来たぞ、来たぞ!!
遂にあの謎や行動の謎が一挙解明!!
坊ちゃん、嬢ちゃん寄っといで!
そこの小粋な兄さんに綺麗な姉さんも!!
果ては、ご隠居まで御覧になってくださいな!!
機動戦艦ナデシコ
『影(シャドウ)』
ナデシコの艦内を走るアキトとミユキ。
2人とも間取りは、知っているので迷うことなく進んでいく。
しかし、そんな2人の進路を妨害するように前方の通路の隔壁が下りてくる。
それを見た2人は、立ち止まって別の道へと走っていく。
だが、その道の隔壁も方向転換すると直ぐに下りてきた。
「チッ!仕方ない、二手に別れて相手をかく乱するぞ」
「かく乱ですか?ここは、相手の領域だから無意味なのでは?」
「そんな心配することないって、
捕まっても独房に放りこまれて尋問されるだけだから安心しな」
その尋問が拷問じゃないと何故、言いきれるのか不思議に思うミユキだった。
だが、確かに2人で行動するよりは、1人で行動する方が何かと便利だとも思った。
ミユキは、アキトに向かって静かに頷くとユリカを背負って去っていった。
その様子をガスマスクの下から見ながらブラスターへと弾を詰めこむアキト。
そして、カチャッと装填すると、隔壁がまだ下りていない方の道へと歩き始める。
「うーん……待ち伏せって奴か?」
ほとんどの隔壁が降りている状況なのに、いくつかだけは、隔壁が降りていないのを見てぽつりと呟く。
その証拠に曲がり角で少し顔を出して見ると整備班がずらっとスパナを持って並んでいた。
銃に対してスパナで対抗するというところが無駄のような気もするが、
さすがにブラスターが、弾ごめ式の奴なので多勢に無勢といったところだろう。
しかし、アキトはクルッとブラスターを回転させ、それを捕まえて何発か向こう側に撃ち込んだ。
そこには、何かの機材が置いてあったらしく、爆発音と共にその機械は沈黙した。
「うわっ!こっちに来たんじゃないのか!?」
「ヤバいって!!ミナトさんが来るのを待った方が良いんじゃないのか!?」
ゴートやジュンなどの元軍人を待たずにミナトを待つのは、一体?
とりあえず、ウリバタケなどの指揮を取る人がいないので大パニックを起こしている。
そこを狙ってアキトは、懐からライオットエージェント弾をそのパニック軍勢に向かって放つ。
ヒュ〜〜〜ー―――――コロコロー……。
「おい!?何だこれ!?」
「馬鹿!危ないぞ!!それ手榴弾じゃないのか!?」
何やら騒ぐだけで逃げる気配がほとんど無いのが素人っぷりを表している。
そして、その『手榴弾』が爆発。全員、耳がイカれてしまった。
ライオットエージェント弾とは、音だけを発する手榴弾なのだ。
その一瞬の隙をついてアキトは、直ぐに行動を取った―――――――。
「わぁー!!お前!!後ろの壁から手が生えてるぞ!!」
「何言ってるんだ、お前?遂にトチ狂ったのか?」
「馬鹿!!ホントに怪しい野郎が生えてきてるんだよ!!」
結局、大パニックの内にほとんどの整備班がアキトに気絶させられてしまった。
アキトと整備班がドンパチやらかしている頃、ブリッジでは、
ルリとオモイカネによって、艦長を背負ったミユキがどこにいるのか探っていた。
「駄目です、艦長とミユキさんの反応がありません」
『反応無し』
ルリが艦長であるユリカがいないのにどうして報告しているのかというと、
整備班がやられているポイントへと全員に通信して呼んでいるメグミに言っているのだ。
こういうリアルタイムの情報を伝えるのがメグミの仕事だ。
しかし、メグミの心の中はと言うと…。
(ヨゥッシャー!!(ビシッ!)
クックックッ、これで艦長が攫われたらアキトさんは独占!!
好調ですね、総ては私の意のままにことは進んでいますよ。
アキトさんのことは、私に任せてください。
さぁ、艦長!!
