地球から巣立った人類は、宇宙コロニーでの生活に新たな希望を求めていた。

しかし、地球連合政府は、正義と平和の名の下に圧倒的な軍事力を持って各コロニーを制圧した・・・

 

隔壁を破壊し、コロニー内に侵入するMSリィオー

 

搭載可能なだけの爆弾を抱え飛ぶMSエアリーズ

 

倒れるビル・・・

                  爆発する民家・・・

                                            逃げまどう人々・・・

 

  全てを踏み潰していくMS・・・

 

 

アフターネルガル(A・N) 195年

作戦名 『オペレーション・メテオ』

 

連合に反目する一部のコロニー居住者達は流星に偽装した新兵器を送り込む行動にでた。

 

  各コロニーから地球へと打ち出される流星

 

だが、これは既に連合本部に察知されていた。

 

 

 

新機動戦記 

ナデシコ W

第03話  「ナデシコ、5機確認」

 

 

 

「後手に回ったのかな?」

『彼等の最終目的がわからない以上、こうなるのはやもうえません』

神妙な面もちのシュン特尉がハーリーに報告を入れていた、ラピス特尉はいつものごとく、

【面倒だからイヤ】

とのことで、シュンが代理をしている。

『ラピス特尉からの提案なのですが、どうしても先手をとるなら地中海だそうです』

「地中海・・・?」

少し考える顔をして、

「確か、リィオーの古い生産基地が有りましたね、連合も警戒の強化をしている筈ですが・・・少し手伝いましょう」

『これもラピス特尉からですが、中東のエアリーズ部隊が適任だと、ただしモビルスーツ操縦の能力差が有りすぎ

 て連合との連携は無理かと・・・』

「わかりました、それは僕が手配しておきます」

『ハッ ありがとうございます』

敬礼をするシュン特尉、

「それとラピスに新しい指令です、地中海に向かってください」

『ハッ 了解しました』

通信が終わり、モニターが切れる。

「はぁ〜 ラピス・・・報告ぐらい自分でしてよ」

今回は全く姿を見せなかったラピスに愚痴をこぼす、最近いろいろと忙しいからハーリー特佐は少々疲れ気味

になっていた、

「ハーリー様、少しお休みになった方がよろしいのでは」

そんな様子を見て、副官が心配そうに声をかけてくる、

「そうですね・・・それじゃぁ少し気分転換に散歩にでも行って来ます」

副官の好意に甘えてハーリーが執務席から立ち上がる、

「それでしたら、私もご一緒してよろしいでしょうか?」

うれしそうに副官が声をかけてくるが、

「(ビクッ)・・・たまには1人でいたい時もあるんです」

なぜか脂汗が滲ませながらハーリーはそそくさと執務室から(逃げ出すように)出ていった。

「もう、ハーリー様 そんなに照れなくてもいいのに」

そんなハーリーの後姿を見送りながら副官はつぶやいた。

 

 

潜水母鑑MSデッキ

「クリムゾンの最新モビルスーツ、キャンサーでも駄目だったの・・・」

カズシが乗っていたのと同型のMSキャンサーを見上げながら、ラピスがつぶやく。

「・・・別に、出来損ないって理由じゃないのに」

「残念です・・・沈んだあのナデシコはそれほど危険なのでしょうか?」

そこに、ハーリーへの報告を終えたシュンが入ってきた。

「優秀な部下が5人・・・大きすぎる損害よ」

悲しそうにラピスはその薄桃色の髪を揺らした。

「ラピス特尉、これからですが・・・」

「5機のナデシコの存在位置の確認、敵の行動目的を調べる・・・取り敢えず、地中海のセレモニーに参加よ」

「ハッ 了解です」

「MS輸送機に連絡、迎えに来るようにって、ここの調査は連合の海軍に引き継いでもらおう」

ラピス専用MS輸送機は輸送艇でもあるので海上でも着水可である。

「海中にはもうナデシコはいなかった・・・こちらの予想を遙かに上回る行動、無茶としか思えない事をやって

 しまう敵・・・」

 

 

