< 時の流れに福音を伝えし者 >

 

 

 

 

 

第十二話.『あの「忘れえぬ日々」・・・アキトさん私はあの日々を忘れません』

その思い出を大事にね。

 

 

 

 

 

 ナナフシ撃墜から一ヶ月が経過して。

 私達は今日も連合軍の先頭に立って戦っています。

 

 ・・・お陰で木連の無人兵器達には、攻撃の第一目標に設定されちゃったみたいです。

 もう、ちょっとは活躍して下さいよね連合軍の人達も。

 

 

「そっちがそうなら!! こっちもその気!!

 てってーてきにやっちゃいます!!」

 

 ・・・ユリカさんやる気満々ですね。

 ガッツポーズまでとって指揮をされてます。

 

 

「いいね〜、自分達の活躍で祖国の平和を守れるなんて。」

 

 ・・・事情を知る身としては。

 何処まで本気なんだか解りませんね、アカツキさんの台詞は。

 

「はぁ・・・了解。」

 

 アキトさんは先日の休暇以降少し元気がありません。

 休暇中ずっと私達の買い物に突き合わせてしまったから、疲れてるんでしょうか?

 

 ・・・いえ、悪いのはアキトさんです。

 最初から私達に付き合っていてくれれば、最後の一日は休めた筈なんですから。

 

「元気!! 元気!!」

 

「負けないも〜〜ん!!」

 

「お仕事、お仕事。」

 

 パイロット三人娘の方は元気です。

 ・・・とくにリョーコさんです。

 ナナフシの時以来、アキトさんへの視線がさらに熱くなっています。

 作戦中何があったのかカマをかけて聞いてみましたが、口を噤んで何も喋りませんでした。

 少し苦い表情をしていましたが、反応からして何かあったには違いません。

 その後、ナデシコ内でオモイカネに頼んでアキトさんとリョーコさんの接触するところを常に監視しておきました。

 

 しかし、アレからの進展は無い様子・・・

 まあ、相手はあのアキトさんですからね。

 

 

 そして、エステバリス隊は出撃しました。

 

 

「エステバリス全機、出撃しました。」

 

「全機攻撃開始!!」

 

 ユリカさんの号令の元・・・

 エステバリス隊からの攻撃が始まりました。

 

(あ、そう言えばオモイカネの反抗期がそろそろでしたね。

 と言っても、事が起こる前に何かをする訳にもいきませんし、今は様子見ですね。)

 

 

 

 

 この時、既にオモイカネに危機が迫っていた事を私は知りませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『よっしゃ!! いただき!!』

 

 アカツキが無人兵器に目掛けてミサイルを発射させる。

 だが、ミサイルの動きが乱れ無人兵器に向かうミサイルの幾つかが

 弧を描いて連合軍の方へ向かい、更にその一つが自身の方に向かって来た。

 

『なに〜!! ドアァァ!!』

 

 アカツキはすぐさま避けるが間に合わず右足に着弾した。

 空戦フレームだから足が無くても戦闘に支障はないが・・・

 

「ルリちゃん!! 一体なにが起こったんだ!?

 もしかしてオモイカネの暴走か?

 それにしても俺達にまで攻撃が来たぞ!!」

 

『わかりません!? オモイカネはレーダーに映る全てを攻撃しているみたいです!!

 このままじゃナデシコ自身にまでミサイルが跳んで来ます。』

 

「とにかくルリちゃんは原因を調べてくれ!! 俺はD・F・Sのみで戦う!!

 それから原因が分かったらユリカに現状を伝えてくれ。」

 

 俺は通信ウィンドウをルリちゃんに開いてそう話す。

 D・F・Sもナナフシの時の砲竜斬で過負荷による故障をしてしまったが、

 改良しちゃんと秘剣クラスの技に耐えられる様になった。

 お陰で俺以外にD・F・Sを扱えるパイロットがいなくなってしまったが。

 

『わかりました、原因がわかり次第伝えます。』

 

「ああ、頼んだよルリちゃん。」

 

 そう言い終わらせ通信を切る。

 皆は大丈夫か?

