Ben様 作 『<時の流れに>』

The Another Edition 


T O K I N A D E  P L U S
〜All’s  fair  in  love  and  war〜



第二話 「『悔しさ』いっぱい梅干すっぱい」


 




俺が格納庫にエステバリスを収容させ、コクピットハッチを開くと、何時の間にやらエステの足元にはユリカがいた。
艦長としての自覚はあると思うのだが、まさかブリッジを離れるとは・・・・・。
俺の脳裏に、だらだらと涙を流すジュンの姿と、プロスさんがふつふつと静かな怒りを滾らせる姿が思い浮かんだ。

「アキト!!よかったっ!!!無事だったんだねっ!!!!」

ユリカ嬉しい〜!!!、と抱きついてきそうな感じだったので、俺は少し身を引いて避ける準備をしつつ、答えた。

「ああ、どうにかね」

ユリカの微笑む顔がまぶしかった。
俺はそのまぶしさに目をそむけようとしながらも、どこかでこの笑顔を見ていたいと思っている自分がいることを自覚していた。

「何かアキト、変だよ?気分でも悪いの?」

俺がどこかぎこちない笑みを浮かべていた、だからだろうか、ユリカは俺の顔を覗き込むように聞いてきた。

「・・・・・初めての戦闘だったんだからな。・・・そりゃそうさ」

俺はユリカの心配そうな顔に対して、苦笑いで返す。

「そうなの?・・・それにしては見事な操縦だったと思うけど・・・・」

ユリカは立てた人差し指を口元へ持っていき不思議そうな顔をする。
――マジかっ!!
俺は改めてユリカの観察力に舌を巻いた。
・・・・さすがだ。普段はアレだが、戦闘中となると話は別か。というか、落差が激しすぎるんだよな。

「そうか?・・・・偶然だよ。必死にやってただけさ・・・・」

俺はそれから、適当なことを言って格納庫を後にした。
――辛い。
それが俺の本音だった。
ユリカを見るたびに、俺の何かが壊れていく。
俺の何かに入っているモノがユリカを求めているのだ。
しかし、俺は――。
いくら考えても答えは出ない。
それは永久に出ないかもしれないな。
俺は、通路を歩きながら自嘲気味に笑みを浮かべ、そう思った。






(とりあえず医務室にでもいくか)

俺は通路を歩きながら思った。
とりあえず、体の検査もしたかった。大幅ジャンプで俺の体に何か変化があるのか、もしくはあったのか。そして、恐らくこれは分からないだろうが、何故体が無く、記憶のみのジャンプが行われたのか、等の理由からだった。
と、その時。
電子音と共に俺の目の前に小さなウィンドウが開いた。

『アキトさん。お疲れさまでした』

ルリちゃんからの通信だった。

「・・・・・あの程度なら、疲れは感じないよ」

俺はどこか疲れたような声でそう答えた。
それを見て、ルリちゃんも微かに、その美少女とも言える顔を曇らせた。

『ユリカさんにはあのまま接するつもりですか?』

ルリちゃんの寂しげな表情に俺は、ああ、と頷いた。

「ユリカに事情を話すつもりはないよ、これでも色々考えたんだけどね」

――そう、俺はユリカを巻き込むつもりは無い。できるなら、ルリちゃんもな。
俺はそこまで考えて、自己嫌悪に苛まれた。
何を言ってるテンカワ・アキト!お前はもう巻き込んでいるじゃないか、ラピス・ラズリという少女をっ!!

『過去への干渉を避けるためですか?・・・・予測のできない未来にしたくないという・・・・』

「・・・・俺は未来を変えるつもりだ。ガイも助けるつもりだし、サツキミドリも救いたい。火星の生存者も。それに白鳥九十九も、それに月で出会ったあの家族もだ」

俺は言い切った。
こうして見ると、実に傲慢で自己満足にすぎない願いだろう。結局、過去で出来なかったことをやるだけのことだ。

『傲慢な願望ですね。自己満足にすぎない。他人から見ればとても独善的です』

「そりゃそうだな」

その言葉に俺は苦笑した。
でも――、とルリちゃんは一呼吸おいて言った。

『それは私と同じ考えです。・・・・協力させてください』

「いいのかい?」

俺は問う。
確かにルリちゃんがいれば心強い。しかし、ほんとにいいのだろうか?