厳重に管理された病室の中央、十字架を連想させるようなベットにルリは拘束されていた。

「脈拍57、呼吸数27、体温34.7度上昇中・・・」

モニターに表示されるデータは、その少女がまだ昏睡状態であることを示している。

「ん?」

データを監視していた医療兵が怪訝な顔でデータを見る。

「どうしたの?」

その背後で様子を見ていた上官らしい軍服女性が何かと聞いてくるが、

「いえ、今少し反応が有ったと思ったのですが・・・気のせいのようです」

表示されているデータが今までと変わっていないのを確認して、医療兵は答えた。

「そう、そのまま監視しててちょうだい」

「ハッ」

そのまま監視を続けるが、彼らはその反応が本当の事だとは気づいていなかった。

【・・・捕まった?】

ゆっくりと薄目を開け、ルリは今自分がおかれている状況を確認する。

【ここは・・・】

見えている室内の様子と一致するモノを記憶の中から探し出す。

【・・・連合の南J.A.P.地区、連合第3医療施設 50階特別治療室・・・ですね】

そう判断すると、取り敢えず手足を動かしてみる。

 ギシッ ギシ・・・

が、しっかりと拘束され全く動かない。

【やはり無理ですか、さて・・・ん?】

どこかで電話が鳴る音が聞こえた、隣の・・・1階上に有る管理室からだ、

「ミナト少佐、連絡が入っています」

医療兵が受話器をミナトに渡す、

「ありがとう、   はい ミナトですけど・・・」

『ミナト少佐、お預かりしたディスクですがいったいどこで手に入れられたのですか?』

「? 何かわかったの」

『わかるも何も、こちらからのアクセスを全く受け付けません! こんなにガードの堅いのは始めて見ます』

相手は、全くお手上げだと言いたそうな口振りで答える、よほど悔しいのだろう。

「そう、わかったわアリガト」

『あ、少佐待ってくださいよ! あのディスクの出所を・・・って、聞いてますかミナブツッ

「・・・切ってよかったんですか? ミナト少佐」

「? な〜に細かいところ気にしてるの、それよりも調べる事あるでしょ」

そう言って、ミナトはベットの上に拘束されている少女に目をやった。

「連合のマザーコンピュータでも解析不可能なディスクを持つ少女・・・か」

「では、やはり反乱分子の工作員・・・」

「まだそう決まった理由じゃないわ、

 ・・・確かに、ふつうの家庭で育った、ふつうの女の子じゃないみたいだけど」

「・・・自白剤を使用しますか?」

医療兵が尋ねる、がその顔はできれば使いたくないと言っている、

「何考えてるのっ 成長期の子供にそんな事したら毒にしかならないわ!」

「ハッ 」

ミナトの言葉にほっとした表情で医療兵は答えた。

 

 

「・・・ああ それで頼む、それから”そっくり”の”馬車”が”2つ”壊れてて”黄色い畑”の裏で”弁当”を作って

 欲しいんだ」

ルリが拘束されている病院に近い公衆電話で1人の女性が妙な会話を交わしていた。

「・・・そう じゃよろしく、後で”麦踏み”手伝うよ」

そう言ってリョウコは電話をを切ると、ルリが捕まっている病棟を見上げ。

「それじゃ お見舞いにでも行きますか」

背中の鞄を背負い直し、足下に立て掛けていた妙な形の杖を拾うとリョウコは病院へと入っていった。

 

 

 ゴゴゴゴォォォォォォォ・・・

潜水母艦からMS輸送機に乗り換えたラピスは地中海に向かう前に、5機のナデシコの内唯一存在位置が

確認できているナデシコのデータを取るべく、中央アジアちょうど旧中国と旧インドとの間あたりを飛行していた。

「・・・これは、まるでこちらに位置を知られるのを承知しているような行動ですね」

モニターに表示されるデータを見ながら半ばあきれたようにシュンが言う、

「揚子江で艦隊を殲滅した機体のようです」

モニターにナデシコの侵攻ルートを表示する。

「遅い・・・このスピードだと、私たちが遭遇した飛行可能な可変型ナデシコじゃ無い」

侵攻速度と時間を計算してラピスが、結論を出す。

「!? そんなに多種に渡る機体が有るんですか?」

「わかんないけど、このデータからはそうとしか思えない」

そこで、言葉をいったん切り、

「・・・でも、地中海のコルシカ基地で他のナデシコを確認できるかもしれない、そしてその場で叩く事もね・・・」

しかし、口ではそう言いながらもラピスはそれが無理である事に気づいていた。

「ここの機体は地中海のセレモニーには参加しないか・・・」

このスピードではとうてい間に合いそうには無かった。

「連合の火力に正面から挑んでますね、このままだとインダス補給基地が攻撃されます」

予想侵攻ルートを表示してシュンが、どうします? と言った表情をラピスに向ける。

「善戦を祈ろう、今の私たちにはそれしかできない」

今、ここでインダス補給基地の防衛に参加しては地中海のセレモニーには間に合わない、それにこの輸送機に

はもう1機もMSは残っていない、参加するだけ無駄だ。

「姿を見せている間はまだいい・・・データの収集が終了次第地中海のコルシカ基地に進路を取って」

「ハッ」

 

 

 ババババババッ           ガガガガガガガガガガガガガッ      ズゥゥゥゥン!!

『撃てッ撃てェェェェッ これ以上あれを前に進めるなっ』

リィオーの1部隊がナデシコに対し一斉に攻撃を掛ける、見る間に爆煙に包まれナデシコは見えなくなる、

『どうだ・・・・・・何ッ!!』

 キュォォォォォ・・・   グァシュッ!!

