機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

医療室の前にはこれでもか!!というぐらいの量の使い終わった包帯等が置いてあった。

それをため息をつきながら電卓で損失を計算しているチョビ髭の男がいた。

 

「全く、まさか包帯がこんなに必要になるとは」

 

アキトがふっ飛ばした連中の治療をしたら包帯等が大量に必要になったのだ。

 

「プロスさ〜ん!!

 また怪我人を発見しましたーーーー!!」

 

また新しい怪我人を発見されたらしい。

タンカに乗せられながら医療室へと入っていく。

 

「はあ〜〜、またこれで損失が増えましたな」

 

そこにミユキが損失に頭を悩ませているプロスに話し掛ける。

 

「プロスさん、お見舞いしに行って良いですか」

 

「いいですよ。特にする事もないですからな」

 

 

 

 

 

 

こうして私はヤマダ君のお見舞いに来た。

別に本当にお見舞いがしたかった訳じゃない。

会長がまさかこんな物を残していくとは思わなかったし、

ヤマダ君じゃないと使ったら疑われそうだったからだ。

 

「ゲキガンカッター発生装置って何よ……」

 

私が医療室へお見舞いの品と称して持っているのは、

小さい何かの機械の部品らしき物だった。

 

ここでアキトとラピスがミユキの部屋にいた時の回想に入ります。

 

「お土産をた〜くさん持ってきたぞ、

 お前が仕掛けをしている内に勝手に置かせてもらった」

 

「あ、生物は冷蔵庫に入れておいたから安心してね」

 

ベッドの上でくつろぎながら言われても威厳が全くない。

元々無いのかもしれないが。(笑)

 

「特にこの装置が今回の自信作なんだ、

 エステバリスにくっつけて強くなってくれ」

 

そういって装置と取り扱い説明書を渡される。

説明書を見てみると何故か表紙では

アキトがカメラ目線ポーズを決めている。

 

「何故、会長が表紙を飾っているんですか?」

 

「分かってないなあ、

 こういうのは初めのインパクトが大事なんだよ」

 

平然と言うアキトを見てミユキは頭痛が急にやって来た。

 

「分かりましたからもう帰ってください、

 ちゃんとトイレにも仕掛けはしときましたので」

 

「今さっきまで泣いてた癖に俺達が出ていくと急に元気なりやがった」

 

こうしてお土産と心の傷を残して会長と社長代理は帰っていった。

 

「おい!!」

 

「へ!?」

 

「何ぼやぼやしているんだよ!!

 早くその装置の使い方を教えてくれ!!」

 

この通りヤマダ君は私の読み通り

この装置の事を言った瞬間自分が使うと言い出した。

これで私がゲキガンマニア

疑われなくて済むとこの時は心底安心していた。

 

「ここに取り扱い説明書があるから

 後はウリバタケさんに頼んで自分のエステバリスにつけてね」

 

もちろん表紙などアキトが映っていた写真は総て油性マジックで塗りつぶしてある。

 

「よっしゃあ!!

 これでゲキガンガーに1歩近づいたぜ!!」

 

ふっ、予定通りあれを片付けれて良かった。

 

 

 

 

 

同じ頃ブリッジはだった。(笑)

何故なら木星蜥蜴の攻撃が

様子見程度の攻撃なので緊張感ゼロで火星へと向かっていたのが原因だった。

 

「敵の攻撃、ディストーションフィールド正常に作動中」

 

ルリが真面目に状況を報告している後ろではユリカとメグミが遊んでいた。

 

「メグちゃん!!

 トランプでもしようか?」

 

「艦長ってやる事無いんですか?」

 

冷たく切り返されて少し口篭もってしまうユリカだった。

 

「そ、そんな事無いよ艦長はたくさんする事あるんだから」

 

そうだったら私にトランプをするように言えるわけ無いでしょうが。

 

「じゃあ何か例をあげてくださいよ」

 

「え、え〜と……な、ない」

 

ガ〜〜〜〜〜〜ン!!

 

どこからか擬音が聞こえてくるぐらいのショックの受け方だった。

 

「うわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」

 

  タッ    タッ

  タッ    タッ

     タッ    タッ

 プシュ   ウィーン!

 

ユリカの奇行を見届けた後にルリが言った。

 

「メグミさんして上げれば良かったじゃないですか」

 

「そうかなあ」

 

「そうですよ」

 

「そうかなあ」

 

「そうですよ」

 

「……」

 

「……」

 

 

 

「……だって仕方ないじゃない」

 

何がだ!?

……とりあえずブリッジは見た通りに暇だった。

 

 

 

 

 

ガイは何故かあっという間に元気になっていた。

こういうのを生命力豊富とか言うのかな?

あ、待てよそれだと嫌に黒光りする虫みたいだな。

 

ミユキはもうすでにこの場から去っていた。

 

「おい、見ろよアキト!!

 ゲキガンガー発生装置だぞ」

 

「その言葉は数えているだけで十回ぐらい言っているぞ」

 

「この興奮を抑えれる筈無いだろう!!

 取り扱い説明書にはこれを取りつけるだけで

 ゲキガンカッターを単発、連発おまけに使い放題なんだぞ!!」

 

「やっぱりウリバタケさんが作ったのそれ?」

 

「いや、ミユキが持ってきた」

 

ベットから起き上がって装置を大事そうに持って医療室から出ていこうとする。

しかし、出ていこうとした所で医療スタッフに捕まっている。

 

「ヤマダ君、君は重体なんだよ

 退院は許可できない」

 

「し、しかし、ここから出ないとゲキガンカッターが…」

 

「アキト!!」

 

「な、何だよ?」

 

「俺の代わりにウリバタケに

 エステバリスに付けるよう頼んできてくれないか」

 

「分かったよ。

 ガイ、安静にしてろよ」

 

ガイが持っている装置を受け取って医療室から出ていく。

 

 

 

 

 

 

「テンカワ〜お前良く来たな」

 

「え、何でですか?」

 

「実はな、契約書に俺達は不満を持って反乱を計画していたところなんだ」

 

「えぇ!!反乱だって!!」

 

「ば、馬鹿!!