『未来を変える、神をも恐れぬ所業ですが・・・・私なら平気です、だって――』

「・・・・・」

『無神論者ですから!』

ルリちゃんの笑顔と、その言葉に俺は笑いを堪えきれなかった。

「ありがとう。ルリちゃん。・・・・そうだ!さっそくだけど相談があるんだ」

俺はラピスも過去へ飛んできてしまっていること。
そして、そのラピスがとある計画を進行中だということを言った。

「――ということなんだ」

『結構悪知恵働くんですね。アキトさんって』

そう呟いてルリちゃんはニヤリと笑みを浮かべた。

『ふふふ。その計画には私も参加しましょう。・・・・そして、ラピスには補佐を一人付けましょう』

くっくっく、悪代官のような笑みを浮かべるルリちゃんに、俺は少しビビっていた。

「補佐って・・・。そんな人いるのか?」

俺は考え込む。
俺達の話に協力し、なおかつ信用に値する人物。そんな人いただろうか?

『いるんですよ。ハーリー君です』

――それ誰?
はーりー君?誰だそれ?まったく記憶にないんだが・・・・。
俺はそう思ったので、ルリちゃんに聞いてみることにした。

「ねぇ、ルリちゃん。ハーリー君って誰?」

『知らないんですか?・・・・彼は――って一言で言うなら“ジュンさん二号です”』

なるほど、存在感が無くて、いてもいなくても一緒ってことだな。とてもわかりやすい説明だ。

『ともかく、彼も私と一緒に飛ばされたみたいで・・・・。連絡があったんです』

微笑むルリちゃん。
ジュン二号ってことは、そのハーリー君もルリちゃんに振り回されているというか、相手にされてないんだろうか?
俺はジュンに抱く思いを、その姿も知らないハーリー君に抱きつつ、その思考を止め、口を開いた。

「・・・・早速で悪いんだが、そのハーリー君にラピスの補佐を頼んでくれないか?」

『いいでしょう・・・・それと、出前でチキンライスを』

「ああ、分かった。ブリッジに持っていけばいいんだね?」

『はい。では』

そして目の前に開かれていたウィンドウが閉じた。
俺は、行く先を医務室からブリッジに変えると、通路を歩き出した。






「我々の目的地は・・・。火星だっ!」

俺は前回は食堂で聞いていたフクベ提督の言葉を、こうしてブリッジで、生で聞いていた。
隣ではルリちゃんが、俺が食堂から持ってきたチキンライスを黙々と食べている。
俺はそんなルリチャンの様子にかるくため息をついた後、フクベ提督の方を向いた。周りを見ると、ほとんどのクルーが提督を見ている。・・・・見ていないのは、ルリちゃんだけだ。

「では、地球が現在抱えている侵略は見過ごすと言うのですか!?」

ジュンが叫ぶ。
それを聞いていたプロスさんが、メガネに手をやり、ずり下がったメガネを戻しつつを答えた。

「副長がそう仰るのもご尤も。しかし、宇宙連合軍は火星を早々に見捨て、地球のみに防衛戦を敷きました。一体、火星に残された人々や資源はどうなったのでしょう?」

その言葉に誰もが沈黙した。
しかし、ルリちゃんはそんな雰囲気にありながらも、黙々とチキンライスを食べつづける。
俺はそんなルリちゃんにある意味、感服した。
プロスさんはそんなルリちゃんに気づいているか、いないのか。どっちかは分からないが話を続けた。

「その答えは誰にも解りません。・・・ですが、確かめてみる価値は十分にあるはずです」

顔を上げて、ブリッジクルーを見回すプロスさん。
そこまで言い終えた時、ちょうど艦長の後ろにある扉が開く。
そこから現れた人物は、アサルトライフルを持った部下を引き連れて、ニヤリとむかつく笑みを浮かべていた。

「い〜え、確かめる必要なんて・・・・無いわ」

ムネタケ副提督による反乱がこうして始まった。
俺はそんなムネタケを見ていて、相変わらずのむかつく喋り方だ、と思っていた。
というか、なんで親は優秀で、あんなに子は卑屈な奴なんだろうか?しかも、准将としても優秀とは思えないしな。
それに、あのキノコカット。親子で共通しているし、ウケを狙っているとしか思えないぞ。
俺はそんなことを思っていたとき、フクベ提督がくわっと目を見開かせ叫んだ。
・・・・ちなみにルリちゃんはチキンライスに満足したのか、目がトロ〜ンとしていてとても眠そうだった。
末恐ろしい少女だ。いくら知っていたことだとはいえ、ここまで余裕を見せるとは。