煙の中から龍のような形をした物が飛び出し、近くにいたリィオーの頭部をかみ砕く、

『クソッ まだ生きているのか! 全機ッ撃てッ!!』

しかしその命令が部下達に届く前に、煙の中に閃光が走り白い機体が躍り出た、

 ヴゥンッ      キュウィィィィィ・・・     ブンッ

数機のリィオーが一瞬にして破壊される、

『ば、化け物か・・・コノォォォ!!』

残っていた隊長機がビームサーベルを抜き、ナデシコに向かって跳びかかって来る。

「・・・甘い」

ナデシコは隊長機に右腕を向ける、と肘に折り畳まれていたパーツが拳を覆う。

 ヴゥンッキュォォォォォォ・・・

そして隊長機に向かって右腕が一気に伸びる、それはまるで獲物を狙う龍のようだ、

『ウォォォ!・・・ガッ』

 ドウゥゥゥゥゥゥ・・・

龍に機体を貫かれ爆散する隊長機。

「まるで無防備・・・ナタク、甘く見られたものね」

自分の機体シェンロンナデシコに語りかけながら、舞歌はインダス補給基地に向けてナデシコを駆った。

 

 

「面会謝絶? ルリちゃんのケガはそんなに酷いんですか!?」

アキトは受付の看護婦から帰ってきた意外な答えに驚いていた、

「あっ 貴方でしたね、あの子をここに連れてきたのはっ 少しここで待ってって」

アキトの顔を見て、昨日のことを思い出した看護婦がどこかに連絡を取った。

「・・・ルリちゃん」

言われたとおり、受付の椅子に座って待ちながらアキトは深刻そうに考え込む、だから彼の後ろを歩いていく

黒づくめの女性には気づかなかった、

しばらくして、1人の女性がアキトの前に立った。

「初めまして、私は軍少佐のハルカ・ミナトよ、あのかわいい彼女について聞かせてもらえるかしら?」

軍人には似つかわない、柔らかい物腰でアキトに話しかけてきた。

「え?  はい・・・」

【軍服の似合わない人だな】

その雰囲気に軍人らしくないモノを感じながら、アキトは頷いた。

 

 

「・・・異常なし」

医療兵は表示されているデータが、まだ少女が昏睡状態であることを示しているのを確認すると持ってきていた

文庫に目を落とした。

しかし、ルリはもう目覚めていた・・・

【今の状態では、ここから逃げ出すのは無理か・・・少し様子を見ないと・・・】

いくら力を入れてもビクともしない拘束ベルトに、ルリはしばらくおとなしくしていようと判断した時、

 ザザッジジジィィ・・・

【!?】

不意に室内のモニターの1つに光がともる。

『・・・・・・・・・』

そして映し出されたのは軍港で助けてくれたあの黒づくめの女性、音声は出ていないが、モニターには口元が映

され唇の動きがはっきり見えている。

 

 

ルリが捕らえられている50階の別の部屋でリョウコはモニターを操作していた。

「ヘヘッ 流石のお前も大人しくしてるな、どうだ? お前ならオレの口の動きで何を言っているかわかるだろ」

カメラに自分の口の動きがよく映るようにしながらルリに話しかける。

『・・・・・・』

ルリは何の反応もしない、がかまわずリョウコは続ける、

「しっかし、本当にすごいやつだよオメーはよぉ、脳波も脈拍も変えずに覚醒してるんだからな、あきれちまうぜ」

心底あきれたようにつぶやくと、

「お前には聞きたいことがあるんだが、どうだ? 逃げ出すなら手伝おうと思ってんだが・・・」

 

 

「すごく興味のある娘よね、繊細そうなのに、どこか危険な薫りを持っている」

「そうですか? オレはそうは思いませんが・・・」

50階特別治療室に向かう直通エレベータの中でミナトはぽつりと言った、が それはアキトがルリに対して感じた

こととは少し異なっていた。

「そう言えば、君の名前まだ聞いてなかったわね?」

「あぁそうでしたね、オレは雪谷アキトです」

「あらっ・・・もしかしてあなた 雪谷外務次官の?」

「はい、まぁ出来の悪い息子です」

「そんなことないでしょう、次官の有能な秘書官だって噂だけど」

「そんな・・・噂だけですよ、噂」

照れたようにうつむき鼻の頭を掻く。

【ふ〜ん、父親に似ず以外とかわいいじゃないの】

そんなアキトの様子を見てミナトはそう考えた、アキトが養子であることを知らないのだから仕方のない事だろう。

「それより、ルリちゃん会えるのですか?」

「ルリ? そうあの娘ルリって言うんだ」

「? はい、同じ学校の後輩ですけど」

ミナトの言葉にアキトは微かな疑問を覚えた、そしてそれは膨らんでいく、

【どうしてルリちゃんに会いに行くのに軍人が、それも少佐が案内してくれているんだ?