 声が大きいだろうがどこで誰が聞いているか分かったもんじゃないだろうが」

 

「誰が参加するんですか?」

 

「この契約書の最後の文を読んで俺と同じように不満を持った奴は全員だ」

 

反乱(ストライキ?)の準備をしている連中は何故か整備班の連中が多かった。

 

「ウリバタケさん、いつ決行する気なんですか?」

 

テンカワは心の中では、面倒な事に巻き込まれたなとか思っていた。(笑)

 

「俺は参加しませんけどこの装置をエステバリスにつけておいてください」

 

ウリバタケに装置と取り扱い説明書を手渡す。

 

「おお、何だ!?

 その怪しげな装置は?」

 

「さあ?ガイがゲキガンカッター発生装置とか言ってましたけど……」

 

本当にゲキガンカッターが撃てるのか?

 

「分かった、俺にまかせておけ!!

 改造だったらこの俺が一番だからな」

 

「え?改造じゃなくて取りつけるだけでいいんですけど」

 

「遠慮するなって!!

 木星蜥蜴なんて一気に殲滅できる位にしてやるよ!!」

 

だ、ダメだ。

目がイッてしまっている。

すまん、ガイ!!俺はウリバタケさんを止める事はできそうにない。

 

そしてテンカワはウリバタケを置いて逃げた。(笑)

 

 

 

 

 

それからもちろん反乱が起こった。

 

「反乱を起こすってそういえば言っていたな」

 

「え!!アキト知っていたの!?」

 

ユリカは悟りを開いて無事に帰ってきた。(笑)

 

「テンカワ君、知っていたのに艦長に報告しなかったのか!!」

 

「そんなの本当に起こすだなんて思うわけないじゃないですか」

 

ブリッジで反乱が起こった時に彼らは言い争っていた。

 

「待って!!

 アキトは私に余計な心配をさせない為に言わなかったのよ」

 

ユリカは妄想を爆発させている。

 

「ば、バカ何言ってんだよ!!

 何で俺がお前の事心配しなくゃいけないんだよ」

 

そう言いつつも顔が真っ赤になっている。

 

「そうですよ!!

 艦長は少し黙っていてください」

 

それを見て少しムッとしつつもメグミが反論してくる。

 

「ユリカーーーーーー!!」

 

ジュンが涙を目から溢れさせている。

 

「おい!!

 無視するな!!」

 

「あ、忘れてた」

 

せっかく反乱を起こしてこれから要求を艦長に飲ませようとしたのに

その艦長が完全に無視されたのでは、そりゃ怒りますよ。

 

ルリが1人で騒ぎを見ていた。

 

「とりあえずこの契約書の最後の奴を見てくれ」

 

字が多いのを見て少しげんなりとしつつ最後の小さい文を読む。

 

「なになに?

 尚、艦内での男女交際は手を繋ぐまでとしますってなにこれ!?」

 

「お手て繋いでってここはナデシコ保育園か!!」

 

リョーコとヒカルの手を繋がなきゃ良いのに繋ぐからひじ撃ちをもらっている。

 

「「いい加減にしろ!!」」

 

「……ウグッ…俺はまだ若い」

 

「若いか?」

 

「ウリバタケさんが若いかはともかく!!

 何でこんなのが契約書に書いてあるの!?」

 

その時ブリッジの一番高い所でプロスがスポットライトを浴びて登場した。

 

「それは恋愛がエスカレートしていくと

 結婚したり子供が生まれたりしますとお金掛かりますよね?」

 

「いいえ!!納得できません!!」

 

ユリカが一番猛反対している。

反乱を起こした連中もあれ?俺達が反乱起こさなくてもよかったんじゃないか?

なんて思い始めていた。

 

「これが目に入らないですか!!」

 

そういってウリバタケから銃を奪ってプロスに狙いを定める。

 

「この契約書も見てください」

 

冷静に受け答えしているように見えてもプロスの足はガクガク震えていた。

ゴートがそれを見て張り合わなきゃ良いだろとか思ったときだった。

 

ドカーーーン!!

 

「ルリちゃん!!」

 

「この攻撃、今までと違う、迎撃が必要」

 

「みなさん!!

 とりあえずこのお話は保留です、戦闘配置についてください」

 

こうしてバカバカしい騒ぎもあったけど

とりあえず火星でのナデシコの戦いが始まったのでした。

 

 

 

 

 

続く

 

 

あとがき

 遅くなってしまった!!

 どんどん遅くなっていっているし。

 このまま月刊になってしまうのか!?

 う〜ん、日刊があるご時世なのに何やってんだ俺は……。

 とりあえず火星での戦いが始まりました。

 今回はまた怪しい装置が登場したし……。

 もしかして俺って小道具好き?(苦笑)

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第九弾です!!

なんか、ミユキさんてば不幸(爆)

それとアキト・・・変わったな、お前(笑)

やはり、人間苦労をすると人格が歪むんだな(苦笑)

・・・歪んでどうするよ。

しかし、この小道具が今後どう活躍するか楽しみですね!!

 

なんか、アキトが某猫型ロボットに思えてきた今日この頃。

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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