「ムネタケっ!!血迷ったかっ!!!」

「フフフ・・・。この艦を頂くわ。・・・・・提督」

口元を手で隠してムネタケは、フクベ提督の怒鳴りもさらりと受け流し、そう言った。

「その人数で何ができる」

ゴートさんは向けられたアサルトライフルに両手を上げていたが、普段と変わらぬ口調で言っていた。
さすがはシークレットサービス所属。この程度の状況は慣れっこというわけですか。

「あ〜ら、お生憎様。ここだけじゃないわよ・・・・すでに、全ブロック確保済み」

と、ムネタケがゴートさんの睨みも軽々とかわすと同時に、その周りに複数の小さなコミュニケが映る。
そこに映っていたのは、食堂、格納庫などのブロックだった

『准将、格納庫制圧完了しました。』

『こちらも制圧完了です』

『制圧完了。指示あるまでこのまま待機します』

(意外に手回しはいいんだな)

俺はムネタケに感心しつつ、ユリカを見た。
ぼぉーっとしていて、何がなんだかわからない様子だ。首をかしげている。
ああ見えて、やるときはやる奴だからな。やはり馬鹿と天才・・・・いや天災というべきか?、は紙一重というやつなのだろう。

「じゃ、ミスマル艦長。マスターキーを抜いてもらえる?」

「う〜ん、どうしよっかなぁ〜?」

ムネタケはユリカにそう言うが、ユリカの方は呑気に悩んでいる。
緊張感のかけらもない。しかし、それ以上に、緊張感がないのは微かに寝息を立てている隣のルリちゃんだ。
俺は顔を引き攣らせながらも、乾いた笑い声を上げていた。
と、ちょうどその時、メインスクリーンに映し出されていた、微かに波打つ海面から大きな物体が姿を現した。
ザバババ、と轟音を発しながら、海水を払いのけ浮かび上がるその物体――連合宇宙極東方面軍艦隊旗艦『トビウメ』は、その艦首と砲台をすべて俺達に向けた。

『ワシが連合宇宙軍第3艦隊司令、ミスマル・コウイチロウであるーーーーッ!!』

・・・・・某塾の江○島さん?
誰かがそんなことを呟いたような・・・・。ま、まあ、それはともかく。
メインスクリーンに覆い被さるように、超巨大なコミュニケが映し出された。それに映っていたのはミスマル提督だった。
俺は、そのビョーンと左右に伸びた髭をいつかは引っ張ってみたい!!という、願望を抱えつつ、ユリカとミスマル提督の会話を和やかな顔で見ていた。

「お父様っ!!」

『おお、ユリカァ〜〜!!大きくなって』

「嫌だわ、お父様。まだ離れて一日しか経っていませんよ」

『いーや。子は一日だけですぐに成長するものだ』

うんうん、と大きく頷くミスマル提督。
それを半ば呆れた顔で見つめるナデシコクルー(ルリちゃん除く)と、ムネタケ+その部下達。
ユリカ、二十歳だったよな?。・・・・もう成人してるじゃないか。・・・・まあ、あんな性格じゃ、しょうがないか。

「これはこれは・・・。ミスマル提督、なにか御用ですかな?」

親子の会話にプロスさんが割り込んだ。
これじゃ何時までたっても先に進まないと判断したんだろう。
俺も同感だった。 ちなみにルリちゃんは自分のシートで、スリーピングタイム続行中である。つまり寝ているのだ。しかも何時の間にやらアイマスクまで付けている、・・・・タオルケットまで!
・・・・・な、なんて用意がいいんだ。もう、熟睡する気だな。