 この様子だと、この人はルリちゃんについて何も知らないみたいだし・・・

 ・・・・・・ルリちゃん、君はいったい?】

 シュン・・・

そんな考えを巡らしている内にエレベータは51階に到着し、正面の扉が開いた。

「様子はどう?」

エレベータを出るなりミナトは監視していた医療兵に状況を聞く、

「あっミナト少佐、いいえ、変わりはありません」

医療兵は読んでいた文庫から顔を上げ表示されているデータを確認すると答えた、

「!? 何でルリちゃんを!!」

部屋に入るなりアキトが見たのはベットの上に拘束されているルリの姿だった。

「彼女は強すぎる、私たちにとって不可視すぎる・・・私たちは彼女を畏れているの」

アキトの鋭い視線を正面から受け止めながらミナトはそう答えた、

「今は仕方なくこうさせてもらってるけど彼女から、話を聞けるようになったら少なくとも拘束する事をやめれると

 思うの」

「・・・」

ミナトの表情から、彼女もこの状態を早くやめたいんだと感じ取りとりあえずアキトは安心した、

「・・・彼女、地球の人じゃないって事ですか」

アキトの質問に頷くと、

「さぁ下に、病室に行きましょう」

ルリの病室に降りる階段へと歩いていく、

「そう言えば、気になってたんだけどアキトくん、その左腕どうしたの?」

「え? これですか」

三角巾で吊されている左腕を見ると、

「昨日、この近くの軍港で爆発事故が有ったでしょ、との時たまたま近くを通っていて巻き込まれたんです」

アキトはそれが爆発事故ではなくルリが仕掛けた事だとわかってはいたが、言える筈がなく誤魔化そうとする、

「へ〜それは運が悪いわね」

【・・・何か隠してる】

が、そんな事が見抜けないほどミナトは甘くない、第一あの軍港の近くには何もなく何の目的もなくあの辺りを

うろつく事自体がおかしい、

「・・・」

ミナトが何か言おうと口を開けたとき、

 ドゴォォォォォォォン!!

「うわぁ!」

「な、何!?」

いきなり轟音と振動が病棟を揺らしたそして時間差で爆発は続く、

 

 

 ゴウゥン!!

「さぁて、ここからはゆっくりしてられないぜ!」

ルリが拘束されている病室の壁が爆破され、そこからリョウコが入ってくる。

「まずは、これを・・・って、どうはずすんだ?」

ルリを拘束しているベルトをはずそうとするが、はずれないスイッチがないかと辺りを見るがそれらしい物が

有りすぎてわからない、

「何してるんです、ナイフで斬ってください」

「あっそうか」

慌ててナイフを取り出すとベルトを斬る、

「そんじゃ、これを背負いな」

ルリが動けるようになるとリョウコはそれまで背負っていたバックをルリに渡す、

「これは、パラシュート・・・この階から飛び降りる?」

「そう言うことだ、ついてこい!」

そう言うとリョウコは爆破した壁から外に出る、それにルリも続く、

 

 

 ビィー ビィー ビィー ビィー ビィー ビィー

「おい、いったい何が起こったんだ!?」

「わかるか! だがこれは事故じゃないっ」

「テロか!?」

「とにかく急げ! 負傷者も出ているんだ!」

「わかった!!」

 

 

「そらっ! 伏せろっ」

リョウコは海側の壁に手榴弾を投げつけると、伏せるようにルリに指示する。

ここの病棟の海側はそのまま切り立った崖になっている、たとえ飛び降りてもパラシュートが開くには十分な高さだ。

 ゴウゥン!!

2人が床に伏せるのと同時に爆発音が響き壁に大穴が開き、勢いよく潮風が吹き込み始める、

「いくぜっ!!」

穴が開いたのを確認すると50階から外に向かってまずリョウコが跳んだ、

「だぁぁぁぁぁぁっ」

病棟からある程度まで離れてから手にしていた奇妙な形の杖をかざす、間髪入れずにかざした杖の先端が折れ

曲がり回転しながら炎を吐き出し始める、降下用の簡易バーニアユニットだ、

「ふぅぅ、大丈夫だとわかっていてもヤッパ怖いぜ・・・」

自分の落下速度が墜落死する心配がない速度まで落ちているのを確認して胸を撫で下ろすが、

「なにぃ!?」

そのすぐ側を何かが勢いよく落下していった、

「オイッ!! お前何やってんだ! 早くパラシュート使え!!」

しかしルリはリョウコの声が聞こえないかのように、瞳を閉じ重力に引かれるままに落ちていく。

「チッキショウ! お前初めから死ぬ気だったな!」

こうなっては喚いたところでどうしようも無い、ルリの体は地表へと加速していく、

「夢見が悪くなるじゃねぇかっ コノヤロー!!」

最後にそう叫ぶとリョウコは目を伏せた、

 

 

「そんなッ ここから飛び降りたの!?」

「!!」

ようやく追いついたミナトとアキトが壁に開いた穴から見下ろすと、海岸へと向かっていく2つの影が見えた、

1つは緩やかに・・・

もう1つは急速に・・・

そしてアキトには急速に小さくなっていく影がルリだとわかった  理由は無い、そう感じた、

そして、もう叫んでも届かないと思ったが、

「駄目だ!! ルリちゃん! やめるんだっ!!」

 

 

【ルリちゃん! やめるんだっ!!】

「!」

耳元で誰かの声が聞こえ、反射的にルリはパラシュートを開く、だがもうパラシュートが十分に広がるだけ

の高度は残っていない、

「ちっ 今更間に合わない」

ようやく広がりだしたパラシュートの見て、リョウコがつぶやく、

「くっ」

パラシュートが開かないと判断するとそれを脱ぎ捨て、ルリは切り立った崖に強引に着地する、

 ズザザザザザザザザザザザ・・・

砂煙を上げ斜面を滑り落ちスピードを削る、

地面まで後わずか・・・スピードはまだ落ちきらない、このままだと、

【ダメ、間に合わない・・・!!】

と、ルリの視界に何かが映った、

 ズザザザザザ・・・  バフッ・・・

崖に面したわずかな砂浜に砂煙が沸き立つ、そして・・・

「・・・私は、私は・・・何をしているの? 何がしたいの?」

あちこち泥と砂まみれになってはいるが、ルリはゆっくりと立ち上がった、

 