 

『一体なにがどうなってるんだい!?』

 

『何で戻ってくるんだよ!?』

 

『こっち来ないで〜!!』

 

『南無阿弥陀仏・・・・・・天は我等を見放したか?』

 

 全員自分の撃ったミサイルから逃げ回っている。

 今のままじゃとても戦闘どころじゃないな。

 だけど・・・イズミさん余裕あるのか無いのかわからんな。

 

 シンジくんの方は?

 

 

     ババババババババ!!!

 

 

                ザキンッ!! ザキンッ!! ザキンッ!!

 

 

 シンジくんは中距離の敵はライフルで牽制し、

 近距離の敵は腕に収納されたナイフで切り裂いている。

 そう言えばエヴァにはミサイルを詰んでいなかったな。

 

「皆!! シンジくんの様に攻撃誘導装置に頼らない戦い方をするんだ!!」

 

『そうか、ミサイル以外なら。』

 

『ようは接近戦をすりゃいい訳か。』

 

『確かにミサイルは飛んで来ないんだけど。』

 

『長くは続きそうにないわ。』

 

 リョーコちゃん達はライフルと拳とナイフだけ戦い始める。

 だが戦力が落ちている上ライフル一丁とナイフ一本じゃ、イズミさんの言うとおり他の皆長くは続かない。

 一気に敵を殲滅しないと。

 

「シンジくん、ちょっといいか?」

 

『何ですか、アキトさん?』

 

「今の皆の戦闘方法じゃ何時かやられてしまう。

 あれで一気に敵を殲滅したいから手伝ってくれ。」

 

『も、もしかしてあの技ですか!?

 技自体はいいですけど、あれもやるんですか!?』

 

「・・・タイミングを合わせるためだと思って我慢してくれ。

 あれをしないとラピスが煩いんだ。」

 

『・・・わかりましたよ、我慢します。』

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!! 何!! 何が起きたの!!」

 

 ユリカさんがパニック状態です。

 まあ、仕方が無い事です、私だって混乱しているんですから。 

 一体なにが起こっているんです?

 オモイカネの反抗期なら軍にだけ攻撃が行く筈なのに。

 

(オモイカネ、いったいどうしたんです。)

 

『・・・・・・』

 

 IFSを通じてオモイカネに呼びかけますが返事がありません。

 

「エステバリス機、味方及び自分を攻撃してます〜」

 

「味方と自分を攻撃〜〜〜!!」

 

 ミナトさんの言葉を聞いて更に取り乱すユリカさん。

 もう少し落ち着いて下さいユリカさん。

 指揮官がそんなに取り乱したら、普通他のクルーまで取り乱しちゃうじゃないですか。

 まあ、ナデシコはクルーが優秀ですからそんなことはないんですが。

 

 って、それどころではありませんでした。

 返事が無いという事は今回は本当にオモイカネに何かあったのかもしれません。

 

 私は最も深いところにあるオモイカネの中枢を調べます。

 な!! オモイカネのデータが何かに破壊され始めています!!

 それどころか破壊された箇所から連鎖的に別の箇所が破壊されていきます!!

 これはまるでだんだん金属が腐っていくような・・・

 侵食とでも言いましょうか・・・

 

「ナデシコのエステバリスは、敵と自身と連合軍の全てを攻撃しています!!

 唯一の例外はアキトさんのエステバリスと、シンジくんのエヴァンゲリオンだけです!!」

 

 いったいどこから・・・・・・これはウイルス!? 

 ウイルス自身がデータをクラッキングするなんて!!

 とにかく早く消去しないと!!

 

「あ!! 今アキトさんの提案でエステバリス全機、接近戦主体の戦闘に変わりました!!

 味方と自分への攻撃無くなりました!!」

 

 うそ!! このウイルスやっぱり普通のウイルスじゃありません!!

 私でも侵食速度を抑えるので精一杯なんて!?

 このままじゃいずれ完全にオモイカネが破壊されてしまいます!!

 

「さっすが!! アキトね!!