『では、こちらの用件を言おう。・・・・・ナデシコに命じる。マスターキーを抜き直ちに停船せよ。やむ終えない場合は、実力行使も辞さない!!』

――やはり、ナデシコ狙いか。というかそれ以外は考えられないがな。
あれだけ、苦しめられてきた木星トカゲを簡単に、しかも一撃で葬ったんだ。ま、当然のことだろう。ずいぶん自分勝手な話だがな。
と、俺も人のことはいえないか。
俺は微かに苦笑いした。
そういえば、確か、すでにナデシコはネルガルが私的に使用する、と公式に連合軍に通知していたはずなんだよな。確か。プロスさんから聞いたような・・・・。もちろん、前回だ。

「やれやれ」

――結局、というか俺は、前回は厨房にいた為、知らないことなのだが。
ユリカが前と同じようにマスターキーを脳天気に抜いて、ガイが骨折した足を蹴られて――まあ、これはいいか。何故か、今後もガイは不幸になるような予感がするからな。
プロスさん、ユリカ、ジュンの三人で、『トビウメ』に向かい、俺達はまとめて食堂に放り込まれた、というわけだ。
ちなみにルリちゃんは、いくら起こしても起きようとしないので、俺が抱きかかえていった。
その時、ルリちゃんの口元が微かに笑みを浮かべたようだったが、俺の気のせいかもしれない。






「どうしたどうしたァ〜!!みんな元気がないぞォ〜!!」

もちろん、誰のセリフかは言うまでもないだろう。
俺がそんな男の姿を、懐かしさと暑苦しさを4:6の割合で感じながら、見ていると・・・。

「ふぁ〜あ、あふ・・・・・・おはようございます。アキトさん」

隣で先ほどまで眠っていた、ルリちゃんがアイマスクを外しながら、俺を見た。
そして、背筋を伸ばす。手で口元を隠しながら大あくびをし、微かに涙目になる。

「ああ、おはよう」

「ああ、そうそう。ハーリー君にはすでに、ナシつけておきましたんで・・・・」

くくくく、とルリちゃんは俺のほうを見ないで、バックに黒(闇?)を背負って笑みを浮かべた。
・・・・俺はそんな、ルリちゃんを見て――。

(・・・・こ、こういう笑みが自然とできるようになったんだな・・・・)

少し戦慄した。

「ユリカさんがそろそろ帰ってくるころですね。・・・・二人で」

「そうだな」

ちなみに、二人とはプロスさんとユリカである。
つまり、ジュンは置いてけぼりということだ。・・・・まあ、すぐに合流するから良いんだが。

「どうします?」

「今回も動くつもりはないな。・・・・といっても迎えにはいくけどね」

「なるほど・・・・・あっ、みんなが動き出しました」

ルリちゃんの視線の先には、ガイを先頭に置いたナデシコクルー達が、銃を持つ男に反撃を開始していた。
――あっ、ガイ飛ばされた。
――あっ、ガイ着地、というか墜落した。
――あっ、ガイ踏みつけられてる。・・・・ナデシコクルーに。
以上が俺とルリちゃんがぼぉーっと眺めていた結果である。何が起こったのかは分からなかったが、とりあえず、ガイは再び、医務室送りというわけである。
全員が出て行くのを見送り、俺とルリちゃんは立ち上がった。そして、とことこと歩き、ピクピクと動く、横たわるガイを見た。
こんなに丈夫なのになんで銃弾一発で、死んでしまったんだろう?、こいつなら、心臓を撃たれても、生きてそうだけどな。
俺は、みんなの靴の跡が体中に残ったガイを、見下ろしながら思った。

「じゃあ、俺は格納庫にいくよ」

「私はブリッジに行きます・・・・、気を付けてくださいね。格納庫の方は、まだ鎮圧されてないでしょうから」

俺は笑みを浮かべて、頷いた。

「分かってるよ。・・・無理はしないさ」

俺はルリちゃんに背を向けて走り出した。






・・・・俺が格納庫に着いたとき、驚くべきものを目にしていた。
なんと、そこには――。

「ほあたっ!!」

「うげあっ!!!」

ブルース・○ー張りの武術で、敵を倒すウリバタケさんの姿が。
――強い、マジで強い。
俺は格納庫の扉の近くで立ち尽くしていた。その驚くべき強さに、呆然としていたからだ。 ウリバタケさんは、銃を構える男に対して、一気に走りこむ。そして――。

「あー・・・・・あたあっ!!!!」

顔に右拳、左拳の二連撃、そして素早く右廻し蹴り、そして、吹っ飛んでいく男に対して、再び一歩踏み込んで、右拳の打ち込みによる追い討ち。
・・・・その連続攻撃をくらい、男は声も出せず沈黙した。
当たり前だ、死んでもおかしくない攻撃だったからな。

