除してあげてるじゃない」
「そっ、それは単にあの変態と同じ空気を吸いたくなかっただけです!勘違いしないでください!!」
・・・・・・・絶対気付いてないな。なんか俺が空気になった気分だ。
ただしこのまま二人が会話を続けていると酸素を取られて二酸化炭素に変身してしまうかもしれない。
「今朝も一緒に寮から出勤して来たじゃない。耕治クンはともかく、あずさちゃん今日は遅番なのに」
「はっ、早く来たのは美奈の忘れ物を届けに来ただけで、
一緒になったのも偶然です。たまたま寮の入り口でばったり会ってそれで・・・・・」
「『それで・・・・』なんなのかな〜?あずさちゃ〜ん?」
「私が休みの時の美奈の様子を聞いとこうって思っただけです!!ってなんですかっ、その薄ら笑いはっ!?」
「べ〜つ〜にぃ〜」
腕を組み、壁にもたれ掛かって観戦モードの俺。・・・・・これでいいのか俺?何しに来たんだ俺?
ちなみにウォンさんといえばいつの間にか俺の隣で同じく観戦している。
いや見てないで止めて欲しいんスけど・・・・・。
ヴイーン
カラン カラン
「んっ?」
だれか来たぞ、退いた方がいいんじゃないか?
ベルの音とともに入って来た女性はドアの前で言い争って(と言うより皆瀬さんが一方的にからかっているのだ
が)いる日野森さんと俺達を一瞬驚いた様に見比べると、理由を察したのか苦笑するとウォンさんに手を
振った後二人の間に割って入った。ウォンさんこの人とも知り合いなのか・・・・。
「あっ、りょっ、涼子さん・・・・」
「お、お帰り、涼子・・・・」
二人ともなんか怯えてないか?
涼子と呼ばれた女性はにっこりと微笑みながら持っていた分厚いファイルを振り上げると、
ぱかーん
「きゃっ!?」
「いった〜い!!」
おお、見事な手首のスナップだ。二人目を叩いた時にも威力がまったく落ちてないぞ。
しかしこの涼子さん、葵さんとはまた違った意味で大人、って感じだな〜。
金色に近い黄土色の髪をうなじでリボンで縛り、穏やかな笑顔にちょこんとメガネが瞳を覆っている。
これが世に言う全国男子憧れのおっとり系お姉さんってヤツだな、きっと。
「もう、二人とも、お客さんほったらかして何やってるの?」
「す、すいません・・・・」
「ご、ごめん涼子」
なんか二人とも涼子さんに頭が上がらないみたいだな。とゆー事は涼子さんは二人の上司なんだろうか?
「エリナものんびり見てないで止めればいいのに。連れの人が退屈してるじゃない」
お、なんかやっと俺の事が出てきたぞ。
「うそ?エリナ、今日は一人じゃないの?」
「本当だ、珍しい」
「あ、あんた達ね〜」
なんかウォンさん頬が引きつってるっス。しかし・・・・・この二人、やっぱ気付いてなかったか・・・・・。
「ねえねえ、誰よ?紹介しなさいよ〜〜」
「どんな関係なんですか?」
「あ、あんた達には関係ないでしょ!」
別に隠す必要ないでしょうが・・・・・・。しかもなぜにテレる?
「あ、もしかして弟とか?」
こんな姉ちゃん俺は嫌だね。
「そ、そんな事より席空いてる?お昼まだなのよ」
「ええ、空いてますよ。ではこちらにどうぞ」
「あ、はい」
ウォンさんに、っていうより日野森さんは俺に笑顔を向けながら奥の方の席を指した。
ふぅ、やっと飯に在り付ける。長い道のりだった。
「ねえねえ、そこの少年」
と、いきなり皆瀬さんに呼び止められてしまった。ぐはっ。(意味不明)
「なんスか?」
「名前は?エリナとどういう関係なの?」
・・・・・・・とーとつな人だな。
「名前はテンカワアキト。関係っていわれても・・・・・」
ただの取引相手なんだけど・・・・・・。
「葵っ!仕事してっ!!」
「は、はい〜!!」
涼子さんに一括されて葵さんは俺の答えを最後まで聞かず行ってしまった。
変な誤解してなきゃいいけど・・・・・。ま、いいか。困るのはウォンさんだ。わっはっは。
一番奥のテーブルに座り俺はメニューと睨めっこしていた。
・・・・・う〜む、みんな美味そうだな〜。これは迷うっス。
ちなみにウォンさんは『いつもの』らしい。
ああ、なんか俺のせいでウェイトレスさん待たしているみたいでヤだな〜。
早く決めてしまおう。まあかなり腹減ってるし、美味そうなヤツみんな頼めばいいさ。
「このトルテ風オムレツに、クリームシチュー、それと中華風ステーキにカニコロッケ。
ライスでお願いします。あとデザートにレモンシャーベット、食後にコーヒーを」
まあ、こんなモンだろう。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・あの〜?」
「・・・・あ、す、すいません。繰り返します。トルテ風オムレツ、クリームシチュー、中華ステーキ、カニコロッケ。
ライスですべて一つずつですね。デザートにレモンシャーベット、食後のコーヒーはアイスとホットがありますが?」
「じゃあ〜・・・・アイスで」
「かしこまりました。それにエリナさんはいつものでいいですね?」
「ええ」
「では失礼します。少々お待ちくだ・・・・・」
う〜なんか忘れてるような・・・・・・あ!
