【読む前に】

 このお話は『時の流れに福音を伝えし者』、略して『時福』の合間に書いた作品です。

 息抜きとして書いた作品でもありますので練度も低く、主に『時福』の方を書いているためあまり進み具合もよくありません。

 この作品の読者の感想次第で『時福』の方と連動して書いていこうと思っています。

 もしこの作品に良い評価をしていただき、続きを期待していただくならお知らせ下さい。

 『時福』と共に少しづつ頑張っていこうと思っています。

 

 

 

 

 

 

∞黒のお姫様∞

第一話:黒のお姫様誕生

 

 

 

 ・・・・・・ここは何処だ。 俺は生きているのか?

 

 確かナデシコCとの戦闘でユーチャリスがランダムジャンプしてそのショックで気を失ったのか。

 

 ・・・・・・体が動かない、フレイアとのリンクが切れたのか?

 

 【気が付きましたか?】

 

 突然何処からとも泣く声が聞こえてきた。 

 この感じはまるでリンクで会話しているときと似ている。

 

「だれだ?・・・・・・俺はどうなっている?」

 

 俺は力無く聞き返す。 体が動かない以上警戒してもしょうがない。

 

【あなたはいま生命維持の為のバイオカプセルに入っています。 

 と言っても、このままでは最低一週間しか持ちませんが。】

 

 寿命がまた縮んじまったな。 

 やはりフルリンクが原因か。

 

【それと、勝手ながら貴方のナノマシンの補助脳の記憶と、

 ユーチャリスと言う船が持っていた情報を見させていただきました。 

 その時、フレイアと言うAIがそれを交換条件にあなたの保護を要求してきましたよ。】

 

「フレイアが・・・・・・」

 

【あなたの保護は最初からするつもりでしたので、その条件に乗せていただきました。】

 

 そうか、だが俺の記憶が見たのになぜ俺を保護しようとする。

 

「それで、俺のことを知ったお前は、このあと俺をどうする気だ。 

 そもそもあんたは誰なんだ。」

 

【あなたがこれからどうなるかは、あなた次第です。 

 そして私はあなた達が言う、古代火星人です。】

 

「な!! じゃあここは!!・・・・・・」

 

【古代火星です。 あなたは時空移動をしてここに現れたのです。】

 

 俺は古代火星人と聞いたとき、俺の感情は爆発した。

 

「あんたらが遺跡を・・・・・・ジャンプユニットなんか作らなければ、

 俺はこんな事に・・・・・・戦争は起きなかったんだ!!」

 

【それはあなた方自身の所為です。 作った私達ではなく、使ったあなた達の。】

 

「ぐっ・・・・・・」

 

 そんな事は分かっている。

 これが単なる八つ当たりであり、死に際の悪あがきみたいなものだと。

 

【ですが私達も、自分達の作ったものが戦争の発端になったと言うのはいい気がしません。 

 あなたにはできる限りの謝罪をするつもりです。】

 

「なら、ジャンプユニットを破壊してくれ。 

 そうすれば戦争も起きない。」

 

【それははっきり言って意味のないことです。】

 

 何!? どういうことだ。

 

【ジャンプユニットを破壊しても、あなたの過去が無くなる訳ではありません。 

 これから先の未来が変化し平行世界が生まれるだけでしょう。】

 

「クソッ」

 

【ではこれからのあなたのことですが選択肢は2つです。 

 このまま死を待つか、肉体を取り替え生き延びるかです。】

 

「肉体を?」

 

【はい、あなたの体は私達の医療技術でも治療することも出来ません。 

 ですが、あなたの補助脳と記憶中枢を新たな体に移すことで命を長らえるのです。 

 幸か不幸か、あなたのナノマシンは私達の新しい体と同じ物のようですしね。】

 

「この体に流れるナノマシンは遺跡から発見したものらしいからな。 

 だがどういう事だ。 新しい体とは一体?」

 

 こいつらは何らかの理由で自分の体を捨てたのか?