「ふぅ。ったく、俺のエステちゃんにキノコのマークなんぞ描きやがって・・・・」

ウリバタケさんは殺意すら感じさせる視線で、涙と血を流す男を見下ろしていた。

「ウリバタケさん!・・・・強いですね」

俺はウリバタケさんに話し掛けた。
ウリバタケさんは面倒くさそうに俺を見た。

「おお、テンカワか。・・・・大学時代に○ルース・リーとモハ○ド・アリ、それにアン○ニオ猪木についての論文を書いたことがあるからな。その時、身についたんだよ」

ウリバタケさんはそう笑うと、俺から目を離し、早々とまわりにいた整備員に指示を下す。
ちなみに、整備員はウリバタケさんが倒したムネタケ隊員達を縛り上げていた。

「テンカワ〜。・・・・エステバリスはマニュアル発進だぞ」

「ええ、分かってます」

俺はそう答えて、空戦フレームが装着されたピンク色のエステバリスに向かった。






『マニュアル発進ですか』

コミュニケ越しにそう言うのはルリちゃんだった。
何故か嬉しそうだったが、その理由は俺には分からない。

「今度は空戦フレームだよ、前回のは繰り返したくないからね」

「そうなんですか・・・・ヤマダさん、ほんとに活躍してませんね」

「・・・・まあ、そう言わないであげてよ。事実だけど」

俺はそう苦笑すると、エステバリスでカタパルトを走った。






――まあ、結局のところ、俺が動き出したチューリップの触手をひらりひらりとかわしつつ、その隙にユリカとプロスさんが帰艦、起動したナデシコをチューリップに飲み込ませ、内部からグラビティ・ブラストを発射するというもので終わった。

「・・・・驚きだな、ルリちゃんがあんなに変わったなんて」

俺は戦闘が終了し、現在は空を飛んでいるエステのコクピット内で呟いていた。
脳裏に浮かぶのは――。
くっくっく、と笑うルリちゃん。
すーすー、と周りを気にせず眠るルリちゃん。(アイマスクを付けて)
くくくくく、とバックに黒(闇?)を背負って笑うルリちゃん。

「――そ、そうだよな。俺のあの二年間をルリちゃんが知らないように、俺の知らないルリちゃんの二年間もあるんだよな」

できれば、知りたくないが。
俺はそう思い、エステをナデシコへと向ける。
そして、俺はラピスに思いを送った。

(ラピス・・・・頑張ろうな)

(うん、アキト。私もハーリーをこき使って地球で頑張るから)

――す、すでに呼び捨てーっ!?しかも、こき使うーっ!?

(ラ、ラ、ラ、ラ、ラ、ラピスさん?)

(何?アキト?)

(い、いや。なんでもない。・・・・頑張ってくれ)

(うん!)

(・・・・じゃあ、またな)

(じゃあね。アキト・・・・・・・・・・ハーリーっ!!さっさと―――)

俺はそこで思念を打ち切った。
―――予想以上に、いろんな意味でラピスは精神的に急成長を遂げたようだ。
俺の心残りは、だんだん解消していくだろう・・・・・。多分。

「後は――」

俺はその事を夢見ながら、前方に見えるナデシコへと帰艦した。













次回予告

涙っ、ああっ、涙っ!!!

『名作』を前にして、ネタが思い付かず苦悶する作者の姿を君は見たかっ!!

作者こと、KOUYAの魂の叫びっ!

多数の読者を待ち受ける、こりゃまた同じような展開の予感っ!!

『時ナデ』にない未だ出番なしのオリジナルキャラクターの正体とは如何にっ!!

面白かったら、メールの準備をご用意ください。

次回っ!TOKINADE PLUS、第三話。

「早すぎる『ネタ切れ』」

をみんなで読もう!!!

(注:この予告とあくまで作者の実情であり、実際のお話はまったく違うものです、ちなみに名作とは<時の流れに>のことです)









代理人の感想

と、言うわけで、時ナデをベースにしたギャグ仕立ての作品だったのですね(笑)。

ウリピーなんか、胸に七つの傷がありそうだし(爆)。