「あ、あとこのアマトリチェ風スパゲッティを一つ」
ふう〜危うくパスタを忘れる所だった。
「は、はあ。では少々お待ちください」
日野森さんは優雅に一礼すると厨房の方に戻った。
なんかちょっと呆れられてた様な気がするけど・・・・・・。なぜ?
「ちょ、ちょっとテンカワ君。そんなに頼んで大丈夫なの?」
ウォンさんが日野森さんが向こうに行ったと同時に俺に変な質問をしてきた。
「あったり前じゃないですか。出された料理を残す様な失礼な事はしませんよ」
味によるけど。
「まあ、それもあるけど・・・・・。支払いの事よ。わたしビタ一文出す気ないわよ」
へっ?
「と言うより一銭も持ってないのよ。カード、バックと一緒に車の中だったから・・・・・・・・あはっ♪」
『あはっ♪』じゃなぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ!!!!
「ちょっと待ってぇぇぇぇっ!!ウェイトレスさぁぁぁん!!カァァァムバァァァクゥッ!!!!!」
だが、俺の叫び空しく日野森さんは厨房の奥に行ってしまった。
「・・・・・・・・・・・・」
ぎぎぎっ、って音が聞こえそうな感じで俺はウォンさんを見やる。
「ええっと、あの、その。・・・・・・や、やだっ!!そんな泣きそうな顔しないでよ!」
「泣きたくもなりますよっ!!俺仕事首になって持金殆どゼロに近いんスから!!」
「ここの支払い分くらいあるでしょ?後はネルガルで働けばいいわ。再就職先けって〜い」
「根本的な解決な解決になってない!!だいたいウォンさんはどうやって金払う気なんですか!?」
「ああ、私はここで食べる時は会社の経費で落とせるの」
「だったら俺の分も経費で落としてくださいよ!!」
「嫌よ。なんでネルガルがあなたの食事代を出さなきゃいけないのよ」
「俺はネルガルの接待先とちゃうんかー!!払えーー!!」
「払ったら貴方ネルガルで働かないでしょ?」
うわっ、計画犯罪。ムカツクゥ〜。
「だったら俺は帰らして貰います。さようなら。二度と会わないよう気を付けて生きて行きます。アデュー」
俺は出された水をイッキに飲み干して席を立ち上がった。
「ちょっと待ちなさい」
お、払う気になったか?
「貴方さっき出された料理は全部食べるって言ったわよね。注文した料理はどうするのかしら?」
「うっ!」
「貴方、コックを目指してるんだったわよね?食べ物を残すような人がコックになんかなれるのかしら?」
「・・・・・・・」
俺は黙って黙ってひたすら黙って再び席に着く。
「うん、うん。素直でよろしい」
・・・・・・・・この人嫌いだ。
「でも流石に何もしないのは悪いわよね〜」
「・・・・・何してくれるんスか?」
「わたしの事『エリナ』って呼んでいいわよ」
・・・・・・なぜぞーなる。俺は別にこれ以上アンタとの親睦を深める気はないぞ。
「どうっ?なかなかいいアイデアでしょ?」
どこがだよ・・・・・・。
俺は露骨に『けっけっけっ!!!!』という顔をしてやった。
「なんだか不満そーね。呼んでくれたらお金払って上げるわよ」
「是非とも呼ばせて頂きます。
エリナさん、エリナちゃん。エリっちにエーちゃん。おまけにエコエコアザラク♪さあ、どれがいい?」
「・・・・・・普通にエリナさんでいいわよ」
「解かりました。ではこれからはそう呼ばして頂きます」
・・・・・・・ふっ。これで終わると思うなよ。
後書き
書き方おもいっきし変えました(笑)
なぜかと言うと今回は戦闘もなく主にエリナとの会話なのでアキト一人称の方が
解かりやすいと思ったからです。ただ相変わらず短いのは変わってないですけど・・・・。
今回の話はひたすら暴走しただけのような気もするし。やはり『慎吾ママのおはロック』
を聞きながら打ったからなのだろか?(笑)
次もこの書き方で行く・・・・・・・と思いますけど・・・・・・。
あと最後に書く事ではないかもしれませんが題名変えました。ってか略しました。
Benさんにはご迷惑かけるかもしれませんが何とぞ宜しくお願い致します。
管理人の感想
琴音祐希さんからの続編の投稿です!!
・・・世界が違う(爆)
プロローグのシリアスは何処に?
第一話前編の颯爽とした戦闘シーンは?
ついでに、アイちゃんは何処行った?(爆)
なんだか、このエリナさんのキャラクターに、見事に巻き込まれてますね〜
段々、アキトが壊れていってるや(苦笑)
しかし、依然としてエリナの目的とアキトの正体が明かされないのね・・・
では、琴音祐希さん!! 投稿有難うございました!!
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