 

「・・・ウソ、この高さから落ちて生きてるの?!」

砂煙の中から人の影が出てくるのを見て、ミナトが呆然とつぶやく、

「あの娘が、敵じゃないって祈りたいわ・・・」

驚愕しているミナトとは対照的にアキトは、安心して腰が抜けていた。

「ルリちゃん・・・よかった」

 

 

 ボォォォ・・・ ザザッ

降下用バーニアを捨てリョウコはルリの側へと降り立った、

「・・・死にたい気持ちもわからんでもないが、あの高さから落ちて死ねないのならもっと他の死に方考えな」

「・・・・・・ツウッ」

しばらくリョウコの顔を睨んでいたが、左肩を押さえてうずくまる、

「オレを信用しろなんて、都合のいいことは言わないが・・・こんな状況だ他にどうすることもできないだろ」

「・・・・・・」

そう言って、肩を貸すリョウコにルリは無言で答える、

「さて、お迎えが来たぜ」

沖合から2人に向かって1隻の漁船が近づいてきていた。

 

 

『軍関係のニュースをお伝えします、

 先日、原因不明の爆発事故で大幅に遅れた量産型陸戦用モビルスーツ”リィオー”生産にあたり、地中海の

 コルシカモビルスーツ工場のフル稼働により、問題なく作業は進むとの事です。

 ただ、原因の究明と万が一に備えて”スペシャルズ”の中東配置部隊が警戒に当たる事が決定されました。

 続いてのニュースですが・・・』

地中海 コルシカMS工場基地

クリムゾンの専用MS輸送機により”スペシャルズ”の中東配置部隊、約15機のエアリーズが到着した、

「ラピス特尉が見えられてる筈だ、2時間で戻る」

その中の1機、隊長機が先に到着しているラピス特尉に会いに行くため、飛び立った。

 

 

「アズマ指令! やはり”コレ”で出られるのは危険すぎます!」

「黙れ! これはテロリストにも”スペシャルズ”にも儂等の意志を示すもっともいい方法だ!!」

必死で止めようとする部下を一喝すると、アズマ指令は飛行船”アマテラス”に乗り込んだ、

「”スペシャルズ”の助けなど必要ない! あの連中は、こう言う口実でしゃしゃり出て来るんだ!!」

 


 

地球圏統一連合軍において飛躍的な軍備拡張を可能にしたスペシャルMS隊”スペシャルズ”に不振と反感を

持つ者は少なくなかった、

若い(若すぎる?)指導者が新たな歴史を創ろうとしている・・・

マキビ・ハリ上級特佐 

”スペシャルズ”を創り上げた少年である。

彼は伝統を重んじる王族や貴族達が資金源である”モクレン財団”の幹部の1人でもあり、その財力でMSの

開発に力を入れている。

”スペシャルズ”とは、連合軍にMSを提供する立場から一歩進んで、戦争兵団の指導にも着手して完成した

部隊である。

戦場での評価の高く、今では いつ、いかなる戦地でも単独行動ができる と言う特権を与えられている、

しかし、それがよけいに先人たる老将兵達に不満をつのらせる原因になっている事も否定できない事実である。

 


 

「戦場を貴族趣味の道楽と考えてる連中だ、彼奴等は殺し合いがしたいが為に資力を尽くしている! 

 何も動じる事は無い! 余裕ある行動こそが、無駄な戦火を回避する事もできると言う事を血なまぐさい

 ”スペシャルズ”に儂が教えてやる!!」

 

 