 

【私達がこの火星からいなくなった理由は何だと思いますか。】

 

「・・・・・・いや、高度な文明を持っていながらなぜいなくなったのかは、俺の時代ではわからなかった。」

 

【私達は空間の更なる壁を超えて旅立ったのです。 

 ボソンジャンプは空間や時間以外にも次元を超えて異世界へも行くことが出来るのです。】

 

 ボソンジャンプは次元まで飛び越えるか。

 

【しかし、本来ボソンジャンプは通常の人間では耐えられません。 

 ですからあなた方が遺伝子処理をしたように私達も処理をしました。 

 しかし、次元を超えるためには多少の遺伝子処理だけでは体が持たないのです。 

 ですから私達は改造ではなく創造、人の姿をした超生命体とも言える肉体を生み出し

 その新しい体に自分達の頭脳ごと意識を移したのです。

 あなたのからだに流れているナノマシンはそのからだに流れている物であり

 移す際に自らの体に打たなければならない物です。

 そのナノマシンは脳に流れていればいい物で古い体には毒でしかありません。

 あなたの寿命が縮んだのもそれが原因の一つでしょう。】

 

「旅立ったと言ったがあんたは残ったのか。」

 

【いえ、私で最後ですし、私自身ももうすぐ旅立ちます。 

 もし、あなたがあのまま目覚めなかったら、残り時間がないので体の移植をするつもりでした。】

 

「時間が無いのか・・・・・・・・・・・・分かった、俺に新しい体をくれ。」

 

【わかりました。 ただちょっと問題点があるのですがいいですか。】

 

 やっぱりそう全てが上手く行く訳がないか。

 

【まず時間がいないので、あなた専用の体がありません。 

 ですから、代わりにプロトタイプの体しか無いので、今の容姿を同じにできません。】

 

「容姿くらいなら我慢する。」

 

【そうですか。 では次に、プロトタイプですからやはり不安定で成功率が低く、

 あなた自身もかなり衰弱しているので手術してもずっと眠ったままになる可能性があります。】

 

「・・・・・・かまわない。」

 

【問題点はそんなところです。 それと移植が成功したらその後どうするつもりですか?】

 

 ・・・・・・考えてなかったな。 死ぬ覚悟が出来てたから、後のことも考える必要も無かったからな。

 

【提案なのですがやり直してみてはどうでしょうか?】

 

「やり直す?・・・・・・」

 

【ボソンジャンプであなたの生きた時間に行きもう一度やり直すのです。】

 

「できるのか!!」

 

【はい、私達なら目的の時間に送る技術を持っています。 

 そうすればあなたが助けられなかった人たちも助けることが出来ますが、どうしますか?】

 

「・・・・・・たとえ俺がそこへ行って誰かを助けたとしても、それは単なる俺の自己満足だ。」

 

【それでもいいじゃないですか。 

 あなたがあなた自身の幸せの為に行動することはいけないことじゃありませんよ。】

 

「・・・・・・そうだな。 じゃあそのことも頼む。」

 

【わかりました。 それと私達の技術を幾つか残しておきます。

 後のことはフレイアさんに伝えておきますので。】

 

「ありがとう。」

 

【いえ、私も単なる自己満足ですから。 

 それではすぐに移植手術を始めます、目覚めた時にはもう私はおりませんので。 

 お休みなさい。】

 

「ああ、さようなら。」

 

 そして、俺は意識を再び手放した。

 

 再び、俺がナデシコに乗ることを夢見ながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

(うーん、ここは? 頭がなんだか妙にボーっとしてる。

 

 ・・・・・・段々思い出してきた。 たしか俺は脳の移植手術を受けたんだったな。)

 

 俺は手をわずかに動かしてみる。

 

(感覚がある、成功したのか。 これは水の中・・・・・・いや、おそらくバイオカプセルの中なんだな。)

 

 次に、俺はゆっくりと瞼を開ける。 視界は始めはぼやけていて、よく見えなかったが段々慣れてくる。

 

 カプセルの外は薄暗い研究室のようだった。

 

(ラピスもカプセルからこんなふうに見えていたのか。)

 

 何故かそんな感想を思いついてしまった。

 

 そんな時だったか、俺の思考に文字が浮かび上がった。

 

『《マスター!! 目覚められたんですね!!》』

 

『フレイアか!!』

 

 それはリンクによってイメージを送ってきたフレイアだった。

 (現段階ではアキトには声ではなく文字のイメージしか送れない。 現段階では・・・・・・)

 

『《よかったです。 あの人の言った通りずっと目覚めないんじゃないかって心配してたんですよ》』

 

『フレイア、さっそくだがカプセルから出してくれないか。』

 

『《あ、はい、すぐに。》』

 

 カプセル内の水がひいていき、ガラスの蓋が開く。

 

