逆行者＋突破者
第二十六話「親愛＜信念」
「レッドゾーンッ！！整備班所属、ウリバタケ セイヤッ！！！！」
ワァァァァァァァァ！！！
仲間の声援にセイヤさんは拳を掲げて応え、
そばに立つリリーちゃんはミサイルで喜びを表現する。
ボガァァンッ！！ドカーンッ！！
「ぐわーっ！！」「どわーっ！？」
「ブルーゾーンッ！！所属不明、ツバキ アヤトッ！！！！」
ブゥブゥブゥ！！
「この裏切り者ぉぉぉぉ！！」
「貴様なんぞテンカワと同類だぁぁぁぁぁ！！」
俺の方には罵声と空き缶などが投げ込まれる。
もっとも、空き缶などは残らず打ち返しといたがな。
「べふっ！！」
「あべしっ！！」
さっきまで白鳥さんとヤマダさんが戦っていたリングで、
俺とセイヤさんは対峙していた。
「へっ！最終決戦ってヤツかな、こりゃ」
「………ええ、やっぱり白黒はっきりつけたほうが良いですからね」
そして、俺とセイヤさんは同時に構えた。
「さあ、やってしまいましたっ！！(爆)
作者すら忘却していましたが、エンタイトルツーベース君の生誕は、
ウリバタケさんとの闘いだったんですよね。
というわけで、初心に返ってみました、とのことです。
ゲストには自称「ギャグキャラじゃないっ！！」木連の深雪さんです」
「どうも」
「解説は毎度おなじみのイネスさんです」
「何か気になる言い方だけど………まあいいわ」
「なお、今回のネタはマニアックです。
分かったあなたは早起き良い子の称号をあげちゃいますっ！！」
「……イツキさん、初めてお会いしましたがハイテンションですね……」(汗)
「おおっとっ！？そうこうしてる間にウリバタケさんが仕掛けましたっ！！」
………良いキャラしてますね、あなた。
「いけっ！！リリーちゃんミラージュっ！！」
「おおっと、リリーちゃんの両手からドリルがっ！？
しかも胴体からも巨大なドリルが出てきたぞっ！！」
「初心に戻るっ！つまり、
漢はドリルって事よっ！！！」
………なんか頭痛いです、頭無いですけど。
「フッ！そんな過去の遺物で、
このガルダエンタイトルツーベース君は倒せんよっ！！」
「一方ツバキくんは、エンタイトルツーベース君を持って、
その場で回転しているようだっ！！」
「あれは………トルネード投法っ！？」
「いっけぇぇぇぇぇぇぇ！！！」
「おおっ！回転したままジャンプして、
エンタイトルツーベース君をリリーちゃんに投げつけたっ！！」
「させるかっ！！ライト○ングフラッシュッ！！！」
「リリーちゃんが残像を残しながら移動して、
スピンしながら飛んでくるエンタイトルツーベース君をかわしたっ！！」
「わはははははっ！！！もらったぞ、ツバキっ！！！」
「武器を失ったツバキ君、ピンチですっ！！」
「いや、あのツバキさんの落ち着き様……。
何かたくらんでるみたいですよ」
「………ご名答だ、深雪」
ヒュンッ！ ヒュンッ！ ヒュンッ！ ヒュンッ！
「なんとっ！？エンタイトルツーベース君が戻ってきたっ！！
鉄バットがブーメランのように戻ってくる、なんと摩訶不思議なっ！
どういうことでしょう？、解説のイネスさん」
「説明しましょう。
微妙なバランスと空力特性、そしてトルネード投法。
全ては鉄バットをブーメランのように滑空させる為にあるの。
さらにスピンすることにより加速を続ける。
そして、そのスピードが理論上の鉄バットの限界を超えた時……」
どこからともなく風が吹いてくる。
「風を掴め、ガルダエンタイトルツーベース君っ！！
シャイニングバットブレイカーァァァッ！！！」