 ルリちゃん、何で味方や自分まで攻撃してたか分からない?」

 

「それでしたらオモイカネに入り込んだウイルスが原因です。

 ウイルスのせいで攻撃誘導装置が異常が出ています。

 今はウイルスの進行を抑えるだけで精一杯です。

 このままでは何時、他の機能に影響が出るかわかりません。」

 

「えっと、つまりはどういうことなの?」

 

『つまり重力制御装置にでも支障が出たら墜落するかもしれないという事よ。』

 

 通信ウィンドウで現れたイネスさんが私の言った事を補足してくれます。

 でも、さらっととんでもないことを言ってるんですよね。

 

「え〜〜〜〜〜!!

 それって非常に不味いじゃないですか!!

 連合軍にコンピュータに異常が起こったので撤退すると伝えて下さい。」

 

「今ナデシコがいるのは最前線です。

 今から後退するのは難しいと思います。」

 

「じゃあどうすればいいの〜!!!」

 

 

 ピッ!!

 

『話は聞いた、俺とシンジくんで敵を一気に減らすから、

 その隙にナデシコは撤退するんだ!!』

 

 そこへアキトさんとシンジさんが通信ウィンドウで現れました。

 

「アキトさん、シンジさんとってことは

 まさかあれをやるつもりですか?

 シンジさんもあれほど嫌がってたのに。」

 

『あれが一番効率がいいからね。』

 

『僕も仕方ないから我慢するんだよ。』

 

 アキトさんは割り切ってるみたいですが、シンジさんはとても気が重そうです。

 

「うん、わかったアキト!!

 何をするのか知らないけど頑張って!!

 それとシンジくんも。」

 

『ああ。』

 

『本当は頑張りたくないんですけどね。』

 

 そう言って二人はあの技の準備に入ります。

 ああ!! 今回のアキトさんの映像をウイルスのせいで

 オモイカネの私専用の記憶ライブラリーに保存することが出来ません!!

 よく考えたらオモイカネのデータが破壊されてしまったら、今までのアキトさんの映像が!!

 全力で侵食を阻止してアキトさんの記録映像を守らなければならないのに、

 目の前の映像は残せないなんて・・・

 

 

 

 しかたありません、全神経を集中して、

 侵食を阻止しつつ映像をこの目に焼き付けて見せます!!

 

「ねえルリちゃん、アキト達は「話しかけないで下さい!!!

 気が散ってしまいます!!!!」・・・はい。」

 

 

 ユリカさん、今度話しかけたらただじゃ置きませんよ。

 私はそう念じつつプレッシャーを掛けます。

 

 いけません、邪魔されたとはいえユリカさんの方に気がいってしまいました。

 既にアキトさんはD・F・Sを右下に向け、シンジさんは右腕を引いてそれぞれ構えている。

 

『バーストモード・スタート。』

 

『S2ドライブ出力アップ。』

 

 アキトさんのエステバリスがバーストモードに入りD・F・Sの刃が真紅に変わり、

 シンジさんのエヴァの翼が一対から二対四枚に増え、右腕にATフィールドが収束します。

 

『いくよ、シンジくん。』

 

『はい、アキトさん。』

 

 

『唸れ!!! 内なる竜の衝動よ!!!

   奥義!!! 竜王牙斬!!!!』

 

 

『我流砲技!!! 第一門!!!

     紅(くれない)の臥龍!!!!』

 

 

 アキトさんは右斜め前方に、シンジさんは左斜め前方に、

 二人とも非常によく似た真紅の竜を撃ち放ちました。

 その二匹の竜は無人兵器を何の障害もなく突き進んでいきます。

 

「何故テンカワとイカリは敵の密集している場所でなく、

 全く別の方向に撃ったのだ?」

 

「わかりませんな? ですがお2人のことですから何か思惑があるのでしょう。」

 

 さすがプロスさんです、この技の本領はここからです。

 過程をかなりシンジさんが嫌がってましたが。

 

 

『我が力の象徴は黒』

 

 

『我が力の象徴は紫』

 

 

 アキトさんは左に振りきったD・F・Sをシンジさん側の右へ振り、

 シンジさんは前に突き出した右腕をアキトさん側の左へ薙いだ。

 

 

『対なる力は紫』

 

 

『対なる力は黒』

 

 

 そうするとアキトさんの放った真紅の竜が右へ弧を描いて曲がり、

 シンジさんの放った真紅の竜も左へ弧を描いて曲がりました。

 