 

ピチャッ ピチャッ

 

 

 俺が歩くことで床に水がかかる音がする。

 

「肌寒い。 この分だと他の感覚も完全に戻ってるな。」

 

《よかったんですね、マスター。 あ、今バッタに服を持って来させますから。》

 

 そして、少し歩くとあることに気が付いた。

 

「なんだか視点が低いな。 フレイア、俺は今どんな姿をしているんだ?」

 

《姿ですか。 わかりました映像に出します。》

 

 フレイアがそう言うと、俺の前に特大の画面が現れた。 

 

 

「な!!(//////)」

 

 

 その画面を見たと同時に俺は顔を真っ赤に変えた。

 

 そこに映っていたのは12歳前後の女の子。

 

 髪と瞳はまるで、ブラックサレナを表すかのような、漆黒の黒。

 

 肌は髪や瞳とは対照的にルリちゃんほどではないが白っぽい

 

 そしてこれが赤くなった最大の理由なのだが、全裸だったのだ。

 

 

ガシャン ガシャン ガシャン

 

 

 自分の姿を見て固まっているうちにバッタが俺のマントを持ってきた。(もちろん黒のマント)

 

 俺はそれを引ったくるように取って体に巻き付けるとフレイアに聞いた。

 

「フ、フレイア!! 何で女になってんだ!?」

 

 今まで気づかなかったが声まで高くなっている。

 

《マスター、容姿くらいは我慢すると言ってたそうじゃないですか。》

 

「だからって何で女の体なんだ!! 男の体はなかったのか!!」

 

《あるにはあったそうですが、問題があって処分しました。》

 

「どんな問題があったんだ!!」

 

《私はマスターが

北辰とゴート・ホーリーを足して2で割った

 様な人になるのはいやです!!》

 

「すまん。 俺が悪かった。」

 

 即答だった。

 

 いくらなんでも俺はそんな人間離れした姿になりたくない。 (ゴートさんには悪いが)

 

《それとマスターの体なんですが、いくつかの能力が備わっています。》

 

「能力?」

 

《まず、その体はボソンジャンプの為に造られています。 

 その体の中にはジャンプフィールドを発生させるナノマシンがあり、

 今のマスターならCCなどを使わなくてもボソンジャンプが出来ます。》

 

「何も必要とせずボソンジャンプが出来るのか。 差し詰めS級ジャンパーってところかな。」

 

《次ですが脳を移植したことで、その体にもIFSが現れました。》

 

 手の甲を見てみると前の体の時と同じIFSが付いていた。 

 オペレーターも出来るIFSなので左手の甲にもある。

 

 おそらく脳内にあったIFS用ナノマシンが増殖して現れたのだろう。

 

《処理能力の方なのですが、ボソンジャンプのイメージ伝達の為に伝達率が強化されているおかげで、

 IFSの伝達率もIFS強化体質並みに上がっていますよ。》

 

 S級ジャンパーな上、マシンチャイルド並みか。

 

《それに耐久力もありますからフルリンクをしても疲れる程度ですよ。

 ただIFSを使うとマシンチャイルドのように瞳の色が金色になってしまいますが。》

 

「それくらいの問題はどうでもいいだろう。

 だがとんでもないな、今の俺ならルリちゃんみたいに惑星掌握も出来るかもな。」

 

《どうでしょうか? マスターはちゃんとしたオペレーターの訓練を受けてませんし、努力次第だと思いますよ。 

 その次ですが・・・・・・》

 

 まだあるのか、これ以上何があるってんだ。

 

《これは身体能力の方なのですが、今の状態でも成人の男性以上の運動能力を持っています。

 さらに治癒機能を持ったナノマシンもありますので骨折だって二・三日で治ってしまいます。》

 

 女の体になったからって直接戦闘があっても心配ない訳か。

 

《それらがその体に備わっている能力です。

 あとは古代火星人の方が過去に行った時の為に2つ体に施した事があります。

 一つは古代火星の技術の情報がマスターの脳に転写してあります。 今のマスターなら相転移エンジンの仕組みだって全部言えますよ。》

 

「アイツが言ってた残しておく技術ってのはこれか。 確かに物で残しておくより効率がいいな。」

 

《はい、それとここに古代火星人が資材もたくさん残していってくれました。 

 過去に行く為の準備にはもってこいです。》

 