「それじゃ ここにはアズマ指令はいないの?」

指令に挨拶するために司令部ビルに来ていたラピスは、指令不在の返事に眉をひそめていた、

「申し訳ありません! 特尉!」

衛兵が直立不動の姿勢で叫ぶ、

「そう 嫌われているとは聞いていたけど・・・」

「申し訳ありません! 特尉!!」

更にカチコチに固まって叫ぶ衛兵、その様子にラピスは苦笑すると、

「気にしなくてもいいよ、そう思われても仕方ないもの」

【と言うより、嫌われそうな事しかしなかったハーリーが、全部悪い(怒)】

指令が居ないのなら仕方ないと、ラピスとシュンが司令部があるビルから離れようとした時、

「ラピス特尉!!」

ラピスの名を呼びながら1人の兵士が走ってきた、ただし軍服はスペシャルズの物だ、

「ん? サイトウ特士! 久しぶり」

それを見て微かに笑みを返す、以前ラピスの部隊に居た事のある兵士だ、

「ラピス特尉もお変わり無く」

「ムッ【変わりない?】」 

途端に表情が険しくなる、スペシャルズのエースと言えどもそこはお年頃の少女、

「いえっ・・・その・・・」

「まぁ、いいけど ところでサイトウ特士、私が乗るモビルスーツはある?」

「・・・そうでした、実はそのことでラピス特尉に見てもらいたい物があるんです」

そう言って、サイトウはラピスを基地の端にあるもう使われていない古い倉庫に案内した、

「これは・・・」

その中にある物を見て、ラピスが感嘆の声を上げる、

「かなり大きいな」

シュンは素早く全体を見てつぶやく、そこに寝かされていたのは未完成のまま放棄されたMSだった、

「どうやら、モビルスーツの原型らしくリィオーより一回り大きいようです」

「サイトウ特士、これはいったい?」

それで何が言いたいの?っとラピスが視線を投げかける、

「古い機体ですがラピス特尉のデータを見て博物的資料であった”コレ”を思い出しました、ナデシコに匹敵する

 強度を持つ唯一の機体です、まだ未完成ですが」

「そう言えば、サイトウ特士はここの基地出身だったね」

「はい、元メカニックです”コレ”がどういった経緯で開発されていたかは知りませんが、その強度を保とうと

 するとどうしてもサイズが巨大になりすぎる、その必要なしと判断され今のMSサイズに規格統一されたそう

 です、プロトタイプリィオー”トールギス” そんな名前の機体だったと記憶しています」

「これを完成させればあのナデシコと対等に戦えるの?」

「はい、ラピス特尉、この機体をコルシカ基地から運び出してください」

「! 死ぬ気なの?」

驚いてラピスがサイトウの顔を凝視する、この機体を運び出してくれ、と頼むと言うことは、この基地は護りきれ

ない、と言っているのと同じ事だ、

ラピスの視線を視線を受け止めながらサイトウは言葉を続ける、

「・・・ラピス特尉が教えてくださった『後の兵士の為に戦え』と言うのが、今の自分の行動理念です」

つまり、自分たちをデータ取りの捨てゴマにしてくれと言っているのだ、

「・・・今は、貴方の方が優秀な兵士ね、

 何機来ると考えてる」

「常に最大の敵を予測しています」

「・・・4機よ、1機はこっちに向かっていない

 ゴメン、これだけの情報しかなくて」

辛そうに告げるラピスに、

「1機少ないとわかるだけでありがたいですよ・・・ではっ!」

ラピスに敬礼をすると、サイトウは自分のエアリーズ部隊へと戻っていった。

 

 

 ブルルルルル・・・

飛行船”アマテラス”の左右4カ所についているエンジンに火が入る。

「アズマ指令! おやめください」

「騒ぐな! 敵など来んわ!」

アマテラスを拘束していた鎖が外され、ゆっくりと上昇を始める。

 

 

 ウィィィン・・・

「敵は・・・来る」

エアリーズの起動シーケンスを立ち上げながらサイトウ特士がつぶやく、

 

 

「敵が来るだと? これだけの警備で攻める馬鹿はおらん!」

アマテラスの浮上を合図に各警備隊が臨戦態勢に入る、その数普段の3倍、

 

 

「いいえ、馬鹿は来るわ」

トールギスの輸送機積み込みを見守っていたラピスが、キッと空を見上げて言い切った。

 

 

 ドシュッ ドシュッ ドシュッ ドシュッ

 ズガガガガガガガガガガガガガッ

基地施設の一部が消滅した、そしてその破壊された施設の中から1機のナデシコが現れる、エリナの搭乗する

ナデシコヘビーアームズだ。

直ちに警備のMSや戦車隊の反撃が始まり、辺りは爆音と業火に包まれる。

 

 

「来たか・・・スペシャルズ直ちに反撃行動に出る! 全機ついてこい!!」

戦闘が始まったのを確認すると、サイトウは即座に出撃命令を出す、

『しかし特士、敵はまだ1機しか確認されておりませんが?』

まだ、あと3機来るかもしれないのだ、もう少し様子を見てからの方がいいのでは?ッと部下から通信が入るが、

「かまわん!・・・

     1機でもよい」

最後はつぶやくように言うとサイトウはエアリーズを飛び立たせた、

 

 

 ドガガガガガッ        ドバババババババッ          ガガガガガガガガッ

               グアァンッ!!         バラララララララ・・・

     ドンッドンッドンッ           ズガァァァァン!!

「降下っ 急速降下!!」

敵からの攻撃をさける為、アマテラスは急速に高度を下げる。

「えぇい!! 落ちつかんかっ!! 敵は1機と確認されているっ包囲して破壊しろ!!」

混乱するアマテラス臨時司令部でアズマ指令が叫ぶ、それがよけいに混乱させているとは気づいていない、

それでもアズマ指令の命令は何とか警備隊に伝わり敵機を包囲しようと動き出す。

「レーダ反応全くありません! 監視カメラで敵機を確認っモニターに回します」

「ヌゥ・・・」

モニターには、警備のリィオー部隊を破壊するナデシコヘビーアームズが映るが、次の瞬間、監視カメラが

破壊されモニターは沈黙した。

 

 

 ドガガガガガッ        ドバババババババッ          ガガガガガガガガッ

               グアァンッ!!         バラララララララ・・・

     ドンッドンッドンッ           ズガァァァァン!!

