逆行者+突破者
第二十二話「墜落+代償」
バキィンッ!!
ギャリギャリ……
ガキィィッッンッ!!
今日も今日とて優華部隊(+2)との戦闘。
俺と『ヒース』は宇宙の闇の中で敵と戦っている。
俺の敵は言わずと知れた深雪だ。
ちなみに深雪の機体は優華部隊とはかなり異なった形をしている。
なんでも試作機で『六連』(仮)というらしい。
傀儡舞というトリッキーな動きと二本の刀で戦ってきている。
だが、俺達の真の闘いはコックピットで行われていたのだ!!
「………かすがい」
「インコ」
『肯定』
「い…い……イスカンダルっ!」
「瑠璃」
『了解』
「また、い…………………イリオモテヤマネコっ!!」
「克己」
『却下』
………まあ、本気で殺しあう気も無いし、
しりとりをしているぐらいで丁度良いだろう。
その後、アキトと北斗の放った必殺の一撃の余波でなし崩し的に戦いは終わった。
……いや良いんだけどさ、こっちのことも考えろよアキト……
後でみんなにお仕置きされるのも今回は自業自得だな(いや、今回もか)
「お〜〜い、ツバキ〜〜」
ん?メティスが廊下を歩いていた俺を呼び止める。
「大丈夫だった?なんかすごい事になってたみたいだけど」
「ああ、別に平気だぞ。
俺はアキト達とは離れた場所で戦っていたしな」
………メティスは前のブーステッドマンとの戦いの後で、
なんか泣きながらこっちの心配をしてくれた。
その前は嫌いだ〜〜なんて言っていたのに。
これが「乙女心と秋の空」という物なのだろうか?
「そういえば、ツバキは料理何頼んだの?」
アキトはパイロットへのお詫びとしてなんでも奢ってくれる事になったのだ。
「俺はうな重を頼んだぞ」
「うな重……?」
「ああ、日本独特の食べ物でな………」
「おいっ!!ツバキ」
「あれ?ヤガミさん、どうしました?」
「いや、ちょっと頼みたいことがあってな」
それは、ある最悪の可能性を確かめる物だった。
あー、僕はこの前、ナデシコを出る時の出来事で悩んでいた。
「あのね〜、私あなたの事が好きかもしれない」
「……………………は?」
僕がナデシコを出る直前で、ファルさんって人は突然言ってきた。
「でもね〜、今はまだツバキとの友情の方が勝っちゃうぐらいなんだ。
だから今はあなたを力づくで奪おうとは思わない。
なので参考までに深雪君の私の印象でも聞こうかと思ってね」
「うーむ、はっきり言って僕に恋愛感情を求めるのはお門違いですよ。
ついでに言うならファルさんは嫌いな部類ですし」
お世辞など言っても意味無いので正直に答える。
「そっか、別にいいんだけどね。
私が本気で好きになったらどうでもいいことだし。
じゃっ、またね!」
そういって笑顔で僕達は別れた。
………本当にファルさんみたいなタイプは苦手なんですよね。
こっちの全てを見透かすような人は………。
そんな事を考えて歩いていると、偶然舞歌さん達の話を耳にした。
へー、面白い事になってるんだな。
もし本当なら和平なんて甘っちょろい考えは文字通り吹き飛ぶね。
出来れば………僕もその場に立ち会いたかったな〜。
サツキミドリ2号が地球に落ちる所を……。
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