 

『『相対する二つの力よ!!! 今一つとなりて全てを滅ぼせ!!!!』』

 

 

 二匹の竜の軌道が向かい合い、無人兵器をものともせずその密集地に突き進みます。

 

 

『双竜対滅!!!』

 

 

『破局襲来!!!』

 

 

『天上天下!!!』

 

 

『唯我独尊!!!』

 

 

 二匹の真紅の竜はそのまま追突しました。

 そして二つが混ざり合い押し込まれた力が、

 相乗効果によって数倍に膨れ上がっていきます。

 

 

『『黒紫融合!!!! 二技一体!!!!

    天下無双の合体奥義!!!! 

   双覇竜皇招来撃滅陣!!!!!!!』』

 

 

 

 グギュウォォォオォォォォォンンンン!!!!!

 

 

 

 二つの真紅の竜は次の瞬間、光球となり爆発的に膨れ上がり、

 木星蜥蜴のチューリップから戦艦まで全てを飲み込んでいきます。

 

「ぐぐぅぅぅぅぅ。」

 

「キャァァァァァ。」

 

「こ、これはまた、とんでもないですな。」

 

 もちろんその衝撃波も凄まじくナデシコ全体が大きく揺れました。

 プロスさんは驚きながらも余裕がありそうですが。

 

 光球が消えた時、敵の戦力は見てわかるほど減っていました。

 チューリップは文字どおり完全に消滅し、

 戦艦など片手の指で数えられる程度しか残っていませんでした。

 

 アキトさんの勇姿、しっかりこの目に焼き付けました!!

 後はオモイカネの記憶ライブラリーにある過去の勇姿を守り切るだけです!!

 

「ねえルリちゃん、これから「話しかけないで下さいって言ったでしょう!!!

 今オモイカネを何とかしなくてはいけないんですから!!!」 うぅぅ、ルリちゃんがいじめる。」

 

 

 これでアキトさんの記録映像が駄目になったら、ユリカさん覚悟して下さいね。

 

 でも一体何なのでしょう、このウイルスは?

 私の作ったウイルスバスターを送っても弱まったと思ったらすぐに効かなくなってしまいます。

 新しいものを送ってもそれの繰り返しです。

 

 まさか私のウイルスバスターにすぐに耐性が出来てしまうのでしょうか?

 成長、または進化してるって事ですか。

 そんなウイルスが存在するなんて・・・

 

 

 

「艦長、いじけている場合ではありませんよ。

 もう勝敗は決まったようなものですが今は一刻も早くオモイカネを何とかしませんと。」

 

「うぅぅ、そうでしたね。 メグちゃんは連合軍に通達を。

 ミナトさんはエステの回収が終わり次第、後退して手ごろな場所に不時着してください。」

 

「了解、でもどうしたんでしょう、ルリちゃん

 いくら、ウイルスを抑えるので精一杯だからって。」

 

「オモイカネがそれほど大事なんじゃないかしら?

 でもルリルリから鬼気を感じるなんて思っても見なかったわ。」

 

 

 

 

『何とか上手くいったな。』

 

『僕、何か大事なものを無くしちゃった気がします。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 終わりに近かった戦線をいち早く離脱したナデシコは

 近くに木星蜥蜴がいない事を確認して不時着した。

 それと制御が効かなくなって暴走しないように相転移エンジンも切ってある。

 

「いやぁ、テンカワさんの早い機転のおかげで被害が少なくて済みました。

 多少連合軍にも損害を与えてしまいましたがこれくらいなら保険で何とかなります。」

 

 プロスさんはそろばんを持ってそう言います。

 

「シンジさんも敵の殲滅お疲れ様でした。」

 

「あの方法しか敵を一気に殲滅出来ないからやったまでですよ。

 もうやりたくないですよ、恥ずかしい・・・」

 

 ラピスちゃん、何であんなセリフ喋らせるんだろう?