 ありがたいな。 

 時間も十分にあるし、古代火星人の技術でユーチャリスとブラックサレナの強化も出来るな。

 

《あと一つ施したのが、自壊性ナノマシンです。 

 マスターの生命活動が停止したり、マスターの組織の一部が離れたりした時に発動し、 

 他のナノマシンと遺伝子情報を破壊します。

 これはマスターの体を調べられないようにする為のものだそうです。》

 

 確かにこの体の技術が流用されたら戦争が酷くなるのが目に見えてるな。 クローンなんか作られたくないしな。

 

《マスターの体についてはそんなところです。 

 最後にマスター、そこにあるカプセルの中を見てください。》

 

「・・・・・・これは!!」

 

 俺は近くにあった二メートル半ほどのカプセルの中をガラス越しに覗き込むと驚愕した。

 

 その中には俺の体が入っていた。

 

《前のマスターの体は冷凍保存されています。 

 この体をどうするかはマスターが決めて下さい。》

 

「・・・・・・ユートピアコロニーの出来る場所の地下にこの体を埋める事は出来るか。」

 

《ここの技術を使えばボソンジャンプでそこへ送れます。》

 

「じゃあ送ってくれ。」

 

 俺がそう言うと前の体のは言ったカプセルはボース粒子の光を纏い、次の瞬間そこには何も無くなってた。

 

 復讐の闇に染まり壊れた俺のからだ・・・

 安らかに眠ってくれ。

 

「フレイア、これから火星人達の技術でユーチャリスとブラックサレナを改造と過去に戻った時のことを考えようと思う。 これからもよろしくな。」

 

《はい、マスター》

 

 

 

 

 

 

     −三年後−

 

 私は長い時間をかけてユーチャリスとブラックサレナのパワーアップなどをした。

 

 三年間の内に一人称も『俺』のままでは変だとフレイアに言われ『私』に変えることにしたし、口調も少し直した。

 

 私のからだも初めはいろいろと困ったが、時間がたつにつれて慣れていったので特に問題はなかった。 

 身体能力についても前以上の力を既にもっていてこの上ないと言った状態だ。

 

 
古代火星人の技術で改良したユーチャリスとブラックサレナは化け物と言えるほどに仕上がっていた。

 

【ユーチャリス改→スーパーユーチャリス】

 

      《主要機関》

 

 オリジナル相転移エンジン(四基):オリジナルに交換するだけで出力が数倍に上がった。

 二重ディストーションフィールドブレード:二重のディストーションフィールドを張り、一枚だけでもナデシコCの三倍の強度がある。

 相転移ジャマー:対相転移砲の装置。 以前ナデシコの相転移砲の効果を遺跡がキャンセルしたものと同じ。

 ジャンプユニット・端末:その名の通りの遺跡の端末。 完璧なボソンジャンプが出来、かつて木連の優人戦艦が使った跳躍砲(ボソン砲)としても使える。

 

      《主砲》

 

 四連装グラビティブラスト:相転移エンジンの出力アップに比例して威力も上昇

 相転移砲:ナデシコA+Yユニットの三倍の範囲を相転移させられるが、広すぎる為威力を抑えて撃たなければならない

 マイクロ・ブラックホール砲:もともと威力に関係ない兵器な為、ナナフシと全く同じ物を撃てるしたった十分の時間でマイクロ・ブラックホール生成が可能

 時空転移砲:放射状に発射されそれを浴びた物体は強制的にランダムにボソンジャンプさせる。 浴びた物体がジャンパーでジャンプ先をイメージしていればランダムジャンプにはならない。

 

      《副砲》

 

 可動式加粒子ビーム砲(四門):牽制用なのだが、大型無人戦艦のフィールドを貫くほどの威力を持っている

 誘導式相転移ミサイル(十二門):誘導式のミサイルであり、着弾するとその周辺を相転移させる。 有効圏内は着弾箇所から直径50m

 

      《その他》

 

 ネオ・ブラックサレナ:ブラックサレナを元に作り出した機体。 

 バッタ:古代火星人が作ったオリジナルバッタに交換した。

     カラーリングを黒に変え、マイクロミサイル以外に連射はできないがグラビティ弾(単発のグラビティブラスト)を発射できるものと、

     強力なブレードを取り付けたものがあり、フィールドも無人戦艦のグラビティブラストにも耐えられるものになった。

     また整備用バッタと一応警備用バッタ(絶対無いが侵入者対策)のも乗せている。

 