「ふむ、確かに戦術的に見て、少数の敵を倒すには退路を断って集中砲火を浴びせた方が確実に戦果を上げら

 れる、この場合包囲殲滅って作戦を選んだ敵司令官の判断は一応正しいわね」

こちらを包囲するように移動している警備隊を見ながら、エリナは冷静につぶやく、

「だけど、こちらの戦力を確認する前に動くべきでは無かったわ」

ナデシコヘビーアームズの全身に装備されている火器が一斉に火を吹き、包囲しようとしていた部隊を逆に

殲滅する。

 

 

「な、なんて事だ・・・まさかこんな・・・」

その余りにも強力すぎる火力にアズマ指令は呆然とつぶやく、

「・・・ん?」

気づくと、アマテラスの周りにスペシャルズのエアリーズ部隊が集まっていた、

『第4小隊は指令の後退を助けろっ 残りの者は敵の攻撃にあたるっ』

『『『はっ』』』

「お前達・・・」

『あの戦力の前では我々もうち破られるでしょう、あの機体のデータ収集・・・お願いします』

「スマン・・・」

サイトウの言葉にアズマ指令が頭を下げる、

『後の兵士の為に・・・接近戦しか考えるな! 行くぞ!!』

『『『了解!!』』』

第4小隊を残して、残りのエアリーズがナデシコヘビーアームズに向かって突っ込んでいた。

 

 

「ラピス特尉、トールギスの積み込み完了しました、いつでも出られます」

シュンが積み込みが終わったことを知らせに来た、この輸送機がある場所から戦闘区域までは少々離れていて

流れ弾などは飛んできてはいない、がそれも時間の問題であろう。

「アズマ指令は?」

「無線で無事との連絡がありました、 ラピス特尉、自分もここのリィオーで・・・」

「シュン、これ以上私を困らせないで・・・」

「え?」

「・・・・・・トールギスを護る、その任務をようやく自分に押しつけられそうなの、

 ゴメン、もう少し私と屈辱に付き合って」

「ラピス特尉・・・ハッ」

 

 

 ドガガガガガッ        ドバババババババッ          ガガガガガガガガッ

               グアァンッ!!         バラララララララ・・・

     ドンッドンッドンッ           ズガァァァァン!!

接近戦を仕掛けようとするエアリーズを次々と撃ち落としていく、すでに半数近くが落とされたが、それでも連合軍

に比べればまだましだった、

この辺りに配備された警備隊はすでに全滅、基地の他の場所に配備された部隊はまだ到着していない、

 ドバババ・・・ガラガラガラ・・・

「あら?」

と、ナデシコヘビーアームズのガトリングシールドからの音が変わった、

「弾切れ・・・か、なら」

胸部が開き2門のビームガトリングがエアリーズ部隊に向けられるが。

「あらら・・・こちらはエネヌギー切れ?」

 

 

【よし、何とか弾切れまで追い込めた・・・だが、まだ油断はできない】

ナデシコを弾切れにまで追い込めた事にサイトウは一息つきながらも、更に気を引き締める、が

『やった、やりましたよサイトウ特士、

 テロリストめ、スペシャルズの恐ろしさを思い知らせてやる!!』

勇み立った1機のエアリーズがナデシコヘビーアームズに跳びかかって行く、

「なっ! 馬鹿者なぜここでミスを犯す!!」

慌てて止めるが、興奮したパイロットには聞こえない。

 

 

『死ねぇぇぇ!!』

ライフルを正面に構えたエアリーズが眼前にまで迫ってきた、

「悪いけど、こんなところで死ぬ気は無いの」

そう言ってナデシコの右腕に折り畳まれているアーミーナイフを伸ばす、が

「!?」

目前まで迫っていたエアリーズの頭部がビームで打ち抜かれ、爆発した。

 

 

「な、何!?」

サイトウは慌てて高度を取りビームの飛んできた方向を見る、基地の海岸側からだ。

 ズガガガガガガガッ     ズギューン     ズギューン    ババババババッ

数十条のビームが次々と部下のエアリーズを打ち抜いていく、恐ろしいまでの命中精度だ、

「何だ? あのモビルスーツ あれは・・・中東のゲリラ部隊が使っているタイプか!」

対岸から基地に向かって数十機のMSがビームを乱射している、そしてその先頭には、

「もう1機のナデシコ!」

回避行動の遅れた部下達は既に墜ちた、

「クッ 来い!ナデシコ」

新たに現れたナデシコを誘うようにサイトウはエアリーズをライフルを乱射する。

 グァァァッ・・・

それに答えるかのようにナデシコサンドロックはサイトウ機に向かって飛翔する、

 ガギィィィィィィン!!

シールドに装備されたヒートショテルがサイトウ機を挟み込み、締め上げる、

「グゥゥゥ、この武器の威力、見ておきたかった・・・」

 ギリギリリィィィ

エアリーズの機体が加えられる力に軋み悲鳴を上げる、

「ごめんなさい・・・」

辛そうにユリカがつぶやく、

 グアァァァァァァァンッ!!