 アキトさんもよく恥ずかしくなく叫べるよ。

 

「ハハハハハ、確かに興味深い技でしたな。

 それにしてもオモイカネは大変なことになってしまいましたな。

 ルリさん、そちらどんな様子ですかな?」

 

 ルリちゃんはオモイカネに入り込んだウイルスを抑えているらしい。

 それで戦闘が終わった後もルリちゃんはオペレータ席を離れられずにいた。

 

「・・・・・・」

 

「ルリさん?」

 

「ルリちゃんは今話すことが出来ないわ。」

 

「どういう事ですか、イネスさん。」

 

「説明しましょう!!」

 

 イネスさんが嬉しそうに言う。

 こういう時絶対現れるんだよな、この人。

 

「今、ルリちゃんはウイルスを抑える為にオモイカネの中に意識をダイブさせているわ。

 よっぽど悪質なウイルスなのかルリちゃんでも普通の状態じゃ対処しきれなかったみたいなの。

 それでも最初の内は完全に抑えることが出来てたみたいだけど、

 だんだんウイルスを押さえ切れなくなってじわじわデータが壊れ始めているわ。」

 

 意識をコンピューターの中に送り込めるなんて。

 IFSってそんなことも出来るんだ。

 

「今、オモイカネのデータの約15%が破壊されてしまっているわ。

 これに加えてデータの破壊速度は少し上がってきてる。

 それをふまえて計算すると後二時間足らずで完全にオモイカネは破壊されてしまうわ。」

 

「オモイカネが壊れたらどうなっちゃうんです?」

 

 ユリカさんが質問する。

 

「ナデシコは完全に動かなくなるわ。

 オモイカネはナデシコの中枢コンピュータだから、

 それを壊されてしまったらナデシコはただの鉄の箱になるわね。」

 

 ナデシコの形ならオブジェでもいけるんじゃないかな?

 ・・・何考えてるんだろ僕。

 

「そんな・・・何とかならないんですか?」

 

「ならないわね。 マシンチャイルドであるルリちゃんに抑えられないのに、

 それ以外の人間にどうにか出来る筈無いわ。」

 

 それ以外の人間ね、まるで僕なら出来るって言われてるみたい。

 まあイロウルの力を使えばどうにかなるだろうけど。

 

 ん、アキトさん、セイヤさんと何を話してるんだ?

 僕はなんとなくアキトさんが何かする気だと思っていた。

 

「艦長、連合軍から通信が入りました。

 何でもナデシコの異常を解決する為、調査団が派遣されるそうです。」

 

「調査団?」

 

 ルリちゃんのどうにか出来ないのに、連合軍どうにか出来るのかな?

 

 

 

 

 連合軍の調査員に再びオモイカネの現状が説明されます。

 

「原因はよくわかりました。

 では、ウイルスの消去は我々に任せてもらいたい。

 現在、ナデシコは連合軍に所属しています。

 ナデシコで対処出来ないのであれば、こちらで何とかしましょう。」

 

「は、はあ。」

 

 艦長は気のない返事で答えた。

 どうなるのかな、面白くなってきた。

 不謹慎にも僕はそんなことを思ってしまう。

 

 

 

 

 ザッザッザッ・・・

 

 

「な、な、何だ!! お前達は全員同じ格好して!!」

 

 

 ザッザッザッ・・・

 

 

「・・・無視かよ。」

 

 

 面白くらい同じ格好をした人達が

 セイヤさんを無視して傍を通って行った。

 

 

 ガチャガチャ・・・

 

 

 そして、ナデシコのコンピュータ制御室に入り、

 それぞれのコンピュータをオモイカネに接続した。

 

「ウィルス・・・ほんとに退治出来ますか?」

 

「ハッハッハッ、任せて下さい。

 かなり厄介なウイルスのようですが、

 これだけのコンピュータに同時に攻撃をされたら終わりですよ。

 よし、作業を開始しろ!!」

 

 そして作業が開始される。

 

 

 

 

 十分後・・・

 

「こ、こちらのコンピュータ・・・

 すべてクラッキングされました・・・」

 

 

「なにぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 

 調査員の人が叫ぶ。

 予想はしていたけど、案外あっけなかったな〜。

 

 さてと、僕もそろそろ行こうかな?

 あ、そういえばアキトさん、何をする気なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

第十二話 その二に続く