安心してアノ世へLet's GOしてしまって下さいね☆)
などと腹黒い考えを計算しながら、モニターにユリカがでないのを喜んでいる。
それとユリカは、別に死ぬと決まった訳では無いのだが・・・。
ルリが返事がなくなったことに怪訝そうな表情をしているのが分かる。
(そして、●●●を□□□で◇◇◇して洗脳して。
あっちこっち□△されてしまえば、
もう私のアキトさんに対してチョロチョロすることも……。(フッ)
思い通り(プッ)思い通り(ククッ)思い通り!!(カカッ)
オォッホッッホッホッホッ〜〜〜〜〜!!!!!」
「あの、さっきから声にでてますよ」
「はぐっ!!?ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!!」
「大丈夫ですか?(じーっ)」
何時の間にか立ちあがって高笑いをあげていたメグミがつまる。
それを横目でルリとオモイカネ(目無いけど)が冷ややかな視線で見ている。
それに気付いたメグミは、気まずくなりながらもコホンと咳払いしながら自分の席へと着く。
「えっと〜ー―……ほら!お、大人の事情って奴よ!!
だからぁー…その…ル、ルリちゃんは別に気にしなくても良いのよ!?」
「別に良いですよ?私少女ですから」
「そ、そうね?それが一番だわ!!
人間のドロドロ暗い部分は、蓋をしろって昔の人も言っていたし!!」
「臭いものには、蓋をしろですか?」
「そう、それよそれ!!
ね?ね?良い子だからさっきのことは忘れましょうね?」
「……怖いですよ」
ルリが言う通り最後の部分が何故かダークな底冷えするような声だったのが気になる。
とりあえず、メグミの言う大人の事情は怖いことだと認識したルリであったが、
「最初のは、何ですか?」
「さ、最初の?」
「先ほど●●●に□□□を△△△してしまえばこっちのモンと」
「そ、それはー―――。
(ち、チィィィィッ!!このクソガキが!!
そういういらん知識だけは身につけおってからに!!
はっ、しかし、所詮は子供・・・。
それにこやつだけを口封じしてしまえば…。(ニタリ))
深いツッコミは身の為にならないわよ?(ニッコリ)」
「その間は、一体なんですか?(タラッ)」
ただならぬ何かをルリは、感じ取りそれ以上は、この話題に突っ込まないことにした。
そして、待たせていたオモイカネへと状況を教えてもらった。
『侵入者は、整備班を完全に沈黙させた模様』
「完全にですか、少々時間が早いですね」
「時間稼ぎにもならなかったの?
今、向かってるゴートさん達を早く向かうように連絡するね」
ピッと備え付けのコンピューターを使いコミュニケを向こうと繋げようとする。
しかし、コミュニケは、砂嵐が発生し見えず、音もノイズだらけだった。
「あれ?壊れちゃったの?」
妄想状態の時は、無意識に壊してしまうのだろうか。
「違います。何かがこの宙域に強力なジャミングをしています」
「この慌ただしいのに今度は何?」
慌ただしくしているのは、メグミも一端を担っているのだが・・・。
「これで終わりだ!!」
トドメの一撃をその場にいる整備班最後の1人へとボディーブローを決める。
「ぐはっ!」と整備班の口から声にならない悲鳴が上がる。
そして、意識が無くなったらしく目に焦点がなくなり体から力が抜けた。
その体を押して床へとゴンッと頭を打たせながらも寝かせてやる。
「やっぱり最後は、決めゼリフを言わないとね(フゥ)」
良い汗をかいたとでも言わんばかりにタオルでふきながらそう言う。
倒れている整備班にとってみれば良い迷惑であることに代わりは無い。
そして、ミユキが無事に逃げおおせたのかを確かめるために専用通信用のコミュニケを開こうとした。
だが、アキトは、知らないが先ほどのルリとメグミのようにノイズだらけになっている。
「……これは?故障か?」
近所のおっさんのようにビシバシ叩いて直そうとする。
しかし、結局直らなかったので諦めて歩き始めた。
「まあ、良いか……。
うぅー…寒ッ!ちょっとここら辺冷房かけすぎだな…」
歩こうとしたアキトだったが、目の前に若き頃の自分が立っているのに気付いた。
そして、そいつを見てからこう言った。
「よう!カワイ子ちゃん♪」
―なんじゃ、そりゃ。