加えられた負荷に耐えきれず、エアリーズは爆散した。

 

 

「行かせてもらおう・・・」

サイトウ機が破壊されたのを確認すると、ラピスは輸送機に乗り込んだ。

 

 

『ユリカ、どうやら向こうは弾切れみたいだ』

ナデシコヘビーアームズと対峙するナデシコサンドロック、そしてマグアナック隊。

「そんな事わかってるよジュンくん、でもこのパイロットは飛び道具なんて頼っていない・・・」

油断無く、相手の様子を伺いながらユリカは相手の機体に目を走らせる、

【? 私のサンドロックとよく似てる・・・もしかして】

が、ユリカの思考はそこで中断させられた、

 ゴォォォォォォォォォォ・・・

ユリカ達が居る位置とは反対側から爆音を上げて、ラピスの専用輸送機が飛び立った。

「いけないッ あれはクリムゾン機    !?」

一瞬、ユリカの意識が輸送機に逸れた、そのスキを突いてアーミーナイフを構えたナデシコヘビーアームズが

突っ込んでくる、

「クッ!」

 ガキィィンッ!!

振り上げられるナイフを左腕で挟み込み、お返しとばかりに右手で相手の頭部を殴りにかかる、

 ガシィ!

が、それは相手の左手で受け止められ、そのまま力比べになる、

 グギギギギギィィィ・・・

両機ともパワーが拮抗しその場から動かない、いや、動けない。

「違う、違うよね・・・」

何かを確信したようにユリカがつぶやくと、いきなりコクピットハッチを開き外に出る、

「やめてください、私たちは戦ちゃいけないんです!!」

 

 ウィィィィ・・・   ブゥン

暫くしてユリカの呼びかけに答えるように、ナデシコヘビーアームズのカメラアイから光が消え、コクピットハッチ

が開きエリナが出てくる、

「・・・変わってるわね、あなた」

「そうでもないですよ」

エリナの問いにユリカは笑顔で答えた。

 

 

 ヴィィィィィィィ・・・   ジャラジャラジャラ・・・

軋んだ金属音をたてながら、ゆっくりとルリのウイングナデシコが海底から引き上げられる、

ここはウイングナデシコとナデシコデスサイズが沈んでいた海域上の自走型浮きドック、

「ほらよ、お前の機体も引き上げてやったぜ、少しは感謝しろよ」

ウイングナデシコを引き上げていたクレーンを操作しながらリョウコが後ろに立っているルリに声をかける、

「・・・・・・」

しかし、相変わらず無言で引き上げられたウイングナデシコを見ているルリ。

その瞳の奥は何を見ているのか・・・

 

 

to be continued

 

 

 

 

 

次回予告

 

ルリとリョウコは新たな戦場を求め飛び立った、

そして、舞歌は中央アフリカのレイク・ビクトリア基地に向かう、そこにはクリムゾンの新型宇宙用MS”トーラス”と

優秀なパイロットを育てる教官がいる。

そして、そこで悪夢のような出来事に遭遇する・・・

 

次回 新機動戦記 ナデシコ W

 第04話  「悪夢のビクトリア」

 

 

 

 

 

おまけ

 

「はぁ〜、たまには1人で散歩するのもいいかな」

砂浜を歩きながら、ハーリーはゆっくりと伸びをする、

「彼女はいい人だし、優秀なんだけど・・・ねぇ」

いつも自分の側に居ようとする副官を思い、苦笑をする、いや苦笑しかできない・・・

「それにしても、ナデシコか・・・」

世界各地で確認された総勢5機のナデシコ、彼らの目的は明白だ、それはクリムゾンの息のかかった施設や

部隊、ひいてはクリムゾンそのものだ、

「こんな時期に・・・それともこんな時期だから、か?」

気晴らしの為に出てきたのだが、いつの間にか考えていることは執務室と同じ事、

「駄目だ、駄目だ、こんなんだから疲れが溜まるんだよな、頭を休めないと・・・」

そう言ってもう一度ハーリーは伸びをして・・・凍り付いた。

「な、何だ?」

上から何か降ってくる、正確には断崖を何かが土煙を上げて墜ちてくる、それもハーリーめがけて。

「え・え・え〜と、うわぁぁぁ!!」

慌てて避けようとするが、何かはハーリーの逃げる方へと追ってくる、

そして・・・

ドグシャッ

「ギエ〜〜〜・・・」

ハーリーの悲鳴は何かの墜落音にかき消されていた。

 

「ツゥ・・・」

盛大に沸き上がった砂煙の中から1人の少女が起きあがる、

「ふう、助かりました、マキビ・ハリ」

ハーリーをクッション代わりにルリは50階からのダイビングを成功させた、

「貴方も”たま”には役に立つんですね、じゃぁ」

「アガ、アガガガガ・・・」

後には妙な方向に首を曲げたハーリーが砂に埋もれるのみであった。

合唱。

 

 

 

 

で、続きです。

 

 

 

管理人っす。

 

めるう゛ぃるさん!! 第三話投稿有難!!

サイトウ・・・いたな、コイツ(爆)

それにして、また一話で退場か(核爆)

今頃は田舎で細々と暮らしていると思ってたけど・・・

実はめるう゛ぃるさんに、スカウトされてたんだな!!

良かったな、再就職先があって・・・

多分今後は名も無き敵キャラとか、通行人Aとかになるんだろうな。

案外マグアナック隊の一員になってたりして(苦笑)

 

さて、次の話の見所は”ノイン”ですね。

サリィ・ポーはミナトさんだったし。

一体誰が”ノイン”になるのか?

 

最後に一言・・・ハーリー、君は何処まで散歩に行ってるんだい?

 

 

では、次回を期待して待ってます!!

 

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