 

 加速度・最高速度ともに上昇しており、電子戦でももともとナデシコC試験艦なので、今ではオペレーター無しのフレイアでも惑星掌握もできる。

 これだけ強力になると世界征服だって出来るかもしれない。

 

【ブラックサレナ→ネオブラックサレナ】

 

      《戦闘形態》

 

 欠点である接近戦を克服する為に、エステバリスと追加装甲を一つにし最初から作り直した。 そのおかげで全身はスマートになり鎧を纏った騎士のような形になった。

 

      《高機動形態》

 

 前はオプションユニットを排除したら高機動形態に戻ることはできなかったが、戦闘形態からも高機動形態に変形が可能になった。

 

      《装備》

 

 小型相転移エンジンが背中に二基、可変ウイングに搭載されていて戦艦以上のエネルギーを出せる。

 腕のハンドカノンは可変式になり、スライドして手を使用可能になる。 同時使用は出来ないがクローも付いている。

 腰には二本のブレードが装着されており、鍔の部分から重力波を放出して、収束して纏うことでもとの最大十倍の大きさのブレードになる。

 両肩にはグラビティカノンが搭載されていて高機動形態でも連続で使用ができ、戦闘形態でのみ動けなくなるが相転移砲も撃つことが出来る。

 別の相転移兵器として相転移地雷があり、小型ではあるが影響範囲は直径三十mの威力がある。

 そしてテールバインダーは長く伸ばしてディストーションフィールドを纏って、尻尾の様に操って叩くことも、手にとって鞭の様にも使える。

 最後に戦闘補助用に私が作ったAI:モルフィンが乗っている。

 

 機動性・耐久性・運動性ともに前のサレナとは比べ物にならないほど向上しており、コンパクトでありながら戦艦並みの強力装備を持ったとんでもない機動兵器になった。

 

 他にもいくつか作ったものがある。 例えばフレイアとモルフィンの姿の立体映像化だ。

 

「フレイア、フィン(モルフィンの呼び名)」

 

《お呼びでしょうか、マスター》《呼んだー、ご主人サマー》

 

 俺はコミュニケのある左腕を胸の前まで上げて二人を呼ぶと、腕の上に十五cmくらいの女性と、その一回り小さい少女が現れた。

 

 二人は立体映像化したフレイアとモルフィンで、女性の方がフレイアで少女の方がモルフィンだ。

 

 フレイアは赤い髪のロングヘアーに黄色のロングスカートのワンピースを着ており背中からは透明な羽が四枚ついている。

 

 フィンは水色の髪のショートカットにショートスカートのワンピースで背中には紋白蝶の羽がついている。

 

 今は小さな妖精がモチーフだけど、人の姿・大きさになることも出来る。

 

 この立体映像はコミュニケの画像投影を改良したもので、フレイア達用に三次元映像を投影できるようにした。 ユーチャリス内とその周辺約百km、またはこの改良コミュニケがあれば何処にでも現れることが出来る。 ブラックサレナ周辺にも可能だ。

 

「フィン、お願いだからご主人様はやめてくれない?」

 

《ええー、いいじゃないですか、間違ってないんだし。》

 

 フィンの性格は最初からこんなんじゃなかった。

 

 この子を作る時に、性格までわたしが設定してしまうとそれはフィン自身の性格でないような気がしたから。

 

 だから、フレイアと同じように自己進化で人格を形成させたのだが、形成段階で何故かこの呼び方が定着してしまった。 見た目の年相応の性格なのだが、『ご主人様』はなんだかマズイ。 わたしは子育てに向いてないのかな?

 

「・・・・・・もういい。 フレイア、時空跳躍の準備は終わった?」

 

《はい、準備は万端です。 何時でもジャンプできますよ。》

 

 やっと私は新しい歴史を作るための準備が整った。 前の歴史で死んでいったガイや白鳥さん、他にも戦争に巻き込まれた人達も今度は生きてもらいたい。 そして過去の私にも幸せになってほしい。

 

「それじゃあ行くわよ、フレイア。 時間は私の運命が変わり始めた日!!」

 

 そして、私はボソンジャンプした。 今度は私自身の幸せをつかむ為に!!

 

 

 

 

 

第二話:それぞれの旅立ちに続く

 

 

 

代理人の感想

・・・・・まー、よくある逆行TS物かなと。