「ああっ！？どこからか聞こえてくる影○ヒロ○ブ氏の歌声っ！！
そしてエンタイトルツーベース君が、
まるで鷹のようにリリーちゃんを襲うっ！！」
ズバァァァァァァァァァンッッッ！！！
「どわぁぁぁぁぁっ！！！」
あっ、吹き飛ばされたリリーちゃんの下敷きになってる。
ウリバタケさん、御冥福お祈ります………。
「勝者、ツバキ アヤトっ！！！」
ドワァァァァァァァァァ！！！！
「よっしゃあっ！１．５倍ＧＥＴッ！！」
「だぁぁぁっ！やっぱり大穴はだめかー！」
………大人って……………。
「いやー、盛り上がったわねー」
ファルさんはそう笑いながら廊下を歩いている。
「それで、ファルさんも賭けてたんでしょう？」
「うふふ、しっかり儲けさせてもらいましたっ！」
ほんと、能天気な人たちですよね。
僕達木連からの使者が到着した途端、
追いかけっこやら、修羅場やら、拳闘やらを始めてしまって。
なーんで、殺しあった敵同士でこんな事が出来るんでしょう？
アキトさんと枝織さんも仲いいですし。
まっ、僕にとっては好都合ですけど。
僕は微かに苦笑する。
「でもよかった、もう一度深雪君と話せる機会が出来て」
ファルさんはこちらに振り返り、意味ありげに微笑む。
廊下には、人影は見えない。
「………本当に、ここの人たちは色恋沙汰が好きですね」
「あたりまえじゃない、私、女の子ですもの」
だったらそれに男を巻きこまないでくださいよ。
しかし、そんな僕の心の声が伝わるはずも無く、
一人シリアスな雰囲気で話し始める。
「あのね、私は本当に深雪君の事が好きだよ。
そしてその為なら何でも切り捨てられると思っていた。
でも………本心はそうでもないみたいだった。
正直、迷っちゃってるわけよね。
だからね、賭けをしようと思ってるのよ。
この戦争でもし深雪君が死んだらきっぱりあきらめる。
三日ぐらい泣きまくってすっぱり忘れる。
でも、もし生き残れたら……！」
ガッ！
ドシッ！！
ファルさんの肩を掴み、廊下の壁に押し付ける。
視界いっぱいに、ファルさんの顔が見える。
風で、キスしそうなくらい接近した距離。
それでもファルさんの浮かべる表情は『笑い』であり、
僕の瞳に宿っているのは……『敵意』だろう。
「……私さ、頭いいの、いわゆる天才ってヤツでね。
色んな物事から未来を予測することも出来るわけよ。
もちろん、脳みそはヒート寸前になりながらだけどね。
ちなみに確率９９％」
「１００％絶対、じゃないんですか？」
ファルさんはにたりと微笑む。
「９９％は絶対と同義だよ」
「……僕があなたを嫌いな理由、教えてあげます。
あなたは、未来を見限りすぎている。
まるで、夢や願いをかなえようと努力している人達を、
馬鹿みたいとあざけ笑ってるみたいだ。
………それが、たまらなく嫌いだ」
未来が見えるだとかなんて関係ない。
人の未来を、他人に決められてたまるものかっ！
「………そうだね、昔から言われてきたよ。
でもね、君の時だけはあやふやなんだ。
……何度やっても、道が二つ見えてしまう。
こんな事、一度だって無かったのに」
「……勝手に決め付けないでくださいよ。
僕の道は、初めっから一つだけです」
そう睨みながら、肩から手を離す。
人の声が、聞こえてきましたから。
ファルさんに背を向けて、来た道を戻る。
「………私だって、必死なのよ……」
そのファルさんの声を、僕は聞き流した。
ちなみに聞こえてきた声というのは……、
「どわぁぁぁぁぁぁっ！！！」
「ナオ様ぁぁぁぁぁぁっ！！」
………こっちも大変そうで、ご苦労様です。